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★★本編★★元戦闘奴隷なのに、チャイニーズマフィアの香主《跡取り》と原住民族の族長からの寵愛を受けて困っています

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性器切断 暴行 仕返し 流血 潮吹き 

✁✃haoyu side✃✁

……あれがオレのお兄さん?
髪の色も目の色も違うし、身なりも異なっていて凄くキラキラ輝いて見えた。

父亲〈フーチン〉のすぐ側で皆から香主〈シャン ジュゥ〉と呼ばれているのはオレの兄の九〈ジゥ─九鬼─〉だった。
兄と言っても母親は違うし、そもそも身分が違うと産まれたときから何度も教えられている。
オレが産まれた龍鬼頭〈ロングゥイトウ〉は産まれたときから跡取りが決まっている。
残念ながらそれはオレでは無かったけど、あの人がオレの兄で有る事には変わり無い。
オレが連れて行かれるつまらない集まりの時には必ず義兄は父亲〈フーチン〉のすぐ側に居た。

ある日たまたま廊下を歩いている義兄を見つけた。
幼かったオレは母から離れてなんの気無しに義兄に声を掛けた。

「哥哥〈グァ グァ〉」

九〈ジゥ─九鬼─〉は驚いて数度瞬いたけど、義兄が何か言うよりも早く後ろから走ってきた母がオレの頭を床に押し付けた。
そして母も土下座していた。

「申し訳ございませんっ!香主〈シャン ジュゥ─跡継ぎ様─〉、この子はまだ小さき身でありまして、何卒ご無礼をお許しください!!」
「え?……あ、いいヨ~、ボクはそう言うの気にしないカラ。パパは駄目だろうケド。キミ、ボクの弟なの?」
「この子は、総統様の──」
「キミには聞いてないケド?」
「ひぃ!?すいませんっ!!」

母が怯えて更に額を床に擦りつけていた。
でも義兄からは怖い気配はせず、オレは頭を上げた。

「うん。オレは哥哥〈グァ グァ〉の弟」
「皓宇〈ハオユー〉!!?」
「そっか~、ならボクはお兄さんらしいことしなきゃだネ、遊ぼっか皓宇?」

そうして、オレは義兄に手を引かれた。
中でお馬さんごっこして遊んだり、外で走り回って遊んだり、回数は多く無かったけど集まりが開かれたあと、オレは義兄、哥哥〈グァ グァ〉に突撃していた。

「哥哥〈グァ グァ〉、ソイツなんだ?」
「この子?捕虜だったんだけど教育してボクの奴隷になった子。何でもするヨ?」

ある日、哥哥〈グァ グァ〉は一人の女性に首輪を付けて犬のように歩かせていた。
その女の瞳は完全に恐怖に染まっていたけど凄くきれいな見た目をしていた。
オレが興味津々にしていたからか、哥哥〈グァ グァ〉は首輪から伸びている鎖をオレに渡してきた。

「欲しいならあげるヨ」
「え!?」
「これが首輪の爆発のスイッチね」
「いいのか?」
「うん。もう飽きたカラ」

そう言った哥哥〈グァ グァ〉はとてもつまらなそうな顔をしていた。
それからは会うたびに何かを強請った。
人、物、金。
哥哥〈グァ グァ〉はオレからのお強請りを拒否する事はなく何でもくれた。
色々なものをオレが持ち始めると、色んな奴らが寄ってきて女の遊び方はそいつ等から教わった。






ある日、オレはいつも通り哥哥〈グァ グァ〉を見つけて彼の俗称を呼んだ。

「哥哥〈グァ グァ〉!!」

いつもならにこやかな笑みを向けて来るのに、今日は何故かその瞳が凍った。
次の瞬間、後頭部を捕まれ廊下の壁にある装飾ガラスに額から突っ込んでいた。

「キャァァァァァァァ!!!」

母親の悲鳴が木霊する。
額の上が切れ、真っ赤な血が床にポタポタと流れ落ちた。

「ぅ゙ぁあああ゙!!!」
「うるさいナァ。ボクに向かってそんな口きいたんだからコレくらいで済んで有難く思いなヨ。ねー、ちょっと、どういう教育してンの?」
「申し訳ございませんっ!!申し訳っ!ぅ、ぐ!!」
「痛いッ、いたっ、ぐぁっ、ッ──────!!」
「二度とその呼び方で呼ぶナ……」

