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第八章
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「実はクリスティアーヌの母、カロリーヌは寡婦となってすぐに彼女の生家カディルフ伯爵家の籍に戻り、クリスティアーヌと共に伯爵家の名を名乗っていた。もちろん、女性が爵位を継ぐことは出来ないし、領地も邸宅もすでに国に召し上げられていたが、家系は途絶えていない」
「そんなことが……子爵はこのことは…」
「まさか兄の未亡人がそんなことをしていたとは思いもしなかったのだろう。カロリーヌ殿も黙っていたようだ。彼女としては将来的に彼があなたに対して何かしようとしても名目上は何の繋がりもないようにしたかったのだろうな」
彼女がそんなことまでしているとは思わなかった。
「陛下はこのことを?」
「もちろんご存じだ。それからこのことも」
ルイスレーン様は立ち上がって机の引き出しを開け、何かの書類を持って戻ってきた。
彼が見せてくれたのは国からカディルフ伯爵家所有だった土地と邸宅を譲渡したことを証明する証明書だった。
「ルイスレーン………これって」
「文字はもう読めるのだろう?」
「はい……もちろん……でもこれは……」
私は言葉を失った。
フォルトナー先生に教えて貰って、殆どの文字は読めるようになっていた。ただし、難しい言葉はまだ教えて貰わなければ読めない。ルイスレーン様が見せてくれた書類も、所々専門的なことが書かれている。
それでも、譲渡契約の中でカディルフ伯爵家所有の邸宅と周辺の土地が誰の物になったかは理解できた。
それはフォルトナー先生が一番始めに教えてくれた言葉。
クリスティアーヌ・リンドバルク
持ち主の名はクリスティアーヌに書き換えられていた。
日付は半年前。
クリスティアーヌが彼の妻になった頃だった。
「これはあなたに対する結納金として買った。カディルフ伯爵家所有の領地全てを手に入れられなかったが、建物とその周辺の土地は買えた。建物は痛みが激しかったが、手を加えればまだまだ使える。戦争中だったのでまだそこまで手出ししていないので、何の制約もなくあなたの好きにここを変えていけばいい」
「私の……?これ……クリスティアーヌの結納金って……いったいいくら……」
「野暮なことは訊くな。値段のことは気にしなくていい。領地全てを買えなかったんだから」
「邸は古くてそれほど高くなかった。改装の費用も出そう。足らなければ言って欲しい」
「え、あの、毎月いくらか頂いていますよね。それで……」
「それはあなたが自由に好きなことに使うために渡しているのであって、この件とは別だ。そう言えば結婚してから殆ど手を付けていないではないか」
「保育所にいくらか使いましたよ。それからイライザさんたちの活動にもいくらか寄付をしました」
「あなたのために使っていないではないか」
「いえ、それも自分のためですから」
「ドレスや宝石を買うために渡しているのに」
「でも夜会に行ったりお茶会に行ったりする用に仕立てて貰っていますし、それは別経費だからと使わせて貰えなかったんです」
「それは侯爵夫人として必要な出費だからな。それでもダレクが言うには普通の三分の一も使っていないらしいぞ。取りあえず改築については専門家を一度呼んで話し合いなさい。もともとの図面もないのでまずは測量から始めて、一度現場を見に行こう」
「はい」
もう一度手に持った書類を見て、それから彼を見る。
「あの、これがこの婚姻での結納金ということは……」
「モンドリオール子爵が要求しても払う結納金はもうないということだ。第一、あなたはカディルフ伯爵家から嫁いだのであって、モンドリオール子爵はまったく関係ないことになる」
「そんなことが……子爵はこのことは…」
「まさか兄の未亡人がそんなことをしていたとは思いもしなかったのだろう。カロリーヌ殿も黙っていたようだ。彼女としては将来的に彼があなたに対して何かしようとしても名目上は何の繋がりもないようにしたかったのだろうな」
彼女がそんなことまでしているとは思わなかった。
「陛下はこのことを?」
「もちろんご存じだ。それからこのことも」
ルイスレーン様は立ち上がって机の引き出しを開け、何かの書類を持って戻ってきた。
彼が見せてくれたのは国からカディルフ伯爵家所有だった土地と邸宅を譲渡したことを証明する証明書だった。
「ルイスレーン………これって」
「文字はもう読めるのだろう?」
「はい……もちろん……でもこれは……」
私は言葉を失った。
フォルトナー先生に教えて貰って、殆どの文字は読めるようになっていた。ただし、難しい言葉はまだ教えて貰わなければ読めない。ルイスレーン様が見せてくれた書類も、所々専門的なことが書かれている。
それでも、譲渡契約の中でカディルフ伯爵家所有の邸宅と周辺の土地が誰の物になったかは理解できた。
それはフォルトナー先生が一番始めに教えてくれた言葉。
クリスティアーヌ・リンドバルク
持ち主の名はクリスティアーヌに書き換えられていた。
日付は半年前。
クリスティアーヌが彼の妻になった頃だった。
「これはあなたに対する結納金として買った。カディルフ伯爵家所有の領地全てを手に入れられなかったが、建物とその周辺の土地は買えた。建物は痛みが激しかったが、手を加えればまだまだ使える。戦争中だったのでまだそこまで手出ししていないので、何の制約もなくあなたの好きにここを変えていけばいい」
「私の……?これ……クリスティアーヌの結納金って……いったいいくら……」
「野暮なことは訊くな。値段のことは気にしなくていい。領地全てを買えなかったんだから」
「邸は古くてそれほど高くなかった。改装の費用も出そう。足らなければ言って欲しい」
「え、あの、毎月いくらか頂いていますよね。それで……」
「それはあなたが自由に好きなことに使うために渡しているのであって、この件とは別だ。そう言えば結婚してから殆ど手を付けていないではないか」
「保育所にいくらか使いましたよ。それからイライザさんたちの活動にもいくらか寄付をしました」
「あなたのために使っていないではないか」
「いえ、それも自分のためですから」
「ドレスや宝石を買うために渡しているのに」
「でも夜会に行ったりお茶会に行ったりする用に仕立てて貰っていますし、それは別経費だからと使わせて貰えなかったんです」
「それは侯爵夫人として必要な出費だからな。それでもダレクが言うには普通の三分の一も使っていないらしいぞ。取りあえず改築については専門家を一度呼んで話し合いなさい。もともとの図面もないのでまずは測量から始めて、一度現場を見に行こう」
「はい」
もう一度手に持った書類を見て、それから彼を見る。
「あの、これがこの婚姻での結納金ということは……」
「モンドリオール子爵が要求しても払う結納金はもうないということだ。第一、あなたはカディルフ伯爵家から嫁いだのであって、モンドリオール子爵はまったく関係ないことになる」
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