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旅路編
256.その姿と派手な鳥に
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二度目に開いた扉から、勢い良く飛び出してきた巨大な炎の鳥。
魔法使いたちはすぐさま障壁を展開する。防御魔法が苦手な者は、背を向けて逃げ出したり、身を伏せた。
だが炎の鳥は、両翼を広げると三メートルを超える巨体を持ち、かわしきれない者もいた。その上、一度は避けても、すぐに急旋回して再び襲ってくる。
逃げ惑う魔法使いたち。
「雪乃、見てみろ」
カイに声を掛けられ、雪乃は顔を上げた。
意識を取り戻したローズマリナも、門の方を見て目を瞠る。
「なんと、火の鳥です」
「一晩でこれほどの魔法を使えるようになるなんて。Sランク冒険者は凄いわね」
雪乃とローズマリナは感嘆の声を漏らす。
だがしかし、カイとノムルは決して褒めはしなかった。
ノムルのほうは、まだ気が抜けていたのもあるだろう。ちらりと見ただけで興味を失っている。
魔法使いたちも、違和感に気付く。
「熱くない」
「え? なんだ、これ?」
逃れ切れなかった魔法使いたちは、炎の鳥に触れたはずの部位を確かめる。火傷どころか、全く痛みを感じない。
彼らの視線は、ゆっくりと小さな門の前に立つ、赤い男に向かっていく。
自信に溢れた余裕の笑みを浮かべ、堂々とした態度で立つ赤い男。その姿と派手な鳥に、どうやら騙されていたらしいと魔法使いたちは気付いた。
ゆらりと、魔法使いたちは立ち上がっていく。
額に青筋を浮かべ、片方の口角を上げてニヒルに笑み、ぎらりと目を光らせた。
「ふざけやがって」
自身が放てる最大の攻撃魔法に、持てる魔力を全て注ぎ込んでいく。詠唱を必要とする者が呪言を唱え終わるまで待ち、一斉に魔法を放った。
激しい爆発音が、国境を揺るがす。
ようやく正気を取り戻したはずの雪乃とローズマリナは、再び硬直した。
ノムルが張ってくれた障壁で、雪乃たちには全く被害は無い。しかし目の前で展開された光景は、先ほどよりも酷い。
さすがのムダイも、無事なのか疑ってしまうレベルだ。ノムルの魔法のほうが酷いはずなので、きっと無事だろうと、雪乃は思い込もうと必死だ。
「ああ……」
くらりと、ローズマリナは目を閉じた。
「ローズマリナさん?!」
カイが支えてくれたお蔭で、今度は地面に頭をぶつけることは免れたようだが、彼女は再び意識を失ってしまった。
「ムダイ殿はいったい、何を考えているのだ?」
頭上から聞こえてきた言葉に、雪乃は顔を上向ける。不思議そうに見つめる雪乃に、カイは説明する。
「彼が放った魔法は、火魔法ではない。あれは幻影魔法だ。威嚇や目眩ましとして使えば、充分な効果があるだろうが、この状況では逆効果だ」
視界を覆う砂塵が、ようやく落ち着いてきた。
「くっくくく。嗚呼、ノムルさん以外にも、戦える相手がいたんだ。嬉しいなあ」
砂塵の奥から這い出てきた、狂気に満ちた喜悦の声に、その場にいた者はぞくりと身震いする。
雪乃やカイまでも顔を青ざめさせた。意識するより先に、声の主へと視線が向かう。
「さあ、楽しませてくださいよ?」
目をギラギラと輝かせてニタリと愉悦の笑みを浮かべた戦闘狂が、砂煙の中から飛び出す。
勇者ムダイは、悪魔ムダイに堕天していた。
「想像はしていましたが、さすがムダイさんです。ご無事で何より……と言って良いのでしょうか?」
その日、コダイ国へと抜けるラジン国側の国境は、阿鼻叫喚の地獄絵図と化していたという。
「結局、魔法は関係ありませんでしたね」
呆れながらも、雪乃は傷付いた魔法使いを治療して回っている
意識を取り戻したローズマリナも、雪乃には及ばないながらも、治癒魔法を使い手当てを手伝う。
「力技でいけば良かったのか。心配して損したな。でもごめんよ、つい興奮しちゃって」
爽やかな笑顔で魔法使いたちに謝罪する、赤い男。
仕出かした所業は、決して爽やかではなかった。彼の周囲には、ぼろぼろの魔法使いたちが転がっている。
「非魔法使いは奴隷落ちとか、差別が激しいって聞いてたから、ラジン国に入ったら奴隷だらけなのかと思ってたけど、そうでもないんだね」
怪我を負わせた魔法使いたちに謝罪して回りながら、ムダイは辺りの様子をきょろきょろと見回す。