土下座した母を哥哥〈グァ グァ〉は容赦なく踏み付けて、額を何度も床に押し付けて居た。
オレもそのまま髪を引っ張られるように引き摺り回されて母に向かって投げつけられた。
脈の動きに合わせて、切れた血管から血が吹き出す。
母が慌てて布で額を押さえていたけどオレは理解が出来なかった。

痛い。体も心も痛い。

止まらない涙を流しながら哥哥〈グァ グァ〉の背中を見つめていると、義兄は父亲〈フーチン〉の元へ歩いていった。



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オレはハッとしたように瞼を開けて起き上がった。
場所はホテルの最上階のベッドの上だった。
どうやらオレは子供の頃の夢を見ていたようだ。
窓の側まで歩くと外は激しい雨だった。
前髪をかきあげると窓ガラスに映った自分の額の傷を見つめる。
あの時の哥哥〈グァ グァ〉に付けられた傷はまだ消してない。
後で聞かされた話によると哥哥〈グァ グァ〉は父亲〈フーチン〉からオレを守る為にあんな行動をとったらしいが、どんな理由であれ、哥哥〈グァ グァ〉はオレを捨てた。
それから会う回数も減り、こちらから声を掛けなくなった事もあり接触は無くなった。

それでも、義兄からの色んなお下がりの恩恵はあったが、哥哥〈グァ グァ〉に遊ばれたあとのものは全て斬って、遊んで、捨てた。
それが最近では捕虜や奴隷で遊ばなくなったようで、きれいなまま回ってくるようになった。
何故かと思ったら、龍鬼頭〈ロングゥイトウ〉経由ではない奴隷…を手に入れていたからだった。
しかもかなりの上玉で直ぐ飽きて捨てる哥哥〈グァ グァ〉には勿体無い奴だ。
地下に拘束している神功を思い出すと、オレの口角は自然と上がった。

繋いだままにしていた特殊な無線機が五月蝿いのでどうやら哥哥〈グァ グァ〉の洗脳計画は失敗したようだった。

洗脳した哥哥〈グァ グァ〉を神功の前に引き摺りだしたら愉しそうだと思ったけど、それはまたの機会になりそうだ。
失敗したら失敗したでさっさと神功を連れて日本を離れようと踵を返した瞬間、隣の部屋の窓ガラスが盛大な音を立てて割れた。

「な…!?」

部屋中に警報が響き渡り、防御装置が作動してオレがいる部屋が隔離される筈だったが、侵入してきた人物がその壁に触れた瞬間砕けちった。
揺れる銀髪と透き通った瞳が真っ直ぐにこっちを見つめていた。

「哥哥〈グァ グァ〉……」
「久しぶりだネ、皓宇〈ハオユー〉。おっきくなったネ~」
「何度も会ってる筈だケド?」
「そうなの?ボク、中国〈あっち〉でいる時って愉しくなさ過ぎてサ~。なーんにも見てないンだよネ」
「流石、なぁーんもしなくても次期頭首だもんナ。お気楽でイイよな」
「まぁ、ソウダネ~。産まれたときから決まってる事だからネ~」
「だったらさ、アイツくれよ…!」
「……………。」
「新しい奴隷!どーせ、また遊んで捨てんだろ?オレ、アイツ気に入ったんだ~、流石哥哥〈グァ グァ〉の選ぶ奴隷だよナ」

哥哥〈グァ グァ〉が昔のように笑みを浮かべた。
やっぱりオレの義兄は変わってないなと思った瞬間視界が真っ黒に染まった。

「ぅ゙ぁああああ!!痛いッ!哥哥!?…なにすんだ…ヨ!!」

頭が割れるように痛い。
哥哥はオレの顔を片手で鷲掴みにし、そのまま圧力をかけられる。
頭蓋骨が軋み、必死にその手を掴んで引っ張ったがビクともしなかったのでオレは能力を発動させて、哥哥の腕を切断しようとした瞬間。
顔面を思いっきりグーで殴られて後ろにすっ飛んだ。

