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第五章 交差する過去
第十五話 校外学習
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ダルメキアのほぼ中央に位置するフラーゴ国にある魔法大学校━━そこは、ダルメキア中から魔獣召喚士を夢見て多くの若者達が集う場所であった。
とある日、校外学習で出掛けた学校から少し離れた場所で、大事件が起こった。
ターガングと呼ばれている森の中にある開けた場所に、制服姿の二十名程が集まっていた。
「1-B、ちゃんと集まっているか?」
三人いる引率の教師の一人エテルベが、数を確認しつつ訊ねる。
「よし、居るみたいだな。じゃあ、今回の校外学習について説明するぞ。このターガングには数多くの野生化した魔獣が生息しているが、お前達が相手にならないような魔獣はいない事は確認している。そこで、二人一組となって指定した五属性の魔獣の内、一匹に操縛の印を施し、連れてくること」
生徒の中には、フラムとイグニア、そしてブレアと顔が瓜二つのクリスタの姿がある。ただ、フラムの肩にパルの姿はない。
「絶対にあんたには負けないんだから」
イグニアが隣に立つフラムに言う。
「そう言って、いつも負けてんじゃないの」
「今度こそ勝つわよ」
「どうかしらね」
「まあまあまあ」
睨み合うフラムとイグニアの間にクリスタが割って入る。
「なお、今回の課題は二人一組で行って貰うが、普段組まない相手と組んで貰いたいので、ペアはこちらで組ませて貰った」
三人の教師は、生徒一人一人に紙を配って行く。そこには、今回の課題で連れて来る魔獣のリストと誰と誰が組むかのリストが書かれている。
「私はクリスタと?」
イグニアのペアはクリスタで、フラムはディングと言う男子生徒だ。
「いいか。今回は武具は要らないと思うが、不詳の事態も考えられるからな。それぞれには発煙筒を渡しておく。何かあれば無理をせず、直ぐに知らせる様に」
威勢のいい返事を残し、それぞれのペアが森の中に散って行った。
「足だけは引っ張らないでよね」
クリスタと共に森の中を歩くイグニアが言う。
「なんか信用ないな……」
「ブツブツ言ってないで、ちゃんと探しなさいよ。絶対にフラムより早く戻るんだから」
「はいはい」
気持ちが逸るほどに魔獣は見つからないもので、見つかったのは魔獣ではなかった。
「あれは魔獣じゃないわよね……」
白装束に身を包んだ集団が、森の奥に向かって歩いている。
十数人はいるその全てがフードを深く被り、会話もなくただ歩いているその光景は、少し不気味さを感じさせる。
「何でこんな所に?」
興味心がそそられたか、イグニアとクリスタは気付かれない様に集団の後をつけてみた。
少しして、森の奥に二階建ての古びた洋館が見えて来た。かなりの間使われていなかったのか、壁にはびっしりとツタが張り巡り、数枚の窓のガラスが割れている。
イグニアとクリスタが近くの叢に身を潜めて見守る中、白装束の集団は洋館の中に次々と消えて行く。
「こんな所にあんな建物があったなんて。中で何をするつもりかしら?」
「さっきから考えてたんだけど、あの装束にあった赤い模様って確か、ホワイト・ファングのマークじゃなかったかしら」
「ホワイト・ファングって、あの禁断の魔獣を━━」
イグニアは突然首裏に激しい衝撃を受け、意識を失ってその場に倒れてしまった。
いつの間にか周りを白装束の集団に囲まれていた。
「イグニ━━」
次いでクリスタも首裏に激しい衝撃を感じて気を失い、その場に倒れた。
最初に集合していた場所に、課題の魔獣を連れた生徒達が次々と集まって来ていた。
一番最初に帰って来たのはフラムのペアだが、フラムは浮かぬ顔をしていた。
「遅いわね。あの二人ならとっくに戻って来てもいいはずなんだけど……」
「おい、あれって発煙筒の煙か?」
訝しげな声を上げた生徒が見上げる先に、煙が上がっていた。しかし、それは発煙筒の煙にしては激しく上がっている。
二人の教師が血相を変えて煙が上がっている方向に向かって駆け出した。
「これは……!?」
白装束の集団が入って行った洋館が、激しい炎に包まれていた。
「先生、これは!?」
エテルベが振り返ると、フラムの姿があった。更に他の生徒も次々と集まって来て、残っていた教師もやって来た。
「向こうで待っていろと言っただろう。仕方ない連中だ。まあいい。それで、全員ここに居るのか?」
