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41・助力
しおりを挟む「それより、早く帰らないとリリーちゃんがくずるんじゃない?」
彼女の言葉に、そうだったと思い出す。
リリーは私の娘だ。陛下の子。無事に生まれ、元気に育ってくれている。今は預けて出てきたので、早く帰らなければならない。
家でリリーを見てくれているのは、ここまで着いて来てくれたリダだった。
だから、心配がないと言えば心配はないのだけれど。
リリーが生まれて一年経つのを待って、婚姻式が執り行われる前に、私は王宮から……否、陛下から逃げ出した。
リダをはじめ、実家や色々な人の手を借りながら。
理由など一つしかない。ただ、陛下からの愛が重すぎた為である。
陛下が私を、とても愛してくれていることはわかっているのだ。私だって陛下を愛している。ただ、だからと言って、前世を思い出した私では、陛下から注がれる愛情はあまりに深すぎて。簡単に言うと、受け止めきれなかったのだ。
加えて、王妃であるはずなのに、ただ、鳥かごのような王宮に囲われるだけの日々。
公務も執務も何も任されず、させてもらえず、剰え陛下は私を溺愛することにのみ夢中で政務を疎かにするしまつ。なまじ、私自身に知識があり、前世を思い出したせいもあって、視野が広がってしまったのも良くなかった。他でもない私の存在こそが陛下をダメにしているようにしか思えず、私は陛下のことが好きだからこそ、そんな自分にも耐えられず。それでも子供がいたから。生まれるまでと、生れてからの一年はその立場に甘んじた。
本当は子供がいなければ、もっと早くこうしていただろう。
一度距離を置くべきだと思ったのだ。陛下も私も、少し頭を冷やすべきだと考えた。
だが、普通にお願いして陛下がそんなことを聞いてくれるとも思えず、そもそも私はどうしてか、陛下を前にしては、些細なお願いさえ一つとしてできず。
私の考えを聞いたアリムエ執政官からは、逆効果だと止められたけれど、私の決意が固いことを知ると、彼は渋々ながらフォローを請け負ってくれ、結局はいろいろと協力してくれた。
「ハヌハナ公爵令嬢に全く好き勝手されるより、ある程度は僕の方で把握できる状況にしておいた方が、おそらくはその後のことを考えるといろいろと緩和されるんじゃないかと計算したまでですよ」
そんな言葉と共に、自分の後々の手間を省いただけだとも嘯いていたけれど、助かったことに変わりはない。
実はこの場所を手配してくれたのも彼ならば、少しでも触れられてしまうと、陛下に何も言えなくなってしまう私の心情を、それでも伝える為に認めた手紙を、必ず陛下に読ませてくれると、約束してくれたのもアリムエ執政官で。私はもう一生彼には頭が上がらないのではないかと思うばかりだった。
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