33 / 385
ルモン大帝国編
85.依頼主は?
しおりを挟む
「これの詳細を頼む」
びくりと肩を振るわせた職員は、差し出された依頼書と冒険者ギルドの認定証を確認すると、急いで詳細の書かれた依頼書を取り出す。
「あ、これですね。内容は掲示されていた依頼書に記載されている通りで、それ以上はありません」
「依頼主は?」
「申し訳ありません、守秘義務がありますので」
「そう」
ノムルは横目で雪乃を見た。まだ依頼書を見ることに夢中で、こちらには気付いていないようだ。
右手に持つ杖を、軽く人差し指で叩く。
「あいつ……」
小さな呟きを、耳に留めるものはいない。
怯えているギルド職員から認定証を受け取り、その場を離れようとして、ユキノと視線が合ってしまった。
ぽてぽてと歩いてくる雪乃に、へらりと笑って手を振りながら、職員に向き直る。
「それで? グレーム森林へはどう行けば良いのかな?」
「え? あ、はい。まずはルービスまで向かってから、国境を越えます。そこからは、えーっと……」
と、資料を探すために席を立とうとしたが、すぐに他の職員が割り込んできた。
白いちょび髭を生やした高齢の職員だが、その年齢に似合わず筋骨はしっかりしている。かつては名のある冒険者として活躍していたのかもしれない。
「ドューワ国に入りますと、乗合馬車が出ていますから、スノホワ行きを選んで乗ってください。あとは……えっと、冒険者ギルドのスノホワ支部があるので……ええっと……」
地図を広げて説明していた職員の言葉が、尻すぼみになって目が泳ぎ出す。さすがに他国の交通網までは、把握していないのだろう。
むしろよく国境からスノホワ行きの馬車が出ていると知っていたと、ノムルは感心したのだが、その心を青ざめた職員が知るはずもない。
「速達を出して、情報を求めることもできますが?」
「いや、そこまでしなくていいから。これで充分だよ」
そもそも、雪乃に先ほどの依頼書の内容を気付かれないようにと、とっさに振った話題なのだ。
情報が返って来ただけで御の字だったのだが。
「おお! ノムルさんが情報収集を!」
「……。ユキノちゃん? 君は俺をどういう人間だと思っているのかな?」
葉を輝かせて見上げている小さな樹人に、ノムルは引き攣った笑みを浮かべる。
「今更だが、お前ら自由すぎだろう? とりあえず俺の執務室まで来てくれ」
ギルド崩壊の後始末を終えたルッツが、頭を抑えながらノムルの後ろに立つ。その後ろには、困ったように半笑いのナルツ達も並んでいた。
「えー、めんどー」
「ノムルさん、ちゃんと謝りにいきましょう」
「あとでご褒美に頬擦りしてもいいー?」
「セクハラ禁止です」
「えー」
ギルド内に、目撃者たちの大きな溜め息が溢れた。
「今日は臨時休業にして、帰っちゃだめですか?」
ぽつりと、誰かが零した。
一人掛けのソファに座るルッツは、静かに瞼を落としていた。
ルッツの前には長方形の机を挟んで、三人掛けのソファが二脚あった。右手のソファにはギルドの職員が、左手には雪乃とノムル、それにフレックが座っている。その後ろには木製の長椅子が置かれ、ナルツたちが腰掛けていた。
ギルドマスターの執務室に呼ばれた冒険者は、七割方は緊張で身を強張らせる。残りの者達も、緊張を感じさせる気配はまとっていた。
それなのに、と、ルッツは頭を抱えたくなる。
「お茶菓子おかわり貰えるー?」
「あ、はい……」
(くつろぎ過ぎだろう?!)
ソファにゆったりと座ったノムルは、自分のお茶請けを食べ終えると、お代わりを要求していた。
「ノムルさん、私のあげますから」
「んー? 大丈夫だよ? それも食べるから、ゆっくり見てなよ」
「了解です」
(((それも食うのかよ?!)))