その様子に、魔法使いたちは苦く笑う。
「迫害されるのは事実だな。アラージ時代からいた魔法使いたちのほとんどが、非魔法使いを嫌ってる。けどそういう人たちは、非魔法使いと関わることさえ嫌がって、奴隷といえども近づけない」
「そもそも魔法も使えないのに、この国に入ろうなんて馬鹿、いないだろう?」
言われてみればそのとおりかと、ムダイは頷く。
自ら進んで奴隷落ちする人間はいない。奴隷になる危険を冒してまでラジン国への入国を望むものなど、よほどの酔狂者だろう。
「だったら周知すれば良いのに。こんな噂が広まってたら、イメージダウンも良いところでしょう?」
ムダイが問えば、魔法使いたちは深刻な表情で首を横に振った。
「年寄りたちの中には、非魔法使いを見ると怯える人も多い。他の国で酷い扱いを受けて、逃げ込んできた連中もいる。ラジンは魔法使いが安心して暮らすための、避難所みたいな国なのさ」
と、魔法使いの男はムダイの持つギルドカードを、顎をしゃくって示す。
「このことを外に漏らすと、ギルドカードが消滅するだけでなく、魔法ギルドに登録されているギルドカード全てに罪状と名前が浮き出るから、気をつけろよ。世界中の魔法使いを敵に回すことになる」
ごくりと、ムダイは咽を鳴らした。それからちらりとノムルを見やる。
「ここで聞かなかったら、絶対に教えてくれなかったよね? 他に気を付けることはありますか?」
小さな声で毒づいた後、営業スマイルでムダイは情報収集を始めた。
フードに隠れたカイの耳が、ぴくぴくと動いている。彼もまた、ノムルからは決して得られないであろう、魔法ギルドのルールを求めているようだ。
「しっかし、あっちの扉から入ってくるやつなんて、何年ぶりだ? 余程の魔法使いか身の程知らずだと思って、つい本気になっちまった」
「そもそもあの扉は、この国の誰とも繋がりの無い人間が、ラジンの民を脅して侵入しようとするのを防ぐための、囮みたいなものだからな」
魔法使いたちはげらげらと笑い声を上げる。
ムダイとカイは、あ然として言葉を失った。視線は当然、ノムルへと向かう。
彼の魔法使いは珍しく肩を落として項垂れているようだが、気遣う気持ちは生まれない。
「嫌がらせだったの? ええ?」
「あきらめろ」
情けない声を上げるムダイの肩に、カイがなぐさめるように手を置く。
カイはいつの間にか、ぼろぼろになった服とローブを着替えていた。
魔法使いたちはすぐさま障壁を展開する。防御魔法が苦手な者は、背を向けて逃げ出したり、身を伏せた。
だが炎の鳥は、両翼を広げると三メートルを超える巨体を持ち、かわしきれない者もいた。その上、一度は避けても、すぐに急旋回して再び襲ってくる。
逃げ惑う魔法使いたち。
「雪乃、見てみろ」
カイに声を掛けられ、雪乃は顔を上げた。
意識を取り戻したローズマリナも、門の方を見て目を瞠る。
「なんと、火の鳥です」
「一晩でこれほどの魔法を使えるようになるなんて。Sランク冒険者は凄いわね」
雪乃とローズマリナは感嘆の声を漏らす。
だがしかし、カイとノムルは決して褒めはしなかった。
ノムルのほうは、まだ気が抜けていたのもあるだろう。ちらりと見ただけで興味を失っている。
魔法使いたちも、違和感に気付く。
「熱くない」
「え? なんだ、これ?」
逃れ切れなかった魔法使いたちは、炎の鳥に触れたはずの部位を確かめる。火傷どころか、全く痛みを感じない。
彼らの視線は、ゆっくりと小さな門の前に立つ、赤い男に向かっていく。
自信に溢れた余裕の笑みを浮かべ、堂々とした態度で立つ赤い男。その姿と派手な鳥に、どうやら騙されていたらしいと魔法使いたちは気付いた。
ゆらりと、魔法使いたちは立ち上がっていく。
額に青筋を浮かべ、片方の口角を上げてニヒルに笑み、ぎらりと目を光らせた。
「ふざけやがって」
自身が放てる最大の攻撃魔法に、持てる魔力を全て注ぎ込んでいく。詠唱を必要とする者が呪言を唱え終わるまで待ち、一斉に魔法を放った。
激しい爆発音が、国境を揺るがす。
ようやく正気を取り戻したはずの雪乃とローズマリナは、再び硬直した。
ノムルが張ってくれた障壁で、雪乃たちには全く被害は無い。しかし目の前で展開された光景は、先ほどよりも酷い。
さすがのムダイも、無事なのか疑ってしまうレベルだ。ノムルの魔法のほうが酷いはずなので、きっと無事だろうと、雪乃は思い込もうと必死だ。
「ああ……」
