Angel☆Doll

隣の大橋さん

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アンラッキーな6☆ラッキーな7

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それは地下深くにあった。

大きさは東京ドームほどの人工建設物のとある研究所跡。

今は誰もいないその場所に彼はいた。

研究室一角の温室には地下とは思えないほどの色とりどりの草花や樹木が育ち、そこにはさまざまな珍しい鳥や虫達が住み、人工の太陽、人工の空、人工の大地まるでそこは本当の地上のような場所に彼はいた。

真っ白に塗られた鉄製の車椅子に座り白いヴェールを頭から足先までかけて、唯一のぞくのは顔の輪郭がはっきりした顎と口元とか細い指先だけ。
小鳥たちがその青年回りを飛び交うとヴェールから唯一のぞくその口元が緩み、愛らしいその小鳥たちをいとおしそうに微笑むのがわかった。



そのときだ。

なんの脈絡もその青年はハッとして思わず顔ををあげれば小鳥たちは驚いて飛び去ってしまった。


『シックス?シックスなのですか?………シックスが生きている……』

青年はそう言いながら人工の太陽に手をのばすとヴェールがズレて細く透き通った白さの腕が露になる。

その腕には、数字の0(ゼロ)という痣があったのだった。














『よくも僕のスリーを傷つけたな!お前ズタズタに引き裂いてやる!!』

フォーはスリーを優しく床に寝せると立ち上がるなりジャキンと両手の鋭利な爪が伸び牙も伸びて目も瞳孔が細くなって獣らしさが際立つ。


『なんだよ、普通に喋れるんじゃん。』


豹変した学もとい、不敵な笑みを浮かべてシックスは指をポキポキ音を鳴らしながらそういった。一方一卵性の溺愛している兄を傷つけられたフォーもまた同じく一変し並々ならぬ憎悪と怒りを露にしてシックスに立ちはだかる。

『ダメだ……フォー……シックスに手を出すな……シックスだけはダメなんだ…』

スリーはフォーに力ない声で引き止めるが感情的になったフォーは簡単には止まらない。

『スリー、君の仇は僕がとるよ!シックスだか弟だか知らないけど、スリーを傷つけるやつは誰でも許さない!それがもしゼロ兄ちゃんだったとしてもだ!』


シックスは首を傾げる。そして思い出したように口を開いた。

『ああ、フォー、お前は俺が覚醒する前に人間に(廃棄)されたんだっけ。そりゃ俺の実力見てないから分かんないもんな。』


またシックスがニヤリと笑うとシックスの回りに突然稲妻が走り始めた。最初はパチパチと小さかったが次第にバチバチと電気を帯びてそれに同調するように停電していたはずの室内の蛍光灯もバチバチ音をたて火花を散らして激しく点滅しはじめた。それを見ていた優那はごくっと息を飲む。



『廃棄、廃棄って……お前たち成功品には分からないだろう!僕らの苦しみが、でも今はどうでもいいんだ、僕が本当に唯一許せないこと、それはスリーを傷つけられることだ!』

ダンっとフォーは踏み出し鋭い爪と牙でシックスに飛びかかった。シックスはフッ笑うと身体中に帯びた電気が一斉バリバリと激しい音を立ててフォーに向かい大きな爆発音をさせてフォーをはねのけた。
フォーは感電するなり『ぎゃう!』っと声をあげ床にピクピク痙攣して倒れる。


『フォー!もういい、僕のことはいいから君だけでも逃げてくれよ!』

スリーは這いずりながら倒れるフォーのもとに寄る。

『いやだ……僕だけなんてあり得ない……僕の世界にスリーがいなくなっちゃたら、絶対いやだ!ゼロ兄ちゃんが約束してくれた、ゼロ兄ちゃんが作った新しい世界で一生2人で生きていける世界で幸せに暮らすって、その夢がかなうまで、僕1人で逃げるなんて絶対いやだ!』

フォーは感電し身体中あちこち火傷した体で無理に立ち上がった。


『死なない程度に電気ショック与えたけど、立ち上がれるってふーん。すごいねさすがドM兄貴。やっぱり今でも痛いの好きなの?』

『うるさい!嬉しいのはスリーにしてもらったときだけで他のやつから受ける痛いのはまじムカつく!大っっ嫌い!!』

フォーはシックスの挑発にさらにカッとなり頬を赤くさせ毛をますます逆立てた。




『そう来なくちゃ、さあもっともっと遊ぼうぜ兄貴!』

シックスの纏う電気がバチバチと室内を閃光のように走る、すると脳内に直接語りかける声がした。



 ー私の愛する弟達よ、今は争うのを止めるのです。ファースト、セカンド、貴方達はスリー、フォー、ファイブを連れて今日は戻ってきなさいー


その声はスリー、フォー、ファイブの頭のなかだけではなく、シックスそして優那の頭の中にまで届いていた。
20代後半の青年の落ち着いて、そして穏やかな慈愛のある包み込まれるような声。シックスはそれを聞くなり『んあ?』と聞き返す。


