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「…まぁ。いたらの話だけど」
そう言って、手に持っていた髭を投げ。少年は肩から下げていた赤い鞄の中身に手を入れて一つ一つ、カバンの中身を漁った。
レザー生地の財布を見つけると、中のお札を取り出し、慣れた手つきで数え始める。
「ひー、ふー、みー…。ちっ、しけてんな。結構お金持ってそうだったのに」
少年はそう言って、お札を靴底に入れた。
鞄の中身を更に確認すると、落胆したように大きなため息をつく。
「これだけかよ…。ババアに換金してもらうしかねぇな」
財布を鞄の中に入れようとした。だが、少年の耳に僅かな物音が聞こえてきて手を止める。
少年はゴーグル越しに物音の先を見据えると、低い声をあげた。
「…誰?」
警官たちが消えた逆方向にある路地裏の先を睨みつけて少年が神経を研ぎ澄ます。
いつでも逃げれるように一歩足を引いて体勢を整えて、息を潜めた。
少年が言葉を発してからしばらくして、薄暗い路地の向こうから人影が現れる。
(…子供?)
自分より小さい背丈をしたその人物に、少年は訝しげに眉を片方上げる。
薄茶色の長いローブの丈は床に触れるか、触れないかというぐらい長く。フードは顔を覆うほどに大きいせいか顔が見えない。だが、ローブの隙間から見える丁寧な刺繍が施された藍色のワンピースから。スラム街の人間ではないことがわかった。
少年はその人物の情報を得ようと、上から下まで観察し始める。
(服装の感じだと、上流階級の人間か?…けど、そのローブ。どこかで…)
「初めまして。あなたが、モーガン様でしょうか?」
凛とした声が当たりに響くと、少年ははっと我にかえる。
モーガンと呼ばれた少年は、警戒心を強め。目を細めた。
「…なんで俺の名前知ってんの?俺たち知り合いだっけ?」
軽い口調でそう言うも、モーガンは逃げるタイミングを図る。
だが、ローブを被った人物は構わず淡々と言葉を続けた。
「いいえ。私たちに面識はありません」
「…だろうな。あんた上流階級のお貴族様だろ?ゴミ捨て場になんのようだよ」
モーガンが相手を嘲笑うかのようにそう告げながら周りを警戒する。
そんな彼をよそにローブの人物は不思議そうに首を傾げて見せた。
「ゴミ捨て場?」
「…何だよ。あんたらお得意の言葉遊びだろ」
苛立たしげにそう告げるも、ローブの少女は更に首を傾げ、少し考える素振りを見せる。
少女は言葉を続けた。
「“言葉遊び“という言葉は該当しませんでしたが、2年前に改訂された地図によると。ここはゴミ回収場として認定されていないようです」
「…何言ってんの?お前」
「ここから2km先。『バードンゴミ回収工場』を発見しました。ナビを開始しますか?」
「マジで何言ってるの?」
奇妙な言い回しに、意図が見えないモーガンは眉を寄せて更に警戒心を強める。
…どうする? 逃げるか?
