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第七章
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「何ですか?」
「二人の話を聞いていると、そのドラゴンは生まれたばかりみたいだけど」
「そうですね。まだ一週間も経っていません」
「なのに、どうしてそんなに話が出来るんだ?」
「え?」
そう聞かれて、ルウと目を合わせ、それからポチタマを見る。
「そう言えばそうですね」
「言われてみれば・・」
『なに、どうしたの? ボクのこと?』
「えっとね。どうしてそんなに話せるのかなって。まだ卵から孵ったばかりでしょ?」
『そんなの、当たり前だよ』
「当たり前?」
『うん、だってボクはデルフィーヌと繋がっている。デルフィーヌが持っている記憶の中から、ボクに必要な知識を共有しているんだ』
「え、そうなの?」
「何て言っているんだ?」
二人にポチタマの言ったことを伝えた。
「そんなこと、他のテイマーから聞いたことがないぞ」
「そうだな。視覚や聴覚などの感覚を共有するというのは聞いたことがあるけど、それはあくまで、従魔の力をテイマーが利用しているだけだ。知識を共有するなんて聞いたことがない」
「ドラゴン、だから?」
「そうかもしれないな。何せ、ドラゴンテイマー自体が稀だから、ドラゴンのこともよくわかっていない」
そう言われて、ポチタマをもう一度見る。
軽く頭を傾けて、つぶらな瞳を私に向けている。
まだまだ小さいけど、その能力は計り知れない。そんなドラゴンをテイムしている私。
おまけに謎の「勇者の加護」なんてものも付いている。
「ドラゴンの知能が高いことはわかったわ」
私の知識を共有しているとは言え、言葉のチョイスは間違っていない。ということは、ちゃんと理解して選んでいると言うことだ。
「えっと、じゃあそろそろいいか?」
「はい」
中断していた署名をすると、ポチタマの前足に腕輪が出現し、一瞬光った。
「え、これで終わり?」
「そうだ。なんだ、もっと派手なのを期待していたか?」
「まあ、そういうところです」
図星を差されて少し照れる。
「じゃあ、無事に登録も終わったし帰るか」
用は済んだとばかりにルウが部屋を出て行こうとする。
「おいおい、もう帰るのか」
「ああ」
「もう少しゆっくりして行けよ」
「昨日王都に来たばかりだから、デルフィーヌを案内しようと思って」
「何だ、デートか」
「そう。初デート」
「初デ・・デート・・」
言われて初めてのデートだと気づく。
「それに、本当に行きたいところもあるから」
「そうか。じゃあ、またな」
「バッカスさん、ありがとうございました」
「まあ、色々大変だろうけど、姉ちゃんも結構強くなったみたいだから、頑張れよ」
色々大変ってどういうことだろうと思いながら、私達はギルドを後にした。
ポチタマは部屋を出るときに姿を隠し、ルウもギルドの外へ出るとまた魔法で少し姿を変えた。
「ねえ、どこに行くの? 行きたい所ってどこ?」
「着けばわかる」
そう言ってルウはスタスタと人通りの多い王都の道を歩いて行く。
センサーでも付いているのかと思うくらい、スイスイと人と人の間を上手に抜けていく。
でも私の歩調に合わせてくれている。それどころか、手を繋いで私がぶつかりそうになると、さりげなく引っ張って、ぶつからないようにしてくれる。
「意外」
「何が?」
「すごく誘導が上手だなって思って。私が人とぶつからないように気を遣ってくれているみたいだし」
「それが意外ってこと?」
「うん、そう。これも何か魔法を使っているの?」
「そこまではない。ただ、人の歩いている方向や体の向きなんかで動きを予測しているだけだ」
「へえ、そうなんだ」
「勇者の訓練をしている時に教えてもらった。魔法や武器が使えなくても戦えるように、体術の訓練も受けた。その先生が気の流れを読むことを教えてくれた」
話をしながらルウが私を連れてきたのは、ひときわ賑やかな通りから少し裏に入った場所にあるお店だった。
「ここだ」
「ここ?」
お店なのか誰かの家なのか。特に看板もない。
「お友達の家?」
「友達の友達・・ベネデッタが紹介してくれた店だ」
「お店なの?」
私はもう一度入り口の扉を見た。何の表札もない。
「看板とかないけど」
「わかるよ。オレも初めて来たときはすぐにわからなかった。ベネデッタが一緒じゃなかったら迷ったよ」
そう言いながら、ルウは扉を外側に開いて中に入っていく。
チリリンと、ドアベルが鳴る。
私も慌ててルウの後に続いた。
「いらっしゃい、あら、ルウちゃん」
「ル、ルウちゃん?」
