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44・意外な事実
しおりを挟む一度、気持ちを決めたら、驚くほど楽になった。
とは言えもちろん、それで俺がわけのわからない嫉妬をしないで済むようになったのかと言えばそんなことはない。
少なくとも、グローディから、レシア様についての話なんてひと欠片だって知りたいとは思わない。でも。
グローディに、俺を好きになってもらう。
レシア様よりも、俺を。
つまりレシア様はいわば敵だ。
少なくとも、俺にとっては間違いなく。
レシア様よりも俺を選んでもらう為には、まずはレシア様のことを知らなければ。
そう思った。否、そう思うことが出来た。
なにせ俺はレシア様のことを何も知らない。
俺自身のことだというのに、グローディの最愛の伴侶で、子供たちの母親だという以外のことを全く何も知らないのである。
それでは、グローディに、レシア様より俺を選んでもらうどころの話ではない。
だけど俺は勿論、やっぱり、グローディからレシア様のことなんて全く何も聞きたくはなかった。なら、出来ることは一つだけ。
「え? レシア様のこと、ですか?」
シェスに続けて、なら、レシア様のことについて教えて欲しい、そう言うと、シェスは全く何も予想していなかったとばかりに目を丸くして驚いていた。
否、これは、自分に聞くとは思っていなかった、と言った所だろうか。
「グローディからは、聞きたくないし、だから……」
目を伏せて、だからシェスに教えて欲しい、そんな風に続けると、シェスは目を泳がせて。
「あ~……なるほど……確かに、そうなると僕が適任かもしれませんね……」
勿論、レシア様について一番詳しいのはグローディだろう。
でも、シェスにとっても母親のはずだ。
ならグローディの次に詳しいのではないだろうか。なのになぜ迷うのか。
「……都合が、悪いのだろうか?」
まさか俺はむしろ、レシア様について知ってはいけないのか。
そんな風に思ったのがわかったのではないだろうけれど、シェスは慌てたように首を横に振って、
「ああ、いえ、都合が悪いだとか嫌だとか言うのではないのです、ミーシュ様が、レシア様について知ってはいけないだとか、そういうことも全くありません。ただ。えぇ―っと……」
「ただ?」
なのに、そこで何かを迷うように言葉を切った。
次いで、弱り切ったというようにへにょと微笑む。
「あ~、なんと言えばいいのか……僕も、詳しくは、なくて……」
えへへと、苦笑とも言えるようなその表情に、俺は目を丸くして驚いた。
シェスは、レシア様とグローディの間に出来た一番上の子供だと言っていなかっただろうか。なのにレシア様に詳しくない?
それは一体どういうことなのか。
「母親なのに?!」
「ええ、母親なのに」
驚く俺に言葉に、頷いたシェスの表情は、どこか、何かを思い悩んでいるかのようにも見えたのだった。
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