  
  ー私は最愛の家族同士が争うことが実に悲しく想います。シックス、そしてセブン、貴方達が考え方を改めて兄弟手をとりあって共にたちあがってくださる日を、私は願っています……ときにシックス……貴方が無事で本当に良かったー



『ケッ…このエセ神父みたいなしゃべり方ゼロ兄貴かよ』

シックスはくだらなそうにそう言うとスリーが『ゼロ兄さんをバカにするな!』と食い気味で声をあげた。


 
『いくらゼロ兄ちゃんが言おうと、スリーに怪我させたコイツだけは許せないよ!』

フォーもまた空(くう)にむかって声をあげた。するとバリンと音をたてて窓が割れ、太い真っ黒の人間の太ももほどの太さの吸盤のあるタコの足がのびてスリー、フォー、ファイブに絡み付きそのまま外にかっさらうように連れ去られた。
シックスはなんだ?思って割れた窓にかけより外を眺める。




『おやまあ、本当に六男坊(ろくなんぼう)じゃないのかい。相変わらずおっかない顔だね』

割れたガラス窓から見下ろすと花壇の手前に真っ赤な女性ものの着物を着て腰は黒いコルセット真っ黒なウェーブかかった髪は後ろでアップにされ金銀様々な装飾品の簪(かんざし)をさしている。

唇も真っ赤な口紅をさして紫の瞳に紫のネイルをしていフワリと風が靡き長い黒い髪を揺らすとのぞいたウナジから漢数字で『壱』とアザが見えるのだった。

それより目を見張るのはそんな艶やかな花魁のような青年の下半身はウネウネと8本の吸盤のついたタコの足。

彼がファーストと呼ばれていた青年だ。

『なんたって三男坊も四男坊も派手にやられたわね~五男坊はさしずめ三男、四男にまたいじめられたのかい?懲りないわね、あんたたちさ、まあいいわ、坊やたちの回収は完了よ次男坊ちゃん。、一旦引くわよ』

その青年はスリー、フォー、ファイブをそのタコ足で巻き付けてプラプラと空(くう)を揺らして言った。

花魁のように艶やかなファーストの外見年齢は20代後半ぐらいで
青年のガタイはどちらかといえばがっしりとして声も立派に声変わりした低い声の男だけれど、口調は女言葉だし仕草など細かいところも女性のふるまい。
俗にニューハーフと呼ばれる類いの青年だ。

次男坊、と呼ばれた青年を見てみれば身長はシックス、もとい学の195センチの長身と並ぶほどの大男。しかし太ってはおらず真っ黒なロングコートを着ていても肩幅が広く筋肉質で引き締まった体ということが十分に分かる。

目から下を黒のマスクで覆っていて髪はオレンジ色、襟足は刈り上げで前髪だけアシンメトリーになって左側が長く、左目だけ前髪で覆っていて耳の先端が尖り片耳に赤いピアスをつけている。そんな彼はセカンドと呼ばれていた男である。

そしてそんな彼の目に白目は存在せず、全眼の真っ黒の目をしていて右手の手の甲に数字で2とアザがあったのだった。


『回収、了解シタ。』

セカンドの大男はまるで腰に響くバリトンの声はロボットように感情の無い返事で顔もずっと無表情、その声からして彼もまた20代半ばか後半あたりなのだろう、
そして無表情というより露になる顔が右目だけであとはマスクだったりアシンメトリーで垂れ下がった前髪で隠れていたりでほとんど表情が読めないのだ。

その2の青年とかかれた青年は両手を前にだし手のひらを外にするよう手首をたてると、手のひらから無数の白い糸が出てきてファーストの腰とセカンドの腰にはなれないように巻き付きグッと寄せられファーストはセカンド胸板に咄嗟に手をつく。

『アンタって男は静かな顔してるのに本当、いきなり大胆なんだから!危うく弟達落とすとこだったわよ!』

ファーストの8本の足のうち3本はスリー、フォー、ファイブに巻き付いてかかげ持ったままだった。

『今ノ感情ハ、喜怒哀楽ノ『怒』ノ感情カ?』

セカンドが首を傾げた。

『別にそこまで怒っちゃいないけどアタシはびっくりしちまったんだよ』

『びっくり?ソレハ喜怒哀楽ノドレニ値スルノカ?』

『えっとー……あー、もういいわ!めんどくさっっ!それよりさっさと撤退よ!またいざこざ起きたら零の兄やに叱られるのは参謀のアタシなのさ、なんで全くいっつもいっつも!!』


ファイブはそれを聞いてぐったりしたままか細く声を絞るようにだして『ファースト兄様……許してください、ごめんなさい』と謝るが小さすぎて届かずファーストがなに食わぬ顔で別の話しを窓から見下ろすシックス見上げて話し出す。


『あ、そういえば六男坊ちゃん!姿は見えないけど末っ子ちゃんに、この荒れ放題な場所、うまーく適当に言い訳してねって伝えておいてね!』

ファーストがそう言うとセカンドは後ろの木の幹に手のひらから再び生成した糸をシュッと出して巻き付かせそしてその糸をリールのように巻き取るとそのまままずは木のもとに、そして次々建物や街灯にやって飛びうつることであっという間に姿を消すのであった。


