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おはよう☆メモリー
しおりを挟む閉め忘れたカーテンからこぼれる朝日で俺は目を覚ます。
自分の部屋のベットで知らないうちに眠っていたらしい。
『は、ハクション!』
俺は身体を起こすと大きなくしゃみをして鼻をズズッと啜る。ブルッと寒気がした。それもそのはず、俺は全裸に毛布1枚で眠ってしまっていたらしい。
あーなんか頭がいたい。昨日なんで……そうだ。シャワー浴びて揚がろうとしたら優那と鉢合わせしてそれで……
優那とのキスを思い出してしまって俺は赤面した。
でも、そのあとなんで浴室にいた俺はどうやって自分の部屋に戻ってきたんだっけ?うーん…そこで俺はある答えにたどり着いた。
夢だ!
あれは夢だったんだ!
俺も疲れていたんだな……現実と夢が分からなくなるなんてさ。
でも、夢で安心した。俺はおきあがろうと毛布をめくった。
『うーん////』
俺は硬直した。
毛布を捲ると俺の隣に同じく裸の桜木優那、いろいろわけあって急遽俺の弟になった、世紀の美少年がスースーと寝息をたてて無防備に眠っていた。
俺は何も見ていないと現実逃避からかソッとまた毛布を優那に被せた。
ーこの状況は……?ー
なんで、俺の部屋に俺と同じベットで寝てるの?しかもお互い裸で?!
思い出せない!でも思い出したくない気持ちもする、え、これって、これってさ。俺、人生における大失敗しちゃったかんじ?
俺は全身から血の気が引いた。
モヤモヤしてるとゴソゴソと毛布が動いてヒョコッと毛布から優那が目をこすりながら顔を出した。
『おはよう、学……』
『う……うわああああああああ!!!』
俺は絶叫をあげてベットから頭から転げおちた。
『大丈夫?学、頭打った?』
優那が毛布にくるまりながら俺を心配して覗いてきた。
『ぜ、全然、全然全然全然へーき!へーきだよ、うん!』
俺はあからさまに動揺してるの重々承知してるけど、とにかく平常心になろうとひとまず、制服を着る。今真っ裸だし、学校、学校行かなきゃ!
『学、どうして制服なんか着るの?』
『はい?!』
『制服なんて必要じゃないじゃん……脱ごう?』
スクっと優那が毛布にくるまってこっちに近づいてきた。は?何、制服いらないとか、脱ごうとか、何?!何ですか?!
『お、お、俺!先に学校行くから!』
俺は机上に広げていた教材をバタバタとまとめてバックに積め逃げるように慌てて部屋を飛び出した。
勢い余ってドアを開けて飛び出したせいで壁に顔面突っ込むように転んだ。
『学、どうした?そんなに慌てて』
父さんが物音を聞いてやって来た。
『学、なんで制服なんて着ているんだ?』
俺はそれを聞いてガバッと起きた。
『父さんまで俺に裸になれっていうのか?!ひどい!信じてたのに?!』
『はあ?』
『父さんのばかーー!』
俺は泣きながら玄関を飛び出したのであった。
『学……今日は、日曜日だぞ?』
父さんの言葉は既に飛び出した俺に届くはずがなかった。
俺は閉じられた校門前で愕然とし通学カバンをドサッと落とした。そうだ……今日は日曜日だっけ……さあ。これからどうしよう、家に帰る?
脳内でポヤンと裸に毛布くるまっていた優那の姿を思い出し赤くなる。
ブンブンと首を横にふって、帰らずこのまま図書館にいこうと決意するのであった。
ひとまず、父さんに連絡しておこう。
俺はスマホを出して父さんに夕方まで図書館にいると連絡してからその場所に向かうのであった。
俺の最寄りにしてる都立図書館は土日祝もやっており、テスト期間などはここにこもって1日中勉強したり、元々読書は好きだからフラッと本を読みに来ることがある。
とても静かで居心地がいいし、パソコンも使える。
受付の人に姿をみられてビビられるのはいつものことだからもう慣れたけど……何読もうかな?と、俺は図書館に着くとズラリと並べてある本棚を見て回った。
やっぱり、あのコーナーかな
俺はその足で向かったのは児童書、絵本コーナーを抜けてティーンズコーナーという小中高生向けの小説のあるところで、俺は恋愛小説『新宿ラブストーリー』の分厚い上巻を手にとった。
この物語の冒頭でも出てきた新宿ラブストーリーというのは今10代~20代で爆発的な大ヒットをしている作品で、人気俳優、女優出演で映画やドラマにもなり
鬱蒼とした新宿の夜の世界で純愛を貫いたを涙無くしては見れない作品でかくいう俺も映画も見てドラマは最終回以外全てみた。なぜ肝心の最終回だけ見れなかったかというとそれはこの作品の冒頭に戻ると明らかになる。
俺は読みはじめた。
そして中盤辺りに差し掛かると恋愛詳説ならではのベットシーンに差し掛かる。
ーだ、だめタカシー
ーもう、止められないー
ーが、学、ダメ……ー
俺はパタンと小説を閉じた。
今日はダメだ。今日は恋愛小説を読んではいけない日だ。
優那がかぶる。
いや、まだ確定するのは早いよ俺。もしかしたらただ同じベットに裸で寝てただけかもしれないし……
なんで裸なのかは、今こじつけの理由すら浮かばないけど……ダメだ!考えたらきりがない、違う本を読もう。
俺は立ち上がって新書コーナーに向かってまず立ち読みで数冊パラパラめくった。これといってピンと来るものがないがひとまず新しくでた推理小説を上中下巻手にとって席に座り読み始めた
上巻の終わりくらいに差し掛かったときだ。フワフワと1匹のアゲハ蝶が俺が開いたページにヒラリと留まった。
図書館から出ると大きな花壇があり、色とりどりの1面埋め尽くすパンジーが植えて満開に咲いている。そんな花畑から迷い混んでしまったのかな?
