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沖縄沖の鎮魂歌
艦隊決戦
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「敵艦隊、全艦目視確認!」
大和第一艦橋に、見張り員の確かな声が響き渡る。
闇の向こうに、無数の巨大な影が、まるで幽霊船団のように浮かび上がっていた。
それは、デヨ少将が指揮する米戦艦部隊
アイダホ、ニューメキシコ、テネシー、ウェストバージニア
メリーランド、コロラドという、歴戦の艦艇群だった。
「取舵一杯! デヨ艦隊と同航戦に入る!」
伊藤長官の指示が飛ぶ。大和の巨体が、重々しい軋みを上げながら
ゆっくりと左舷へと旋回を開始した。それは
米艦隊と平行に航行し、互いの主砲を最大効率で運用するための
同航戦への移行だった。これにより、両艦隊は横並びになり
互いに全主砲を相手に向け、砲撃戦を繰り広げることになる。
艦隊全体が、大和の動きに合わせて一斉に針路を変更していく。
闇の中、巨艦たちが繰り広げるその動きは
まるで巨大な舞踏のようであり、
同時に、死を予感させる不気味さを孕んでいた。
「主砲右砲戦85度! 仰角20度! 弾種徹甲! 目標一番艦集中! 用意!」
第一艦橋の主砲指揮官が、怒号にも似た声で指示を出す。
大和の9門の46cm主砲が、軋むような音を立てて右舷へと旋回し
その巨大な砲身を、米艦隊の先頭を進む旗艦、USSニューメキシコへと向けた。
「主砲装填よし! 交互撃ち方始め! てっ!」
指揮官の最後の号令と共に、大和の主砲が
まず前部、次いで後部の砲塔から、轟音と閃光を放った。
それは、まるで雷鳴が轟き、稲妻が走るかのようだった。
1.5トンもの九一式徹甲弾が、すさまじい勢いで砲口から吐き出され
夜空に描かれた放物線を描いて、目標のニューメキシコへと向かって飛翔していく。
第一艦橋の将兵たちは、その弾道を息を呑んで見守った。
砲戦は、初弾の命中が極めて重要だ。
「弾着……今!」
砲弾が海面に落下した衝撃で、巨大な水柱がいくつも上がった。
しかし、そこに命中弾を示す閃光はなかった。
「全弾遠弾!」
観測員の声が、無情にも響き渡る。砲弾は、目標を越えて着弾したのだ。
「主砲下げ3! 撃て!」
主砲指揮官は、即座に修正指示を出し、次弾が放たれる。
このような試射と修正が、4回ほど繰り返された。
その間も、大和は、巨体を揺らしながら航行を続けていた。
そして、4回目の射撃を終えた頃、ついに米艦隊からも反撃の砲弾が飛来してきた。
夜空に、日本の主砲とは異なる
米戦艦の14インチ砲や16インチ砲の発射炎が閃光を放ち
その後に続く轟音が響き渡る。
キィィィン……ドォォォォォォン!!
「至近弾多数! 全弾近弾12! 命中なし!」
観測員の声が、緊張を孕んで響いた。大和の周囲に
巨大な水柱がいくつも上がった。至近弾の衝撃が艦体を揺るがし
甲板を海水が洗い流す。しかし、幸いにも命中弾はなかった。
「次弾装填よし! てっ!」
主砲指揮官の声が、再び響き渡る。
両艦隊の砲撃戦は、一進一退の攻防を繰り広げていた。
その間、軽巡洋艦・矢矧を旗艦とする第二水雷戦隊は
米艦隊への突撃を開始していた。彼らは、大和の援護を受けながら
魚雷による決定的な一撃を与えるべく、敵艦隊の懐深くまで突入する覚悟だった。
矢矧が率いる水雷戦隊は、総勢20隻以上にも及ぶ大部隊だった。
第7駆逐隊:潮、響
第17駆逐隊:磯風、浜風、雪風
第21駆逐隊:初霜、朝霜、霞
第41駆逐隊:冬月、涼月
第31戦隊:花月、宵月、夏月
第43駆逐隊:竹、槇、桐、榧
第52駆逐隊:杉、樅、樫、檜、楓、萩、梨
「魚雷戦用意! 最大戦速で突入せよ!」
矢矧艦長の声が、各駆逐艦に響き渡る。
駆逐艦隊は、波を蹴立てて猛然と突進していく。
彼らは、敵駆逐艦の5インチ砲と、戦艦の副砲、巡洋艦の主砲が放つ弾幕の中を
突破しなければならない。彼らの任務は
敵艦の砲火を引きつけ、大和の主砲戦を有利に進め