彼らが消えるとファイブの撒いたであろう鱗粉の霧は晴れて倒れていた人々が次々目を覚まし起き上がって抉れた地面や破壊された建物を見て『なんだなんだ』と口々に見渡して声をあげる。


『ケッ、もう終わりかよ、腕ならしにもなれねーな』

シックスはつまらなそうに見下ろし吐き捨てるようにそう言って部屋に戻ろうと振り替えるとすぐ後ろに優那が立って緊張感のある面持ちでシックスを見上げていた。


  『なんだよ、助けてやったのに怖い顔しやがって、お前のそういう顔もそそるわ……なあセブン?』

優那の輪郭を指でなぞりクイッとあげシックスはまるで極上の餌を見つけた獣のように目とのぞいた牙をぎらつかせてニヤリと口角をあげた。

『学の体で僕の事をセブンって呼ばないで』

優那はキツく睨んだ。するとシックスは益々ニヤリと笑い優那をドサッと床に押し倒し優那を無理やり組み敷く。


『嫌だ!離して!話を聞けシックス!』

組敷く腕の中で優那の小さな体が必死に抵抗するがシックスは微動だにしない。少し乾き始めた優那の首筋に流れる血をシックスはツー……と舌を尖らせて舐めあげれば優那はピクッと反応する。

『やめて……やめてよシックス……』

『優那さん、好き……』

優那の耳に唇が直にくっつくようにシックス、いや、学の声色で囁かれる。優那はハッとしてシックスを見る。

『嘘だよ、桜木学は俺の中で眠ってるよ』

シックスは嘲笑うように優那を見ると優那の大きな瞳にぶわっと涙が溢れボロっと止めどなく流れる。

『ふざけるなシックス!学を、学を返してよ!うああああ!!』

優那は怒りと悲しみでごちゃごちゃ泣き叫んで必死に抗った。しかしシックスは嘲笑いながら優那の着ている服を無理やり引き裂けば優那の真っ白な肌と桃色の小さな乳首が露になり、そしてファイブによって貫かれた筈の肩の傷がすでに塞がっていて血も乾きはじめていた。

シックスはそんな優那のあられもない姿を上から見下ろし舌舐めずりをして自ら着ていたワイシャツを脱ぎ捨てた。優那の手首を掴んで折り重なり首筋に無数のキスを落としていくと優那の頬を涙が伝う。

『いや……いや……』

キスを落としながらシックスの親指が優那の乳首を押し潰すように弄り盛ってきた。優那はうっすら目を開けてシックスを見ればそこには表情は違えど桜木学の顔。頬を赤らめ涙が溢れた。

『学の体でやめて…』

『嬉しいんだろ?好きな男の体にはかわりないからな少しだけ触っただけなのに、桜木学の上半身裸見ただけでこんなに興奮しやがって』

優那の芯がもちプックリとした乳首をこねながらシックスは嘲笑った。
シックスの言葉一つ一つに傷つき堪えれないないのに体は悦んで、それに、今の学は学の体だけあって中身は今別人格だというのに、、、体が学を求めてしまう。いろんな矛盾した気持ちがグルグル頭の中をかきみだす。

『もっとよくしてやるよ、お前の好きな男の体でな』

『…………けて……』

『あ?』

シックスの言葉に被って優那の掠れた声が耳に届く。

『助けて……助けて学……学……学……』

仕切りに学の名前を優那は泣きながら呼び続け助けを求めた、シックスは黙ってその様子を見ているとカンカンカンカンと階段をかけあがってくる音が聞こえた。シックスはため息をついて言葉を続けた。


『チッ……今日はやめだ。つまんねーの。』

そういうとシックスが静かに目を瞑ると途端にガクンとまるで魂が抜けたようになり逆立った髪も下りて伸びた牙も引き一気に纏っていた狂気的な殺気が消え、すうっと目を開ければ元の桜木学の優しげな目に戻っていたのだった。


『学、優那くん大丈夫か!!』

階段をかけあがりバンっ部屋に飛び込んできたのは助けにきた桜木龍児だった。



『父さん!……これって……』

気づいたら俺はガラスは割れて壁崩れかけ瓦礫や倒れた本棚で散乱した部屋にいて寒いと思えば着ていた制服は下しか履いていなかった。
そして何より、なぜか俺の下には床に押し倒され服がビリビリに裂かれ泣いている優那の姿があって………

え?

え?

え?

『う、うわあああああああああ!!』

全身血の気が引いて俺は転げるように慌てて優那から降りた。

『学……』

父さんは愕然として俺を見た。
いや、そうだよね、だってこの状況完全に俺、完全に俺やっちゃってるもんね?!

『ち、違うんだよ父さん!俺もよくわかんなくてえ、え、え?!』

俺の頭は真っ白になり終始パニック、ジーっと俺を軽蔑するように父さんは見ている。違うんだ、俺もよくわかんないだよーー!

しかし助けに来た父さんが本当にジッと見ていたのは、俺の鎖骨に表れた『6』という痣だったのであった。
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