俺はそっと片手の人差し指をたててそのアゲハ蝶の前に置いてみるとアゲハ蝶はゆっくり俺の人差し指に移動して羽を休めた。
図書館の中じゃこいつ死んじゃうよ、逃がしてやるからしばらく留まったままでいてくれよな。
俺はそっと本を静かに閉じて指先にアゲハ蝶をのせたまま逃げないようにそーっと静かに出口に向かった。
でもアゲハ蝶はずっと俺の指先に留まったまま外に逃がしてやるまで逃げずにいたのだった。
外の花壇には大きな花時計がある、なんだかんだで時間は昼を向かえようとしていた。
小腹もすいてきたし、そうだな。ここから近い松屋の牛丼でも食べに行くかな。
俺はその足で近くの松屋に向かうのだった。
外に放たれたアゲハ蝶は高く高く翔んで街が見下ろせるとあるビルの屋上まで翔んできた。
すると貯水タンクに足を組んで座り街を見下ろすひとりの少年がいた。
齢はおそらく15才~17才くらい、黒のエナメルのヘソがでたボンテージコルセットと短い黒のホットパンツ
編み上げのヒールの高い黒のロングブーツを履き右のブーツとホットパンツの露になってる白くもちもちとした太ももには数字の5と書かれている、手袋は指先が切れており黒皮の手袋をしていた。
スラッと細身で身長は165程度で成人男性にして小柄ではある。しかし見張るのはその髪と目の色と頭に生えた一本の角、そして背中に生えたアゲハ蝶のような羽根だ。
髪は腰まで長い歪みが一切ない絹糸のようなストレートロングの濃い紫
額にはユニコーンのような一本の角。
真っ赤な血のような瞳、そして背中にはアゲハ蝶の大きな羽。
怪しくも美しく、妖艶という言葉が似合う中性の少年がそこに座っていた。
少年は1匹のその図書館から翔んできたアゲハ蝶にそっと指を差し出せばそっとその蝶はその指先に留まった。妖艶なその青年はまるでその蝶と会話するように見つめる、しばらくするとフフッと小さく笑いその留まった蝶を空へ帰した。
そして少年は立ち上がりその長い紫の髪を風に揺らして口を開いた。
『まさか末っ子のセブンを見つけようとしたら、失踪した史上最悪の生物戦闘兵器、不吉のシックスの方が見つかるなんてセブンよりレアじゃん!今日の僕はツイてるよ!』
背中に生えたアゲハ蝶の羽を広げてその少年は嬉々として空に飛び立った。
『シックスを連れ帰ったら兄様たち皆、きっと僕の事認めてくれる!、スリー兄様やフォー兄様にもバカにされなくなるし、セカンド兄様もきっと僕を見てくれる、そしてファースト兄様からは沢山ほめてもらって、そしてゼロ兄様からは僕の場所を!僕の居場所を……!他の兄弟に先越されないように早く行かなきゃ!』
すると翔びながら自分の親指をガリッと噛むと親指からその少年の噛んだ指から血が流れた。それを空中でパッと血を撒くと一気に各種の蝶をはじめ蛾などがみるみる集まり大群となった。
『皆、もう一度僕に力を貸してくれる?この血と同じ匂いのするヤツの場所を探してほしいんだ』
少年がそういえば大群となった蝶や蛾たちは町に一斉に散るのであった。
一方、優那は学の部屋ではなく自身の用意された部屋でベットに座り襟元が大きく開いた緩い白Tシャツは薄手で英字が書いてあり、なかにはわざと見せる蛍光色の黄色のタンクトップ。
ジーンズ生地の短いハーフパンツを履いて、優那は机に座り寂しげな表情で写真を眺めていた。その写真は優那と隣にいるのが面影が学に似ている幼少の二人がひまわり畑でニコニコと笑っている写真。
優那は深いため息をついて机の引き出しにそれを静かにしまう、そのときだ。
カツカツ
ガラスの窓に何かがぶつかる音。優那は振り向いてその窓をみると1匹の蝶が窓の外でパタパタと翔んでいた。
しばらくみているともう1匹、2匹と増えてそこで優那はハッとしてガタンと立ち上がり血相を変えて部屋を飛び出した。
『龍児さん!龍児さん!』
優那は廊下に出るなり声をあげ、龍児はその声を聞いて自身の書斎からゆっくりでてきた。
『どうしたんだ優那君?』
龍児が聞くと優那は焦った声で答える。
『学、学はどこなの?!』
『学?あー、さっきラインで私立図書館に夕方までいるって』
優那はそれを聞くなりバッと玄関に一旦向かい学の趣味で置いてあったローラースケートを履いてまた廊下を土足で走り自分の部屋に戻る。
龍児は突然の行動に慌てて優那君?っと追いかけると優那は窓の外の蝶を見ながら静かに言うのであった。
『龍児さん、あいつらがもうこの町に来てるよ』
龍児はその言葉の意味をすぐに察知し『まさか…』と言葉を無くす。
『学に、今すぐ連絡とって外に出るなと言って、今行くから』
優那はガラっと窓を開け、ローラースケートを履いた片足を窓のサッシにあげた。
『ま、待ってくれ優那君!ここは8階だ!』
『そうですね、でも龍児さんも分かってるでしょう?僕は……』
ー人間じゃないー
優那は8階のマンションから飛び降りた。蝶が優那を追いかけ一緒に落ちるように飛び交う。
『……っウザいんだよ!』
優那は空中で付いてくる蝶を睨み冷たい低い声でそう言いはなったと同時に旋回し蝶を凪ぎ払った。そのまま優那は地面にまっ逆さまに落ちるが地面にもうすぐ衝突するという瞬間、フワリと体制を戻しソッと足を地面につけ何事もなかったように、まるで地面をジャンプしただけのように無事着地するのであった。
そのまま地面につくなり間髪入れずにギュンと踏み出すと優那のその速度は走る車を抜かすほどのローラースケートを履いていたとしても普通の人間で出せるはずのない速度であった。
松屋で腹ごしらえを済ませ、俺は再び本の続きを読もうと図書館に向かった。ちょうど図書館の前の花壇にさしかかったときポケット入れていたスマホがマナーモードで揺れるのが分かって電話の相手をみると父さんからだった。
俺は電話に出る。
『はい、もしもし』
『学!今どこなんだ?!図書館の中か?』
『いや外だけど……どっちみち電話きたら外ででなきゃならないし、どうしたの?』
父さんの慌てた様子に俺はスマホに耳をあてながら首を傾げた。
『今すぐ建物の中に入りなさい!電話もすぐに切る、理由はあとで説明するから!』
『え、父さん?』
『早くはいっ……ザザザザ…ツーツーツー…』
電話で話している途中電波が乱れノイズが入りプツンと途切れた。おりかえすが電波が入らない。
こんな町中で田舎じゃあるまいし電波入らないって?