「ぐッ……!!?い……てぇ!なにすんだ………ッ!?」 
「それ、ボクの台詞なんだよネ~」


次に目を開いたら目の前にダガーの刃先があった。
瞳孔の調度中心に宛てがわれた刃先に息が引き攣った。

「この世界でさ、人様のモンに手出したらどうなるか知ってるよ、…ね?」
「ヒッ!……は?だって、哥哥は今までオレに……」
「キミに譲ってやったのはボクのモノじゃない、あれは全部龍鬼頭〈ロングゥイトウ〉の物ダヨ」
「!!??そんなの屁理屈じゃねぇか!!」
「屁理屈とかそ~ゆうのどーでもイイんだよネ~、問題はさ、次期頭首の恋人に手ェ出した落とし前つけろって言ってんの…!」
「ひ、ぎぃぁああああ!!」

哥哥〈グァ グァ〉がそのまま刃先を押し込んできた。
オレは体を逸らしたので目尻から耳が切り裂かれるに留まったが、赤い筋が走り、鋭い痛みと共に血が流れ出す。

つーか、今哥哥〈グァ グァ〉はなんつった?
神功はそんな事一言も言ってなかった。
義兄が告げた“恋人”の言葉にオレの背筋は凍った。
哥哥は女の恋人は腐るほど居た。
同列で嬲って壊す奴隷や捕虜も沢山居たけど、神功のようなタイプの“恋人”は居たことが無い。
そして、オレは義兄から初めて感じる執着にゆっくりと後退った。

「わ……わ、悪かったって……知らなかったんだ…哥哥〈グァ グァ〉が本気の相手だって……!あれ、哥哥ダロ?アイツのマンコ作ってツッコめるようにしたの……まさかそんなコト好きな相手にすると思わないダロ?」
「あ~、アレね~。まぁ、造ったのはボクだけど…」
「なぁ、アレ、どんな医者使ったんだヨ…!具合良すぎんだけど。オレにも作り方教えてくれヨ…!」
「造ったことには否定しないけど、あの形状になったのは左千夫くんだからだしネ~。同じモノは無理じゃないカナ~」
「はぁ!?なんでだよっ!!なんで……ひぃ!?」
「……皓宇〈ハオユー〉、ウルサイなァ…。もう少し自分の立場を理解しろヨ」
「………ッ!!!??い、いいのかよ!!オレに手を出してみろよ!!オマエの恋人の神功はオレが幽閉して…」
「居ないヨ」
「……は?」
「左千夫くんは地下には居ないヨ」
「な、何のことだ……」

白を切りたかった。
だが、義兄の表情が全てを物語っていた。

地下の拷問部屋から逃げ出せるはずは無いのにオレは怯んでしまった。
神功は両腕と片足を切断して、片足の爪先で立たせた状態で首輪をつけ天井から吊している。
能力を使用できなくする首輪だし、その首輪を外す為には鍵だけではなく指輪をはめた指が必要になる。
しかも鍵を差し込んで、開かないからとバカみたいに回したら爆発するように作られている。
神功に指輪は返したが膣に埋めたあの状態で胎内から取れるはずがない。
無理だ、どうやったってあそこから抜け出すのは不可能だ。

その時オレの携帯が震えた。
ムーニスからの着信だったので迷わずオレはボタンを押した。

「おい!ムーニス!!どこにいんだよ!!」
『ン?お前に言われた通りに地下の神功を見に来ているが……詰めが甘かったな、皓宇。見事に逃げられているぞ?』
「……ッ!!?どーいうことだよ!!?なんで逃げられんだよ……!」
『だから、言ってやっているだろう。詰めが甘い……と。精神系能力者は能力制御していても何らかの形で能力に似通ったものを使える奴も多い。
皓宇。お前、疑わなかっただろう?神功がこの地下から出られないと。そう思い込まされた時点で既にお前の負けだよ』
「くっ……そ!!もういい!!さっさと上まで上がって来い!!オレを助け……」
「ヤッホー♪ムーニス、キミも来てたのか~、左千夫くんが用心深くなる筈だネ」
『久しいな、九〈ジゥ〉。元気そうな声だ』
「うん、とってーも元気だヨ~、皓宇の用心棒で来たのカナ?ちょっとこの子粗相したから……無事に返して上げられないかもしれないケド…?じゃーボク忙しいカラまったね~♡」

