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第2章・まるで夢のような日々(リュディ視点)
8・世界は輝いている⑧
しおりを挟む夜は控えめに言って凄かった。
僕はルナス様に会える、それだけで泣いてしまって。あと、普段の僕のテンションの高い様子は少々はしたないとユセアナに言われていたので、少しばかりそんな様子を見せないようにと心がけていたら、大変に情けない顔になってしまったのだけれどもそれは仕方がないことだと思う。
近くにルナス様がいる。それだけで胸がいっぱいになって何も言えなくて。何も言えない僕の代わりに、ユセアナがたくさん、僕の代わりにルナス様に伝えてくれた。
ユセアナは僕が生まれる前から近くにいた侍女なので、僕がただ変な顔をして泣いているだけでも、僕がどう思っているのかをだいたいわかってくれるのだ。
僕はいつだって泣くばかりで、あまり上手に自分の気持ちを伝えられないから、父様も母様も僕をどうすればいいのか持てあましていたのだけれど、それを上手く補助してくれたのはユセアナで、今回もそう。
泣いて泣いて泣くばかりで挨拶一つまともに出来ず、どうしようもない僕に対して、お優しいルナス様は、僕を責めたりすることもなく、だけどただひたすらに戸惑っていらっしゃるようだった。
ああ、近くにルナス様がいる! 戸惑ってる顔もかっこいいよぉ! 困り顔も素敵!
心の中が大嵐な僕の様子を悟ったユセアナが、淡々とルナス様に、
「どうぞ、リュディ様をお慰めくださいますよう」
なんて伝えてくれて、あわあわする僕の横に気付けばいつの間にかルナス様が座っていらっしゃった。
僕はソファに座っていて、ルナス様はその隣。
触れるんだか触れないんだか微妙な位置。
でも今までで一番近いんじゃないかって言うぐらいルナス様を身近に感じられて、僕は感動に打ち震えた。
僕の泣き声が大きくなる。ルナス様は戸惑っている。
戸惑ってもかっこいいルナス様。優しい優しいルナス様。
僕はルナス様を困らせたいわけじゃない。
だから泣き止まなきゃ、そう思うのに、思えば思うほど涙があふれて。
どうやって泣き止めばいいのかわからない。否、そんなこと、今まで生きてきて分かったことがない。
僕の涙腺はおかしいんだ。
どうしてこんなに泣いてばかりいるんだろう。
泣きたいわけじゃなくても、いつだって容易く涙があふれた。
「陛下」
僕にいったいどう接すればいいのかわからないのだろう、途方に暮れたようなルナス様へと、ユセアナが促すように呼び掛ける。
「あ、ああ」
ルナス様は、何処か呆然とした様子で相槌を打った。
そして、僕が色々わけもわからずいる間にユセアナは続けて、
「どうぞ、抱きしめて差し上げて下さいませ」
そう、ルナス様へと具体的な促しを告げていた。
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