その時、電波搭や電線に沢山の蝶が群がりこの辺で電波障害を引き起こしているなんて夢にも思っていなかった。
一体なんだったのだろう?俺は疑問を抱えたままスマホをポケットにしまい図書館に入ろうとした。その時だ。
『きゃあああ!』
悲鳴が聞こえて思わずバッと振り向く。
『しっかりして!どうしたの!』
男性が地面に倒れ女性が揺さぶって声をかけていた。俺は大丈夫ですか?!ととっさに駆け寄った。
『蝶が目の前を通ったらいきなり主人が倒れて……』
『蝶?』
すると1匹の蝶が目の前をフワリと舞い降りるように通りすぎる。すると紫色の粉が羽ばたくと回り降り注ぎ俺はそれを思い切り吸い込んでしまって大きくむせる。するとドサッと音がしたと思えばさっきまで話していた女性も男性に折り重なるように倒れた。
俺は慌てて『大丈夫ですか!どうしました!』と声をかけてそしてハッとする。倒れた男女共々グーグーと深い眠りについていたのだ。なんで?と思った瞬間回りからバタ、バタ、と倒れる音が聞こえて立ち上がり見渡せばそこに散歩に来ていた人や犬、空を翔んでいた雀まで地面に倒れ深い眠りについている。
な、なんだ?!え、通報、通報しなきゃ!あ、だめだ!スマホじゃ今なぜか電波が入らないんだ!
俺は図書館に助けを呼び向かおうとしたときだ。
『久しぶりだねシックス、また会えるなんて思わなかったよ!』
俺は頭上から声が聞こえて見上げるとそこには髪は腰まで長い歪みが一切ない絹糸のようなストレートロングの濃い紫
額にはユニコーンのような一本の角。
真っ赤な血のような瞳、そして背中にはアゲハ蝶の大きな羽のはえた少年。
黒のエナメルのヘソがでたボンテージコルセットと短い黒のホットパンツ
編み上げのヒールの高い黒のロングブーツを履き右のブーツとホットパンツの露になってる白くもちもちとした太ももには数字の5と書かれている、手袋は指先が切れており黒皮の手袋をしている。
スラッと細身で身長は165程度で成人男性にして小柄ではある。しかし見張るのはその髪と目の色と頭に生えた一本の角、そして背中に生えたアゲハ蝶のような羽根だ。
怪しくも美しく、妖艶という言葉が似合う中性の年端変わらない少年がその大きなアゲハ蝶の羽を羽ばたかせ宙に立って腕を組んで俺を見下ろしていた。
『さすがは8人の被験体の中で最も屈強で戦闘殺傷能力に長けたキメラ成功1号ではあるね。こんな毒燐粉じゃ眠らないか』
俺はびっくりしてうわあああ!と声をあげて尻餅をついた。太ももに5とかかれた少年は不思議そうに首を傾げた。
『え、シックス?もしかしてビビってる?嘘でしょ、あのシックスが?というか、確かにその目付きと牙はシックスそのものなんだけど……本当にシックス?』
宙に浮くその5とかかれた少年の回りに無数の蝶が集まってくる。な、なんだこれ……何が起きたかよくわからない……そうか!
『な、何かのドッキリのテレビ番組ですか?』
俺は思わずその5と書かれたアゲハ蝶の羽で宙に浮いてる少年に恐る恐る聞いた。
『シックス、もしかして覚えてないの?』
シックス?って数字の6ってことかな?今年で16歳ではあるけどあとは誕生日に6が入ってるわけでも好きな数字が6なわけでも出席番号に6がついてるわけでもない。
『シックスって…?俺のことを言ってます?それともテレビ番組の名前ですか?』
その5と書かれた少年に聞くと少年はスっとこっちに手をのばした思った途端鋭利な爪がシュッと延びてドムッっと俺の脇スレスレの地面をえぐった。
俺は『ヒイッ!』と恐怖で身を縮ませた。爪はひゅるひゅると元に戻っていく。
『やっぱりビビってる!驚いたな、あの獰猛な不吉のシックスなんだからきっと戦闘になるのは確実だと思って毒燐粉とか色々準備してやってきたのに、記憶無くしてこんなに弱くなっちゃってさ、でもそれならそれでいいや!むやみに戦う手間省けたよ』
その少年はヒュンと俺の前に降り立った。
『一緒に着いてきて!兄様達皆待ってるよ!皆ずーっとシックスに会いたかったんだ!』
無邪気にまるで子供のように目をくりくりさせて言ってくる。
だけど全く意味が分からない、なんのことか全く意味が何一つ分からないどころかその太ももに5とかかれた少年が話すたびに脳内に疑問がドンドン増えるだけだ。
『ねえ……シックス、一緒におうちに帰るよ?』
バサッっとその少年は俺の目の前で羽をはためかせるとさっきとは違う、なにか香水のようないい香りがする。なんだ……勝手に体が痺れて……まるで脳が溶けていくような、恍惚になってしまいそうな……
『さっきの毒燐粉の濃度と桁にならない濃さ…さすがのシックスもそろそろじゃない?眠ってもいいんだよ?』
体の力が抜けていく、瞼が勝手におりて今にも閉じてしまいそうだ。
これ眠ってしまったらダメなやつな気がする……その粉を蒔く少年の口角が上がるのが見えた、そのときだ。
『ファイブ!!学から離れろ!!』
