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26.俺への裁き(side:ナイジェル)

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「今後は魔術師団と協力した攻撃の練習も行う予定だ」
何だと?!
あいつらは補助系の魔術だけでなく攻撃や防御を得意とする者もいるんだぞ?
さっきの新人の矢であれだけの苦痛を味わったというのに補助を掛けられたら一体…?
そこまで考えて体が震えだす

「イヤだ…もう勘弁してくれ…!」
その場で懇願していた
「それは聞けない願いだな」
そう言いながら現れたのは騎士団長だった
「お前…」
「あなたには随分色んなことをされましたからね」
騎士団長はそう言って俺を睨んできた

「あなたのせいで犠牲になった若い騎士は大勢いますよ?たしか…騎士など俺の盾以外何の役にも立たん、でしたか?」
騎士団長のその言葉におびただしい殺気が俺に向けられた
これはまずい
確かに遠征に行った時にその辺の騎士を盾にしていたが…
それがなぜこいつの耳に入ってるんだ?!
「証拠の音声を記録していた者も何名かいた。それはすでに帝王に提出済みだ」
「貴重な騎士を盾がわりにしたお前を的代わりにして何が悪い?お前は死なないが騎士たちは未来を失った。その家族たちの悲しみも消えはしないだろう」
「それとこれとは…」
「違うと思うか?我々が鍛えるのは国民を、愛する者達を守るためだ」
「だがお前たちはアリシャナのことは守っていたではないか?」
「アリシャナは俺達を守ってくれていたからだ。かなりの数の騎士に出来うる限りの補助を掛け、傷付いたものには治癒も施してくれた。アリシャナに救われた者は多い」
あの小娘がいつの間に…
「アリシャナだけじゃない。お前以外の魔術師と騎士は同様に持ちつ持たれつの関係だった。それを今後さらに強化しようとしているだけだ」
俺の知らないところで何でそんなことになっている?
この国で魔術師団の地位は騎士団より高い
なのにそいつらを盾にして何が悪いというのだ!?

「お前には何を言っても無駄のようだ。だがお前が裁きを受けたことは覆らない。無駄に命を落とした騎士達の分も、お前にはしっかり役立ってもらうまでの事」
「何を…」
「今後グループごとに分かれて練習を行う。各グループ1時間ずつ順番にこいつを仕留めるように。1時間で仕留めた回数を記録し上位のグループには褒美をやろう」
騎士達がざわついた
待て…それでは俺の休む時間がないではないか?
「ただし仕留めてカウントされるのはこいつが動いていた場合のみだ。止まっているようなら足元に矢でも放ってやればいい」
その直後から俺は毎日24時間休むことなくひたすら追い立てられている
騎士も魔術師も確実に腕を上げてきているのが分かる
この回復は空腹も脱水も満たし、体調も万全に整えてくれるらしい
帝王がそう説明していたと騎士団長が後から言っていた

今では出入り口に結界を張り足の拘束は外されている
そのままでは逃げる足が遅いからと俺に身体強化の補助を掛ける奴までいる
痛みも苦しみも慣れることはないんだぞ?
それなのにこのまま寿命が尽きるまでこの日々が続くのかと思うとぞっとする
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