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26・神人③
しおりを挟むホセが僕を支えるように背中に手を置いた。
あたたかな体温に少しだけほっとする。
「興奮しすぎだ」
ホセの苦言に、フォルが小さく笑う。
「はは、すまない、本物の神人殿を前にしていると思うと、どうしても……神人失くして世界は成り立たない。勿論本人たちの気持ちあってのことだけれど、かつての神人たちは神人以外の存在と交わり、血を繋いでいった。そうして脈々と薄まりながら受け継がれてきた血が僕であり、ホセであり、シズでありネアだ」
「え?」
なんとなく三人を見てしまう。
ホセと、シズとネア、そしてフォル。似た所なんて何もなかった。でも。
匂いが、同じ。
なら僕が番の匂いだと思っているのは神人とやらの血を引いているがゆえの香りだったのだろうか。
そう思って、同時に違う、そう思う。
記憶もない、根拠もない、だけどはっきりそう思った。
「僕は竜だ。それは君もわかっているだろう?」
フォルがにこと笑いかけてくる。
僕は頷いた。
そうだ、確かにそうだった。
赤竜。
赤竜が、フォルになった。
否、フォルが赤竜になれるのだろうか。
わからない、わからないが、姿を変えられるのは間違いないのだろう。
「人型を取れる竜はつまり神人としての血が濃いということなんだよ。そもそも今現存する竜で神人の血を引いていないものはいないけれどね。他にも体の大きさを変化させられるティリチュアであるだとか」
そういったことが、神人の血を引いている証なのだとフォルが続けた。
ならばやはりホセやシズにも何らかの特徴があるということなのだろう。
そこまでは告げられなかったし、僕だって詮索する気はない。
少しだけ気にはなったけど。
「とにかく、神人という存在が大切にされるべき存在なのだということは分かったかな?」
それが自分だという実感はまるでわかないけれど、理解は出来た。
頷く僕に、フォルが満足気に微笑む。
「だから君はただここで心安らかに過ごしていて欲しい。守られて、大切にされていればいいんだ」
それがこそ僕を保護した理由なのだろう。
神人だという僕を、守り慈しむため。
「しばらくは彼らもここに滞在する。ここなら使用人も医師もいる不自由は何もないはずだ。だから、神人殿」
何をしてもいい、何もしなくてもいい、ただここにいて欲しい。
そう、縋るような眼差しで言い募るフォルを前に。僕はただ、頷くことしかできなかった。
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