その声が優那だと気づいた時には優那がローラースケートでシャッと俺とそのファイブと呼んだ相手の間に割って入り、そのファイブ目掛けて回し蹴りを入れようとする。
ファイブと呼ばれた少年は慌てて後方にそれを回避しバサッと再び高く飛翔するのであった。
まだ体が痺れて言うことを効かない。俺は朦朧としてその二人の険悪な雰囲気を見ていることしか出来なかった。
『セブン!!やっぱりゼロ兄様の予知能力はすごいや!本当にこの町にセブンがいるだなんて!セブン、ねえ、セブンも一緒に帰ろうよ!今謝って戻れば殺されないでまた昔のように一緒に入れるよ!』
ファイブが地上で睨み付ける優那に子供が母親に一緒に帰ろうと言うような口調でそういった。
『帰らないよ、イギリスでも言ったじゃないか。』
優那は冷ややかにファイブを睨み見上げてそう言った。
『また、そんな冷たいこというんだから……それとも、本当に人間になれるとまだ夢でもみてる?これだから末っ子は困るなー。』
『人間になろうと努力もしてない奴に言われたくないよ。変わろうと努力もしないそれじゃ本当に兄さん達は失敗作のままだ。』
優那の失敗作というフレーズにファイブからスンと笑みが消えた。
『成功作のお前には僕ら、兄達の苦しみが分からないだろうな。人間の姿でも獣の姿でも無く中途半端に勝手に作られて、その上化け物呼ばわりされたあげくの果てには勝手に僕らを殺そうとした!そんな蛮族ども許せる訳がないだろう?!』
ファイブが声を荒げる。すると静かに優那は答えた。
『成功作、成功作って僕の何が成功作?見た目が、体内構造が人間と同じに作られたから成功作の僕は幸せだと思ってる?何も努力もしないで笑ってたとでも思ってる?兄さん達の気持ちは分かるよ。でも仕方ないじゃん、そういう運命で僕ら兄弟は生まれてしまったのだから、悲観的なるのも憤ることも分かるよ、でもそういう環境で生まれてきてしまったんだ。』
優那はスッと拳を構えた。
『変わりたいなら必死に足掻いて死にものぐるいでも乗り越えて、復讐なんてバカなことじゃなく運命を乗り越えて強くなる努力しろよ!復讐なんてのそれじゃかえって僕達は失敗作と認めてるようなものじゃないか!本当の復讐は、蔑んだ人間達に幸せな姿を見せることが本当の復讐になるんじゃないのか?!』
『うるさい!成功作に分かってたまるか!』
『さっきから成功成功成功うざいんだよ!僕が計算で作られた人形みたいなこんな顔、好きで生きてると思ってんのか!!この、バカ兄貴!!』
『もういい!セブン、やっぱりお前はミンチにして僕たちの一部になれ!』
ファイブのその声とともにブワッと蝶の大群がまるで渦となって優那と俺目掛けて襲いかかった。優那は自分より数倍はある俺の体を持ち上げて踏み出すとそれはワイヤーアクション並みの跳躍力で2、3歩、図書館の壁をかけあがり俺を図書館の屋上に俺を下ろすと優那は俺にニッコリ微笑んでからタンっと飛び降りその蝶の群れに突っ込んでいった。
本当は止めたかったけど、体も痺れて声も出なかった。
バサバサと蝶が優那に群がり優那の姿が蝶に埋め尽くされた時だ。内側から竜巻が起きたように巻いた渦の風が起きて蝶達は凪ぎ払われる。
それは優那が高速で旋回し巻き起こした風だった。凪ぎ払い、視界が開かれると優那はダンっと踏み出し宙に飛び上がり宙にいるファイブに殴りかかった。
ファイブはその飛んできた拳をよけて優那の腕を掴んだ。優那は舌打ちしてすかさず腰を捻って蹴りを入れようとする。しかし空中では力がうまく入らずもう片方の手で静止され地面にそのまま優那は振り落とされる。
地面に叩きつけられ寸前で体制を立て直し着地すると衝撃波で花壇の花びらがブワッと舞う。
『パンチと蹴りばっかりで人間気取りかよ!本性見せたらどうなんだよセブン!』
ファイブは急降下してジャキンと鋭利な爪が伸びると優那に斬りかかった。
『ファイブごときに本気なんて出さないよ』
優那はジャキンと伸びたその爪を後ろに跳んで回避した。
『弟の癖に生意気ーー!』
ファイブは優那に続け様に斬りかかるがまるで曲芸のような軽い身のこなしで優那はそれを避けていく。
俺は屋上でそれを見ながら必死にフェンスを手繰ってフラッと立ち上がった。ぐらぐらする頭の中で今一度スマホを見るがやはり圏外。
屋上から回りを見渡すが、蝶の燐粉なのか辺りが霧がかかったように立ち込めて空気が淀んで、外にいた人たちは優那を除いて皆眠っている。
俺はフラフラと室内入り階段を降りると建物のなかは暗く停電しており蝶が飛んでいて建物の中の人たちも倒れて既に眠っていた。
勝手に入るのは悪いことだと分かってるけど俺は受付まで行くと固定電話があってそれで警察に電話を試みるが固定電話も繋がらなかった。
一体何が起きたのだろう?まだ状況が読み込めない、ただ分かることはとてつもなく危険な状況にはかわりない。
ドーン!バリン!!