思わず心の声が重なったのは、悪くないだろう。ルッツもナルツたちも、全員揃って心の中で叫んだのだった。
自由にお茶を飲み、お茶請けを味わうノムルの横で、雪乃は皿を持ち上げて観賞している。
小皿の上には、幅五センチ、高さ三センチほど長方体の黒く艶やかな塊が、一センチほどの厚さに切られ、二つ並んでいた。
その姿は日本でお馴染みの、羊羹に似ている。
「……ユキノちゃん、そんなに面白いものじゃないと思うんだけど?」
色々な角度から観察している雪乃に、思わずフレックは声をかける。
その声に振り向いた雪乃は固まり、すうっと机に戻した。フードの下は、ほんのり紅葉している。
「何のことでしょう?」
雪乃は姿勢を正し、無かったことにした。
フレック達は小さな子供の照れ隠しを、笑いを堪えながら愛でる。
「ユキノちゃんは食べ物に貪欲だからねえ。あ、ちなみにこれは、カンヨーっていうんだよ」
「カンヨーですか。予想通りですと、そのままでも美味しいですが、後半は塩を付けても美味しいはずです」
「了解」
「「「えっ?!」」」
突然の珍発言に、一同は素っ頓狂な声を上げて、雪乃に顔を向ける。
カンヨーに塩を付けて食べるなど、聞いたこともない。余程の物好きか、味覚音痴だろう。
しかしノムルは疑うことなく、空間魔法から塩を取り出し、小皿の隅に添えた。
「ノムル様、止めたほうが良いと思いますよ?」
思わずマグレーンは制止する。ノムルは振り向き、片方の眉を跳ねた。
だがそこに、雪乃の言葉が追撃する。
「個人的に、水羊羹は粗塩を振って食べるのが好きなんですよねー。水分少なめの周りがシャリシャリ羊羹や、粒が残っている羊羹は、そのままが良いと思います」
「ヨーカン? カンヨーじゃなくて?」
「……。カンヨーでしたね」
うっかり発言だが似た名前なので、適応に誤魔化しておけば大丈夫だろう。
「なるほど。こうなるわけね」
塩付けカンヨーを口にしたノムルは、一人頷く。美味いとは言わない。だが二口目にも塩を付けたところを見ると、どうやらいけるらしいと、冒険者達は気付く。
(気になる)
しかしお茶請けを出されたのはノムルとユキノだけで、ルッツの前にはもちろん、ナルツ達の前にも無い。
食べることができないからこそ、気になる。しかも感想を口にしてくれれば良いのに、一人頷くだけで、どんな味か言わないから、余計に気になる。
(これが終わったら、カンヨー買いに行こう)
昼前で腹も減っていたのだろう。口中はカンヨーを食べる準備を始めていた。
びくりと肩を振るわせた職員は、差し出された依頼書と冒険者ギルドの認定証を確認すると、急いで詳細の書かれた依頼書を取り出す。
「あ、これですね。内容は掲示されていた依頼書に記載されている通りで、それ以上はありません」
「依頼主は?」
「申し訳ありません、守秘義務がありますので」
「そう」
ノムルは横目で雪乃を見た。まだ依頼書を見ることに夢中で、こちらには気付いていないようだ。
右手に持つ杖を、軽く人差し指で叩く。
「あいつ……」
小さな呟きを、耳に留めるものはいない。
怯えているギルド職員から認定証を受け取り、その場を離れようとして、ユキノと視線が合ってしまった。
ぽてぽてと歩いてくる雪乃に、へらりと笑って手を振りながら、職員に向き直る。
「それで? グレーム森林へはどう行けば良いのかな?」
「え? あ、はい。まずはルービスまで向かってから、国境を越えます。そこからは、えーっと……」
と、資料を探すために席を立とうとしたが、すぐに他の職員が割り込んできた。
白いちょび髭を生やした高齢の職員だが、その年齢に似合わず筋骨はしっかりしている。かつては名のある冒険者として活躍していたのかもしれない。
「ドューワ国に入りますと、乗合馬車が出ていますから、スノホワ行きを選んで乗ってください。あとは……えっと、冒険者ギルドのスノホワ支部があるので……ええっと……」
地図を広げて説明していた職員の言葉が、尻すぼみになって目が泳ぎ出す。さすがに他国の交通網までは、把握していないのだろう。
むしろよく国境からスノホワ行きの馬車が出ていると知っていたと、ノムルは感心したのだが、その心を青ざめた職員が知るはずもない。
「速達を出して、情報を求めることもできますが?」
「いや、そこまでしなくていいから。これで充分だよ」
そもそも、雪乃に先ほどの依頼書の内容を気付かれないようにと、とっさに振った話題なのだ。
