女装バーテンダーの恋人

橘 葛葉

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6=遥の秘密=

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股の間に自分の太腿を差し込んだまま、片手にショットグラスを持ち、もう片方の手は背もたれから離れ、莉緒の後頭部を支えていた。
何も言えずに肩で息をしている莉緒を見下ろした遥は。ショットグラスに残った酒を仰いで、舌舐めずりしながら莉緒に言った。
「どう?この見本で分かったかしら」
莉緒は小さく頷くしかなかった。
自分以外の女性器を見たことはないが、ここまでやらせておいて何もしないとは言えなかった。遙の真似をすれば満足してもらえるかもしれないとは思ったが、あの酒では自分の方への刺激が強すぎる。
「もうちょっと弱いお酒ではダメですか?」
真っ赤な顔のまま言った莉緒に、遥は笑顔で応える。
「チョコレートのリキュールなんてどう?」
「あ、はい……」
ぼんやりしたまま答えた莉緒。
「手はどうする?怖かったら縛ってもいいわよ」
言いながら、遥は莉緒の手首からリボンを解く。
妖艶に微笑んだ顔の横に垂らされる赤いリボン。しかし莉緒は頭がいっぱいで、そのリボンをどうしていいのか分からない。
気がつくと首を横に振っていた。
「そう、ならいいわ」
すっと莉緒の足に差し込んでいた太腿を退けた遥。カウンターに寄りかかり、両肘を後ろ手に付いて莉緒を見た。
「さ、どうぞ」
どうぞと言われても簡単には動けない。
戸惑いながら視線を彷徨わせていると、遥がもたれていたカウンターから体を起こす。
「そうだ、リキュールね」
さっとカウンターの中に入ると、丸い瓶からチョコレート色の液体をショットグラスに入れて戻ってきた。
その間も莉緒は動けないでいる。
踏み込んではいけないと思っているのに、ブランデーを塗られた秘部が疼いて、その先を知りたいような、怖いような感情の狭間で動けないでいる。
「仕方ないわね。じゃあ服は自分で脱いであげる。その代わり、ちゃんとお口で奉仕してよ」
手招きされた莉緒は高いカウンターチェアから降りて、遥の前に移動した。逆に遥が椅子に腰をかけると、視界が腰に近い事に気がついた。
パチンと音がして見ると、遥がベストを脱いだところだった。シャツのボタンを二つばかり外すと、髪をかきあげて挑戦的に莉緒を見る。
真っ赤な顔のままそれを見ている莉緒。次にしゅっと音がして、スリットの上部からロングスカートが捲り上げられる。黒いショーツが見えたと思ったら、その中から大きな聳り立つモノが現れて、莉緒は驚きのままさらに固まってしまった。
「え……?」
目の前に男性特有の形がある。それが何を意味するのか、まるで理解が進まない。
「ふふ、分かりやすい反応」
見上げた遥は美しい女性のままだ。さらりと肩に垂れる黒髪をそのままに、莉緒の顎を掴んで顔を寄せた。
「女より簡単って言ったでしょ?」
耳元で囁かれた直後、さらりしたと遥の黒髪が莉緒の頬を撫でた。
顔を離した遥はシャツのボタンを胸の下まで外す。遥の右手が自らのシャツを割って入り服を乱す。そこにあるはずの谷間は、見つけることが出来なかった。
「そんな……だって」
「女とやってみたかった?」
フルフルと莉緒の首が横に振られる。
「あら、女とは嫌?聞いていた通り、男好きって訳ね」
「男好きだなんて!」
他人の秘部を見ることも舐めることも抵抗があったが、女と関係を持つのと、男と関係を持つのでは話が全然違うと思った。
晃司を裏切る事になる。
目の前の女性は、少なくとも体は男だ。
それとも、精巧に作られた道具なのだろうか。装着面などは見えないが、今まで女だと思っていた事を思えば、自分には見破れない何かがあるのかもしれないと、莉緒は腰や尻の方にも視線を送る。
「そんなにじろじろ見て、まだ信じられないの?」
遙は莉緒の手を取って、優しく自分の股間へ導く。
「ほら、触って」
本物かどうか確かめろと言われているように感じた莉緒は、言われるまま手を伸ばした。そっと触れると暖かいし、ドクンと脈打つ。
「きゃ」
自立したように動いたことで、莉緒は小さな悲鳴と共に手を離す。
「傷つくわね」
そう言うが、さほど気にしていないような声色の遥は別のショットグラスに、莉緒に垂らしたブランデーを注ぐと一口で飲む。
「決心つかないのね。でも彼だって浮気中でしょ?」
「やめてください!」