建物が揺れた。上の階からだ。行ったら危ないことは分かる、でももしそれで優那が危ない目に合っていたら?初対面初日から色々あったけど…そんなことと人命はまた別の話だ。
俺なんかが向かって何も出来ないかもしれないけど、でも見過ごすことなんてやっぱりできないよ……俺はフラフラしながら降りてきた階段を壁づたいに上がりそっと覗く。
『あああああ!!』
ファイブが声をあげ両手の延びた鋭い爪で優那に襲いかかるのが見えた。優那はどれもスレスレでそれを避けてどちらかといったら優那のほうが防戦一方だけど、その避ける姿はとても涼しげで余裕があるのは優那の方だ。
優那が屈んで避けたその瞬間、優那の後ろにあった本棚が一刀両断されて崩れ落ち、あの爪をまともにくらったらただじゃすまない。でも、あの二人の間に入って止めるとか無理だ。
俺は来たものの案の定何もできなく壁から見ているだけだった。
『セブン、からかってるの?!本気出せよ!』
シュンシュンと幾度となく爪の攻撃が飛んでくる。優那は涼しげにかわすだけで何も言わない。ファイブはその態度が気にくわなかった。
『成功作で優れてるから失敗作の俺に本気出さなくて勝てるとでも?舐めるな!』
ザンッとファイブが手を振り下ろすと優那は跳ねて天井をローラースケートで逆さになって滑走し再び宙で回ると床にタンと着地した。
『なんで本気出さなきゃならないの?』
優那はダンっと踏み出しファイブに素手で攻撃を仕掛けた。パシッパシッっと手合わせのように互いの拳や蹴りを高速で組み手しそれが早くて目が追い付かない。巻き起こされる風圧で一刀両断された本棚にあった本のページが舞い上がりどっちも力の差はなく五分五分とはこの事だ。
『セブンも兄様たちも皆僕をバカにしやがって!』
ファイブは顔を紅潮させ優那を睨んだ。熱くなるファイブ、涼しげな優那、どちらも対称的である。
ファイブは爪を光らせ優那に再び斬りかかりながら叫ぶように言う。
『そもそもシックスもセブンも人間にあんな仕打ちをされたのに何で人間と一緒になんか住めるの?!それで僕がどれだけ騙されて利用されて、兄様たちから信用されなくなって、仲間だと思ってたシックスとセブンは僕だけおいて逃げ出すし!スリー兄様、フォー兄様のイジメは大人になるにつれてエスカレートして、シックスもセブンもいなくて1人ぼっちでずっと寂しかったよ!!なんで一緒に帰ってくれないんだよ!!』
ファイブは斬りかかりながら感極まって涙が溢れてきた。それを見た優那は爪を避けながら『ファイブ……』と眉をひそめた。
『もういい加減に本気出せよセブン!!』
優那にファイブの溢した涙が散って頬に触れた。そのファイブの悲しみが優那に通じたとき優那は目を閉じて決心した。
ドスっ
それは一瞬だった。
高速の鋭利な爪、それを華麗に、しかも余裕に避けていた優那が足を止めて両腕を広げ飛び込んできたファイブを抱きしめ、肩を5本の指から伸びた爪が貫通し優那の鮮血が飛び散る。
『優那さん!!』
俺は思わず声をあげてしまった。
ファイブはその優那の行動に目を丸くして止まった。
『ごめんね、ごめんねファイブ。ひとりぼっちにさせてごめんね。あのとき、小さい僕らじゃ大人に従うことしかできなくて、でも泣きわめいてでもファイブも連れ出していけばよかったよ……本気出すわけないじゃん……だって僕ら兄弟なんだよ?』
優那はファイブをさらに抱きしめた。ファイブは思わず爪をしまい引き抜くとビシャビシャと優那の血が床に飛び散り優那の白かったシャツも真っ赤に染まる。
『違う……』
ファイブがボソッと呟く。
『違う、違う、違う、違う、こんなんじゃない、こんなんじゃないよ……』
ファイブからボロボロと大粒の涙が溢れ出す。ファイブはしゃくりあげながら優那の腕の中で泣きながら言葉を続ける。
『セブン、僕はイジメてくる兄様達に認めてもらいたくて、だから兄様達の中に、居場所がほしくて、すがって、セブンとシックスを連れて帰れば認めてもらえるんじゃないかと思って、それにまたセブンとシックスとも一緒に暮らせるかなって、でも、でも、こんなの、こんなの、違うよ……全然、じぇんじぇちがう~』
まるで子供のように泣きじゃくり言葉が一瞬幼稚になる。優那は鈍い痛みと次第に熱を帯びてくる貫かれた肩で一瞬、うっと眉をひそめるがその肩を庇いながらそんなファイブを優しく抱き止めた。そしてそっと離れてファイブに語りかける。
『ねえ、ファイブ。ファイブもこっちの人間の世界に来よう、僕たちと一緒に行こうよ!』
ファイブは『え?』という顔をするがすぐに表情は曇る。
『無理だって……角も生えて羽も生えた人外のこの体でどうやって人間社会に打ち解けるの?それにどんなに逃げても…ゼロ兄様の能力で居場所は見つかってしまう、こうしてセブンがこの町にいるって言ったのもすべてはゼロ兄様だ。それに……やっぱりゼロ兄様は裏切れないよ…他の兄様達は僕のこと嫌いだと思うんだ、でもゼロ兄様は違う僕にいってくれたんだよ、僕がゼロ兄様以外の兄様達にいじめられて一人で泣いてたとき……』
ーファイブ……また泣いて……ファースト達に何か言われたのですか?ー
ゼロ兄様は車椅子に乗っていつものように白い布を頭から被って顔を隠して、でもいつも声は穏やかなゼロ兄様。
ーゼロ兄様……僕達は確かに人間たちより優れ特殊な力を持って生まれて来ました、でも…怖いんです、戦争をしかけることが、ファースト兄様達にそれを言ったらやっぱり裏切る気なんじゃないかって……ゼロ兄様もそう思ってしまう僕のこと嫌い?ー
泣きながらそう聞くとゼロ兄様は僕の頭を撫でながら言ってくれた。
ー戦争は恐ろしいもの、『人』としての当たり前の感情です。私はそんな貴方の人としての心も愛しています。ファースト達はそんな人間の感情を見せられて憤っているのかもしれませんが、ファイブどうか貴方はそのまま変わらずそうであって欲しいと私は思います。でもファイブ、これだけは覚えててください。私は最愛の弟達を守るためにどうしても人類を滅ぼさなくてはなりません。私達は見ての通りどんなに足掻いても人間になれない身、忘れようともしない私達が人間達に殺されかけたあの忌々しい記憶……偶然私の持っていた特殊能力で貴方達を救うことができたけど人間達は異なる私たちの存在に気づけば面白く見世物にするか迫害する未来は確か。でも私は、人間を私怨で殲滅したい訳じゃない。人間と我々が共存できる未来を作るために全てをゼロに戻すだけ、そしてそのゼロに戻った世界にファイブ、貴方が持っている優しさという心が私が創ったゼロに戻った新天地に必要なのです。ファイブ、今は辛いかもしれません、でもどうかくじけないで、必ず私は貴方に居場所を与えます。それまで堪えて、私に力を貸してください、ファイブ…ー