くらりと、ローズマリナは目を閉じた。
「ローズマリナさん?!」
カイが支えてくれたお蔭で、今度は地面に頭をぶつけることは免れたようだが、彼女は再び意識を失ってしまった。
「ムダイ殿はいったい、何を考えているのだ?」
頭上から聞こえてきた言葉に、雪乃は顔を上向ける。不思議そうに見つめる雪乃に、カイは説明する。
「彼が放った魔法は、火魔法ではない。あれは幻影魔法だ。威嚇や目眩ましとして使えば、充分な効果があるだろうが、この状況では逆効果だ」
視界を覆う砂塵が、ようやく落ち着いてきた。
「くっくくく。嗚呼、ノムルさん以外にも、戦える相手がいたんだ。嬉しいなあ」
砂塵の奥から這い出てきた、狂気に満ちた喜悦の声に、その場にいた者はぞくりと身震いする。
雪乃やカイまでも顔を青ざめさせた。意識するより先に、声の主へと視線が向かう。
「さあ、楽しませてくださいよ?」
目をギラギラと輝かせてニタリと愉悦の笑みを浮かべた戦闘狂が、砂煙の中から飛び出す。
勇者ムダイは、悪魔ムダイに堕天していた。
「想像はしていましたが、さすがムダイさんです。ご無事で何より……と言って良いのでしょうか?」
その日、コダイ国へと抜けるラジン国側の国境は、阿鼻叫喚の地獄絵図と化していたという。
「結局、魔法は関係ありませんでしたね」
呆れながらも、雪乃は傷付いた魔法使いを治療して回っている
意識を取り戻したローズマリナも、雪乃には及ばないながらも、治癒魔法を使い手当てを手伝う。
「力技でいけば良かったのか。心配して損したな。でもごめんよ、つい興奮しちゃって」
爽やかな笑顔で魔法使いたちに謝罪する、赤い男。
仕出かした所業は、決して爽やかではなかった。彼の周囲には、ぼろぼろの魔法使いたちが転がっている。
「非魔法使いは奴隷落ちとか、差別が激しいって聞いてたから、ラジン国に入ったら奴隷だらけなのかと思ってたけど、そうでもないんだね」
怪我を負わせた魔法使いたちに謝罪して回りながら、ムダイは辺りの様子をきょろきょろと見回す。
その様子に、魔法使いたちは苦く笑う。
「迫害されるのは事実だな。アラージ時代からいた魔法使いたちのほとんどが、非魔法使いを嫌ってる。けどそういう人たちは、非魔法使いと関わることさえ嫌がって、奴隷といえども近づけない」
「そもそも魔法も使えないのに、この国に入ろうなんて馬鹿、いないだろう?」
言われてみればそのとおりかと、ムダイは頷く。
自ら進んで奴隷落ちする人間はいない。奴隷になる危険を冒してまでラジン国への入国を望むものなど、よほどの酔狂者だろう。
「だったら周知すれば良いのに。こんな噂が広まってたら、イメージダウンも良いところでしょう?」
ムダイが問えば、魔法使いたちは深刻な表情で首を横に振った。
「年寄りたちの中には、非魔法使いを見ると怯える人も多い。他の国で酷い扱いを受けて、逃げ込んできた連中もいる。ラジンは魔法使いが安心して暮らすための、避難所みたいな国なのさ」
と、魔法使いの男はムダイの持つギルドカードを、顎をしゃくって示す。
「このことを外に漏らすと、ギルドカードが消滅するだけでなく、魔法ギルドに登録されているギルドカード全てに罪状と名前が浮き出るから、気をつけろよ。世界中の魔法使いを敵に回すことになる」
ごくりと、ムダイは咽を鳴らした。それからちらりとノムルを見やる。
「ここで聞かなかったら、絶対に教えてくれなかったよね? 他に気を付けることはありますか?」
小さな声で毒づいた後、営業スマイルでムダイは情報収集を始めた。
フードに隠れたカイの耳が、ぴくぴくと動いている。彼もまた、ノムルからは決して得られないであろう、魔法ギルドのルールを求めているようだ。
「しっかし、あっちの扉から入ってくるやつなんて、何年ぶりだ? 余程の魔法使いか身の程知らずだと思って、つい本気になっちまった」
「そもそもあの扉は、この国の誰とも繋がりの無い人間が、ラジンの民を脅して侵入しようとするのを防ぐための、囮みたいなものだからな」
魔法使いたちはげらげらと笑い声を上げる。
ムダイとカイは、あ然として言葉を失った。視線は当然、ノムルへと向かう。
彼の魔法使いは珍しく肩を落として項垂れているようだが、気遣う気持ちは生まれない。
「嫌がらせだったの? ええ?」
「あきらめろ」
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