考えないようにしていた先ほどの通話。聞こえていた音と愛衣蘭の話し方。
あのベッドで、今は別の女が寝ているかもしれない。シャンパンを持って行った日も、自分がいなければ別の女が来ていたのかもしれない。
そう考えると、莉緒の目にみるみる涙が浮かんだ。
肌けた自身の服装を掻き寄せるように腕を回し、声を殺して涙を流す。
「やだ、あたしが虐めてるみたいだわ」
そっと頭に乗せられた手は、莉緒の髪を優しく撫でる。
「ね、彼、帰ってくると思う?」
莉緒は涙を流しながらも首を横に振る。
「それなら、帰ってゆっくり眠るためには何をすればいいのか、分かるわよね」
容赦ない言葉に莉緒の涙が唐突に止まった。
優しくされたら、崩れ落ちて泣きじゃくっていたかもしれないが、今、自分を守れるのは自分だけだ。
「いったら……帰してくれるの?」
「ええ、約束よ」
莉緒の考えが分かったのか、遥はそう言ってショットグラスに指を入れた。
立ち上がったままの自身の股間に、チョコレートのリキュールを塗りつける。
莉緒は涙を拭くこともせず、自身の唇を寄せるべき場所を見た。こんな醜態を晒した女を前に、それは萎えることなく立っている。
緊張しながら、先端に唇を寄せた莉緒。
ちゅっとリキュールを吸い込むと、ピクリと動く遥の腰が視界の端に映った。
「甘い……」
柔らかなチョコの風味が鼻腔を抜けていく。
「ふふ、おいしいでしょう?」
素直に頷いた莉緒は、もう一度先端に唇を寄せた。
遥の体内から溢れ出た透明な液体と、上から塗られた茶色の液体が見える。真ん中で乳白色になっているそれを、吸い取るように口を付けた。
「んっ」
遥の艶かしい声が頭上から振ってくる。
少し塩気が増えたリキュールを吸い込むと、そのまま遥の先端を口に含んだ。
「いいわ、気持ちいいわよ」
遥の両手が、莉緒の後頭部を掴む。飴を舐めるように舌を動かし、転がすようにしていると、じれったそうな遥の喘ぎが聞こえてきた。
想像以上に太く、そのせいで息苦しい。それでも早くこの時間がすぎて欲しくて、必死に舌を動かす。
何度かリキュールは追加されたが、莉緒の動きが早まるとそれは止まった。
「そうよ、そこっ……くっ」
遥の声が高揚している。でも、膠着しているように莉緒は感じていた。これ以上奥に入れることはできないし、スピードだってどう上げればいいのか分からない。どうしようかと考えながら続けていると、後頭部を掴むように遥の両手が添えられる。
「ごめん、ちょっと我慢できない」
莉緒の後頭部を押さえている手に力がこもる。
動けない莉緒の薄く開けた瞳に、叩きつけられるような遥の腰の動きが見える。苦しさから涙目になったが、どうすることもできずに、遥の太腿に両手を置いて耐えていた。
「くっ、いく……!」
その声と同時に、口の中いっぱいに遥の味が広がる。
喉の奥に熱い塊があたって咽せそうになるが、口が塞がれていて吐き出すこともできなかった。
そのまま遥の分身を飲み込んだ莉緒は、頭部が解放されると体をのけ反らせて離れ、ゲホゲホと咳をして床に手をついた。
「いい子。店を汚さなかったわね」
さらりと髪を撫でる手。
しかし莉緒は床に手をついたまま、情けなくて泣いた。
「あら、傷つくわね。あたしが気持ち悪かったってこと?」
そう言われて顔を上げた莉緒。
晃司の裏切りが悲しいのか、今のこの状況が屈辱的なのかも分からなかった。
ただ情けなくて涙が止まらない。
「ま、こんな状況じゃねえ」
遥はそう言うと、カウンターの中に移動し、おしぼりを持って莉緒の元へ戻ってきた。
涙でぐちゃぐちゃの頬に、温かいおしぼりが当てられる。
「約束よ。帰っていいわ」
出されたおしぼりで顔を拭いた莉緒は、まだ涙が溜まる目で遥を見た。
屈んだ遥と目が合う。
その目は痛ましいものを見る様な目だった。
「こんなことしておいて、どうしてそんな目で私を見るの?」
心の中も服装も乱れていて情けない。
そう言ったものの、睨んで良いのか泣いて良いのかもわからなかった。涙を瞳に溜めて言う莉緒に、遥の目は少し細くなる。
「さぁ、どうしてかしら」
傾けられる首に合わせて、髪が一筋動く。
屈んだままの遥は莉緒に手を伸ばし、乱れた髪を整える様に動かす。
きっと涙のせいで化粧は崩れてしまっている。目の前の人物は涼し気で、まるで何もなかったかの様に美しい。
それが余計に惨めな気持ちにさせ、また涙が溢れてきた。
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