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第1章
*1-81・限外。よって誹る⑩
しおりを挟むルスフォルを思う。
彼へと向かう気持ち。
好意を抱いている。それは間違いないはずなのだ。
「ティーシャ」
夜、寝室で対峙し、伸ばされた手に身を委ね、抱きこまれていきながら、はじめの頃から考えると随分こちらを窺うようになって来たな、そう思う。
触れられるのは、嫌ではなかった。
だって10年間、ずっと求め続けていた体温だ。
俺はずっとこの手だけを求めていた。それ以外なんていらなかった。
そっと体を離され、視線を合わされる。そこには、はじめの頃はなかった熱があった。
ぞくりと背筋が震える。求められている、それを否が応でも実感する。
『ティーシャ』
聴こえた声は幻。
ルーシー。
呼ぶ代わりに目を閉じると、そっと触れ合った唇は甘くて。
ゆっくりと、口内を探られる。そして違う、そう思った。
ルーシーのくちづけはこうではなかった。否、もしかしたら本当の初めの初めには、ルーシーとのそれもこんな風だったのかもしれない。
ぎこちなくて、躊躇いがちで。おそるおそると言った風、こわごわと俺の舌を追い、歯列を舐めた。
そこには奪うような激しさなんてなく、俺の思考を蕩かせるような快楽もなく。それどころか性感を刺激するような、官能的な気配さえない。ただ、どうすればいいのかわからない。くちづけでさえ、告げられているかのようだった。
しばらくそうして、ルスフォルの思うがままにさせておきながら、様子を見てこちらからも舌を絡めたりなどしてみる。ルスフォルに合わせて、積極的でなどない様子で、ルスフォルと同じぐらいにはぎこちないと思うのだけれど、そんなくちづけでさえルスフォルは昂って、ぐいぐいと熱く硬い腰を押し付けてきた。
興奮している。俺を、欲しいと思っている。
俺の体を暴いて、中に入りたいと。
求められているのは嫌な気分ではない。むしろ嬉しい。
やっぱり物慣れないままのルスフォルの手が、俺の身に纏った夜着を脱がそうとしてくるので、さりげなく手伝って半ば自分から肌を晒していく。
それに同時に触れてくるルスフォルの手は熱い。
ああ、やはり同じ体温。いやではない。触れられて嫌悪感など感じない。
体だってこの時点では、別に強張っているというわけではなかった。
だってルスフォルだ。他の誰でもない、俺が求めてやまない彼。なのに。
「ぅっ……ぁっ、」
ルスフォルの指が、俺の体をなぞって、腰を掠め臀部を這い、その奥の窄まりにまで到達すると、俺は途端に身を固くしてしまう。
ぐっと、知らず体を強張らせてしまって。
ぐちゅ、予め仕込んであった香油の助けも借りて、やっぱりぎこちなく指を沈められると、気持ち悪い。覚えた嫌悪を自覚せずにはいれらなかった。
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