情報が返って来ただけで御の字だったのだが。
「おお! ノムルさんが情報収集を!」
「……。ユキノちゃん? 君は俺をどういう人間だと思っているのかな?」
葉を輝かせて見上げている小さな樹人に、ノムルは引き攣った笑みを浮かべる。
「今更だが、お前ら自由すぎだろう? とりあえず俺の執務室まで来てくれ」
ギルド崩壊の後始末を終えたルッツが、頭を抑えながらノムルの後ろに立つ。その後ろには、困ったように半笑いのナルツ達も並んでいた。
「えー、めんどー」
「ノムルさん、ちゃんと謝りにいきましょう」
「あとでご褒美に頬擦りしてもいいー?」
「セクハラ禁止です」
「えー」
ギルド内に、目撃者たちの大きな溜め息が溢れた。
「今日は臨時休業にして、帰っちゃだめですか?」
ぽつりと、誰かが零した。
一人掛けのソファに座るルッツは、静かに瞼を落としていた。
ルッツの前には長方形の机を挟んで、三人掛けのソファが二脚あった。右手のソファにはギルドの職員が、左手には雪乃とノムル、それにフレックが座っている。その後ろには木製の長椅子が置かれ、ナルツたちが腰掛けていた。
ギルドマスターの執務室に呼ばれた冒険者は、七割方は緊張で身を強張らせる。残りの者達も、緊張を感じさせる気配はまとっていた。
それなのに、と、ルッツは頭を抱えたくなる。
「お茶菓子おかわり貰えるー?」
「あ、はい……」
(くつろぎ過ぎだろう?!)
ソファにゆったりと座ったノムルは、自分のお茶請けを食べ終えると、お代わりを要求していた。
「ノムルさん、私のあげますから」
「んー? 大丈夫だよ? それも食べるから、ゆっくり見てなよ」
「了解です」
(((それも食うのかよ?!)))
思わず心の声が重なったのは、悪くないだろう。ルッツもナルツたちも、全員揃って心の中で叫んだのだった。
自由にお茶を飲み、お茶請けを味わうノムルの横で、雪乃は皿を持ち上げて観賞している。
小皿の上には、幅五センチ、高さ三センチほど長方体の黒く艶やかな塊が、一センチほどの厚さに切られ、二つ並んでいた。
その姿は日本でお馴染みの、羊羹に似ている。
「……ユキノちゃん、そんなに面白いものじゃないと思うんだけど?」
色々な角度から観察している雪乃に、思わずフレックは声をかける。
その声に振り向いた雪乃は固まり、すうっと机に戻した。フードの下は、ほんのり紅葉している。
「何のことでしょう?」
雪乃は姿勢を正し、無かったことにした。
フレック達は小さな子供の照れ隠しを、笑いを堪えながら愛でる。
「ユキノちゃんは食べ物に貪欲だからねえ。あ、ちなみにこれは、カンヨーっていうんだよ」
「カンヨーですか。予想通りですと、そのままでも美味しいですが、後半は塩を付けても美味しいはずです」
「了解」
「「「えっ?!」」」
突然の珍発言に、一同は素っ頓狂な声を上げて、雪乃に顔を向ける。
カンヨーに塩を付けて食べるなど、聞いたこともない。余程の物好きか、味覚音痴だろう。
しかしノムルは疑うことなく、空間魔法から塩を取り出し、小皿の隅に添えた。
「ノムル様、止めたほうが良いと思いますよ?」
思わずマグレーンは制止する。ノムルは振り向き、片方の眉を跳ねた。
だがそこに、雪乃の言葉が追撃する。
「個人的に、水羊羹は粗塩を振って食べるのが好きなんですよねー。水分少なめの周りがシャリシャリ羊羹や、粒が残っている羊羹は、そのままが良いと思います」
「ヨーカン? カンヨーじゃなくて?」
「……。カンヨーでしたね」
うっかり発言だが似た名前なので、適応に誤魔化しておけば大丈夫だろう。
「なるほど。こうなるわけね」
塩付けカンヨーを口にしたノムルは、一人頷く。美味いとは言わない。だが二口目にも塩を付けたところを見ると、どうやらいけるらしいと、冒険者達は気付く。
(気になる)
しかしお茶請けを出されたのはノムルとユキノだけで、ルッツの前にはもちろん、ナルツ達の前にも無い。
食べることができないからこそ、気になる。しかも感想を口にしてくれれば良いのに、一人頷くだけで、どんな味か言わないから、余計に気になる。
(これが終わったら、カンヨー買いに行こう)
昼前で腹も減っていたのだろう。口中はカンヨーを食べる準備を始めていた。
13
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる