22 / 55
第2章・まるで夢のような日々(リュディ視点)
4・世界は輝いている④
しおりを挟む僕をシュネリニアへと呼び寄せたのは他でもないルナス様。
一応は名目上は、隷属の証として跡取りであった第一公子を差し出したということになっているけれども、シュネリニアの一部の貴族たちへは人質の役割があるのだと思わせてあるとのことで、滞在先が塔となったのは、対外的にだけでも人質らしく見えるようになのだと聞いている。
だけど実質は、否、本当は妃として迎えたいのだと。書類上だけでも入籍は済ませるのでそういったこと全てを承知しておいてほしいと僕に説明してくれたのは、ルナス様とは親友なのだという、宰相をしているサネラ様だった。
僕は泣いた。嬉しくて。
父様も母様も、僕たち家族を守ってくれていた人達は皆、全部承知した上で、快く僕を送り出してくれた。
「リュディ、よかったなぁ、ずっとお慕いしていたのだから」
そう僕を抱きしめて送り出してくれたのは父様。
「リュディ、幸せになるのよ」
そんな風に、泣いていらっしゃったのは母様。
「にいたま、いってらっしゃい」
幼いゆえ少しばかり舌っ足らずに、よくわからないまま手を振っていたのは妹で、他の皆からも祝福されて僕はシュネリニアに向けて出立したのだった。
僕は浮かれていた。
本当に。
こんな幸運はない。何せ僕は幼い頃から一心に心から惹かれていた相手の側近くへと、この身を寄せることが出来るのだから。
僕は泣いて泣いて泣いて泣いて。
涙が枯れそうなぐらいに泣き続けた。
勿論、幸せだったからだ。
僕の涙腺は相変わらず大変に弱くて緩みっぱなしで。えぐえぐ泣くばかりの僕を、僕の小さい頃からずっとそばについていてくれている侍女のユセアナは呆れかえって放置した。
いつも通りだった。
「うぅぅ……ルナス様ぁ! う、嬉しい! ぼ、ぼぼぼ、僕、ルナス様のお嫁さんになるの? 本当に? うぅ……ひっく、ん、ゆ、ユセアナぁ……! こ、これは夢かなぁ? 僕、起きながら夢を見ているの……? ねぇ! こ、こんな幸せでいいの……? やばいぃ~~! 楽しみだよぉう、気絶しそぉ……!」
泣きながら大変にテンションの高い僕に、ユセアナからの視線はひたすらに冷たく、何度も何度も溜め息を吐かれたのだけれど、でも僕は知っている。
これでいてユセアナは僕をとても大切に思ってくれているのだということを。そうでもなければ、どうしてシュネリニアにまで着いてきてくれるというのだろう。
サネラ様のお話しからしても、多分シュネリニアでの扱いはよくはないだろう。
テュナコルのしでかしたことを考えるとそれは仕方がないことだと僕は思っているし、正直な所、どうでもよかった。
だって何がどう転んでも、ルナス様の側近くに赴けることは間違いないのだから!
4
あなたにおすすめの小説
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~
水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。
アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。
氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。
「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」
辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。
これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!
兄弟カフェ 〜僕達の関係は誰にも邪魔できない〜
紅夜チャンプル
BL
ある街にイケメン兄弟が経営するお洒落なカフェ「セプタンブル」がある。真面目で優しい兄の碧人(あおと)、明るく爽やかな弟の健人(けんと)。2人は今日も多くの女性客に素敵なひとときを提供する。
ただし‥‥家に帰った2人の本当の姿はお互いを愛し、甘い時間を過ごす兄弟であった。お店では「兄貴」「健人」と呼び合うのに対し、家では「あお兄」「ケン」と呼んでぎゅっと抱き合って眠りにつく。
そんな2人の前に現れたのは、大学生の幸成(ゆきなり)。純粋そうな彼との出会いにより兄弟の関係は‥‥?
捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~
水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。
死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!?
「こんなところで寝られるか!」
極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く!
ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。
すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……?
「……貴様、私を堕落させる気か」
(※いいえ、ただ快適に寝たいだけです)
殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。
捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
【完結】社畜の俺が一途な犬系イケメン大学生に告白された話
日向汐
BL
「好きです」
「…手離せよ」
「いやだ、」
じっと見つめてくる眼力に気圧される。
ただでさえ16時間勤務の後なんだ。勘弁してくれ──。
・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・:
純真天然イケメン大学生(21)× 気怠げ社畜お兄さん(26)
閉店間際のスーパーでの出会いから始まる、
一途でほんわか甘いラブストーリー🥐☕️💕
・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・:
📚 **全5話/9月20日(土)完結!** ✨
短期でサクッと読める完結作です♡
ぜひぜひ
ゆるりとお楽しみください☻*
・───────────・
🧸更新のお知らせや、2人の“舞台裏”の小話🫧
❥❥❥ https://x.com/ushio_hinata_2?s=21
・───────────・
応援していただけると励みになります💪( ¨̮ 💪)
なにとぞ、よしなに♡
・───────────・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる