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2.旦那様とのご対面

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『あれは…』
アリシャナはその入れ墨に見入ってしまった

「見て気持ちのいいものでもないだろうに…」
「あ…」
そう言われて初めて目を合わせる
「エイドリアンだ。呪われていると言われるこんな俺が相手で逆に申し訳ないな」
エイドリアンは冷めた目をアリシャナに向けてそう言った

「兄さんの入れ墨を見て悲鳴をあげなかった女性は初めてだな。次男のテオだよ。テオって呼んで」
テオは笑顔でそう言ってオードリーの側の一人がけのソファに座った
エイドリアンはそれを見てからアリシャナの隣に座る

「アリシャナ」
「はい」
「エイドリアンはこれまでずっと呪われていると周りから恐れられてきました。その入れ墨のせいで」
「…」
アリシャナは真っすぐオードリーを見ていた
「これまで5人の婚約者がその入れ墨をみて恐怖し、長くても1か月以内に精神を病んだと…でも信じて頂戴。呪いなんてそんな酷いものじゃないのよ…」
「母さん…」
泣き崩れるオードリーを見るエイドリアンの顔には相変わらず表情がない
何度も繰り返し、まわりの人たちに訴えてきたのだろう言葉
それはエイドリアンにとって自分を追い詰めるものになっているのかもしれない

「信じるも何も…エイドリアン様のその入れ墨は呪いではありません」
アリシャナの発した言葉に4人は揃ってアリシャナを見た
「…どういうことだ?」
バックスが身を乗り出して訪ねる

「スターリング家も魔道国の血を引いておられますよね?」
「あ、あぁ…もうずいぶん前の代にいたと記録はあるが…」
「その入れ墨は魔道国における祝福の一つです」
アリシャナははっきりそう告げた

「…気休めはよしてくれ」
希望の目を向けた3人と違いエイドリアンは静かにそう言った
「気休めではありません。エイドリアン様は通常より強い魔力をお持ちですよね?」
「ああ。そのせいで余計に恐れられている」
「祝福を受けた者は膨大な魔力を授かります。でも体が幼いうちはその魔力にのまれてしまう。それを阻止するために入れ墨に魔力が封印されて生まれて来ます。一種の自己防衛ですね。そしてその入れ墨の範囲の広さは魔力の強さを表している」
「は…?」
「エイドリアン様が伴侶と決めた相手と魔力を交換することが出来れば、入れ墨に封印されていた膨大な魔力を取り戻すことが出来るはずです。もちろんその時にはその入れ墨もなくなります」
「…その情報が正しい情報だという保証はないだろう?俺はこれまで数えきれない文献を読んできたがそんな記載は一つもなかった。質の悪い気休めはやめてくれ」
「エイドリアン…」
吐き捨てるように言うエイドリアンにオードリーがアリシャナを見た
その目は助けてくれと訴えていた
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