そして、魚雷による致命的な一撃を放つことだった。
一方、日本の空母部隊の直掩には、以下の艦艇が当たっていた。
彼らは、ミッチャー中将が残した航空戦力からの最後の攻撃に備え
空母を護衛する任務に就いていた。
第11水雷戦隊:軽巡洋艦 酒匂
第53駆逐隊:桜、楢、椿、欅、柳、橘
直属駆逐艦:柿、椎、梨、榎、楠
彼らは、静かに後方に位置し、空母部隊を厳重に警戒していた。
砲戦開始から約10分が経過した
午前4時40分頃。大和の主砲は、6回目の斉射を行った。
「次弾装填よし! てっ!」
轟音と共に、大和の巨砲から、徹甲弾が再び夜空を切り裂いていく。
夜空に描かれた放物線は、今度こそ、その目標を捉えるかのように見えた。
「弾着……今!」
観測員の興奮した声が響き渡った、まさにその瞬間だった。
ニューメキシコの艦橋基部、水柱と共にパッと赤い閃光が走る
「命中確認! 敵一番艦、艦橋基部に命中弾1発!火災発生!」
第一艦橋に、歓喜の咆哮が響き渡った。待ちに待った命中弾!
それも、敵艦隊の旗艦、ニューメキシコの艦橋基部という
最も重要な箇所への直撃だった。命中弾の衝撃と
それに伴う火災が、暗闇の中でくっきりと視認できた。
世界最後の艦隊決戦は、日本側が初手を取った!
この一撃は、日本の将兵たちの士気を最高潮に高めた。
大和の巨砲は、その威力を遺憾なく発揮し
まさにその存在意義を示したのだ。しかし
これはまだ、壮絶な砲撃戦の序章に過ぎなかった。
夜明け前の沖縄の海は、これから血と炎で染まる、最後の激戦の舞台となるだろう。
大和第一艦橋に、見張り員の確かな声が響き渡る。
闇の向こうに、無数の巨大な影が、まるで幽霊船団のように浮かび上がっていた。
それは、デヨ少将が指揮する米戦艦部隊
アイダホ、ニューメキシコ、テネシー、ウェストバージニア
メリーランド、コロラドという、歴戦の艦艇群だった。
「取舵一杯! デヨ艦隊と同航戦に入る!」
伊藤長官の指示が飛ぶ。大和の巨体が、重々しい軋みを上げながら
ゆっくりと左舷へと旋回を開始した。それは
米艦隊と平行に航行し、互いの主砲を最大効率で運用するための
同航戦への移行だった。これにより、両艦隊は横並びになり
互いに全主砲を相手に向け、砲撃戦を繰り広げることになる。
艦隊全体が、大和の動きに合わせて一斉に針路を変更していく。
闇の中、巨艦たちが繰り広げるその動きは
まるで巨大な舞踏のようであり、
同時に、死を予感させる不気味さを孕んでいた。
「主砲右砲戦85度! 仰角20度! 弾種徹甲! 目標一番艦集中! 用意!」
第一艦橋の主砲指揮官が、怒号にも似た声で指示を出す。
大和の9門の46cm主砲が、軋むような音を立てて右舷へと旋回し
その巨大な砲身を、米艦隊の先頭を進む旗艦、USSニューメキシコへと向けた。
「主砲装填よし! 交互撃ち方始め! てっ!」
指揮官の最後の号令と共に、大和の主砲が
まず前部、次いで後部の砲塔から、轟音と閃光を放った。
それは、まるで雷鳴が轟き、稲妻が走るかのようだった。
1.5トンもの九一式徹甲弾が、すさまじい勢いで砲口から吐き出され
夜空に描かれた放物線を描いて、目標のニューメキシコへと向かって飛翔していく。
第一艦橋の将兵たちは、その弾道を息を呑んで見守った。
砲戦は、初弾の命中が極めて重要だ。
「弾着……今!」
砲弾が海面に落下した衝撃で、巨大な水柱がいくつも上がった。
しかし、そこに命中弾を示す閃光はなかった。
「全弾遠弾!」
観測員の声が、無情にも響き渡る。砲弾は、目標を越えて着弾したのだ。
「主砲下げ3! 撃て!」
主砲指揮官は、即座に修正指示を出し、次弾が放たれる。
このような試射と修正が、4回ほど繰り返された。
その間も、大和は、巨体を揺らしながら航行を続けていた。
そして、4回目の射撃を終えた頃、ついに米艦隊からも反撃の砲弾が飛来してきた。
夜空に、日本の主砲とは異なる
米戦艦の14インチ砲や16インチ砲の発射炎が閃光を放ち
その後に続く轟音が響き渡る。
キィィィン……ドォォォォォォン!!
