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05-3
しおりを挟むぐったりとソファに身を預け、体から力を抜いていく。
はぁーと、深く長いため息が出た。
「ルニア様、お茶でよろしいですか? すぐに軽食をご用意いたしますので、可能でしたら是非そちらもお召し上がりくださいね」
「んー、ああ、ありがとう」
すかさずシェラがお茶の用意をし始めるのを、何とはなしに目で追いながら、
(そう言えば俺、食事どうしてたっけ……)
なんて思い返した。
気が遠くなるほど長すぎる行為で、いったいどれぐらい経っているのだかわからなかったのだが、今が多分朝だろうということは、丸一日以上経っていることは必須。否……――。
「なぁ、シェラぁ、あれからどれぐらい経ってる?」
「ルニア様が前世を思い出されてからですか?」
「そう」
「でしたら、今は翌々日の……そうですね、もう少しでお昼になります」
丸2日だった。通りで、長く感じたはずである。もっとも今までを思い返してそれぐらいだろうなとは予想していたけれど。
「それで、今、ラティは……」
「殿下は流石にこれ以上お仕事を滞らせられないということで渋々執務に向かわれました。おそらくお昼にはお戻りになりますよ」
うっかり内心のままにラティのことを呼び捨てにしてしまったのだけれど、そんなことはいちいち指摘せず、シェラがだからこそ今のうちに食べられるだけ軽食を取っておいた方がいいのではないかと重ねてすすめてくる。
「? ラティが戻ったら一緒に食べるんじゃないのか?」
「……お食事にはなさるのでしょうけど……」
首を傾げる俺に、シェラは言い淀むように言葉を濁し、一瞬、どういう意味なのかと抱いた疑問の答えは、程なくして自分の記憶の中から見つけられた。
まさに先ほど思い返そうとした食事についてだ。
なにせずっとつながったままだったので、ごく普通に食事を摂った記憶なんてない。
だけど食べていなかったわけではなく、ではどうやって食事をしていたのかというと、繋がったまま、揺さぶられながら、半ば口移しで食べさせられていたのである。
(ああああ、あ、あり得ないっ……! だろっ、やっぱり……!)
多分このまま、ラティが戻ってきて食事となると、同じようなことになるのではないかと、シェラは言いたいのかもしれないと思い至った。
なら、今自分で、軽食でも何でも取ってしまった方が絶対いい。
恥ずかしい目に合うのなんて、出来るだけ少ない方が、俺自身の心の安寧の為にも良いようにしか思えなかった。――……全く合わないでいられるとは、すでに俺自身思ってもいない。
はぁっと、また一つ大きく溜め息を吐く。
「なぁんでこぉなっちゃったかなぁ……」
ぼんやりと呟いた。
それが聞こえたのだろうシェラが、控えめに、
「あの……こういうのもあれかもしれないですけど、僕は正直、自業自得だと思います……」
なんて告げてくるのに、俺は返す言葉を見つけられないまま。その後しばらく、シェラがお茶や軽食の用意をする微かな食器の音だけが部屋に響いた。
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