奥から出てきたのは、なよなよとしたおねえ系の男性だった。
「二人の話を聞いていると、そのドラゴンは生まれたばかりみたいだけど」
「そうですね。まだ一週間も経っていません」
「なのに、どうしてそんなに話が出来るんだ?」
「え?」
そう聞かれて、ルウと目を合わせ、それからポチタマを見る。
「そう言えばそうですね」
「言われてみれば・・」
『なに、どうしたの? ボクのこと?』
「えっとね。どうしてそんなに話せるのかなって。まだ卵から孵ったばかりでしょ?」
『そんなの、当たり前だよ』
「当たり前?」
『うん、だってボクはデルフィーヌと繋がっている。デルフィーヌが持っている記憶の中から、ボクに必要な知識を共有しているんだ』
「え、そうなの?」
「何て言っているんだ?」
二人にポチタマの言ったことを伝えた。
「そんなこと、他のテイマーから聞いたことがないぞ」
「そうだな。視覚や聴覚などの感覚を共有するというのは聞いたことがあるけど、それはあくまで、従魔の力をテイマーが利用しているだけだ。知識を共有するなんて聞いたことがない」
「ドラゴン、だから?」
「そうかもしれないな。何せ、ドラゴンテイマー自体が稀だから、ドラゴンのこともよくわかっていない」
そう言われて、ポチタマをもう一度見る。
軽く頭を傾けて、つぶらな瞳を私に向けている。
まだまだ小さいけど、その能力は計り知れない。そんなドラゴンをテイムしている私。
おまけに謎の「勇者の加護」なんてものも付いている。
「ドラゴンの知能が高いことはわかったわ」
私の知識を共有しているとは言え、言葉のチョイスは間違っていない。ということは、ちゃんと理解して選んでいると言うことだ。
「えっと、じゃあそろそろいいか?」
「はい」
中断していた署名をすると、ポチタマの前足に腕輪が出現し、一瞬光った。
「え、これで終わり?」
「そうだ。なんだ、もっと派手なのを期待していたか?」
「まあ、そういうところです」
図星を差されて少し照れる。
「じゃあ、無事に登録も終わったし帰るか」
用は済んだとばかりにルウが部屋を出て行こうとする。
「おいおい、もう帰るのか」
「ああ」
「もう少しゆっくりして行けよ」
「昨日王都に来たばかりだから、デルフィーヌを案内しようと思って」
「何だ、デートか」
「そう。初デート」
「初デ・・デート・・」
言われて初めてのデートだと気づく。
「それに、本当に行きたいところもあるから」
「そうか。じゃあ、またな」
「バッカスさん、ありがとうございました」
「まあ、色々大変だろうけど、姉ちゃんも結構強くなったみたいだから、頑張れよ」
色々大変ってどういうことだろうと思いながら、私達はギルドを後にした。
ポチタマは部屋を出るときに姿を隠し、ルウもギルドの外へ出るとまた魔法で少し姿を変えた。
「ねえ、どこに行くの? 行きたい所ってどこ?」
「着けばわかる」
そう言ってルウはスタスタと人通りの多い王都の道を歩いて行く。
センサーでも付いているのかと思うくらい、スイスイと人と人の間を上手に抜けていく。
でも私の歩調に合わせてくれている。それどころか、手を繋いで私がぶつかりそうになると、さりげなく引っ張って、ぶつからないようにしてくれる。
「意外」
「何が?」
「すごく誘導が上手だなって思って。私が人とぶつからないように気を遣ってくれているみたいだし」
「それが意外ってこと?」
「うん、そう。これも何か魔法を使っているの?」
「そこまではない。ただ、人の歩いている方向や体の向きなんかで動きを予測しているだけだ」
「へえ、そうなんだ」
「勇者の訓練をしている時に教えてもらった。魔法や武器が使えなくても戦えるように、体術の訓練も受けた。その先生が気の流れを読むことを教えてくれた」
話をしながらルウが私を連れてきたのは、ひときわ賑やかな通りから少し裏に入った場所にあるお店だった。
「ここだ」
「ここ?」
お店なのか誰かの家なのか。特に看板もない。
「お友達の家?」
「友達の友達・・ベネデッタが紹介してくれた店だ」
「お店なの?」
私はもう一度入り口の扉を見た。何の表札もない。
「看板とかないけど」
「わかるよ。オレも初めて来たときはすぐにわからなかった。ベネデッタが一緒じゃなかったら迷ったよ」
そう言いながら、ルウは扉を外側に開いて中に入っていく。
チリリンと、ドアベルが鳴る。
私も慌ててルウの後に続いた。
「いらっしゃい、あら、ルウちゃん」
「ル、ルウちゃん?」
奥から出てきたのは、なよなよとしたおねえ系の男性だった。
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