2 / 10
2
しおりを挟む「フローリア…?入ってもいい?」
グレイスだった
侍医はおろおろとフローリアの様子を伺ったが、優しく微笑み「入れてあげて」と頼んだ
「フローリア、大丈夫?苦しい?」
「もう大丈夫よ、神官様が軽くしてくれたの」
「…治してはくれなかったの?」
「神様からの“しれん”なのよ、きっとね」
「…じゃああたしも“しれん”する」
むぅとフローリアの枕元でむくれるグレイス
遊び相手が寝たきりになってしまい、退屈をしていたのだろう
でも、フローリアは嬉しかった
妹であり親友でもある彼女が、自分を心配し同じ苦しみを与えてくれと文句を呟いている
「だめだよ、グレイス…わたしの代わりにいっぱい遊んで楽しいことするのが、グレイスの“しれん”だよ」
「んー…わかった!早く治してねお姉ちゃん」
「うん、がんばる」
早く遊びたいね、美味しい異国のお菓子があるから治ったら食べようねとフローリアが眠るまで話し続けていたグレイス
仲の良い双子令嬢だった
病気が発覚してからも10年間、あまり外出できないフローリアを支えていたグレイス
関係が明らかに変わってしまったのは、フローリアに縁談が舞い込んできた時だろう…
表沙汰では、フローリアはただ器官系が弱く
重いモノを運ぶことや激しい運動ができない病弱な令嬢とだけ広まっている
それを除けば、見た目も美しく聡明でもある為、縁談があっても不思議ではなかった
問題は…相手だった
お相手はフローリアやグレイスの1歳年上
現皇妃の母方の家系であるスティール公爵家
現当主の息子は、剣の才を認められ数々の功績を齢16という若さで積み上げ、
皇家直属の騎士団副団長にわずか18歳で就任し、今や団長と肩を並べるほどの実力持ちと言われている
太陽のように鮮やかな橙色の髪はくせっ毛で、目は切れ長だが冷たいような印象にならない
笑うとえくぼがあり、愛嬌溢れる人…
リアム・スティール子公爵
「御機嫌よう、フローリア様」
「御機嫌よう…スティール子公爵様」
両家の縁談がまとまり、初めて本人同士の顔合わせ
噂で聞いていたよりも整った容姿のリアムに思わず息を飲む
「お身体は宜しいですか?」
「はい、今日は暖かく風もないので」
真っ直ぐにこちらを見つめ明らかに好意を映した熱視線に身体が強ばる
「アカデミーで、貴女の噂を耳にしました。社交界に1、2回しか姿を現さなかったがとても美しく気品溢れる令嬢で、まるで妖精のようだと…今日初めてお会いしましたが、その通りでしたね」
「そんな…」
生まれて初めて男性からこんなにも直球で、こそばゆい台詞を言われたフローリアは顔を赤らめる
その後も2人は、騎士団の話や季節の話、最近の町での流行りものの話で盛り上がった
仲睦まじい初々しい恋人同士の空間
そんな2人の姿を邸宅の窓から盗み見ていたのが、
グレイスだった
0
あなたにおすすめの小説
今、目の前で娘が婚約破棄されていますが、夫が盛大にブチ切れているようです
シアノ
恋愛
「アンナレーナ・エリアルト公爵令嬢、僕は君との婚約を破棄する!」
卒業パーティーで王太子ソルタンからそう告げられたのは──わたくしの娘!?
娘のアンナレーナはとてもいい子で、婚約破棄されるような非などないはずだ。
しかし、ソルタンの意味ありげな視線が、何故かわたくしに向けられていて……。
婚約破棄されている令嬢のお母様視点。
サクッと読める短編です。細かいことは気にしない人向け。
過激なざまぁ描写はありません。因果応報レベルです。
毒味役の私がうっかり皇帝陛下の『呪い』を解いてしまった結果、異常な執着(物理)で迫られています
白桃
恋愛
「触れるな」――それが冷酷と噂される皇帝レオルの絶対の掟。
呪いにより誰にも触れられない孤独な彼に仕える毒味役のアリアは、ある日うっかりその呪いを解いてしまう。
初めて人の温もりを知った皇帝は、アリアに異常な執着を見せ始める。
「私のそばから離れるな」――物理的な距離感ゼロの溺愛(?)に戸惑うアリア。しかし、孤独な皇帝の心に触れるうち、二人の関係は思わぬ方向へ…? 呪いが繋いだ、凸凹主従(?)ラブファンタジー!
妹が私の婚約者を奪った癖に、返したいと言ってきたので断った
ルイス
恋愛
伯爵令嬢のファラ・イグリオは19歳の誕生日に侯爵との婚約が決定した。
昔からひたむきに続けていた貴族令嬢としての努力が報われた感じだ。
しかし突然、妹のシェリーによって奪われてしまう。
両親もシェリーを優先する始末で、ファラの婚約は解消されてしまった。
「お前はお姉さんなのだから、我慢できるだろう? お前なら他にも良い相手がきっと見つかるさ」
父親からの無常な一言にファラは愕然としてしまう。彼女は幼少の頃から自分の願いが聞き届けられた
ことなど1つもなかった。努力はきっと報われる……そう信じて頑張って来たが、今回の件で心が折れそうになっていた。
だが、ファラの努力を知っていた幼馴染の公爵令息に助けられることになる。妹のシェリーは侯爵との婚約が思っていたのと違うということで、返したいと言って来るが……はあ? もう遅いわよ。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】王女と駆け落ちした元旦那が二年後に帰ってきた〜謝罪すると思いきや、聖女になったお前と僕らの赤ん坊を育てたい?こんなに馬鹿だったかしら
冬月光輝
恋愛
侯爵家の令嬢、エリスの夫であるロバートは伯爵家の長男にして、デルバニア王国の第二王女アイリーンの幼馴染だった。
アイリーンは隣国の王子であるアルフォンスと婚約しているが、婚姻の儀式の当日にロバートと共に行方を眩ませてしまう。
国際規模の婚約破棄事件の裏で失意に沈むエリスだったが、同じ境遇のアルフォンスとお互いに励まし合い、元々魔法の素養があったので環境を変えようと修行をして聖女となり、王国でも重宝される存在となった。
ロバートたちが蒸発して二年後のある日、突然エリスの前に元夫が現れる。
エリスは激怒して謝罪を求めたが、彼は「アイリーンと自分の赤子を三人で育てよう」と斜め上のことを言い出した。
【完結】『妹の結婚の邪魔になる』と家族に殺されかけた妖精の愛し子の令嬢は、森の奥で引きこもり魔術師と出会いました。
夏灯みかん
恋愛
メリルはアジュール王国侯爵家の長女。幼いころから妖精の声が聞こえるということで、家族から気味悪がられ、屋敷から出ずにひっそりと暮らしていた。しかし、花の妖精の異名を持つ美しい妹アネッサが王太子と婚約したことで、両親はメリルを一族の恥と思い、人知れず殺そうとした。
妖精たちの助けで屋敷を出たメリルは、時間の止まったような不思議な森の奥の一軒家で暮らす魔術師のアルヴィンと出会い、一緒に暮らすことになった。
初恋の人と再会したら、妹の取り巻きになっていました
山科ひさき
恋愛
物心ついた頃から美しい双子の妹の陰に隠れ、実の両親にすら愛されることのなかったエミリー。彼女は妹のみの誕生日会を開いている最中の家から抜け出し、その先で出会った少年に恋をする。
だが再会した彼は美しい妹の言葉を信じ、エミリーを「妹を執拗にいじめる最低な姉」だと思い込んでいた。
なろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる