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エピローグ
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マックスがさらに続けた言葉は驚くものだった
「丁度魔術師団の方で体の感度を下げる術と、性欲を抑える術が仕上がったらしいからその実験体にするってのも決定した理由の一つだな」
「…何でまたそんな術を?」
「あぁ、隣国の協力要請だな。何でも外交官が淫乱らしくてさ」
「何でそんな人が外交官に?」
「それは隣国の事情だから俺は知らない。まぁ性欲が強すぎるのも肉体関係に溺れるのも、この国でもない話じゃないからその改善という意味では役立つだろうってことで協力したあたりだな」
「でもそれ、娼館に行くなら術を施さない方がいいのでは?」
「施すから罰になるんだよ。今の彼女は抱かれたら大喜びだろうから」
「…なるほど」
「ま、そういうことだからようやく君も過去を一切気にせずに済むんじゃない?今までならアンジェラといつか顔を合わす可能性もあったしね。限りなく低いけど」
「確かにそうですね」
アリシャナはそう言って苦笑する
「なにがそうですね?」
「リアン!びっくりさせないでよ…」
突然背後から抱き付かれてアリシャナは抗議する
「わーるかったって。で、何の話?」
「アンジェラを犯罪奴隷として娼館に送る話」
「あぁ、その話か」
「リアンは知ってたの?」
「ここしばらく協力してたのその関係だからな」
「…まさか…」
「そのまさかかな?俺がリーシャの不安を知っててそのままにしとくわけないだろ?」
アリシャナは絶句する
普段そこまで精力的に協力することはなかったのに、今回だけは驚くほど前向きに協力していたのは知っていた
それがアンジェラに関わることだったからだと知って嬉しくないと言えばウソになる
「だからサージュ様も来たってこと?」
「そういうことだな。向こうで父さんたちとその話をしてたよ。半月とは言え家にも被害があったからな」
「でもこれで本当の意味で解決したから突然来たのは許してやってくれ」
マックスはそう言って笑う
「リーシャ、テオが呼んでる」
「え?」
エイドリアンに言われて振り向くとテオがエリオットを肩車してこっちに向かってくるところだった
「お母様見て!高い!」
「本当だねぇ。遠くまで見える?」
「うん!テオおじさまお母様のところまで連れてって!」
「よーし…」
テオは頷いてエリオットを肩車したまま走り出した
皆に囃し立てられながらエリオットは嬉しそうに声をあげて笑っている
「リアン」
「ん?」
「幸せだね」
「そうだな。呪いでも祝福でも…そう思ってたけどやっぱり祝福だったかな?」
エイドリアンはそう言ってアリシャナを抱き寄せる
何かあればこうして駆けつけてくれる人たちに囲まれて穏やかな時間に包まれる
2人のこれからの日々ではそれが当たり前のように続いていくことになる
---END---
「丁度魔術師団の方で体の感度を下げる術と、性欲を抑える術が仕上がったらしいからその実験体にするってのも決定した理由の一つだな」
「…何でまたそんな術を?」
「あぁ、隣国の協力要請だな。何でも外交官が淫乱らしくてさ」
「何でそんな人が外交官に?」
「それは隣国の事情だから俺は知らない。まぁ性欲が強すぎるのも肉体関係に溺れるのも、この国でもない話じゃないからその改善という意味では役立つだろうってことで協力したあたりだな」
「でもそれ、娼館に行くなら術を施さない方がいいのでは?」
「施すから罰になるんだよ。今の彼女は抱かれたら大喜びだろうから」
「…なるほど」
「ま、そういうことだからようやく君も過去を一切気にせずに済むんじゃない?今までならアンジェラといつか顔を合わす可能性もあったしね。限りなく低いけど」
「確かにそうですね」
アリシャナはそう言って苦笑する
「なにがそうですね?」
「リアン!びっくりさせないでよ…」
突然背後から抱き付かれてアリシャナは抗議する
「わーるかったって。で、何の話?」
「アンジェラを犯罪奴隷として娼館に送る話」
「あぁ、その話か」
「リアンは知ってたの?」
「ここしばらく協力してたのその関係だからな」
「…まさか…」
「そのまさかかな?俺がリーシャの不安を知っててそのままにしとくわけないだろ?」
アリシャナは絶句する
普段そこまで精力的に協力することはなかったのに、今回だけは驚くほど前向きに協力していたのは知っていた
それがアンジェラに関わることだったからだと知って嬉しくないと言えばウソになる
「だからサージュ様も来たってこと?」
「そういうことだな。向こうで父さんたちとその話をしてたよ。半月とは言え家にも被害があったからな」
「でもこれで本当の意味で解決したから突然来たのは許してやってくれ」
マックスはそう言って笑う
「リーシャ、テオが呼んでる」
「え?」
エイドリアンに言われて振り向くとテオがエリオットを肩車してこっちに向かってくるところだった
「お母様見て!高い!」
「本当だねぇ。遠くまで見える?」
「うん!テオおじさまお母様のところまで連れてって!」
「よーし…」
テオは頷いてエリオットを肩車したまま走り出した
皆に囃し立てられながらエリオットは嬉しそうに声をあげて笑っている
「リアン」
「ん?」
「幸せだね」
「そうだな。呪いでも祝福でも…そう思ってたけどやっぱり祝福だったかな?」
エイドリアンはそう言ってアリシャナを抱き寄せる
何かあればこうして駆けつけてくれる人たちに囲まれて穏やかな時間に包まれる
2人のこれからの日々ではそれが当たり前のように続いていくことになる
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