「イグニアとクリスタのペアがまだ」
「何だと!? まさかあの中に?」
洋館は完全に炎に包まれていた。
とある日、校外学習で出掛けた学校から少し離れた場所で、大事件が起こった。
ターガングと呼ばれている森の中にある開けた場所に、制服姿の二十名程が集まっていた。
「1-B、ちゃんと集まっているか?」
三人いる引率の教師の一人エテルベが、数を確認しつつ訊ねる。
「よし、居るみたいだな。じゃあ、今回の校外学習について説明するぞ。このターガングには数多くの野生化した魔獣が生息しているが、お前達が相手にならないような魔獣はいない事は確認している。そこで、二人一組となって指定した五属性の魔獣の内、一匹に操縛の印を施し、連れてくること」
生徒の中には、フラムとイグニア、そしてブレアと顔が瓜二つのクリスタの姿がある。ただ、フラムの肩にパルの姿はない。
「絶対にあんたには負けないんだから」
イグニアが隣に立つフラムに言う。
「そう言って、いつも負けてんじゃないの」
「今度こそ勝つわよ」
「どうかしらね」
「まあまあまあ」
睨み合うフラムとイグニアの間にクリスタが割って入る。
「なお、今回の課題は二人一組で行って貰うが、普段組まない相手と組んで貰いたいので、ペアはこちらで組ませて貰った」
三人の教師は、生徒一人一人に紙を配って行く。そこには、今回の課題で連れて来る魔獣のリストと誰と誰が組むかのリストが書かれている。
「私はクリスタと?」
イグニアのペアはクリスタで、フラムはディングと言う男子生徒だ。
「いいか。今回は武具は要らないと思うが、不詳の事態も考えられるからな。それぞれには発煙筒を渡しておく。何かあれば無理をせず、直ぐに知らせる様に」
威勢のいい返事を残し、それぞれのペアが森の中に散って行った。
「足だけは引っ張らないでよね」
クリスタと共に森の中を歩くイグニアが言う。
「なんか信用ないな……」
「ブツブツ言ってないで、ちゃんと探しなさいよ。絶対にフラムより早く戻るんだから」
「はいはい」
気持ちが逸るほどに魔獣は見つからないもので、見つかったのは魔獣ではなかった。
「あれは魔獣じゃないわよね……」
白装束に身を包んだ集団が、森の奥に向かって歩いている。
十数人はいるその全てがフードを深く被り、会話もなくただ歩いているその光景は、少し不気味さを感じさせる。
「何でこんな所に?」
興味心がそそられたか、イグニアとクリスタは気付かれない様に集団の後をつけてみた。
少しして、森の奥に二階建ての古びた洋館が見えて来た。かなりの間使われていなかったのか、壁にはびっしりとツタが張り巡り、数枚の窓のガラスが割れている。
イグニアとクリスタが近くの叢に身を潜めて見守る中、白装束の集団は洋館の中に次々と消えて行く。
「こんな所にあんな建物があったなんて。中で何をするつもりかしら?」
「さっきから考えてたんだけど、あの装束にあった赤い模様って確か、ホワイト・ファングのマークじゃなかったかしら」
「ホワイト・ファングって、あの禁断の魔獣を━━」
イグニアは突然首裏に激しい衝撃を受け、意識を失ってその場に倒れてしまった。
いつの間にか周りを白装束の集団に囲まれていた。
「イグニ━━」
次いでクリスタも首裏に激しい衝撃を感じて気を失い、その場に倒れた。
最初に集合していた場所に、課題の魔獣を連れた生徒達が次々と集まって来ていた。
一番最初に帰って来たのはフラムのペアだが、フラムは浮かぬ顔をしていた。
「遅いわね。あの二人ならとっくに戻って来てもいいはずなんだけど……」
「おい、あれって発煙筒の煙か?」
訝しげな声を上げた生徒が見上げる先に、煙が上がっていた。しかし、それは発煙筒の煙にしては激しく上がっている。
二人の教師が血相を変えて煙が上がっている方向に向かって駆け出した。
「これは……!?」
白装束の集団が入って行った洋館が、激しい炎に包まれていた。
「先生、これは!?」
エテルベが振り返ると、フラムの姿があった。更に他の生徒も次々と集まって来て、残っていた教師もやって来た。
「向こうで待っていろと言っただろう。仕方ない連中だ。まあいい。それで、全員ここに居るのか?」
「イグニアとクリスタのペアがまだ」
「何だと!? まさかあの中に?」
洋館は完全に炎に包まれていた。
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