ー僕の……居場所をー
『ゼロ兄様は僕達を救ってくれた、そして僕の居場所を約束してくれた。にゼロ兄様を裏切ることなんて出来ないよセブン』
ファイブは優那に困惑した表情でそう言うのであった。すると優那はファイブからスッと離れて首を横にふる。
『違うよ!兄さん達を裏切るんじゃない、救うために僕らが人間との架け橋になるんだよ、お互い理解しあえるそんな世界にするために最初は大変かもしれないけど両方の世界に居場所を作るんだよ!』
優那はファイブの手を握って真剣な眼差しで訴えた。
『両方の世界に、居場所を作る?』
『そう!誰も傷つかない、互いに分かりあえる優しい世界にさ!』
『優しい……世界?』
もしそんな世界がきたら、誰も傷つかず、戦争を起こすこともない。
ファイブは心が揺らぎながらも優那を見た。
『出来るかな?』
『頑張ろう!僕もシックス…ううん学も一緒に!龍児(博士)も一緒にいるんだ!みんなで……!』
ファイブは困惑しながらもゆっくり頷き優那が握った手を握り返そうとしたときだ。
『あーあ。嘘つきファイブ、これだから弱虫クズファイブなんかさっさとバラして僕達の餌にすれば良かったんだよ』
どこからともなく少年の声がしたと思えばファイブの長い紫色の髪がグイッと後ろに引っぱられ優那から引き離されファイブはドサッと床に頭から叩きつけられる。起き上がろうとした途端ガッと頭を白いヒールのロングブーツで踏みつけられ、ファイブは『ぐあ!』っと小さく呻いた。
『ファイブ!』
優那が叫んだ時だ。
『ハア…///ハア…///ハア…///血だ……血だ……🖤///』
優那の後ろから何者かが飛びかかってきて先程貫かれた肩の傷めがけて咬まれる。しかも鋭くまるで狼のような牙で。激痛に優那は『うああああ!』と悲鳴をあげ、力を振り絞って振り払い後退する。その影はザッと倒れるファイブとファイブの頭を踏みつける者の所に向かった。
『フォー、僕以外に興奮するなんてお仕置きだよ?』
『あ…///ああん……//お仕置き……///スリーからお仕置き🖤///』
ずっと俺は隠れて優那達を見ていたけど、その2人の少年、いや2匹と呼ぶべきだろうか。齢は見た目は13歳~15歳ほどで優那より頭1つ分低い身長。
格好はファイブの着ているボンテージコルセットやへそだしやらホットパンツ、ロングブーツ全て形は一緒。
色だけが白に変わっただけなのとその2人にはフサフサの金色のしっぽと尖った三角のキツネのような耳が頭から生えている。髪は白金といって限りなく白に近いショートカットの金髪に目も金色。
そしてファイブを踏みつけてる方の太ももには数字の3、トロンとうっとり惚けてる少年の太ももには数字の『4』とかかれ、2人は全く同じ顔をしていた。それは鏡にうつったような数字の3、4これがなければ区別がつけれない状態である。
『スリー……フォー!』
優那は傷をさらに抉られた肩を抑えてその同じ顔をした2人を睨み付けた。
『セブンの血……もっと……もっと欲しい🖤////』
さっき優那に噛みついた4とかかれたフォーという少年は頬についた優那の血をペロリと舐めて息を荒げまるで発情したようにうっとりとしている。
『フォー、まだダメ。まずこっちのお仕置きが最初』
3とかかれたスリーという少年はブーツで踏みつけるファイブを冷たく見下した。
『ねえファイブ、君さ、さっきとんでもないことしたね?ゼロ兄さんを裏切ったよね?』
グリグリとスリーはファイブの頭を踏みつけた。
『ち、違います……スリー兄様…僕は裏切っては……』
スリーの足が頭から離れたと思ったらガッとファイブの顔を思い切り蹴りあげた。ファイブはその時の衝撃で鼻血が伝った。
『口答えすんなよ、クズが。汚いなー君の鼻血がゼロ兄さんから頂いた白いブーツについてしまったじゃないか』
ガッガッガッとスリーはファイブを幾度と立て続けに蹴りあげる。
『それにこのざま、何?派手にやらかしたよね?こっちは戦争に向けて隠密に動いてるってのにさ、ゼロ兄さんの足引っ張るんじゃないよこのクズ!』
ドスっと鈍い蹴りがファイブのみぞおちに入りファイブはゴホゴホとうずくまって軽く嘔吐してしまった。
『ファイブ……///痛い?////ねえ、痛い?🖤』
見ていたフォーが興奮しニターっと口角を不気味にあげ笑うが目が笑っていない。ながらファイブの髪を無理やり掴み顔を上げさせて聞いてきた。ファイブは苦悶の表情を浮かべる目尻に涙を溢れさせる。
『やめろ!』
優那は肩を抑えて2人に叫んだ。少し動くだけで肩がズキンズキン痛む。
するとスリーの腰からシュルっと植物の根のようなものが2本延びたと思えばバシっと鞭のように優那を凪ぎ払って壁に強く叩きつけ、叩きつけられた優那はズルズルと壁にづたいに倒れた。
『今ファイブと話してんの。ちゃんと後で相手してやるからそこで大人しく寝てろよ裏切り者。』
スリーの瞳がギラリと優那を睨み付ける。
優那が起き上がろうとした瞬間何故か体が動かない、バッと足を見れば先程のスリーの背中から伸びる植物の根のようなものが足に絡み付いて優那の自由を奪っていたのだった。
『ねえ~ファイブ🖤いっぱい汚くなっちゃたね////僕、ボコボコに歪んで鼻血垂れ流した不細工なファイブの方が僕好きだよ///もっと見たい……な🖤』
プチっと何かが潰れる音がした。その途端ファイブの『ぎゃう!!』という短い悲鳴と荒い息が響く。
フォーがファイブの人差し指を親指で潰したのだ。まるでボタンを押すように、簡単にプチっと。ファイブは脂汗を流し目を開いて大粒の涙を流し床にのたうち回る。
『はは……////あははは!!///ねえ、ねえ、ファイブ、痛い?痛いの?それってさ……気持ちよね?痛いって気持ちいいから……僕も大好き🖤』
のたうち回り逃げようとするファイブにフォーが後ろから乗っかり再び次はクスリ指をプチっと潰した。
『ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!もうしません!絶対しません!許してください!許してください!』
ファイブ涙や鼻血やら鼻水やらでぐちゃぐちゃに泣きながら許しを乞った。するとフォーに抑えつけられたファイブに立っていたスリーが目の前まできて片膝を床につきグイッっと髪を鷲掴みにしてファイブの顔を無理やりあげる。
