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最終章 戦いの果てに
第十四話 呼び起こされた過去
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霧の中の攻防は激しさを増した。
風帝、氷帝、そして炎帝とそれに乗るビエント、アインベルク、フラムが立ち代わり、または複数で突然霧の中から現れては襲い掛かる攻撃を、ケイハルトが何とか防ぐ形は変わらない。
更に、地上からいつまた先程の大岩が飛んで来るかが分からず、下方の注意を常に払わなければならない。
「いつまで持つかな?」
雷帝に乗り移って来たビエントの突きを、ケイハルトは上手く躱す。
「持つ? 何を馬鹿な。これで勝ったつもりか!」
雷帝が体をスパークさせるが、ビエントは咄嗟に飛び上がって三叉戟を廻転させて飛び離れ、それを風帝が攫って行く。
それに代わって炎帝と氷帝が霧の中から現れ、フラムとアインベルクが飛び移って来た。
フラムがヴァイトを廻転させて、アインベルクが錫杖の柄を使った棒術で、ケイハルトをじりじりと追い詰めて行く。
「いい加減諦めたらどうですか?」
「何をだ? 少し勘違いしているようだな」
「勘違い?」
「ライディシュラーク!」
雷帝が羽を前方で少し丸めて体を激しく廻転させ始めた。
フラムとアインベルク、そしてケイハルト自身も風圧に押されて飛んで行かないよう踏ん張る中、雷帝の廻転によって生じた突風が周りを囲む霧を霧散させた。
更に、廻転を止めた刹那に雷帝が体をスパークさせ、逃げる間もなくその電撃を受けたアインベルクが体を痺れさせ、雷帝の頭上から足を踏み外してしまった。
直ぐに氷帝が飛んで来て攫って行く。
「こんな霧、いつでも晴らせるわ。押されている振りでもすれば、隙も━━」
話の途中で振り返ったケイハルトの目も前には、ヴァイトで斬り掛かって来たフラムの姿があった。
寸前の所でケイハルトは剣を合わせる。
「どうしてお前は雷帝の雷撃を受けて平気なんだ? 逃げる隙はなかったはずだ」
「ちゃんと受けたわよ。でも残念ね。私は特異質なのよ。それなりには雷の耐性があるのよ」
「馬鹿を言え。例え純粋な雷の召喚士でも雷帝の雷撃を受ければアインベルクの様になってもしかり。それが、特異質の小娘に耐えられる訳がなかろう」
「出来ちゃったんだから仕方ないでしょう。大体何なのよ。さっきら小娘、小娘って。私にはちゃんと名前があんのよ。まあ、元はオヤジだから仕方ないのかもね」
「名前ごときで無気になることこそ子供そのもの。だからこそ小娘だと━━待て。名前……」
急にケイハルトが眉を顰める。
「確かヴァルカンがフラムと呼んでいたな」
「何だ。覚えてんじゃないのよ」
「いや違う。もっと前に聞いた気が……そうか!」
ケイハルトはフラムの剣を弾いて距離を取ると、今度は高笑いを始めた。
「急に何? 気でも触れたの?」
「お前を見た時、何か違和感を感じていたが、何故気付かなかったんだ。炎の魔獣召喚士であるヴァルカンがわざわざ特異質の人間を弟子にするとは違和感がある。そして、ヴァイトを振るう特異質の魔獣召喚士。そうなるはずであった人間が一人、そいつによく似ている。お前、エルベルトの娘だな」
一瞬驚いた顔をしたフラムだが、嫌な目をケイハルトに向ける。
「だったら何だって言うのよ?」
哄笑は更に続く。
「やはりな。あの時殺しそびれた赤子が、時を経て親の復讐に来たか。隠れて生きていればよいものを、わざわざ殺されにな」
「バカ言うんじゃないわよ! これ以上あんたに好き勝手にはさせない。私の方こそ引導を渡してあげるわ!」
再び斬り掛かるフラムの剣をケイハルトは軽々と剣で捌く。
「この程度の腕で私に引導を渡すだと? 片腹痛いわ。ただ、この剣が私の剣ではないのが残念だ。お前の両親を殺した剣でお前を殺せないのがな」
その言葉だけではなく、ケイハルトが浮かべるその笑みがフラムの怒りと言う火に油を注ぐ。
「その汚い口から斬り落としてあげるわよ!」
「憎いかこの私が! だろうな。縋るような顔で私を見ていたお前の母親に止めを刺したのだからな!」
「黙れ!!」
