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僕の家
はいはい
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シャワーの飛沫が頭上から降り注ぐ。
視界が水で歪み、息苦しさに胸が詰まっていく。
リビングにいる彼女にも、この音が届いているだろうか。
僕がママの手によって、無力な形に戻されていく、この音が。
考えたくないのに、考えてしまう。
わたらいさんは今、何を想像しているのだろう。
浴室を出て、脱衣所へ。
清潔なタオルで体中の水分を拭き取られる。
今度は髪の毛の水気を取るために、タオルで乱暴に、けれど手慣れた調子で揉みくちゃにされる。
その合間、洗面所の鏡が目に入った。
曇っている。
何も、見えない。
それでも、僕は今、たぶん、さっきのわたらいさんよりもずっと酷い顔をしている。
そう思った途端、リビングにいる彼女に、この姿だけは知られたくないと強く願ってしまった。
「……颯、どうかしたの? ぼーっとして」
少し間を置いて、ママが続ける。
「……やっぱり、疲れが出たのね」
頬を、しっとりと濡れたタオルで包まれる。 その手つきには、微塵の悪意もない。
慈愛だ。それが、視界を大きく揺らがせる。
不自由な手で、ほとんど潜り込むようにして、清潔な寝巻きに着替える。
湿った空気の中に、僕が脱ぎ捨てた衣類の山があった。
ママはそれを拾い上げ、いつもの癖のように、ポケットの中身を確かめる。
その瞬間だった。
カラン、と——場違いな金属音が、床の上に響いた。
ママの動きがぴたりと止まり、床を凝視する。
ズボンのポケットから滑り落ちたのは、銀の鎖。僕と遥兄ちゃんを繋ぎ、そして今も、僕とママを縛る命綱のような——あのネックレスだった。
「……颯」
名前を呼ばれただけで、空気が変わったのが分かった。
「これ、何?」
拾い上げられた銀の鎖が、ママの指先から垂れ下がる。
それは兄ちゃんの一部であり、ママにとっての聖域だ。
「……どういうこと?ねえ、颯?」
ようやく僕は、自分の失敗に気づいた。
車中泊の最終日。
クリーナーに、「全ては自分で決めていい」と言われたあの時、僕は意識してこのネックレスを外したのだ。
兄ちゃんへの罪悪感を、いったん自分の手に戻し、あるべき形へと整理するために。
それを、無意識のまま脱いだ服と一緒にしてしまった。それだけのことなのに。
「……あ」
僕も洗濯機の前で固まる。
ママは洗濯物にはもう目もくれず、ネックレスと僕を交互に見る。
「ねえ、颯。これは、何?」
同じ言葉なのに、さっきとは意味が違う。
「……ごめん。間違えて、一緒に……」
「間違えた?」
ママの声が鋭くなる。
「大切なお兄ちゃんを、あんた、こんな汚れたものと一緒に洗おうとしてたの?」
喉が詰まる。
やめて。わたらいさんに聞こえちゃう。
「病院で……検査の邪魔になるから、外せって言われて……それで……」
嘘だ。 これは、僕が決めたことだった。
けれど、その事実を口にしてしまったら 何が起こるのかを、僕はもう知っていた。
ママは一度僕から目を逸らし、わざとらしいため息を吐く。
「髪……濡れたままだと風邪引くわよ」
そう言って新しいタオルを広げるママが、そのまま僕の視界を塞いだ。
理由が、唐突すぎて分からない。
タオルをずらそうとした腕も、掴まれている。包帯を濡らさないために巻かれていたビニールが、いつの間にか、ママの手で解かれていた。
解けているはずなのに、動かそうとすると絡みつく。
引けば締まる。
自分の腕なのに、焦れば焦るほど、思うように動かない。
「だから言ったでしょう。動くから」
それは責める声じゃない。 躾けるような、窘めるような、比較的穏やかな調子。
かえってそれが、今は怖い。
タオルで塞がる視界で、ママの指が絡まったビニールを一つずつ外していく感覚だけがある。
触れられている。そのたびに、逃げるための余地が、確実に消えていく。
抵抗しているつもりはない。 逃げる意味も、多分ない。
それでもただ、じっとしていられないだけ。
「……ほんと、似てきたわね」
独り言のように、ママが言う。
その視線が、僕ではなく、ちがうものを見ているのが分かる。
「お兄ちゃんはね、足が速かったから」
懐かしむ声が、足元に落ちた。
その先で、僕は足を撫でられている。
