203 / 385
旅路編
255.手っ取り早いでしょう?
しおりを挟む
「うん? 新しく魔法ギルドに登録するやつが、魔法ギルドに相応しいだけの力を持ってるか試すには、この方法が一番手っ取り早いでしょう?」
なんでもないことのように、魔法ギルド総帥はさらりと言い放つ。
要するに、登録するための検査などはなく、居合わせた魔法使いたちの総攻撃を受けて、生き残れば合格ということか。
「え? つまり、あの攻撃を受けたのは……」
ようやく思考が戻ってきた雪乃の体から、サアーっと樹液が引いた。
あれだけの攻撃を受けて無事でいられる存在など、ノムル以外に考えられなかった。
あわあわと慌てて小さな門に駆け寄ろうとする雪乃だが、障壁が邪魔をして近付くことができない。
「カイさんっ!」
雪乃は優しい狼獣人の名前を、叫ぶように呼ぶ。
ノムルの攻撃を受けても生きているムダイならば無事かもしれないが、カイは普通の人だ。
あの攻撃で、無傷とは思えなかった。最悪の事態さえ想像できる。
「ノムルさん、障壁を解除してください!」
振り向いた雪乃は、ノムルに訴える。その隣で、ようやく脳が機能を再開したらしきローズマリナは、ふっと意識を失って倒れた。
「ローズマリナさん?!」
カイの身も心配だが、雪乃はとっさにローズマリナに飛びついた。
失神して倒れた場合、頭部を強く打つことが多い。魔力を流し、脳に異常が無いことを確かめる。
「大丈夫だよ、ユキノちゃん」
不満そうにしかめた顔を横に向けたノムルは、顎をしゃくって門からラジン国に百メートルほど入った位置を指した。
雪乃はバネ仕掛けのように振り返る。
地面から円柱状の光が立ち上り、その中に左手と片膝を地面に突いたカイがいた。
黒いローブはぼろぼろになり、血や火傷まみれになっているが、生きている。手足の欠損もなく、雪乃の魔力で治せる程度だ。
ローブが破れたり燃えたりしている上半身は、ほとんど裸になっていだが、なぜかフード部分とズボンは残っており、獣人の姿をさらすことはなかった。
「余計な騒動は避けたいからね。狼の正体が露見しないように、フードとズボンにだけ、強化魔法を掛けておいてあげたよ。おとーさん偉いー?」
ほめてーとばかりに雪乃に笑いかけるノムルだが、雪乃は怒りでふるふると震えていた。
常識が通じないことは理解している。しかし限度というものがある。
「偉くありません! カイさんに何かあったら、どうするんですか?!」
「え? ユキノちゃん? 大丈夫だよ? あいつなら、このくらいじゃ死なないって」
戸惑いに笑顔を消して、ノムルは雪乃を呆然と見つめる。
立ち上がった雪乃はノムル近付くと、草色のローブを握り、額を寄せた。
「怪我をしたら痛いでしょう? 誰かを失ったら、心が切り裂かれるように痛くて辛いでしょう?」
ノムルに悪意がなかったことを、雪乃は知っている。
自分の体を平気で傷付けるノムルだ。他人の傷に対しても、何も感じられないのかもしれない。
幼い頃から愛されることもなく、傷付けられ続けてきた彼は、痛みを感じる心を封じることで生き延びてきたのだろう。
かつての雪乃と同じように。
「もっと自分のことも、他の人のことも、大切にしてください」
雪乃はノムルから離れると、カイのほうへと向き直る。
試練に耐えたカイは、重傷を負いながらも、攻撃してきた魔法使いたちから話しかけられ、治癒魔法を施されていた。
だがこの場にいる魔法使いの治癒魔法では、深手までは癒しきれていない。
「ノムルさん、障壁を解いてください。カイさんの傷を癒してきます」
「あ、ああ」
上の空で答えたノムルは、杖を指先で撫で、障壁を解除する。
「ローズマリナさんをお願いします」
「ああ」
答えたノムルに振り返ることもなく、雪乃はカイの元へと急ぐ。
「カイさん!」
駆け寄ってくる小さな樹人に、カイは笑みをこぼす。
片膝を付いて身を屈めたカイの胸に、雪乃は飛び込んだ。
「すぐに治します」
「ありがとう。怖い目に合わせてしまったようだな。大丈夫だ」
小さく震えながら、涙声になっている小さな樹人の頭や幹を、カイはなぐさめるように撫でる。
