薄明令嬢と呼ばれた私は妹に陥れられましたが幸せです!

瑚珀

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 「フローリア…?入ってもいい?」

グレイスだった
侍医はおろおろとフローリアの様子を伺ったが、優しく微笑み「入れてあげて」と頼んだ

 「フローリア、大丈夫?苦しい?」
 「もう大丈夫よ、神官様が軽くしてくれたの」
 「…治してはくれなかったの?」
 「神様からの“しれん”なのよ、きっとね」
 「…じゃああたしも“しれん”する」
むぅとフローリアの枕元でむくれるグレイス

遊び相手が寝たきりになってしまい、退屈をしていたのだろう
でも、フローリアは嬉しかった
妹であり親友でもある彼女が、自分を心配し同じ苦しみを与えてくれと文句を呟いている

 「だめだよ、グレイス…わたしの代わりにいっぱい遊んで楽しいことするのが、グレイスの“しれん”だよ」
 「んー…わかった!早く治してねお姉ちゃん」
 「うん、がんばる」
早く遊びたいね、美味しい異国のお菓子があるから治ったら食べようねとフローリアが眠るまで話し続けていたグレイス

仲の良い双子令嬢だった
病気が発覚してからも10年間、あまり外出できないフローリアを支えていたグレイス
関係が明らかに変わってしまったのは、フローリアにが舞い込んできた時だろう…


表沙汰では、フローリアはただ器官系が弱く
重いモノを運ぶことや激しい運動ができない病弱な令嬢とだけ広まっている
それを除けば、見た目も美しく聡明でもある為、縁談があっても不思議ではなかった

問題は…相手だった



お相手はフローリアやグレイスの1歳年上
現皇妃の母方の家系であるスティール公爵家
現当主の息子は、剣の才を認められ数々の功績をよわい16という若さで積み上げ、
皇家直属の騎士団副団長にわずか18歳で就任し、今や団長と肩を並べるほどの実力持ちと言われている
太陽のように鮮やかな橙色の髪はくせっ毛で、目は切れ長だが冷たいような印象にならない
笑うとえくぼがあり、愛嬌溢れる人…

リアム・スティール子公爵




 「御機嫌よう、フローリア様」
 「御機嫌よう…スティール子公爵様」

両家の縁談がまとまり、初めて本人同士の顔合わせ

噂で聞いていたよりも整った容姿のリアムに思わず息を飲む
 「お身体は宜しいですか?」
 「はい、今日は暖かく風もないので」
真っ直ぐにこちらを見つめ明らかに好意を映した熱視線に身体が強ばる

 「アカデミーで、貴女の噂を耳にしました。社交界に1、2回しか姿を現さなかったがとても美しく気品溢れる令嬢で、まるで妖精のようだと…今日初めてお会いしましたが、その通りでしたね」
 「そんな…」
生まれて初めて男性からこんなにも直球で、こそばゆい台詞セリフを言われたフローリアは顔を赤らめる


その後も2人は、騎士団の話や季節の話、最近の町での流行りものの話で盛り上がった

仲睦まじい初々しい恋人同士の空間




そんな2人の姿を邸宅の窓から盗み見ていたのが、


グレイスだった
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