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第1章
1-128・間近。それに向て⑦
しおりを挟む婚姻式は、一国の王の成婚に相応しく、壮麗なものだった。
二度目ではあったが、以前は10年前。
今回王妃になる俺の出自もあり、同程度でとは予め想定されていて。それよりも幾分か豪華になったようだったが、それは参列者を考えると仕方がないことだったと言えるだろう。
なお、ニアディスレ王国の王宮は、何処にも余裕がないというほど、人手不足であり、誰も彼もが忙しく立ち働いていたのだが、実の所、財政的な意味においては全く逼迫していなかった。
否、むしろ貯まりに貯まっているような状態で。ようは金はあれど使う暇がないというような状態だったのである。
なので多少10年前の婚姻式より盛大になったところで、準備の手間が少しばかり増えた程度のこと、それに関しても、ナウラティスからの応援もあり、何も滞ることなく進めることが出来たのだった。
婚姻式当日。
俺は思った以上に緊張などしていなかった。
むしろ婚姻式そのものよりも、その後。これが終われば改めて、ルスフォルと話さなければならないとそちらの方により気を取られていて。俺よりよほど体を強張らせているルスフォルをこそ、不思議に思うほどだった。
もしかしたらルスフォルもまた、俺との話し合いの方にこそ緊張していたのかもしれないけれど、それは俺にはわからない話。
婚姻式の間中、伯父は笑顔だったし、義父は泣いていた。
義父は元々非常によく感情を昂らせる人なので、いつも通りと言えばいつも通りだ。
そんな義父の横で、少しばかりリセデオの国王が居心地悪そうにしていたのが印象に残っている。
当然参席した王太子も、どこか緊張した面持ちだったのはとても微笑ましかった。
一生に一度となるはずの式で、取り立てて何かあったとすればそれぐらい。
他は何もなかった。
本当に。
皆、空々しいほどに祝福してくれていたし、そもそも反対する声など何処にもない。
亡くなった前王妃の喪が明けたばかりのまだ若き国王と、隣国の公爵家子息との婚姻。しかもその公爵家子息は大国の王族の血をも引いているのだ。
政治的な意味でも外交的な意味でも、何処にも何も瑕疵はなく、俺はいっそどうしてだろう。
拭いきれない空虚感から逃れられないばかりだった。
10年前。俺は正しく囲われ者だった。
愛妾でさえない愛人。
国王の我が儘で囲われているだけの存在。
今と同じ王宮に合って、実際に其処に存在していても、ほとんどいない者として扱われているような存在。
それに対して何か思ったことなどない。はずだった。
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