炎の魔獣召喚士

平岡春太

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最終章 戦いの果てに

 第十三話 形勢逆転

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「どうした? 逃げてばかりでは助けには行けんぞ」

 地帝が時より飛ばして来る大岩を軽々と躱しつつ、雷帝は風帝がフラム達の元に行けないように激しい雷撃の攻撃を仕掛けていた。

「誰が逃げていると?」

 風帝が急停止した。

「勘違いをしているな。お前の方こそ、引き付けられていたとは思わなかったのか?」

 雷帝も少し遅れて停止する。

「引き付けられていた。何の強がり━━うっ!?」

 突然襲った激しい揺れに、ケイハルトは雷帝から落ちないように踏ん張りつつ、視線を落とした。
 揺れの原因は、下方から急上昇して来た炎帝の体当たりであった。

「炎帝だと!? まさか!」

 炎帝の頭上に居るフラムが、雷帝の頭上に飛び移る。
 二本で一対のヴァイトの本来の姿でケイハルトに斬り掛かる。
 不意を突かれつつもケイハルトも剣で捌いてみせる。更に刃がスパークし、ヴァイトに電撃を流し込もうとするが、フラムも刃を岩の様なもので包み、電撃を遮断する。

「残念でした。こっちは特異質だから雷の力は通じないわよ」
「図に乗るなよ。ライディシュラーク!」

 雷帝の体がスパークするより早く、フラムはその頭上から飛び降りた。
 そこに図られたように炎帝が飛んで来て、フラムを攫ってそのまま雷帝から飛び離れて行く。
 気付けば雷帝の周りを風帝、氷帝、そして炎帝の三匹が取り囲んでいた。更には地上で地帝が睨みを利かせている。

「助けに行かずとも、何とかしてくれると私は元から信じていたからな」
「本当かどうか怪しいものですね」
「本当だ」
「こんな所でも喧嘩はするのね」

 呆れるフラムにケイハルトの鋭い視線が向けられる。

「まさか炎帝の自我が戻ったとわ。いや、それ以上にあんな小娘を炎帝が認めたと言うのか……?」
「随分と渋い顔だな、ケイハルトよ。さすがに炎帝まで加わっては強がりも言えまい」
「強がりだと?」

 ケイハルトの笑い声が響き渡る。

「そんなもの、一度たりとも言った覚えはないわ。せめて炎帝が居れば、と言ったまでよ。そうなればましな戦いが出来るだろうからな。お前達こそ、この雷帝を過小評価しているのではないか?」
「ならばどちらが正しいか、やってみればよい事の事ですよ」

 アインベルクがフラムに目配せすると、フラムは軽く頷いた。

「アオスヴォルカーノ!」

 炎帝の口から大きな火球が吐き出された。

「シュネーラヴィーデン!」

 ほぼ同時に氷帝も氷の塊を吐き出した。

「ぬるい!」

 かなりの速さの攻撃も、雷帝は軽々と躱してみせる。しかし、火球と氷の塊は図られたように衝突し、水蒸気爆発を起こし、爆風が雷帝に乗るケイハルトを襲う。

「これは!?」
「ウィンシュトルホーゼ!」

 風帝が吐き出した突風が雷帝の周りで渦を巻き、水蒸気爆発によって生じた霧を巻き込んで周りを包む。
 周りを霧に包まれた雷帝は視界を奪われた。

「これが狙いか……」

 渋い顔のケイハルトの目の前の霧の中から氷帝が突然現れ、冷気を吐き出す。
 咄嗟に躱したものの、雷帝の左半身近くが氷に包まれる。

「こんな物!」

 雷帝の体をスパークさせて直ぐに除去を試みるも、今度は後方から風帝が霧の中から現れ、体当たりして来た。
 衝撃で左半身を包んでいた氷は砕け散った。
 反転して反撃しようとするも、風帝の姿はなく、更に今度は頭上の霧の中から現れた炎帝が口から炎を吐く。
 これも間一髪逃れたが、飛び移って来たフラムがヴァイトで斬り掛かって来る。

「どうやらビエント様が言っていた事の方が正しかったようね」
「高々互角になった程度で図に乗るなよ、小娘が!」
「それじゃあこれはどうかしらね」

 斬り掛かって来たケイハルトの剣を躱すように雷帝の頭上から飛び降りたフラムを、見計らったように炎帝が攫ってその場を離れ飛んで行く。
 それを見送った直後に、下方の霧の中から大きな岩が突如現れ、雷帝に直撃した。
 当然地上に居る地帝が放ったものだが、霧がなければ簡単に躱せたそれが、霧によって不意を突かれてしまった。
 薄らいだ霧の中から大岩と共に飛び出した雷帝が、体をスパークさせて大岩を粉々に砕く。

「やってくれるな」
「休むには早いぞ」

 風帝の頭上に居るビエントが既に頭上で三叉戟を廻転させており、巻き起こった突風が雷帝を囲み、先程雷帝が砕いた大岩の破片を巻き込んでケイハルトに襲い掛かる。

「こんなもの効かぬと言っているだろうが!」

 ケイハルトも剣でその殆どを弾いてみせる。しかし、

「シュネーラヴィーデン!」
「アオスヴォルカーノ!」

 氷帝と炎帝が放った氷と炎の塊が風の渦に巻き込まれ、衝突することで再び水蒸気爆発を起こすと同時に霧が生まれ、また雷帝は霧の中に包まれてしまった。

「さて、一気に行くか」
「言われなくとも」
「またやってる……」

 フラムだけは苦笑いしつつ、三匹は霧の中に飛び込んで行った。
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