「至近弾多数! 全弾近弾12! 命中なし!」
観測員の声が、緊張を孕んで響いた。大和の周囲に
巨大な水柱がいくつも上がった。至近弾の衝撃が艦体を揺るがし
甲板を海水が洗い流す。しかし、幸いにも命中弾はなかった。
「次弾装填よし! てっ!」
主砲指揮官の声が、再び響き渡る。
両艦隊の砲撃戦は、一進一退の攻防を繰り広げていた。
その間、軽巡洋艦・矢矧を旗艦とする第二水雷戦隊は
米艦隊への突撃を開始していた。彼らは、大和の援護を受けながら
魚雷による決定的な一撃を与えるべく、敵艦隊の懐深くまで突入する覚悟だった。
矢矧が率いる水雷戦隊は、総勢20隻以上にも及ぶ大部隊だった。
第7駆逐隊:潮、響
第17駆逐隊:磯風、浜風、雪風
第21駆逐隊:初霜、朝霜、霞
第41駆逐隊:冬月、涼月
第31戦隊:花月、宵月、夏月
第43駆逐隊:竹、槇、桐、榧
第52駆逐隊:杉、樅、樫、檜、楓、萩、梨
「魚雷戦用意! 最大戦速で突入せよ!」
矢矧艦長の声が、各駆逐艦に響き渡る。
駆逐艦隊は、波を蹴立てて猛然と突進していく。
彼らは、敵駆逐艦の5インチ砲と、戦艦の副砲、巡洋艦の主砲が放つ弾幕の中を
突破しなければならない。彼らの任務は
敵艦の砲火を引きつけ、大和の主砲戦を有利に進め
そして、魚雷による致命的な一撃を放つことだった。
一方、日本の空母部隊の直掩には、以下の艦艇が当たっていた。
彼らは、ミッチャー中将が残した航空戦力からの最後の攻撃に備え
空母を護衛する任務に就いていた。
第11水雷戦隊:軽巡洋艦 酒匂
第53駆逐隊:桜、楢、椿、欅、柳、橘
直属駆逐艦:柿、椎、梨、榎、楠
彼らは、静かに後方に位置し、空母部隊を厳重に警戒していた。
砲戦開始から約10分が経過した
午前4時40分頃。大和の主砲は、6回目の斉射を行った。
「次弾装填よし! てっ!」
轟音と共に、大和の巨砲から、徹甲弾が再び夜空を切り裂いていく。
夜空に描かれた放物線は、今度こそ、その目標を捉えるかのように見えた。
「弾着……今!」
観測員の興奮した声が響き渡った、まさにその瞬間だった。
ニューメキシコの艦橋基部、水柱と共にパッと赤い閃光が走る
「命中確認! 敵一番艦、艦橋基部に命中弾1発!火災発生!」
第一艦橋に、歓喜の咆哮が響き渡った。待ちに待った命中弾!
それも、敵艦隊の旗艦、ニューメキシコの艦橋基部という
最も重要な箇所への直撃だった。命中弾の衝撃と
それに伴う火災が、暗闇の中でくっきりと視認できた。
世界最後の艦隊決戦は、日本側が初手を取った!
この一撃は、日本の将兵たちの士気を最高潮に高めた。
大和の巨砲は、その威力を遺憾なく発揮し
まさにその存在意義を示したのだ。しかし
これはまだ、壮絶な砲撃戦の序章に過ぎなかった。
夜明け前の沖縄の海は、これから血と炎で染まる、最後の激戦の舞台となるだろう。
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