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30.帝王の謝罪

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「父上にしては珍しく緊張してるようだ」
今度は何だと振り向くとマックスが立っていた
「マックス様…驚かさないで下さい」
「まぁいいじゃないかアリシャナ。それより、アンジェラは色んな意味ですごいな」
マックスは笑いながら言う

「マックス様はアンジェラを押し付けられたとか」
「あぁ、別に構わない。どうせ公の場に連れ立つことはなさそうだからな」
「と、言いますと?」
「公の場に出て恥ずかしくない礼儀作法を覚えてからでないと外に出すわけにはいかないからな」
「それは…監禁?」
「ともいうかもしれないが…常識があればすぐに外に出られることを考えればそれほどのことでもないと思わないか?実際貴族のマナーなど子供でもこなしているのだからな」
マックスはそう言って笑う

「相変わらずですね」
「まぁ、人の本質などそう簡単には変わらんさ」
「私は少し残念です」
「残念?」
「アンジェラ様を押し付けられたことでマックス様の本当のお姿をもう見ることはないのでしょうから」
「あはは…そういえば君は知っていたんだったか。まぁ俺としては絵さえかければ満足だ。そういう意味では出来損ないが嫁になったのは逆に都合がいいかもな。そうだ、今度2人にプレゼントするよ。楽しみにしていてくれ」
マックスはそう言って帝王の元へ向かって行く

「マックス様の本当の姿?」
「ふふ…今のマックス様はわざとあのようなお姿を」
「何で?」
「幼い頃から帝王の血を引くことで色々あったそうです。その全てに嫌気がさして逃げ出したと」
「…で、何でリーシャがそんなこと知ってるんだ?」
「魔術師団に入ってすぐの頃に書類を出した帰りに迷子になってしまって…その時に助けてくれたのがマックス様だったんです。とても美しい男の子でした」
「え…?」
「おそらくそちらが本当のお姿でしょう。おそらく今も本来の姿であれば帝王と並んでも遜色がないくらいなんじゃないでしょうか」
帝王は中世的な顔立ちで男女問わず引き付ける容姿をしている

「兄弟の中で一番帝王に似ているそうですよ?だからこそ色んなことに巻き込まれて疑心暗鬼になった。私が出逢った頃は姿を変える術を練習されてたんです」
「姿を変える…だからって何もあんな姿にならなくても…」
「ふふ…あえてです。政務の才能も隠し、絵だけが全てと周りに思わせて…だからこそ帝王の役に立つ情報も得れるのだとおっしゃっていました。皆さんとても口が軽くなるそうで」
「なるほど…な」
エイドリアンは帝王の側に控えるマックスを見る

「まぁでも…あの方は自由に絵を描ける環境を作りたかったという方が大きかったかもしれませんけど」
半分呆れたような言い方にエイドリアンも苦笑する
そんな他愛ない話をしていると帝王が立ち上がった
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