哥哥〈グァ グァ〉は俺の横から携帯を奪うとスピーカーにして会話をはじめ、そして、最後は携帯を握り潰した。

パラパラと金属片が義兄の手から零れ落ちる。
また俺の目の横に付いた傷が痛み始めた。

「ムーニスは、父亲〈フーチン〉に言われてオレを守ってるんだぜ…!そ、その俺にこんな行い…」
「皓宇、往生際が悪いヨ。キミもわかってるデショ?……キミが龍鬼頭〈ロングゥイトウ〉の人間じゃないなら話は変わってくるケド、キミは龍鬼頭の人間なんだヨ?ムーニスはあくまでも外部からの敵襲の為のキミの護衛だ。でも、ボクは内部の人間……そして、ボクには父に続いて、二番目に組員の生殺与奪の権限を持ってるんだヨ?」
「……ぅ、あ゙……あ゙……」

さざ波のような声が部屋に浸透する。
そこから義兄の口角が一気に吊り上がり……嗤った。

「い、ぁ゙ぁああああ!!!」

太腿から激痛が走ってその場に尻餅をつく。
義兄が持っていたはずのダガーが足に刺さっていた。
慌てて引き抜くが血は止まらずに反射的に手で押さえた。

「ねぇ、左千夫くんの事何回斬ったの?」
「は……あ゙…覚えてなッ…」
「ふーん、覚えてないくらい斬ったんだ?」
「ああ゙!!やめろっ!!哥哥ッ!!痛いッ!!いた!!」
「皓宇はさ?“切断”の能力で切り刻んだ相手がそう言ったらやめてあげたの?」

目の前にいる義兄の表情は一定だった。
口角は上がっているのに瞳は冷めていた。
凄くツマラナイ事をしているかのような、とても愉しんでいるようなどちらにも取れる表情に頭がおかしくなっていく。
引き抜いても逆の足に刺され、次はそのまま引き抜かれる、その刃がまたオレの足に向かってきたので、能力で手を刄に変えて受けようとしたけどその手首が義兄のグローブを嵌めた逆手によって掴まれた。

「うん。左千夫くんの推測通り、斬れるのは手首から上だけみたいだねぇ~、全ッ然、鍛えてないデショ?」
「ヒィッ……やめ、ぃ゙ァアアアッ!!」
「斬りつけるときの悲鳴ってイイよね~、こんな能力あるのに斬られる事に慣れてないって生温すぎナイ?……こうやって、先ずは自分に覚えさすんだヨ~」
「あ゙……あ゙!!やめッ!ヒィッ!!お、オレが、お、れが悪かった…から哥哥…ッ」
「そうだね~次期頭首の寵愛相手に手出したキミが悪いネ~、だからさ…ほら、ボクを愉しませてヨ」
「……へ?」
「確か、左千夫くんからの情報では~、左手で足首を持って、右手で………あれ?」
「グァ…ッ」

「────能力引っ込めんナよ」

哥哥〈グァ グァ〉がオレの手を利用して皮膚を裂く。
慌てて能力を引っ込めると上から怒気を感じで全身が萎縮した。
オレの義兄は気味が悪いほど奇麗に嗤った。

「ゔ……ッ……ゔ…やめて、やめて…くれヨ……」
「泣いちゃってカワイイね~、左千夫くんも泣いてくれた?」
「アイツは……!?」
「はい、もういいや~、ツマンナイシいっちゃうヨ~」
「ぅ゙、ぁああ゙あ゙!!!」

