【完結】囚われの塔の泣き虫姫(♂)

愛早さくら

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第1章・泣き止まない我が妃へ(ルナス視点)

*9・受理できない嘆願と、泣くばかりの彼について⑦

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 初めて触れた彼の体は、俺の腕の中にすっぽりと納まってしまうほど細くて、小さくて、儚くて。何より暖かく、柔らかかった。
 否、少し骨ばっている、そう思う。余計な肉がついていないからだろう、心配になる細さだ。それでも例えば俺のよう、成人男性の体のようにごつごつはしていなくて。かと言って女性ほどには、柔らかくもない。実際に女性に触れたことはないので、多分だけれども。
 少年特有の未成熟な体。きっと、彼のことをそういうのではないかと思う。
 彼は泣いている。
 ただ、悲しそうにほとほとと涙をこぼし、でも、抱きしめた瞬間は一瞬強張ったかのように思えた彼の体は、すぐに強張りを解いて、どうやら俺に身を預けてくれているようで。
 少なくとも俺にはそう思えて。一度そう思ったら俺は堪らなくなって、俺は気付くとぎゅっと、彼をきつく抱きしめてしまっていた。

「ぅっ、……ひっく、ぅう……へぃ、か……」

 彼が小さな、微かな声で俺を呼んだ。
 涙に濡れ、震える声は憐れで。なんだかひどくかわいそうなのにどうしようもなく興奮してしまう。
 何故なら、そういえば俺は彼の声を聞くことさえ、これが初めてだったのだ。
 この国に到着した時にも口上を述べたのは侍女で、彼は泣くばかりで一言も話さなかったし、先程、この部屋に入ってきてからもそう。
 彼は実は挨拶さえ俺とは交わしてくれておらず、名乗ってもくれていないのだった。
 なのにそんな彼と俺は、書類上だけとはいえすでに夫婦で、剰え俺はこうして彼を抱きしめている。
 そして今、彼は俺を呼んでくれた。
 胸がいっぱいになる。嬉しい。
 初めて聞く彼の声は、やっぱりかわいくて。興奮が抑えられない。
 きっとこの状況は彼の本意ではないだろう、そう思うのだ。わかっている。彼はきっと覚悟をもってここへ来た。その証拠に彼は泣いている。だけど。

『お情けをくださいますよう。それが何よりの慰めとなりましょう』

 先程の侍女の言葉が、頭の中で渦巻いた。
 情けを、つまり俺は彼に触れても良いということだ。それが慰めになる。
 そんなこと全く思えない、泣いている彼にこれ以上何か、なんて、でも、ああ。
 泣き濡れて震える体がかわいくて、愛しくて。熱くなった体を、きっと誤魔化せない。だから。いいや、それだけじゃなくて、俺は。
 そっと体を離した。
 見下ろした彼は泣いている。
 真っ赤に腫れた目元。青みがかった紫色が潤んで、キレイで。誘われるように唇を寄せた。
 ちゅっと、吸い取った塩辛いはずの涙を、どうして甘く感じられるのだろう。
 わからない、わからないけど。
 おろした唇に導かれるように閉じられた目蓋に後押しされるように。俺は何度も目元へくちづけ、涙をすすり、頬を辿って、やがては彼の、赤く色づいた柔らかそうなその口を。啄むように食んでいた。
 ちゅ、ちゅと音を立てて何度も交わる唇。
 彼は俺の腕の中、時折びくびくと体を震わせこそすれ、強張らせることはなく、そのまま嫌がるようなそぶりも見せない。
 受け入れてくれている。そう思っていいのだろうか。
 わからない。
 わからなかったけれども、今ばかりは都合よく解釈することにして、しっとり、彼の唇を味わい、ゆっくりと、だけど確かに抱き込んだ彼の細い体を弄っていく。

