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第1章
*1-71・転変。および希求⑬
しおりを挟む腹の中を探られるのは気持ち悪いと思うのに、触れられることそのものは嫌ではない。肌と肌を合わせると、遠い昔に幾度も交わした熱が甦ってくるようで、心の何処かで安堵する。
「ティーシャ、すまない、俺はまたっ……」
はぁはぁとルスフォルの息が荒くなっている。
俺のお腹の中を探る指もひどく性急で、余裕がないことがうかがえた。
なのにルスフォルはまだ懸命に自身の衝動を抑えて俺の様子を確かめようとしてきていて。俺はまたしてもそれを遮るように、俺は自分から足を大きく開き、ルスフォルの指を受け入れたその場所を、ぐいぐいとルスフォルの熱へと押し付けるのだ。
まるで自分から催促しているようで、はしたない動きだと思う。でも俺はもう知っている。こうしたらルスフォルはますます余裕をなくし、
「ああっ、くそっ、ティーシャっ!」
じゅぶっ、俺の腹の中から乱暴に指を引き抜くと、僅かばかり位置を調整して、そして。
「ぁああっ!」
ぐぶぶっ、めりっ、襲ってくるのは、体を引き裂かれるかのような痛み。
漂う血の匂いにルスフォルを受け入れている俺の其処が裂けたのがわかる。
強張ったままの体、足りない準備、裂けない方がおかしい、わかっている。
わかっていて俺は痛みの中、もっと更に痛みが増すのも構わず、ルスフォルのへと足を絡めて、自分から彼を引き寄せた。
「ぁっ、ぁあああぁっ、うっ」
「うっ、くっ、てぃー、しゃっ、ぅっ」
ずぞぞっと、ぬめりの足りない内壁を擦られる。痛い。でも、それに安心する。
痛くていい。
ルスフォルは呻き、抗うように腰を引いて、そうしたら俺はもう一度ルスフォルを引き寄せて。
「ぅ、あっ、くっ」
「あぅ、ぁ、ぁあっ……」
出来たばかりの傷口を擦られ、痛くて。だけど俺はそれで構わなくて。
もっと。痛くていい。否、痛い方がいい。だからもっと。
受け入れた入り口だけじゃなくて、お腹の中も押し入れられて苦しくて、気持ち悪くて、悍ましくて。
なのにそんな風、嫌悪を感じている自分に安堵しているのだ。
ルスフォルは初めこそ躊躇う様子を見せてはいても、そのうち堪えきれないとばかり、自分から腰を振り出し、程なくして俺の中へと熱く欲と共に魔力を吐き出したかと思うと、だけどそれだけでは止まらず、すぐに更に腰を振り続け、そして。
「ぁっ、ぁっ、ぁっ、ぁあ、ぅ、ぅうっ……」
「ティーシャ、ティーシャっ、うっ、きもちいぃ、ティーシャっ、ぁあっ」
痛かった。でも、熱かった。
腹の中をガンガン突かれたら苦しくて、どぷどぷと幾度となく注がれる熱は気持ち悪い。でも、知っている熱だ。
腹に満ちる魔力が愛しい。今度こそ。そう思う。でもまだ。辛うじて思いとどまった。
俺のお腹の中はルスフォルでいっぱいで、ルスフォルは長く呆れるほどずっと俺を揺さぶり続けて。
擦られ続けた腹の中もきっと傷ついていて、だって痛くて、入り口も同じ。血の匂いがして、くらくらする。お腹が苦しくて痛い。
「ぁっ、ぁっ、ぁあっ……」
「ティーシャ、ティーシャ、ティーシャ」
ルスフォルの動きに合わせて呻くだけの俺の名をルスフォルが何度も何度も呼び続ける。
それはまるで縋るよう。
ああ、ルスフォル。
俺は痛みに構わずルスフォルを引き寄せ、触れ合った唇。口の中を這うルスフォルの舌。これだけなら少し気持ちよくもあるのだけれど、こんなことぐらいで痛みが紛れたりなんてしない。
だって気持ちいいと思うのと同時、やはり気持ち悪いとも感じているんだ。
どうしてだろう、同じなのに。そのはずなのに。わからない。
でも。
気持ち悪くてよかった。痛くてよかった。むしろそうじゃなくなる方が不安になる。
そのくせもっと更に求めて欲しいだなんて。放さないでいて欲しいだなんて。
ルスフォルはまるで俺の希望に応えるかのように、長く俺を放さないでいてくれて、今夜もまた明け方近くまで行為に耽り続けた。
こんな夜を続けることなんて、どう考えてもよくないことぐらい、俺はわかっていながらも。だけどやめられない。
ルスフォル。
そしてやめないで欲しかった。
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