『本当、汚い顔。察しつくよ、さしずめ黙ってセブンの所に向かったのは手柄を一人占めしようとしたから。お前は単純だからね、でも結局こうして尻拭い、本当に迷惑なんだよ。クズ。ファースト兄さん、セカンド兄さんまで今外で立ち入ろうとしてる新たな人間がいたら1人1人各々の特殊能力で眠らせて騒動があったこと見つからないように必死に今頑張って下さってるよお前なんかのためにね。お仕置きに指を切断しない辺りまだ僕ら優しいでしょ?だってキメラな僕たちは潰れたりしても一部の神経がくっついていればある程度大きな傷も1日で治るのだからさ』
スリーもまたフォーと同じようにスっと一本ファイブの指に指を重ねたファイブは恐怖でひきつる。
『ご、ごめんなさい……スリー兄様……』
『僕、その痛くて歪んでぐちゃぐちゃなって汚くて醜く許しを乞ってるファイブの顔、好き🖤ゾクゾクするよ🖤もっと見たい……🖤』
フォーが耳元でファイブにささやくとスリーがダメだよとフォーを止めた。
『ファイブ、君のお仕置きはアジトにもどってからだよ。』
フォーの背中から伸びる優那に繋がった植物の根が勝手に動き優那を引き摺って床に叩きつけた。
『おい、裏切り者。さっさとこっちに戻るかそれとも僕たちの餌になるか決めろ。僕は短気でせっかちなんだ、特に今日はダメな弟達の尻拭いさせられて本当にイライラしてるからさっさとしてくれ。』
スリーがそういうとフォーのキツネの耳が垂れ下がった。
『スリー、ダメな弟って……僕も?』
するとフォーがクスッと笑う。
『他の弟たちはゴミ、でもフォー、君は僕の特別な可愛い玩具だよ、帰ったらたーくさんご褒美あげるね』
『ふぁ……////僕はスリーの特別なオモチャ…🖤ご褒美…🖤は……早く、早くおうち帰りたいな……🖤』
フォーがうっとりと声をもらした。
『だから早くお仕事終わらせようね、フォー』
『うん、スリー🖤僕頑張っちゃうね🖤』
同じ顔なの表情は全く別の二人、フォーは頑張っちゃうねといった瞬間バッと床に叩きつきられ苦悶に歪む優那の髪をファイブの髪を鷲掴みにして無理やり顔をあげさせた同様に無理やり顔をあげさせる。
『セブン~🖤あはは////セブンも傷だらけだ🖤本当は僕らより優れてるのに、無茶しちゃうからだよ~?🖤』
優那の肩からドクドクと血が流れる。いくら特別な存在いえ大量の出血、体力が衰えない訳がない。
『この拷問癖野郎……っ!』
優那がギリッと下唇を噛んでそうフォーに吐き捨てるように言えばフォーは不気味にニンマリ笑う。
『良くわかってるじゃん🖤じゃあ今から何されるか分かるね?🖤』
『かはっっ!』
フォーの空いた手が優那の細くて白い首を握り潰すように掴みギリギリ絞めていく。
『さあ、セブンに質問…ゼロ兄ちゃんの所に戻る?🖤それとも僕のオモチャになる🖤?戻るなら意識あるうちに手をあげて……🖤』
キリキリと首が締まり酸素が薄れていく、それを見ているフォーの呼吸が荒くなっていく。
『あは…///ああん///セブンの首、細くてあったかくて柔らかい🖤……絞めていけば絞めていくほど脈がドクドクして酸素を求めて喉仏が上下に無意味に早く動いてるよセブン~🖤苦しい?苦しいの?ねえ苦しい?苦しいって気持ちいいよね?僕大好きなんだ~🖤』
『フォー、殺しちゃだめだよ。兄弟を処分するのを最終的に決めるのはゼロ兄さんなんだから。お前もよかったね、ゼロ兄さんの決めた掟のお陰で僕たちのまだまだ軽いお仕置きだけで済んで』
スリーは足でツンツンと倒れているファイブを小突いた。
『そうだね……🖤でも、僕、我満できるかな?あああ////これを折ったなら何か出てきちゃう?セブンの中のあったかいやつ出てきちゃう?🖤あー出ちゃう?🖤みたいなー///セブンのあったかくて汚い真っ赤なものみたいなー🖤』
フォーの優那の首を握ったりわざと緩めたりする手の爪が鋭くなり優那の細い首に食い込みはじめる。フォーのそんな姿をみてスリーはため息をついた。
『ありゃ、セブン死んじゃうかも。』
『ああん///!もうダメ!僕我満できない!セブン見せて!🖤』
フォーがついに優那を首をへし折ろうとしたときだ。体が、勝手に動いた。
俺はずっと隠れて見てる事しか出来なかった。でも、でも、目の前で殺されようとしてる人を見過ごす訳にはいかない。
俺は、とっさにそのフォーってやつに向かって崩れた瓦礫の小石ぐらいの破片をフォーの頭投げてぶつけ、飛び出した。
フォーの手が一旦止まりユラリとフォーの首が俺を見る、それと同時にスリーも俺を見た。
『が、学のバカ……』
優那の消え入りそうな声が聞こえた。でも、仕方ないじゃん。正直何が起きたのかサッパリだし、怖くて仕方ないけど、見過ごせないだろ?!
『や、止めよう!今ならきっと罪は軽いよ!……多分。これ以上罪を重ねちゃダメだよ!』
俺はなけなしの勇気を出して言った。スリーとフォーは唖然としてこっちを見ている。
フォーは優那から手を離してこっちに体を向け俺の顔をまざまざと見て首を傾げる。
『あれ…?あれれ?なんか見たことある?あれれれれ?』
『フォー!下がれ!不吉のシックスだ!』
すると血相を変えたスリーが突然声をあげフォーの肩を掴んで後ろに強く引いた。
『シックス?ええええ!シックス!?わー、久しぶりー🖤』
『悠長にするんじゃない!ここは急遽予定変更、退却だフォー!お前はファイブを担げ!』
フォーは倒れているファイブを肩に担ぎ、スリーの背中から伸びた根は優那をグルグル巻きにして割れた窓から優那を連れて去ろうとした。
え、やばい!俺はとっさに追いかけて元々身長は大きいし足も長いし走るのもほどほどに早かった俺は思わず飛び出して腕を伸ばし優那に掴まった。
ガクンとまだ植物がつながったまま床に優那と一緒に転がる。俺は小さい優那の体を押し潰さないようにかばって下敷きになった。
『う、重い……!』
スリーっていうやつは優那を引き摺り戻そうとしたが俺が強く抱き締めて連れ去られないように必死に抵抗した。
『学!危ないから僕を離して!そして逃げて!』
腕のなかで優那の声がした。
『出来ないよ!何が起きてるか分かんないけど、でもこのまま優那さんが連れ去られてたら、なんか、なんかやばい気がするし!!見過ごせないよ!』
怖いし、いまだに何ものみ込めていないけど、そのなかでも優那が危険にさらされていることは一目瞭然だ。
見過ごせないし、何も出来ないけど……
『何も出来ないけど!一人で逃げる何て出来ないよ!』
俺はグイグイ引っ張られる優那の体にしがみついて引き留めることしかできないけど。すごく怖いし巻き込まれるの何て本当にごめんなんだけどでも、見過ごせないよ!