「怪我したのが足じゃなくて、本当によかった」
その言葉で、はっきりした。
心配されているのは、僕の身体じゃない。
評価されているのは、僕の無事でもない。
ママの中の兄ちゃんの記憶に、僕のパーツが合致しているかどうかだ。
ここにいる限り、僕は“颯”として扱われない。
「……遥」
確認するように、その名前が、再び少し上から落ちてくる。
息が、止まった。
ぐっと顎を持ち上げられる。
ずれたタオルの隙間から視界が開けたのに、怖くて目をつぶってしまう。
首元に空気が触れ、次の瞬間、冷たい金属が、喉の下に当たる。
鎖が、肌の上に置かれる。
まだ繋がっていないのに、その重みが僕をここに縫い付ける。
留め金が、首の後ろ。ママの指の間で探られている気配。
「ほら……」
ママの声は、あくまで穏やかだった。 正しいことを、当然のように続けようとする。
それが閉じられたら、終わる。 僕はもう、“戻れない”。
「……っ!」
声にならない息が漏れる。
逃れるために首を引こうとして、鎖が肌をざらりと擦った。
その感触だけで、十分だった。
「や……やだ……っ」
言葉になったのは、拒絶じゃない。 ほとんど悲鳴だった。
反射的に腕を振った。 めちゃくちゃに。視界も、言葉も、理屈も、全部払いのける。
何かが、指先から弾かれる感触がした。次いで、金属がどこかに当たったような、乾いた音。
どこに行ったのか、分からない。 見たくもない。
ママの動きが止まる気配。探す声、低い音。
その隙に、僕は床を掴んでいた。
ここにいたら、 僕は完全に別の名前になる。
「いや、だ……っ」
自分でも驚くほどの声が出た。
立てない。
力を入れようとしても、足が言うことを聞かない。床に膝を擦りつけるだけで、身体が前に進まない。
——立てないんだ。ママ。
あんなに大事そうに撫でていた、「兄ちゃんの足」で。
速かったって、誇らしそうに言ってた、その足で。
今、僕は立てない。
呼吸が、浅くなる。 胸がひくひくと鳴って、空気が入ってこない。
それなのに。
背後では、ネックレスを探す音が続いている。タオルが動き、ママは僕を無視して洗濯機の陰を覗いている。
僕じゃない。
倒れている僕じゃなくて。
なんで。 なんで、そっちなんだ。
なんで、立てなくなった僕より、今ここにいない兄ちゃんの、その中身の欠片みたいなネックレスの方が、大事なんだ。
声にしたら全部壊れてしまいそうで、代わりに喉の奥から、ひゅっと変な音だけが漏れた。
気づけば、脱衣所の外へ床を掴みながら這い出ていた。
息が、吸えない。 浅く、速く、喉を乾かすような熱だけが喉を通る。
まだ、首には何もない。
僕だ。まだ、僕だ。
その間に、僕でいられるうちに早く。
早く、ここから離れなくちゃ。
そうじゃないと、次は、間に合わない。
「う、あっ……」
立ち上がろうとして、また失敗した。
四つん這いから膝に力を入れたはずなのに、床を押し返す感触がない。
——違う。立つ、ってどうやるんだっけ。
膝の関節が笑い、ただガクガクと床の上で無様に跳ねる。
息が、細かく刻まれる。
吸っているのに、胸の奥まで届かない。
背後の気配から、目を逸らすように、僕は身体を伏せて、床に腕を伸ばした。
匍匐前進。
そんな言葉が、頭の隅をかすめる。
掌と前腕で、湿った床を掻くと、腹と太腿が擦れて、ぞわりと冷える。
情けない。でも、立てない以上、もうこれしかなかった。
自分の部屋が、やけに遠い。
腕一本分進むたびに、息が乱れる。包帯が滑ると、その下で傷ついた皮膚が引き攣り、痛む。
腕。腕。
思えば、折檻されるのはいつも腕だった。
「あ、うう……っ」
呼ばない。 名前は、呼ばない。
助けを求められる立場じゃない。
何より、わたらいさんにだけは——。
こんな姿を。
床を舐めるようにして逃げるところを。
声も出せずに、ただ壊れた呼吸音を立てて這うところを。
——見られたくなかった。
リビングの方から物音がしないか、神経が勝手に澄まされていく。 耳鳴りが、やけに大きい。
お願いだから、誰も来ないで。
自分の部屋に戻るだけ。
一人になれる場所まで、ただ戻るだけだ。
戻れさえすれば、考えなくていい。 名前のことも、足のことも、ネックレスのことも。
でも、その代わりに。
多分また、あの子のことばかり考えてしまう。
「……っ、たらぃ……さん……」
床に額が触れた。 腕も限界に近い。