雪乃は震える体を葉を食いしばって抑えると、治癒の魔法を発動させた。
「凄い」
「これだけの傷が一瞬で?」
雪乃の魔法を目の辺りにした魔法使いたちは、驚嘆の声を漏らす。そしてノムルをちらちらと伺った。
「さすがノムル様の娘様」
「ああ。素晴らしい治癒魔法の使い手だ」
カイの治療を終えるなり、再びしがみ付いて動けなくなっている雪乃を抱き上げて、カイはノムルのところに向かう。
「助かりました。ノムル殿の魔法がなければ、耳や尻尾が顕わになっていたでしょう」
「ああ」
丁寧に頭を下げるカイに、ノムルは虚ろな様子で頷いた。
二人の会話を狼の耳で聞いていたカイだが、何も問わずに門へと向き直る。
次はムダイの番だ。
国境の外では、カイが入ってから閉まっていた門が、再び開いた。
白い歯を見せて笑みを浮かべたムダイは、右の拳を左の掌で握り、指を鳴らす。
自信みなぎる赤い男は、泰然とした足取りで一つめの門を潜った。二メートル四方ほどの空間に進むと、入ってきた門が閉まる。
「ギルドカードを発行いたします。魔水晶に手をかざし、魔力を注入してください」
右側の壁に開いていた穴には、透明な水晶球が設置されていた。
女性の声に従って、ムダイは魔水晶に手をかざし、魔力を注ぐ。透明だった魔水晶は、赤く染まっていく。
「認識が終了しました。カードを発行します。カードを受け取ると、十秒後に扉が開きます。攻撃を防ぎ、町に設置されている魔法陣まで進んでください。負傷者が出ても罪に問われることはありませんので、ご安心ください」
水晶の脇にある小さな穴から、銀色の小さな金属板が現れる。
ムダイは迷うことなくカードを受け取ると、懐にしまう。そして、ラジン国側の門に体を向けた。
両手を重ねて前方へと突き出す。
「さあってと、僕の本気を見せてあげましょう」
口角をあげて、ムダイは不敵に笑う。
ゆっくりと門が開き、隙間から日の光が差し込んできた。
「先手必勝」
扉が開くと同時に、ムダイは魔法を放った。突き出された掌から、炎をまとった巨大鳥が飛び立つ。
赤い勇者は右の口角を、不敵に上げたのだった。
なんでもないことのように、魔法ギルド総帥はさらりと言い放つ。
要するに、登録するための検査などはなく、居合わせた魔法使いたちの総攻撃を受けて、生き残れば合格ということか。
「え? つまり、あの攻撃を受けたのは……」
ようやく思考が戻ってきた雪乃の体から、サアーっと樹液が引いた。
あれだけの攻撃を受けて無事でいられる存在など、ノムル以外に考えられなかった。
あわあわと慌てて小さな門に駆け寄ろうとする雪乃だが、障壁が邪魔をして近付くことができない。
「カイさんっ!」
雪乃は優しい狼獣人の名前を、叫ぶように呼ぶ。
ノムルの攻撃を受けても生きているムダイならば無事かもしれないが、カイは普通の人だ。
あの攻撃で、無傷とは思えなかった。最悪の事態さえ想像できる。
「ノムルさん、障壁を解除してください!」
振り向いた雪乃は、ノムルに訴える。その隣で、ようやく脳が機能を再開したらしきローズマリナは、ふっと意識を失って倒れた。
「ローズマリナさん?!」
カイの身も心配だが、雪乃はとっさにローズマリナに飛びついた。
失神して倒れた場合、頭部を強く打つことが多い。魔力を流し、脳に異常が無いことを確かめる。
「大丈夫だよ、ユキノちゃん」
不満そうにしかめた顔を横に向けたノムルは、顎をしゃくって門からラジン国に百メートルほど入った位置を指した。
雪乃はバネ仕掛けのように振り返る。
地面から円柱状の光が立ち上り、その中に左手と片膝を地面に突いたカイがいた。
黒いローブはぼろぼろになり、血や火傷まみれになっているが、生きている。手足の欠損もなく、雪乃の魔力で治せる程度だ。
ローブが破れたり燃えたりしている上半身は、ほとんど裸になっていだが、なぜかフード部分とズボンは残っており、獣人の姿をさらすことはなかった。
「余計な騒動は避けたいからね。狼の正体が露見しないように、フードとズボンにだけ、強化魔法を掛けておいてあげたよ。おとーさん偉いー?」