『学……』
俺はその時必死だったから、腕のなかで頬を染め眉をひそめて俺を潤んだ目で見ている優那の表情に一切気づいてなかった。
『それにこんなにたくさん血が出てるじゃん!ますますほおっておけるわけないでしょ!』
優那の肩から溢れていた血が俺の制服にもベットリついて真っ赤に染めていく。
こんなに出血して、早く手当てしてあげないと!
早く病院にいって手当てしてあげないと!
こんなに血が出て!
こんなに血が出て!
こんなに血が出て?
こんなに血がでた?
こんなに血?
たくさんの血?
血?
これって誰の血?
優那さんの血?
ーセブンの血ー
あれ?頭が真っ白に……
優那の血の匂いをかいだとたん、意識が遠くなって俺の記憶はそこからプツリと途絶えた。
ブチッと何かを引きちぎる音がした。それはスリーにから伸びた植物のような優那に絡み付いた根だった。引きちぎったのは、学だった。
優那は拘束から解き放たれたと思えば一瞬で学に姫抱きされフワリと体あがるそして学に抱かれたまま一旦後方に跳びスタンと学は図書室のテーブルの上に立った。
『学……?』
学の雰囲気が変わった。優那はそんな学に声をかけたそのときだ。
『んん!!……んあ////っっ!』
学が無理やり優那の唇を無理やり奪うようにして唇同士重ねた。優那は苦しくて必死に傷ついていない方の腕で学の胸を押し返すと深いキスだった思われる銀の糸が引く。
『が、学……?』
優那はもう一度蒸気した顔で学に声をかけた。すると学はスタンっとテーブルからおりて優那を床に座らせ自分の着ていた制服の上着を優那にかけた。
『おはよう、セブン。やっと出てこれたぜ』
優那はその学の表情を見て凍りつく。元々鋭い眼光と牙を持っていた学、でも今は違う。
その鋭い眼光に殺意と狂気が宿り、口はニヤリと不気味に笑みを浮かべれば耳まで裂かれのぞいた牙が鋭利に光り髪は逆立つ。豹変したそんな学に優那を凍りつき生唾をゴクリとのみ睨み付けた。
『なんだよ、助けてやったのに、つれねー顔してんな……昨日の夜、俺に抱かれてたときはアンアン可愛い顔してたのによー』
ヤンキー座りをして豹変した学は床にペタンと座り込む優那と視線が合うように話すと優那は『うるさい!』っとピシャッと言い放つ。
『ふうん、でも、最後は自分で腰振ってたの忘れてる?ク、ク、ク、そうだよなー、俺の方は嫌いでも体は好きな男の体だもんな!皮肉だよな、好きな男と嫌いな男が混在したあげくに好きな男は記憶は消されてて、嫌いな男にはよりによって覚えられてて!』
『もう黙って!学を返して、シックス!』
優那は耳をふさいで目尻に涙を浮かべて叫んだ。
『お前が悪いんだぜ?セブン。お前が我慢できずに桜木学を押し倒してキスなんかしたから。そりゃ、興奮して眠ってた俺もさすがにおはようって言って起きちまうよな。』
豹変した学、ではなくシックスは口元だけニヤリと笑う、いや、嗤うのであった。
『フォー、今のうちにファイブ連れて逃げるぞ!』
『そっちもつれねーこと言うなよ、兄貴達さ』
スリーがフォーに呼び掛け、ファイブを連れて逃げようとした時だ。それを聞いていた学、もといシックスは、ゆらっと振り返り手をスッとスリーとフォー2人にかざす。そしてそれは一瞬の出来事だった。
床に落ちている瓦礫や本等が浮き上がり2人めがけてまるで銃弾のように一斉に飛んだのだ。
フォーは突然のことにファイブをわざと投げるようにして降ろし回避しスリーもバッと回避するが気づいた時には背後をシックスにとられていた。
ハッと気づいた頃にはもう遅く、スリーは背中をシックスに蹴られまるでくの字も形に曲がりスリーはグハっと苦しみそのまま壁に叩きつけられずりっとッとスリーは壁づたいに力なく倒れる。たかが蹴りだけでコンクリートの壁にヒビをいれた衝撃だ。
まるで車に轢かれた人間のようにスリーはぐったりとし、頭から血を流す。
『スリー!!!』
フォーは血相を変えてスリーにかけよって抱き上げスリー!スリー!と何度も呼び掛けるがスリーは苦痛に歪みぐったりとする。そんなスリーを目の当たりにすればさっきまで語尾にハートマークがついた発情してた顔から一変、殺意満ちた眼を開く、そして『お前ーーーー!!!』っとシックスめがけて怒鳴り声をあげた。たった一言だがその言葉には憎しみと殺意と怒りがすべて込められた禍々しい怒号だ。
しかしシックスはそれにも一切動揺することなく、むしろ感情を露にしたその様子をまるで嘲笑いながら面白そうに見ていた。
『久しぶりの兄弟の感動の再会じゃねーか。俺とも遊んでくれよ』
シックスはネクタイを外しその場に捨て、ワイシャツの裾をズボンからだしボタンを上から3つ外した。決して1個ずつ丁寧に外したのではない、一気に引っ張りプツプツとボタンを飛ばしながらの乱暴な外しかた。すると露になった鎖骨の上には6という数字が浮かび上がった。
『いろいろ思い出すわー……兄弟喧嘩とかさ。はは、起きなかったら思い出すこともなかったのにな、さしずめ(おはようメモリー)ってか』
シックスはクスクス嗤いながら舌舐めずりをし前髪を後ろにかきあげオールバックになればその鋭い目や表情がさらにあらわになり、この状況を不気味に楽しんでる顔がはっきり見えるようになったのであった。
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