それでも、止まれなかった。
僕は、声を殺したまま、ただ廊下を這い続けた。
視界が水で歪み、息苦しさに胸が詰まっていく。
リビングにいる彼女にも、この音が届いているだろうか。
僕がママの手によって、無力な形に戻されていく、この音が。
考えたくないのに、考えてしまう。
わたらいさんは今、何を想像しているのだろう。
浴室を出て、脱衣所へ。
清潔なタオルで体中の水分を拭き取られる。
今度は髪の毛の水気を取るために、タオルで乱暴に、けれど手慣れた調子で揉みくちゃにされる。
その合間、洗面所の鏡が目に入った。
曇っている。
何も、見えない。
それでも、僕は今、たぶん、さっきのわたらいさんよりもずっと酷い顔をしている。
そう思った途端、リビングにいる彼女に、この姿だけは知られたくないと強く願ってしまった。
「……颯、どうかしたの? ぼーっとして」
少し間を置いて、ママが続ける。
「……やっぱり、疲れが出たのね」
頬を、しっとりと濡れたタオルで包まれる。 その手つきには、微塵の悪意もない。
慈愛だ。それが、視界を大きく揺らがせる。
不自由な手で、ほとんど潜り込むようにして、清潔な寝巻きに着替える。
湿った空気の中に、僕が脱ぎ捨てた衣類の山があった。
ママはそれを拾い上げ、いつもの癖のように、ポケットの中身を確かめる。
その瞬間だった。
カラン、と——場違いな金属音が、床の上に響いた。
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ズボンのポケットから滑り落ちたのは、銀の鎖。僕と遥兄ちゃんを繋ぎ、そして今も、僕とママを縛る命綱のような——あのネックレスだった。
「……颯」
名前を呼ばれただけで、空気が変わったのが分かった。
「これ、何?」
拾い上げられた銀の鎖が、ママの指先から垂れ下がる。
それは兄ちゃんの一部であり、ママにとっての聖域だ。
「……どういうこと?ねえ、颯?」
ようやく僕は、自分の失敗に気づいた。
車中泊の最終日。
クリーナーに、「全ては自分で決めていい」と言われたあの時、僕は意識してこのネックレスを外したのだ。
兄ちゃんへの罪悪感を、いったん自分の手に戻し、あるべき形へと整理するために。
それを、無意識のまま脱いだ服と一緒にしてしまった。それだけのことなのに。
「……あ」
僕も洗濯機の前で固まる。
ママは洗濯物にはもう目もくれず、ネックレスと僕を交互に見る。
「ねえ、颯。これは、何?」
同じ言葉なのに、さっきとは意味が違う。
「……ごめん。間違えて、一緒に……」
「間違えた?」
ママの声が鋭くなる。
「大切なお兄ちゃんを、あんた、こんな汚れたものと一緒に洗おうとしてたの?」
喉が詰まる。
やめて。わたらいさんに聞こえちゃう。
「病院で……検査の邪魔になるから、外せって言われて……それで……」
嘘だ。 これは、僕が決めたことだった。
けれど、その事実を口にしてしまったら 何が起こるのかを、僕はもう知っていた。
ママは一度僕から目を逸らし、わざとらしいため息を吐く。
「髪……濡れたままだと風邪引くわよ」
そう言って新しいタオルを広げるママが、そのまま僕の視界を塞いだ。
理由が、唐突すぎて分からない。
タオルをずらそうとした腕も、掴まれている。包帯を濡らさないために巻かれていたビニールが、いつの間にか、ママの手で解かれていた。
解けているはずなのに、動かそうとすると絡みつく。
引けば締まる。
自分の腕なのに、焦れば焦るほど、思うように動かない。
「だから言ったでしょう。動くから」
それは責める声じゃない。 躾けるような、窘めるような、比較的穏やかな調子。
かえってそれが、今は怖い。
タオルで塞がる視界で、ママの指が絡まったビニールを一つずつ外していく感覚だけがある。
触れられている。そのたびに、逃げるための余地が、確実に消えていく。
抵抗しているつもりはない。 逃げる意味も、多分ない。
それでもただ、じっとしていられないだけ。
「……ほんと、似てきたわね」
独り言のように、ママが言う。
その視線が、僕ではなく、ちがうものを見ているのが分かる。
「お兄ちゃんはね、足が速かったから」
懐かしむ声が、足元に落ちた。
その先で、僕は足を撫でられている。
「怪我したのが足じゃなくて、本当によかった」
その言葉で、はっきりした。
心配されているのは、僕の身体じゃない。