モーガンが相手に気づかれないようにまた一歩身を引く。
だが、ローブを被った少女はそれを察したのか。ローブの隙間から腕を取り出すと、深く被っていたフードを下ろした。
その瞬間、モーガンは目を見張り、その姿に息を呑む。
「怪しい者ではございません。私はライリー様のご紹介できた『客』でございます」
まるで純金を溶かしたような滑らか金髪に、新雪を思わせる白い肌。
その海のように青いネオンブルーの瞳がモーガンの姿を捕らえた瞬間。先ほど警官たちとやりとりしたとある噂が頭をよぎった。
『生き人形』
その噂に極似した少女が、ローブの中の藍色のワンピースのスカートの両端を持ち上げ。その細い足を組んで、モーガンに頭を下げた。
「改めまして。モーガン様。私は『No.B6457』…」
「あなたに依頼をしに参りました」
そう言って、手に持っていた髭を投げ。少年は肩から下げていた赤い鞄の中身に手を入れて一つ一つ、カバンの中身を漁った。
レザー生地の財布を見つけると、中のお札を取り出し、慣れた手つきで数え始める。
「ひー、ふー、みー…。ちっ、しけてんな。結構お金持ってそうだったのに」
少年はそう言って、お札を靴底に入れた。
鞄の中身を更に確認すると、落胆したように大きなため息をつく。
「これだけかよ…。ババアに換金してもらうしかねぇな」
財布を鞄の中に入れようとした。だが、少年の耳に僅かな物音が聞こえてきて手を止める。
少年はゴーグル越しに物音の先を見据えると、低い声をあげた。
「…誰?」
警官たちが消えた逆方向にある路地裏の先を睨みつけて少年が神経を研ぎ澄ます。
いつでも逃げれるように一歩足を引いて体勢を整えて、息を潜めた。
少年が言葉を発してからしばらくして、薄暗い路地の向こうから人影が現れる。
(…子供?)
自分より小さい背丈をしたその人物に、少年は訝しげに眉を片方上げる。
薄茶色の長いローブの丈は床に触れるか、触れないかというぐらい長く。フードは顔を覆うほどに大きいせいか顔が見えない。だが、ローブの隙間から見える丁寧な刺繍が施された藍色のワンピースから。スラム街の人間ではないことがわかった。
少年はその人物の情報を得ようと、上から下まで観察し始める。
(服装の感じだと、上流階級の人間か?…けど、そのローブ。どこかで…)
「初めまして。あなたが、モーガン様でしょうか?」
凛とした声が当たりに響くと、少年ははっと我にかえる。
モーガンと呼ばれた少年は、警戒心を強め。目を細めた。
「…なんで俺の名前知ってんの?俺たち知り合いだっけ?」
軽い口調でそう言うも、モーガンは逃げるタイミングを図る。
だが、ローブを被った人物は構わず淡々と言葉を続けた。
「いいえ。私たちに面識はありません」
「…だろうな。あんた上流階級のお貴族様だろ?ゴミ捨て場になんのようだよ」
モーガンが相手を嘲笑うかのようにそう告げながら周りを警戒する。
そんな彼をよそにローブの人物は不思議そうに首を傾げて見せた。
「ゴミ捨て場?」
「…何だよ。あんたらお得意の言葉遊びだろ」
苛立たしげにそう告げるも、ローブの少女は更に首を傾げ、少し考える素振りを見せる。
少女は言葉を続けた。
「“言葉遊び“という言葉は該当しませんでしたが、2年前に改訂された地図によると。ここはゴミ回収場として認定されていないようです」
「…何言ってんの?お前」
「ここから2km先。『バードンゴミ回収工場』を発見しました。ナビを開始しますか?」
「マジで何言ってるの?」
奇妙な言い回しに、意図が見えないモーガンは眉を寄せて更に警戒心を強める。
…どうする? 逃げるか?
モーガンが相手に気づかれないようにまた一歩身を引く。
だが、ローブを被った少女はそれを察したのか。ローブの隙間から腕を取り出すと、深く被っていたフードを下ろした。
その瞬間、モーガンは目を見張り、その姿に息を呑む。
「怪しい者ではございません。私はライリー様のご紹介できた『客』でございます」
まるで純金を溶かしたような滑らか金髪に、新雪を思わせる白い肌。
その海のように青いネオンブルーの瞳がモーガンの姿を捕らえた瞬間。先ほど警官たちとやりとりしたとある噂が頭をよぎった。
『生き人形』
その噂に極似した少女が、ローブの中の藍色のワンピースのスカートの両端を持ち上げ。その細い足を組んで、モーガンに頭を下げた。
「改めまして。モーガン様。私は『No.B6457』…」
「あなたに依頼をしに参りました」
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