義兄は笑みを浮かべたままオレの太腿をオレの手で切断して行った。
いつものように筋繊維が切れて、骨にも見事に指が通っていく。
それと同時に上がる、感じたことの無い激痛にオレは狂ったように叫んだ。
途中まで切れた腕が痛すぎて能力の放出がブレるとそこで切断が止まる。
しかし義兄が手を押し込む力が緩まない。
このままでは肉同士がぶつかって抉れて元に戻せないので、また手を切れる用にした。
痛い、痛い、痛い、痛い!!
頭がガンガン、クラクラする。
既にもう何をやっているかもわからなくなったまま、切断した足を右手でタップさせられ、オレの左足が地面に転がった。

「はぁ……はぁ……えぐっ……ぅ゙、は……」

人形の足みたいにきれいなままそこにあるのにオレの傷口は痛いままだ。
知ってる。知識としては知ってるんだ、でも…でも!!

「面白い能力だネ~。血も出ないとか便利だし」
「は…ぅ゙!も、もゔ、いいだろ゙!!」
「ナニ言ってんの?まだ逆の脚が、あるで、…しょ!!」
「ぃ゙!!ぁあああ゙!!脚がッ!オレのッ!あっ……し」

次は右足を掴まされ、太腿に手刀を当てられる。
うまくキレ味を鋭くできなくて、えぐる様に手が肉に押し込まれて行く。
目が真っ赤で鼻水まで垂れてたけど義兄は許してくれる気配は無かった。

「あれ?さっきより、切れにくいけど?……、ま、力技でいっか~」
「あ゙…もう、やめ、お願いじま゙ず!!もう、やめてくだざ!!ぃ、ぁあああああッ!!!!」
「両足なくなっちゃったネ~。
う~ん、じゃあ、ボクも鬼じゃないからサァ……後、────自分のチンコ斬って見せてくれたら許してあげるヨ」
「ふ、……ぅ゙……ぐ……え゙?な、なんで……」
「男だったら、ソコしかないよネ~、粗相したんだし。ほら、ボクが斬ってあげようか?その代わり、ボクが斬ったらもう元に戻らないけどネ~」
「ゔ、ひっ!!ギァァッ!!自分でッ、自分で、斬る……ッ!!」

哥哥がまたタップして、血が流れないようにしてからオレの足を捨てた。
オレの周りに二本の脚が転がっている異様な光景に呼吸が引き攣る。
更に義兄はオレのズボンを引き裂いてペニスを足で踏み付けた。
ヒグッ、ヒグッとみっともなく嗚咽が漏れたけどこんな状況を冷静に対処できる奴なんて居ない。
涙ながらに哥哥〈グァ グァ〉が退けた足から顕になった縮こまった性器を左手で掴んだ。
ハァハァ、と、口を開きながら呼吸を繰り返す。
喉も唇もカラカラで目を閉じたいのに、見開いたままで愉しそうに笑っている義兄と自分のペニスを見つめた。

ヤらなきゃ、殺られる…。
甘やかされて育ったオレは見て見ぬフリをしてたけど此処はそう言う世界だ。
オレは大きく喉を動かしてから刄を一番鋭くしてペニスの付け根に手を差し込んだ。

「ヒッ……うっ!!……あ゙、い、痛いッ!!哥哥ァッ…痛いッ…!!」
「今まだ四分の一も行ってないヨ~?ほら、ひと思いにやっちゃった方が楽だと思うケド?」
「も、もう、許し、い!!あ゙、ゆる……ッ」
「………………そろそろ見苦しいんダケド?」
「ヒィ!!?ゴメンなさぁッ!!…斬るッ、斬りますッ、あ゙、あ゙……ぁあああああ゙!!!!」

歯を食いしばるとオレは陰茎を一気に切断した。
感じたことの無い痛みに無い足をバタつかせようと力が入るが切断された足は動く事はない。
体を前に丸めて、床に額を擦り付けながら気を逸らしたが痛すぎる。
そんなオレに更に追い打ちをかけるように哥哥は切断した性器を握っていない、右手の手首を踏んだ。

「じゃあ、左手でそのままパーしよっか?」
「………い゙……あ゙!!……あ゙?…タッチ、しでな゙い゙…!?」
「はぁ?ナニ言ってんの?そんな行儀が悪いチンコ要らないデショ?」
「ぞんな゙ッ!!オレ、ちゃんと、哥哥のいう通りにッ」
「さっさと離せって言ってんダロ───?」
「ひっ!────ぁ゙ああああ゙ああああ゙!!!!!?痛いぃぃ゙!!チンコがオレの!!あッ!あ゙!!」

