とある中年男性の転生冒険記

うしのまるやき

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第35話 ほう、新しい装備ですな。

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 テシテシ、テシテシ。いつもの肉球天国で起こしてもらえる幸せをかみしめながら起きる。いつものことなので挨拶は省略、実際には挨拶してるけど。朝食と朝の支度も省略。今日の私は自分で言うのも何だけど、とにかく落ち着きがない。それもそのはず、今日、頼んでおいた装備が出来上がる日だ。本来ならタイプの違う美人部隊とのクエストでそうなると思うが、私は違う。何せ装備の外見がマーブル、ジェミニとお揃いになるのだ。というわけで、早速ギースさんのところに向かう。


「いらっしゃいませ、アイスさんですね、注文の品は完成しております。親方が待っておりますので、こちらへどうぞ。」


「ありがとうございます、では失礼します。」


 受付の人に案内してもらい奥の部屋へと入る。


「おう、アイス、来たか。久しぶりにいい仕事させてもらった。会心の出来だぜ。早速着けてみてくれ。」


「おお、これは凄い。どれもぴったりな上、動きやすい。靴もかなり履き心地が違いますね。」


「そうだろう、ワイバーンもそうだが、ビッグバイパーも加工すればこれだけ着心地が良くなるんだ。」


「なるほど、ところで上につけてもらったウサギの毛皮ですけど、大変でしたか?」


「あの毛皮か、一応縫い付けておいたが、正直縫い付けるまでもないほどしっかりとくっついている。ひょっとしたら、この毛皮大きさを変えなければ、防具を付け替えても問題なく使えそうだぞ。」


「ほう、それはすばらしいですね。早速バンカーに角を収納しておきますか。」


 籠手の外側にバンカーで使っている一角ウサギの角を入れようとしたら、弾かれた。何でだ?


「・・・恐らくだが、これ左用と右用に別れているかも知れん、今右腕側に入れたよな? 試しに左側に入れてみろ。」


 言われたとおりに入れたら、今度はスンナリ入った。もう片方もスンナリ入った。まじか、これってどっち用ってあるのか?


「すまん、適当に言ってみたのだが、まさか本当に別れているとはな。とりあえずどうだ? 気に入ったか?」


「ええ、大満足ですよ。これだけのものをたった金貨15枚で作ってもらえるなんて。」


「そうか、じゃあ金貨5枚くらい追加しようか、ガハハ。」


「この仕事なら問題なく出しますよ、はい、どうぞ。」


「お、おい冗談だから、その5枚は収めてくれ。」


 冗談だったのか。これだけの質で15枚って申し訳なく思っていたから5枚追加されても喜んで払えたぞ。


「マーブルにジェミニ、どうですか? いい感じですか?」


「ミャ!」


「アイスさん、かなりいいです! 鎧がないのが残念ですけど。」


「予算の関係でね、仕方がなかったのだよ。」


「そうでしたか。鎧はこれから作ってもらえばいいですね、それで、外側は一角ウサギです? それにしてはかなり毛の色がいいですが。」


「そうなんだ、これは私が最初に倒した一角ウサギでね、装備を作ったときに外側に貼ろうととって置いたものなんだけど。」


「おい、アイス、お前さん、そのウサギと会話できるのか?」


「ええ、普通に会話できます。ただ、マーブルとは会話はできませんが、マーブルは私が何を言っているのかしっかり理解できてますよ。こちらもマーブルの考えが何となくわかるので、特に会話には困っていませんね。」


 仲間達を自慢げに語ってやる。


「そ、そうか。ではこいつらの首輪の確認をしておきたいがいいか?」


「どうぞ、じゃあ、マーブルとジェミニはギースさんのところに行って。」


 マーブル達は返事をしてからギースさんのところへ向かう。


「本当にこいつら理解しているんだな、見た目はそうでもないのに、流石高ランクの魔物だな。」


 やっぱりギースさん分かっているんだな。まあ、こちらに害が及ばなければ問題ないけど。


 首輪だが、ただ毛皮を切っただけではなく、何か加工されていた。それが何かはわからないけど丁寧な仕事だというのは素人目でもわかる。マーブルとジェミニにそれぞれ首輪を取り付けていく。マーブル達は大人しくしている。


「よし、装着が終わったぞ。確認してみてくれ。」


「マーブルとジェミニ、着け心地はどう? 苦しくない?」


「ミャッ!!」


「アイスさん、これ凄いです! 首輪を付けられている感じが全くしないです!! 何よりお揃いなのが嬉しいです!!」


 どうやら2人とも喜んでくれたようだ。お揃いっていいよね。


「どうやら問題ないようだな。何か不都合が生じたら言ってきてくれ。それと、いい素材を手に入れたら何か作るぞ、というか作らせてくれ。久しぶりにいい仕事をさせてもらった。」


「こちらこそ、こんなにもいい装備に仕上げてくれてありがとうございました。」


 鎧なしで腕装備と足装備というのはなかなかいただけない、ということで折角なのでウサギの毛皮の服をついでに購入した。ウサギの毛皮は服としてはそこそこ高級らしく、金貨50枚かかった。あいにく手持ちがなかったので、預けている分から支払った。これで一通り揃った感じだ。ウサギの毛皮の服は見た目に反して通気性がものすごくよく、暑そうに見えて全く暑くない。


