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15・理由のない国外追放
しおりを挟むシュネス殿下からの鋭い眼差しが突き刺さる。
何事か憤っているかのようなシュネス殿下が、更に大きく口を開いた。
「お前のっ……! その態度がっ! 俺はずっと気に食わなかったのだっ! 俺のことをいったい何だと思っているっ! この俺の婚約者という地位に胡坐をかき、傲慢な態度を崩さないっ……目障りだっ! 即刻この国から立ち去るがいいっ!」
私は自然眉をひそめていた。
それはつまり、私はシュネス殿下の不興を買った、だからこのような扱いを受けている、そうなるということなのだろうか。
理由としてはあまりに幼稚。
だけど同時にシュネス殿下らしいと、そうも思った。
私は一応、と口を開いた。
「おそれながら殿下、それはつまり私は今、国外追放を言い渡された、そう解釈してよろしいのでしょうか?」
ただの確認である。
シュネス殿下は、私の言葉を聞いた瞬間、かっと怒りに顔を赤く染めていた。
「それ以外にどう聞いたのだっ?! 当然、お前の家ごと全てだからな! 二度とこの国に戻って来れるなどと思わないことだっ!」
どうやら私は、家族ごと、つまり国外追放処分を受けるという話であるらしい。
明確な理由の説明も何もなく、態度が悪く、シュネス殿下の不興を買った、たったそれだけの理由で。
短絡どころの話ではなかった。
その場にいる貴族全員が、眉をひそめているのがわかる。
すぐにひそひそと、囁くようなざわめきが耳に届いた。
私をエスコートしてくれていた父は、当然私のすぐ傍らにいて、勿論、シュネス殿下の言葉を、顔をしかめて聞いていた。
反論も何もせず、口すら開かないのは、別にシュネス殿下を恐れてのことなどではない。
ただ単にこちらとしても都合がいい。
そう思っているというだけの話。むしろ都合がよすぎて、恐ろしいほどだった。
今日の夜会はまだ開始されてはおらず、この場にいる一番高い身分の者はシュネス殿下で、参加予定の王妃様も、まだいらしてはいらっしゃらなかった。
ちなみに陛下は、相変わらず国にすらいないのだとも聞いていた。
ご自身の息子の成人祝いだというのに、と思うと何とも言えない気持ちとなるのだが今更だ。
一瞬、これは王妃様もご存じのことなのかと疑問に思ったけれど、シュネス殿下がこうもはっきり口になされた以上、王妃様でも取り消したり取り成したりなどは難しいのではないかとも思う。
いっそそんなことになっては面倒なので、いらっしゃる前に去るべきかもしれないとすら。
ニディアはシュネス殿下の傍らで、何も言わずただ美しく微笑んでいる。
こちらへと注がれる眼差しはいっそあたたかく、どこか焦がれるような熱が孕んでいるようにも見えた。
その顔がどうにも気になって、だけど当然、そちらをじっと見るわけにもいかなくて。
私はやはり大人しく首肯した。
「お言葉、全て謹んでお受けいたします」
そんな私の態度に、シュネス殿下の顔が、いっそう険しく、大きく歪んだ。
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