ガンッ!!と、オレの左までも義兄は踏み躙った。
その衝撃で手から性器を離した瞬間、血が吹き出した。
びしゃっと、義兄にまで勢い良く血は飛び散り辺り一面血まみれになった。
自分の体に残っている陰茎を必死に握り締めるが隙間からドクドクと流れて床を赤くする血が止まらない。
足が無い状態で床をのたうち回った。
しかし義兄によって肩を踏まれ仰向けにされて涙で歪んだ視界には天井と愉しそうに嗤っている哥哥が映った。

「キンタマ取ったわけじゃないカラ子供はつくれるかもだけど、もうエッチは出来ないかもネ~」
「ゔ!!ぅッ!!酷…いッ……ッ!何で、弟にこんな事ッ……!出来んだ…よっ!!」
「……何も変わらないカラ」
「…………へ?」
「ボクにとっては左千夫くん以外はみんな一緒ダヨ?啊〈アァ〉…でも、左千夫くんをアソコまで追い詰められたのはキミのお陰だから………」

そう言って哥哥〈グァ グァ〉は彼自身の指を斬った。
そして、オレの握っているペニスの先に赤い血が滴る。

「次期頭首からの施しダヨ~、有難く受け取りな」

細胞が形成されていき、性器が短いままだが皮膚ができ、血は止まった。
こんな能力が義兄にあったとは聞いたことがない。
“創造”の能力は生物には作用しないはずだ。
切断されて床に転がった肉片も血を浴びると、同じように皮膚が再生されていた。
だが、痛さは先程と変わりなかった。


「貴方のその能力は秘密の筈では?」


聞き覚えのある透き通った声が聞こえた。
義兄が砕いた防御壁に佇む人影に視線を向けると、そこには身なりが整っていて、三つ編みも出会ったときのように綺麗に結った神功が立っていた。
あれだけ傷付けた筈の傷は一つもなく、もしかしたら自分は一番最初の段階からずっと幻を見ていたのではないかとすら思える程、─────彼は綺麗だった。





▲▲ sachio side ▲▲

目を覚ますと喫茶【シロフクロウ】の最上階の部屋だった。
九鬼の姿が無くて嫌な予感しかしないので、傷は治っているが痛みの取れていない体を叱咤して端木 皓宇〈ドゥァンムゥー ハオユー〉の泊まっているホテルに向かうと、案の定其処に居た。
更に僕達の仲間しか知らない体内の“創造”を義弟に披露していて大きく溜息を吐いた。
だから九鬼に情報を渡すのは嫌なんだ。
全くジッとしていてくれない。

「あれ?左千夫くん……もういいの?」
「もういいです。と、言いたいところですが誰かさんが余計な事をしてくれたので、ダメージは負ったままですがね」

折角のスイートルームの床が血で汚れてしまっている中、ゆっくりした歩調で結った髪を揺らし、瞳の血流を速くしながら皓宇へと近づいた。
涙と鼻水で無様な顔を見詰めながら顎を持ち上げると、既に掛かっている催眠術を濃くするように瞳術を施していく。
僕の情報は勿論、九鬼の能力の事も喫茶【シロフクロウ】の事も全て口にする事が出来ないように皓宇〈ハオユー〉の脳に刻み込んで行く。


「あ゙………あ゙……あ゙……………」


皓宇〈ハオユー〉の瞳が一瞬赤みを帯びた所で僕は静かに瞬いた。
それと同時に目の血管が弾けて目尻から赤い涙が流れる。
能力を使いすぎた為に起こるキャパオーバーに大きく溜息を吐こうとした瞬間、後ろから九鬼に羽交い締めにされた。

「……!!!?九鬼!!?」
「皓宇〈ハオユー〉がさ、左千夫くんのおマコンもっかい見たいって~、良かったネ、気に入ってもらえて」
「何の事ッ…!ッ……やめッ…………」