 ギースさんの店を出た後、冒険者ギルドへ向かう。従魔プレートの付け替えを頼むためだ。手続き窓口へ行きニーナさんに声をかける。


「おはようございます、アイスさん。マーブルちゃんもジェミニちゃんもおはよう、って首輪が変わってる? この素材は一角ウサギだけど、普通のとは違う、、、、。」


「おはようございます、ニーナさん。流石ですね。今日は従魔プレートの付け替えをお願いします。」


「ミャッ!」「キュウ!」


「はい、了解しました。マーブルちゃん、ジェミニちゃん、首輪をお預かりしますね。」


 待つこと5分、あっさりと付け替えは終わったみたいだ。


「では、付け替えが完了したので、お返ししますね。それで、アイスさんにお願いがあるのですが。」


「譲れとか、1日モフりたいとか、そういったことならお断りしますが。」


「いえ、そうではなく、首輪をつける作業を私にさせて欲しいのです。」


 マーブルとジェミニは問題なさそうだったので、お願いした。着け終わるとニーナさんはものすごいいい顔だった。


「では、手続きはこれで完了です。また何かあったらいつでも来てくださいね。」


「ありがとうございました、では、また。」


「ミャッ!」「キュウ!」


 2人の返事でニーナさんは悶絶していた。気持ちはわかる。


 手続きも無事完了したが、時間はまだ余裕がありそうだけど、ここは大人しく待つことにした。暇つぶしをして約束の時間に遅れるのは本末転倒だ。それにしても新しい首輪似合っているな。そう思いながら2人のモフモフを堪能していた。


 そこそこ時間が経ったところで、戦姫の3人がギルドに入ってきた。戦姫の3人は目立つので、すぐにわかった。向こうもこちらにすぐ気づいたらしくこちらに向かってきた。


「おはようございます、戦姫の皆さん、今日はよろしくお願いします。」


「ごきげんよう、アイスさん達。こちらこそお願いしますわ。」


「おはよう、アイスさん達!」


「・・・やあ。」


 合流したところで、どんなクエストを受けるのか話し合う、といっても明日の討伐用の練習も兼ねているから討伐系のクエストですがね。とりあえず、空を飛ばない、できればDランク程度の強さ、そこそこの集団で活動している魔物、という条件になったが、条件に見合った魔物は存在するのか? と思いつつ、依頼をさがしていると、運がいいことにおあつらえ向きの依頼があった。オークの討伐依頼が出ていた。オークは人型、空飛ばない、Dランク程度の強さ、そこそこの集団、何よりお肉がおいしい!! ということでこの依頼を受けることにする。


 受注窓口に並ぶと、嫌に注目されていた。原因は戦姫と一緒にいることだ。周りは驚きの視線と嫉妬の視線を感じる。しかも嫉妬の怨念はいつも以上に強い。


「戦姫が動物使いとパーティ組んでいるぞ?」


「な、何だと? 俺たちがいくら誘っても全く応じてくれなかった戦姫が?」


「くそ、あのオッサン、ニーナさんやエルナちゃんだけでなく戦姫達まで、、、、。」


「やはり、モフモフか、モフモフなのか?」


 こんな感じで私に対する陰口があちこちで聞こえてくる。こんな冴えないオッサンが下心持ってたら、一緒にクエストなんて受けられるわけないだろ? もう少し足りない頭を使って考えろよなぁ。とは流石に言うわけにはいかない。前世の私なら恐らく同じように思うだろうから、、、、。あ、何か泣けてきた。


「あ、アイスさんおはようございます。って、ええっ? 戦姫の方達も一緒ですか?」


「エルナさん、おはようございます。今日は合同でクエストを受けようと思いまして。」


「エルナさん、ごきげんよう。わたくしたち、今日はこの依頼をお受けしますので手続きをお願い致しますわ。」


「は、はい、承りました。参加者は戦姫の3人とアイスさん達の合計4人と2体でよろしいですか?」


「ええ、それでお願いしますわね。」


 アンジェリカさんが、さも当然と言わんばかりに仕切っていく。まあ、慣れた人がやってくれればいいよね。そういえば、エルナさん、いつもと違ってかなり緊張していたな。ということはアンジェリカさんは予想通りかなり位の高いご令嬢だな。高貴な身分であることを隠して冒険者として行動する、うん、普通に定番だな。まあ、アンジェリカさんが身分を隠しているかどうかなんて聞いてないからわからないのですが。


 手続きを終えて、ギルドを出ると、一旦待ってもらうように言った。ソリを用意しないと。職はポーターですので、商売道具を忘れるわけにはいきません。ということで裏へ行き、ソリを空間収納から取り出す。肩紐をしっかりかけて地面との接合面に水術で作った氷を貼り付ける。これで準備完了。ポーターとして気張るぜ、などと思いつつ戦姫と改めて合流する。馬車並に大きい荷台をまるで引っ張っていないようにしか見えない表情で普通に話しかけていることに3人は驚いていた。


「この荷台って、アイスさんが引っ張るの?」


「そうですよ、ポーターですからね。職業スキルの重量軽減も活きてますよ。」


「これなら、いっぱい素材が手に入ります!!」


「できるだけ手に入れておきたいですね、遠慮なく集めてください。」


 聞いてきたのはアンジェリカさんではなくセイラさんの方だった。そのアンジェリカさんは未だにポカンとしていた。ルカさんは接地面を見て、しきりに首をひねっている。明らかに魔法っぽいけど魔力を感じられない、そんな表情だ。無理もない、だって魔力一切使ってない、というか使えない(泣)。


 みんなが落ち着いたところで、いつもの南門へと行くと、モウキさんがいた。


「おう、アイス達か、それに戦姫の3人もいるな。今日は合同でクエストか?」


「おはようございます、モウキさん。そうです、明日に備えての練習もかねて。」


「そうか、お前達以外は明日に備えて休んでいるな。明日もあるから無理はするなよ。」


「大丈夫ですわ。今日の獲物はオークですので、どうにかなりますわ。」


「そ、そうか、とにかく明日に支障は来さないようにしてくれ。」


「承知しております。では行ってきますね。」


 私達と戦姫の3人はタンバラの街を出て、オークを探しに出発した。
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