評価されているのは、僕の無事でもない。
ママの中の兄ちゃんの記憶に、僕のパーツが合致しているかどうかだ。
ここにいる限り、僕は“颯”として扱われない。
「……遥」
確認するように、その名前が、再び少し上から落ちてくる。
息が、止まった。
ぐっと顎を持ち上げられる。
ずれたタオルの隙間から視界が開けたのに、怖くて目をつぶってしまう。
首元に空気が触れ、次の瞬間、冷たい金属が、喉の下に当たる。
鎖が、肌の上に置かれる。
まだ繋がっていないのに、その重みが僕をここに縫い付ける。
留め金が、首の後ろ。ママの指の間で探られている気配。
「ほら……」
ママの声は、あくまで穏やかだった。 正しいことを、当然のように続けようとする。
それが閉じられたら、終わる。 僕はもう、“戻れない”。
「……っ!」
声にならない息が漏れる。
逃れるために首を引こうとして、鎖が肌をざらりと擦った。
その感触だけで、十分だった。
「や……やだ……っ」
言葉になったのは、拒絶じゃない。 ほとんど悲鳴だった。
反射的に腕を振った。 めちゃくちゃに。視界も、言葉も、理屈も、全部払いのける。
何かが、指先から弾かれる感触がした。次いで、金属がどこかに当たったような、乾いた音。
どこに行ったのか、分からない。 見たくもない。
ママの動きが止まる気配。探す声、低い音。
その隙に、僕は床を掴んでいた。
ここにいたら、 僕は完全に別の名前になる。
「いや、だ……っ」
自分でも驚くほどの声が出た。
立てない。
力を入れようとしても、足が言うことを聞かない。床に膝を擦りつけるだけで、身体が前に進まない。
——立てないんだ。ママ。
あんなに大事そうに撫でていた、「兄ちゃんの足」で。
速かったって、誇らしそうに言ってた、その足で。
今、僕は立てない。
呼吸が、浅くなる。 胸がひくひくと鳴って、空気が入ってこない。
それなのに。
背後では、ネックレスを探す音が続いている。タオルが動き、ママは僕を無視して洗濯機の陰を覗いている。
僕じゃない。
倒れている僕じゃなくて。
なんで。 なんで、そっちなんだ。
なんで、立てなくなった僕より、今ここにいない兄ちゃんの、その中身の欠片みたいなネックレスの方が、大事なんだ。
声にしたら全部壊れてしまいそうで、代わりに喉の奥から、ひゅっと変な音だけが漏れた。
気づけば、脱衣所の外へ床を掴みながら這い出ていた。
息が、吸えない。 浅く、速く、喉を乾かすような熱だけが喉を通る。
まだ、首には何もない。
僕だ。まだ、僕だ。
その間に、僕でいられるうちに早く。
早く、ここから離れなくちゃ。
そうじゃないと、次は、間に合わない。
「う、あっ……」
立ち上がろうとして、また失敗した。
四つん這いから膝に力を入れたはずなのに、床を押し返す感触がない。
——違う。立つ、ってどうやるんだっけ。
膝の関節が笑い、ただガクガクと床の上で無様に跳ねる。
息が、細かく刻まれる。
吸っているのに、胸の奥まで届かない。
背後の気配から、目を逸らすように、僕は身体を伏せて、床に腕を伸ばした。
匍匐前進。
そんな言葉が、頭の隅をかすめる。
掌と前腕で、湿った床を掻くと、腹と太腿が擦れて、ぞわりと冷える。
情けない。でも、立てない以上、もうこれしかなかった。
自分の部屋が、やけに遠い。
腕一本分進むたびに、息が乱れる。包帯が滑ると、その下で傷ついた皮膚が引き攣り、痛む。
腕。腕。
思えば、折檻されるのはいつも腕だった。
「あ、うう……っ」
呼ばない。 名前は、呼ばない。
助けを求められる立場じゃない。
何より、わたらいさんにだけは——。
こんな姿を。
床を舐めるようにして逃げるところを。
声も出せずに、ただ壊れた呼吸音を立てて這うところを。
——見られたくなかった。
リビングの方から物音がしないか、神経が勝手に澄まされていく。 耳鳴りが、やけに大きい。
お願いだから、誰も来ないで。
自分の部屋に戻るだけ。
一人になれる場所まで、ただ戻るだけだ。
戻れさえすれば、考えなくていい。 名前のことも、足のことも、ネックレスのことも。
でも、その代わりに。
多分また、あの子のことばかり考えてしまう。
「……っ、たらぃ……さん……」
床に額が触れた。 腕も限界に近い。
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