傷む体は九鬼の動きに全く付いていかなかった。
背面立位で後ろから片足を大きく持ち上げられる。
ダガーで下半身の肌ごとスボンを割かれ、皓宇〈ハオユー〉の目の前で下半身が露わになる。
付いた傷は九鬼の血の滲んだ指が触れると塞がっていった。

「哥哥……傷治せンのかヨ……」
「痛みは取れないけどネ~。後、体内まできれいに治して上げられるのは左千夫くんだけだケド」
「九鬼……やめなさ……ッ……!?!?」

九鬼の右手が僕の右脚をガッチリと抱えたままその手で首を圧し折る勢いで締め付けてくる。
折られないようにと両手で腕を押し返すが、皓宇〈ハオユー〉に切断された腕のダメージがまだ取れてなくて、必死に押し返してやっと呼吸ができる程度に緩む。
その間に萎えたペニスをゆっくりと扱かれた。

「…………ッ…………ンッ!」

さっき腕を切断されたときに肉は切れているけど、神経は繋がっていると思い込ませ、更にそれを切断された後に全神経を敏感にして離れているが、繋がっている事にした名残が消えていなかった。
軽く触られただけなのに痛いし、気持ちいい。
しかもどんどんと酸欠になっていき、痛いと気持ちいいが混ざってしまうと正常に頭の中を処理出来ずに勃起して行った。

「折角、尿道拡張ピアスしてたのに、皓宇が引っこ抜いちゃったから新しいタイプにしたんだヨ~、ほら勃起しないと見えないからいいデショ?」
「……ッ!九鬼ッ!!」
「デネ~、クリトリスは指輪嵌めちゃったんだ~、ほら、可愛いでしょ?」
「あッ!!や……痛いッ、いたッ……」
「治ってるヨ…ピアスホールも君が寝てる間に舐めて治したから…」
「ッ!!!??………ぅ゙………ぁあ♡」

九鬼の言葉が僕を洗脳していく。
痛みもあるし気持ちよさもある、しかもそれがいつもの何倍も感じてしまい片方で立ってる脚が震えた。
陰嚢を掌で持ち上げるようにして陰核の根本を貫通させて固定している指輪を目の前の皓宇〈ハオユー〉に九鬼は見せ付けていた。
そして、その後に僕の割れ目を指で拡げた。

「で、キミを魅了して止まないオマンコね~。ピンク色で可愛いよネ。襞も多いし、凸凹してるし、亀頭で触れると最高に気持ちいいよネ~、何段階にも分けて締め上げてくれるし……ほら、こんな感じで直ぐにヌルヌルになるしネ~」
「………ッ?……あれ、濡れン……じゃん……」
「左千夫くんは敏感だから直ぐ濡れるヨ?ほら、こんな感じで…さ?」
「………!?く、九鬼!?指、挿れるなっ!こんな所で……ッ!………ん!!…ぐ!」

皓宇〈ハオユー〉とセックスしたときは濡れたりしなかったので不思議そうに呟いていた。
両足がなく痛みで意識が朦朧としている彼はただただ僕の恥部を見つめていた。
九鬼は更に指を埋めて、入口をわざとらしく掻き出して淫液を滴らせていた。
羞恥を煽る行為に腕を掴みたいが、首を締める行為が強くなってそれもままならない。

「勿論……アレも出来るヨ?」
「………………ッ!!?九鬼!?……やめなさッ、あ♡………くぅ♡」

入口で遊んでいた指が二本、第二関節まで埋められると、グッとGスポットの辺りを持ち上げて小刻みに擦り始めた。
この刺激の与え方が何を意味するか分かっている僕は腰をくねらせたがガッチリ抑えられ、酸素まで奪われていくと抗議の視線を背後に向けたが悦を孕んだ視線が絡むだけで何の効果もなかった。

前回のゆっくりと誘導してくれるやり方とは違い、無理矢理強く押し上げられてその場所のみを擦られる。

「ふっ………くっ♡……いや…で、すっ……!……ゔッ」
「ほら、皓宇に見せてあげなヨ……、潮吹きも出来るんだよ~、って」
「ぁあ♡ダメッ、そこ、そこ押したらッ、く、ぅ、う、ぅああああっ♡」