自ら気付かぬ内にフラムの口から冷気が洩れ、耳から炎が噴き出し、その身を風が纏い始めた。
それを見たケイハルトの顔が悪辣なる笑みに変わる。
風帝、氷帝、そして炎帝とそれに乗るビエント、アインベルク、フラムが立ち代わり、または複数で突然霧の中から現れては襲い掛かる攻撃を、ケイハルトが何とか防ぐ形は変わらない。
更に、地上からいつまた先程の大岩が飛んで来るかが分からず、下方の注意を常に払わなければならない。
「いつまで持つかな?」
雷帝に乗り移って来たビエントの突きを、ケイハルトは上手く躱す。
「持つ? 何を馬鹿な。これで勝ったつもりか!」
雷帝が体をスパークさせるが、ビエントは咄嗟に飛び上がって三叉戟を廻転させて飛び離れ、それを風帝が攫って行く。
それに代わって炎帝と氷帝が霧の中から現れ、フラムとアインベルクが飛び移って来た。
フラムがヴァイトを廻転させて、アインベルクが錫杖の柄を使った棒術で、ケイハルトをじりじりと追い詰めて行く。
「いい加減諦めたらどうですか?」
「何をだ? 少し勘違いしているようだな」
「勘違い?」
「ライディシュラーク!」
雷帝が羽を前方で少し丸めて体を激しく廻転させ始めた。
フラムとアインベルク、そしてケイハルト自身も風圧に押されて飛んで行かないよう踏ん張る中、雷帝の廻転によって生じた突風が周りを囲む霧を霧散させた。
更に、廻転を止めた刹那に雷帝が体をスパークさせ、逃げる間もなくその電撃を受けたアインベルクが体を痺れさせ、雷帝の頭上から足を踏み外してしまった。
直ぐに氷帝が飛んで来て攫って行く。
「こんな霧、いつでも晴らせるわ。押されている振りでもすれば、隙も━━」
話の途中で振り返ったケイハルトの目も前には、ヴァイトで斬り掛かって来たフラムの姿があった。
寸前の所でケイハルトは剣を合わせる。
「どうしてお前は雷帝の雷撃を受けて平気なんだ? 逃げる隙はなかったはずだ」
「ちゃんと受けたわよ。でも残念ね。私は特異質なのよ。それなりには雷の耐性があるのよ」
「馬鹿を言え。例え純粋な雷の召喚士でも雷帝の雷撃を受ければアインベルクの様になってもしかり。それが、特異質の小娘に耐えられる訳がなかろう」
「出来ちゃったんだから仕方ないでしょう。大体何なのよ。さっきら小娘、小娘って。私にはちゃんと名前があんのよ。まあ、元はオヤジだから仕方ないのかもね」
「名前ごときで無気になることこそ子供そのもの。だからこそ小娘だと━━待て。名前……」
急にケイハルトが眉を顰める。
「確かヴァルカンがフラムと呼んでいたな」
「何だ。覚えてんじゃないのよ」
「いや違う。もっと前に聞いた気が……そうか!」
ケイハルトはフラムの剣を弾いて距離を取ると、今度は高笑いを始めた。
「急に何? 気でも触れたの?」
「お前を見た時、何か違和感を感じていたが、何故気付かなかったんだ。炎の魔獣召喚士であるヴァルカンがわざわざ特異質の人間を弟子にするとは違和感がある。そして、ヴァイトを振るう特異質の魔獣召喚士。そうなるはずであった人間が一人、そいつによく似ている。お前、エルベルトの娘だな」
一瞬驚いた顔をしたフラムだが、嫌な目をケイハルトに向ける。
「だったら何だって言うのよ?」
哄笑は更に続く。
「やはりな。あの時殺しそびれた赤子が、時を経て親の復讐に来たか。隠れて生きていればよいものを、わざわざ殺されにな」
「バカ言うんじゃないわよ! これ以上あんたに好き勝手にはさせない。私の方こそ引導を渡してあげるわ!」
再び斬り掛かるフラムの剣をケイハルトは軽々と剣で捌く。
「この程度の腕で私に引導を渡すだと? 片腹痛いわ。ただ、この剣が私の剣ではないのが残念だ。お前の両親を殺した剣でお前を殺せないのがな」
その言葉だけではなく、ケイハルトが浮かべるその笑みがフラムの怒りと言う火に油を注ぐ。
「その汚い口から斬り落としてあげるわよ!」
「憎いかこの私が! だろうな。縋るような顔で私を見ていたお前の母親に止めを刺したのだからな!」
「黙れ!!」
自ら気付かぬ内にフラムの口から冷気が洩れ、耳から炎が噴き出し、その身を風が纏い始めた。
それを見たケイハルトの顔が悪辣なる笑みに変わる。
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