「ぁっ、……んんっ、……」

 小さく、彼から鼻にかかったような喘ぎが上がるのかかわいい。かわいくてかわいくて堪らない。
 ああ、彼は泣いているのに。泣き止んでなんて、くれていないのに。
 彼にもっと触れたくて、彼の深くまでをもっと探りたくて、彼が欲しくて欲しくて堪らなくて、俺は止まれなくなりそうで。
 でもここは狭いソファの上、流石にこのままソファでなんて、あまりに可哀そうだろう、飛んでしまいそうな理性をかき集め、そっと上げた視線の先、いつの間にか立ちあがった侍女が静かに、隣の部屋へ続く扉を開けて俺を促すようにしていることに気付く。
 その扉の向こう、隣の部屋とは、つまり、大きな寝台を入れてある、寝室として使う為の部屋だった。
 彼を抱きしめたまま、腕から離さずすっと立ち上げる。
 そのまま彼を抱き上げ、時折泣き濡れた目元や頬、口へとくちづけを落としながら、俺ははやる気持ちを必死に抑えて、ゆっくりとそちらへ向けて歩いていった。
 扉をくぐると、そこにあったのは天蓋の開けられたベッド。灯りは程よく絞られていて、淫靡な雰囲気が漂っているようにしか見えない。
 腕の中には泣き濡れて震える彼。
 大人しく、すっかり俺に体を預けきってくれているようにさえ思える彼。
 それでこれ以上、どう我慢できるというのだろう。
 彼は泣いていた。ずっと泣き止まなかった。だけど俺も、止まれなかった。
 だって夢にまで見た、13年間、ずっと心を寄せ続けた彼が今、俺の腕の中にいるのである。
 俺に身を委ね、抗わず、だけど泣いている。
 ああ、なんてかわいそうで可愛いんだろう。
 正直言って興奮した。
 ガチガチに勃ちあがった股間は痛いほどだった。
 俺は早く気持ちのまま、ベッドへとそっと下ろした彼に覆いかぶさり、何度もくちづけを降らせながら、彼の衣服を剥ぎ取っていって、自分のそれも手早く寛げて。

「ぅ、ふぅっ……、ん、ぅうっ……」

 ほろほろと涙を流す彼はキレイで、かわいくて。そんな彼に今、自分が触れている、そう思うだけで興奮が止まなくて。
 早く、早く、いつの間にか焦るような気持ちになりながら、俺は早急に彼の体を暴いていく。

「ぁっ、ぁあっ!」

 俺を、受け入れてもらうための慎ましやかな、ぴったりと閉じた其処を、用意されていた潤滑油をまぶした指でぎこちなく探ると、彼は控えめに喘いで涙を散らした。
 ぎゅっと、いつのまにか彼の手は俺に縋るように肩の辺りに回されていて、彼の中へと沈ませた俺の指の動きがつい、荒くなってしまう。

「ぁっ、ぅ、やぁっ……!」

 ビクン、震える彼がかわいそうだ、そう思うのに。

「ごめん、止まれない。でも嫌なら、もっとはっきり嫌って言って……? 頑張って我慢するから、ね?」

 宥めるように荒くなってきた息の間でそう囁くと、彼は小さく首を縦に振ってくれたような気がした。だけどその後も、彼が明確に俺を拒む様子は見えなくて、小さく、喘ぐ声の隙間、時折はさまれる、いやの言葉さえ、ただの反射に聞こえてしまって。
 結局、俺は止まれず、最後までそのまま。
 初めて押し入った彼の中は、これまで経験したことがないほど気持ちよく。俺は泣き続ける彼を揺さぶって、随分長く放せなかった。
 一度、欲を吐き出したぐらいでは止まれない。泣いている彼がかわいそうだ、そう思うのに。
 縋る手は、だけど俺を引き寄せこそすれ、拒んではいない、そうも思えて。
 そんなの、きっと都合のいい俺の願望だ、わかっていたのに俺は。

「ぁっ、ぁっ、あっ! ぁあっ! やぁっ……ぁんっ、んぅ……」

 泣き止まない彼を、欲望のまま、長く、深く暴き続けたのだった。
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