陰嚢が激しく揺れるほど上の壁をタップされ擦られると、感覚を覚え込まされている僕は我慢する事が出来なかった。
九鬼に押し上げられるままに尿道が緩み、僕の女性の尿道から分泌された潮が飛び散った。
暫く摩擦をやめてくれなかったために断続的に吹き出して、目の前で放心状態の皓宇〈ハオユー〉の顔を体液が汚していく。
最後に掻き出すように指を引き抜かれ、ベシャと大量の潮が皓宇に掛かった。
生温かい体液を浴びながら皓宇が僕を見上げたので視線が絡んだ。
その一瞬を利用して僕は彼を眠らせてしまう。
パタンと皓宇が床へと転がるとほぼ同時に僕のアナルに九鬼が割り入ってくる。

「ァああああっ♡も、……抜いてッくだっ、ここ……はぁ、こんなとこでッ」
「あれ?眠らせちゃったのか。んー……だね~、敵地だからなるべく早く済ますヨ~、ムーニス来ても嫌だし……はぁ、もう、痛く無くなった?……ッ、さっき挿れたとこだから、緩んでる……」
「う♡…ゔ……き、つい……ああっ!!」
「また直ぐに……はっ……ボクの形になる……ヨ……ッ」

立ちバックのまま首の手が外れ、太腿を下から持ち支えるように抱え直しながら上半身を前に倒される。
もう片方の手は腹を支えつつペニスを扱かれた。
ちゃんと僕が気持ちいい事もされてしまうので不安定な体勢にも拘らず鼻から甘く息が抜けた。
九鬼が中国に行くまでは毎日セックスをしていた体は直ぐに彼を求めるように収縮し、僕の頭がおかしくなりそうだった。

「ぅ……あ……あっ♡だめ、押し付けないッ…で…アアッ♡……くぅ…ッ」
「キミが治ったって分かるまでいっぱい触ってあげるのは帰ってからにして上げるカラ……は、取り敢えず……くっ、イきなヨ」
「ぅ!!ぁあああ♡は、……奥に、ッ!あた、……て、ピアスがっ…ッんー!!♡…………ぁあああ♡」

片足を背後から脇に抱え直され、体位を固定させられてしまい、尻の肉が歪むほど突き上げられると綺麗に背中が撓った。
一気に全身が萎縮した後、断続的に弛緩を繰り返す普通の射精の快楽に僕の感覚は熔けた。
そして、皓宇に向かって精液を撒き散らしたら九鬼の突き上げがゆっくりになっていく。

「……ッ、はぁ……もー、またヤり過ぎそう…だ、し……」
「ぅ…………ッ……………」

もう既にヤり過ぎだと言ってやりたかったが、喉が震えるだけで言葉にはならなかった。
そしてその喉もまだ治ったと認識出来てないから痛い。
九鬼は抱えていた足を下ろすと顎を掴み僕の唇を求めてきた。
彼はイってないようで胎内の中で硬いままだったのでキスをしながら腹癒せにギュゥぅぅぅと締め上げてやった。

「ん…ッ────ッ……は、そんなコトしたらまたガンガン突きたくなるんだケド?イイってコト?」
「─────ぅ、もう、嫌だ……ッ」
「なら、帰ってからにしよっか~。左千夫くん、僕の居ない間ナニも食べなかったデショ~、ホントボクが居ないとダメなんだから~」
「ッ、誰がッ─────!!」

そう言うってキスをしていた九鬼の顔を見遣ると彼は安心したような困ったような少し情けない顔をしていた。
彼がそんな表情をする心境を僕は分からなかったが、そのまま数度唇を啄まれた。

「啊〈アァ〉……そう言えば。
朱華……誕生日オメデトウ。ボクが死ぬまで君はボクのものだヨ。
当日に言ってあげられなくてゴメンネ」

なだらかな声で囁かれた祝の言葉に僕はソッと微笑んだ。
そして、そのまま静かに唇を啄み返す。


「有難うございます……白翼」





end
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