ほめてーとばかりに雪乃に笑いかけるノムルだが、雪乃は怒りでふるふると震えていた。
常識が通じないことは理解している。しかし限度というものがある。
「偉くありません! カイさんに何かあったら、どうするんですか?!」
「え? ユキノちゃん? 大丈夫だよ? あいつなら、このくらいじゃ死なないって」
戸惑いに笑顔を消して、ノムルは雪乃を呆然と見つめる。
立ち上がった雪乃はノムル近付くと、草色のローブを握り、額を寄せた。
「怪我をしたら痛いでしょう? 誰かを失ったら、心が切り裂かれるように痛くて辛いでしょう?」
ノムルに悪意がなかったことを、雪乃は知っている。
自分の体を平気で傷付けるノムルだ。他人の傷に対しても、何も感じられないのかもしれない。
幼い頃から愛されることもなく、傷付けられ続けてきた彼は、痛みを感じる心を封じることで生き延びてきたのだろう。
かつての雪乃と同じように。
「もっと自分のことも、他の人のことも、大切にしてください」
雪乃はノムルから離れると、カイのほうへと向き直る。
試練に耐えたカイは、重傷を負いながらも、攻撃してきた魔法使いたちから話しかけられ、治癒魔法を施されていた。
だがこの場にいる魔法使いの治癒魔法では、深手までは癒しきれていない。
「ノムルさん、障壁を解いてください。カイさんの傷を癒してきます」
「あ、ああ」
上の空で答えたノムルは、杖を指先で撫で、障壁を解除する。
「ローズマリナさんをお願いします」
「ああ」
答えたノムルに振り返ることもなく、雪乃はカイの元へと急ぐ。
「カイさん!」
駆け寄ってくる小さな樹人に、カイは笑みをこぼす。
片膝を付いて身を屈めたカイの胸に、雪乃は飛び込んだ。
「すぐに治します」
「ありがとう。怖い目に合わせてしまったようだな。大丈夫だ」
小さく震えながら、涙声になっている小さな樹人の頭や幹を、カイはなぐさめるように撫でる。
雪乃は震える体を葉を食いしばって抑えると、治癒の魔法を発動させた。
「凄い」
「これだけの傷が一瞬で?」
雪乃の魔法を目の辺りにした魔法使いたちは、驚嘆の声を漏らす。そしてノムルをちらちらと伺った。
「さすがノムル様の娘様」
「ああ。素晴らしい治癒魔法の使い手だ」
カイの治療を終えるなり、再びしがみ付いて動けなくなっている雪乃を抱き上げて、カイはノムルのところに向かう。
「助かりました。ノムル殿の魔法がなければ、耳や尻尾が顕わになっていたでしょう」
「ああ」
丁寧に頭を下げるカイに、ノムルは虚ろな様子で頷いた。
二人の会話を狼の耳で聞いていたカイだが、何も問わずに門へと向き直る。
次はムダイの番だ。
国境の外では、カイが入ってから閉まっていた門が、再び開いた。
白い歯を見せて笑みを浮かべたムダイは、右の拳を左の掌で握り、指を鳴らす。
自信みなぎる赤い男は、泰然とした足取りで一つめの門を潜った。二メートル四方ほどの空間に進むと、入ってきた門が閉まる。
「ギルドカードを発行いたします。魔水晶に手をかざし、魔力を注入してください」
右側の壁に開いていた穴には、透明な水晶球が設置されていた。
女性の声に従って、ムダイは魔水晶に手をかざし、魔力を注ぐ。透明だった魔水晶は、赤く染まっていく。
「認識が終了しました。カードを発行します。カードを受け取ると、十秒後に扉が開きます。攻撃を防ぎ、町に設置されている魔法陣まで進んでください。負傷者が出ても罪に問われることはありませんので、ご安心ください」
水晶の脇にある小さな穴から、銀色の小さな金属板が現れる。
ムダイは迷うことなくカードを受け取ると、懐にしまう。そして、ラジン国側の門に体を向けた。
両手を重ねて前方へと突き出す。
「さあってと、僕の本気を見せてあげましょう」
口角をあげて、ムダイは不敵に笑う。
ゆっくりと門が開き、隙間から日の光が差し込んできた。
「先手必勝」
扉が開くと同時に、ムダイは魔法を放った。突き出された掌から、炎をまとった巨大鳥が飛び立つ。
赤い勇者は右の口角を、不敵に上げたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる