炎の魔獣召喚士

平岡春太

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最終章 戦いの果てに

 第十一話 強烈な一撃

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 炎帝が並んで飛ぶ氷帝に体当たりし、氷帝は弾き飛ばされる。更にバランスを崩したアインベルクが頭上から落ちてしまった。

「アインベルク様!」

 主を救いに氷帝が直ぐにその後を追う。  

「あの分だと大丈夫よね。でも、自我を呼び醒ますってどうしたら……」

 とりあえず拳で叩いてみる。

「パル、聞こえる! 聞こえたら答えなさい!! じゃないとあんたを殺さないといけなくなるのよ!!」

 何度となくたたいたり、呼びかけたりするも、望む返事はなく、相変わらずフラムを振り落とそうと暴れ廻る。

「やっぱりダメか。このままじゃあ、本当に殺さなきゃあいけなくなるって言うのに……」

 何とかしたいと言う気だけが焦ってまるでいい案が出ない。

「いくら考えても無駄か。だったら一か八かよ」

 フラムは片手で何とかしがみつきつつ、剣を一本だけ鞘から抜き放った。

「この剣で一刺ししたぐらいでは死なないわよね」

 風圧に飛ばされそうになりつつも、剣で炎帝の頭に一刺しいれてみた。
 ドラゴンスレイヤーともあって、その剣が炎帝の頭に少し吸い込まれた刹那、上昇していた炎帝の動きが止まった。

「効いた?」

 考えも浅く、悲痛な声が上がると共に今度はその場で激しく暴れ出した。

「ちょ! ちょ! ちょっと!! これじゃあさっきより酷いわよ!!」

 怒りと言う火に油を注いだ形になり、何とか振り落とされないようにバランスを取る。

「いい加減にしなさいよ!」

 もう一発喰らわせてやろうかとフラムがバランスを取りつつ剣の切っ鋒を炎帝にむけるが、近付いて来る何かに気付いてその手が止まる。

「あれは…………シャルロア!?」

 一匹のサウロンが飛翔して近付いて来る。
 その背中にはシャルロアの姿があった。

「何してんのよ、あの子は? こんな所に来ても何も出来ないでしょうに。私が言えた義理でもないけど。シャ━━とっ!!」

 追い返そうと大声を上げようとするも、炎帝が暴れてバランスを崩し、それを許さない。
 それを知ってか知らずか更に近付いて来るサウロンに乗るシャルロアは不安気だ。

「本当に宜しいのですか?」

 訊ね掛ける相手は胸元に抱くオロドーアだ。
 答えるように何かを騒いでいる。

「どうなっても知りませんよ」
 尚も騒ぎ続けるオロドーアに、苦い顔のシャルロアの口からは溜息が洩れる。
 暴れている事もあって、炎帝は気付いているのかいないのか、サウロンは攻撃を受ける事なく近付いて行く。
 ある程度近付いた所で、シャルロアはオロドーアを持ち替えて大きく振り被る。

「それじゃあ行きますよ。せーの!!」

 思いっ切り振り抜いたシャルロアの手を放れたオロドーアが、炎帝に向かって投げられた。
 廻転しないようにバランスを取りつつ飛んで行くオロドーアは、図られた如く炎帝の顔に向かって行く。
 安定した所で右腕をグルグルと廻し、身を捩って突き出した右拳が炎帝の眉間に直撃した瞬間、今まで苦しむように暴れていた炎帝の動きが止まった。

「まさか、今のが効いたの?」

 してやったりとニンマリと笑みを見せたオロドーアの体がそのまま下に落下して行く。
 それに合わせて、再び炎帝が動き出し、その場で廻転した尻尾がオロドーアに直撃した。
 オロドーアは軽々と飛ばされて、一瞬にして見えなくなってしまった。

「あ、行っちゃった……」

 呆然と見送ったフラムと同じく呆気にとられたシャルロアだが、その顔は一瞬にして憤怒に染まり、サウロンを巡らせる。
 向かう先には、炎帝が居る。
 臆する事なく猛然と炎帝に迫ったシャルロアは、錫杖を振り被る。

「いい加減に……しなさ━━━━━━━━い!!!!」

 振り抜いた錫杖が炎帝の顔に直撃し、激しい打撃音が辺りに響き渡る。
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