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階段
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ハルが学校から帰ると、ハチが玄関で出迎えてくれた。すねにまとわりついて、にゃごにゃご言いながらスリスリしてきた。ハルが抱き上げると鼻キスをした。
「ただいま、ハチ」
「にゃ」
律儀にお返事。可愛い~♡
むぎゅっと抱きしめると、それはイヤだったようで、身を捩って逃げていった。
「なんだよー」
ハチはもうハルに興味がなくなったようで、自分の毛づくろいを始めていた。
「猫って…。しょうがないなぁ」
冷蔵庫から麦茶を出して喉を鳴らして飲んだ。ハチも思い出したかのように、自分も水を飲んでいた。
ハルが自分の部屋で宿題をやっていると、足許にまとわりついていたハチが部屋から出たいとドアをカリカリした。
「はいよ!お母さん帰ってきたの?」
「ニャッ」
ドアが少し開くと、するっとすり抜けて玄関に向かった。玄関の定位置で尻尾を体に巻き付けてお行儀良くお座り。
ドアが開くと、雪の視線は自然と下へ…。
「ハチ~♡ただいまっ!」
いわゆるへそ天で雪をノックアウト。メロメロで玄関で足止めされていた。
「ハル~!おやつ食べる?」
返事をしてキッチンに行くと、生クリームのロールケーキが置いてあった。ハチにはチュール半分。秒で食べてなくなった。
「いただきまーす」
お母さんは僕が食べてるのをジーっと見てた。
「食べる?」
「あはは(笑)大丈夫」
「…。何か顔に付いてる?」
お母さんがちょっと怖いくらい真剣な顔で僕を見た。
「ハルに話があるの」
「お母さん、顔が怖いよ?」
「ん、ごめん。あのね…ハル、あなたの本当のお父さんに会いたい?」
「え?…今ちゃんとお父さんいるよ」
「そうね。周作さんはあなたのお父さんよね」
「今まで会ったことないし、会いにも来なかったよ」
僕は何だか頭に来た。
「お母さん、ハルが生まれたこと、ほんとのお父さんには言ってなかったの。黙ってて本当にごめんなさい…」
「でも、何でそんなこと言い出すの?」
「ほんとのお父さんがこの前お母さんに謝りに来たの」
「どうしてお母さんが僕を生んだって分かったの?」
「調べたみたい…」
「調べたって…。この前のお母さんをつけてた人に関係あるの?」
「…。もしかしたらね」
僕はふざけるなと思った。お母さんは怖がってたじゃないか!
「お母さんはそんな人許すの?僕はイヤだ!」
その時、玄関からお父さんの声が聞こえた。ハチはいつの間にか玄関でお父さんを出迎えていたらしい。ハチをいつものように肩に乗せてダイニングに現れた。いつもより早い帰りに僕とお母さんは驚いた。
「ちょっと着替え取りに来たんだ」
周作はハルと雪の様子を見て、何を話していたのか察したらしい。
「なんだ?ハルが珍しく怒ってるみたいだな」
周作はなだめるように優しく言った。
僕は頭に来ていて、言葉がうまく出なかった。
「だって…。僕のお父さんは一人しかいない。ほんとのってなに?お母さんの事を調べるような人がほんとのお父さんだなんて。一生会わなくてもかまわないよ!」
「ハル。ハルが会うか会わないかは決めることが出来るよ。誰も強制したりしない。俺だって会わせたくない。ハルは俺の息子だからな」
「だったら別に会いたくない。お母さんにもひどいことしたんでしょ?」
「実際のところは分からないんだ。俺も調べたんだけど、いつの間にかつきまとわれなくなっていたからなぁ」
「…とにかく僕は会いたくない!」
僕はお風呂入るね!とその場から逃げるように部屋を出た。
「ただいま、ハチ」
「にゃ」
律儀にお返事。可愛い~♡
むぎゅっと抱きしめると、それはイヤだったようで、身を捩って逃げていった。
「なんだよー」
ハチはもうハルに興味がなくなったようで、自分の毛づくろいを始めていた。
「猫って…。しょうがないなぁ」
冷蔵庫から麦茶を出して喉を鳴らして飲んだ。ハチも思い出したかのように、自分も水を飲んでいた。
ハルが自分の部屋で宿題をやっていると、足許にまとわりついていたハチが部屋から出たいとドアをカリカリした。
「はいよ!お母さん帰ってきたの?」
「ニャッ」
ドアが少し開くと、するっとすり抜けて玄関に向かった。玄関の定位置で尻尾を体に巻き付けてお行儀良くお座り。
ドアが開くと、雪の視線は自然と下へ…。
「ハチ~♡ただいまっ!」
いわゆるへそ天で雪をノックアウト。メロメロで玄関で足止めされていた。
「ハル~!おやつ食べる?」
返事をしてキッチンに行くと、生クリームのロールケーキが置いてあった。ハチにはチュール半分。秒で食べてなくなった。
「いただきまーす」
お母さんは僕が食べてるのをジーっと見てた。
「食べる?」
「あはは(笑)大丈夫」
「…。何か顔に付いてる?」
お母さんがちょっと怖いくらい真剣な顔で僕を見た。
「ハルに話があるの」
「お母さん、顔が怖いよ?」
「ん、ごめん。あのね…ハル、あなたの本当のお父さんに会いたい?」
「え?…今ちゃんとお父さんいるよ」
「そうね。周作さんはあなたのお父さんよね」
「今まで会ったことないし、会いにも来なかったよ」
僕は何だか頭に来た。
「お母さん、ハルが生まれたこと、ほんとのお父さんには言ってなかったの。黙ってて本当にごめんなさい…」
「でも、何でそんなこと言い出すの?」
「ほんとのお父さんがこの前お母さんに謝りに来たの」
「どうしてお母さんが僕を生んだって分かったの?」
「調べたみたい…」
「調べたって…。この前のお母さんをつけてた人に関係あるの?」
「…。もしかしたらね」
僕はふざけるなと思った。お母さんは怖がってたじゃないか!
「お母さんはそんな人許すの?僕はイヤだ!」
その時、玄関からお父さんの声が聞こえた。ハチはいつの間にか玄関でお父さんを出迎えていたらしい。ハチをいつものように肩に乗せてダイニングに現れた。いつもより早い帰りに僕とお母さんは驚いた。
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「なんだ?ハルが珍しく怒ってるみたいだな」
周作はなだめるように優しく言った。
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「だって…。僕のお父さんは一人しかいない。ほんとのってなに?お母さんの事を調べるような人がほんとのお父さんだなんて。一生会わなくてもかまわないよ!」
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「実際のところは分からないんだ。俺も調べたんだけど、いつの間にかつきまとわれなくなっていたからなぁ」
「…とにかく僕は会いたくない!」
僕はお風呂入るね!とその場から逃げるように部屋を出た。
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