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暴走
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それからしばらくして、
「協力してもらえませんか?」
と、急にアンケートを持って来てね。
次の作品の参考にしたいと、とある作家に頼まれたから答えてくれないかって。
俺だけじゃなく会社の人全員に渡してたから、編集も大変だなって結構な量の項目があったけど、ちゃんと答えたんだ。
そんなことがあったのを忘れた頃に、
「週末時間空けてもらえませんか?」
と彼から連絡が来て、真崎さんの家の最寄駅前で待っててくださいと言われて、当日待ってたら車が停まって中から、
「真崎さーん!」
って美作さんが手振ってて。
運転席には知らない人がいて。
何これって思うよね。
「とりあえず乗って」
と言われて連れて行かれたのが綺麗なマンション。内見だった。
「美作さん引っ越しするんですか?」
「はい」
「へえ」
なんで俺を連れてきたんだ?
ダブルチェックしてくれってことなのか?
と思ってたら、
「真崎さん、俺と一緒に住みましょう」
って。
えええ…
「いや、無理です。俺、引っ越す予定ないし、いきなりそんなこと言われても困ります」
当たり前に拒否したよ。
そう言ったら、
「え…」
って言ったままフリーズして…
なんかこの彼、恋心が暴走気味?
半べそでもう一人の人、不動産屋さんだったんだけど、その人に、
「伊藤さん…助けて…」
って泣きついてて。
その伊藤さんと呼ばれた人が、
「だから言ったじゃないですか!同居のサプライズなんて迷惑でしかないんですよ。断られて当然です、キレられないだけマシです」
って説教を始めたんだ。
なんのことはない、あのアンケートはカモフラージュで俺がどんなところに住みたいか、好みを探るためのものだったんだ。
伊藤さんという不動産屋さんに懇々と怒られて、美作さんは必死に言い訳してた。
「ちょっと強引な方が男らしいって思ってくれるかなあと…」
「思うわけないでしょ!?」
「だって伊藤さん、探してくれたじゃない…」
「そりゃあお客様なんだから探しますよ。
アホかってくらい条件てんこ盛りなのを営業所全員で探しましたよ!
確認しましたよね?相手の許可取ってますか?って。美作さん、喜んでますって言ったよね?」
「俺が喜んだ…」
「あんた、バカか?」
とうとう相手が客だということを完全に忘れた伊藤さんがブチ切れた。
二人のやりとりを聞いてておかしくなってきちゃった。
「俺そんなつもりで来てないから全然真剣に見てなかったんです。ちなみにあと何軒残ってますか?」
「あと3軒です。ですが予算内はここまでの2軒で残り3軒は予算オーバー物件となります」
伊藤さんが答える。
美作さんは怒られすぎたのと拒絶されたのとでシュンとしてる。
「それじゃあと3軒見に行きましょうか」
「え?」
「ええ!?」
二人が大きな声を出す。
「行くんですか?」
「行ってくれるの?」
「だって探してくれたんだもの、それに報いないと…」
伊藤さんが俺の手を取り、
「本当に探すの苦労したんです!見るだけでいいので見てもらえると私たちが救われます!」
「はいw」
「真崎さん、一緒に住んでくれるの!?」
「そうは言ってない、見るだけです」
「はい…」
彼がなぜここまで暴走したのか、あとで聞いたんだけど、公私混同するなって言われたから、プライベートを充実させればいいんじゃないかと思ったんだって。
充実感を得るには一緒に住むのが一番だって思ってこうなったらしい。
飛躍しすぎなんだよな。
仕事の件で電話が入って彼が席を外した時に伊藤さんが、
「さっきはあんなこと言いましたが、美作さん、何度もうちに足を運んでどうにかこの条件に合う物件を探してもらえないかと頭下げまして…
今まで行った不動産屋全てに『こんな物件ありません』と断られたと言ってました。
相当厳しいですよとはお話ししたんですが、大切にしたい人が望んでる条件だから一つも譲れないと仰って…
営業所全員、頭抱えました。
でも、あの真剣な美作さんに当てられたのか、俄然やる気になりまして…
死に物狂いで探しましたよ。
我々の血と汗の結晶です。
一緒に住まなくても気に入ってもらえる物件があればそれだけで嬉しいです」
全ての物件を内見し終えて伊藤さんとは別れた。
美作さんはバツが悪そうに、
「ごめんなさい…」
と謝ってた。
「条件を一つ外してください」
「え…」
「俺、独立を考えてます。なので会社の近くじゃなくてもいいです」
「え…待って…え?待って…」
美作さんがあたふたしてる。
「俺は3軒目の物件が好きです。予算内なら2軒目です」
「俺も、俺もです!俺も好きです!
あの、違くて、物件もだけど真崎さんが好きで、すごく好きで…」
ふっ
「順番が違いますが、ルームシェアしてみますか?」
「それは同棲ということでいいの?」
「あくまで同居ですね」
「…あ、そうですよね」
「はい」
「真崎さん、さっき独立考えてるって言ってましたけど、本当ですか?」
「うちの社長、巣立ちを促すタイプなんです。俺も打診されました。来年フリーになる予定です」
「その頃に俺と住んでもらえるんですか?」
「試してみましょうか」
「嬉しい…」
「ダメだなと思ったら出て行きます」
「……」
「協力してもらえませんか?」
と、急にアンケートを持って来てね。
次の作品の参考にしたいと、とある作家に頼まれたから答えてくれないかって。
俺だけじゃなく会社の人全員に渡してたから、編集も大変だなって結構な量の項目があったけど、ちゃんと答えたんだ。
そんなことがあったのを忘れた頃に、
「週末時間空けてもらえませんか?」
と彼から連絡が来て、真崎さんの家の最寄駅前で待っててくださいと言われて、当日待ってたら車が停まって中から、
「真崎さーん!」
って美作さんが手振ってて。
運転席には知らない人がいて。
何これって思うよね。
「とりあえず乗って」
と言われて連れて行かれたのが綺麗なマンション。内見だった。
「美作さん引っ越しするんですか?」
「はい」
「へえ」
なんで俺を連れてきたんだ?
ダブルチェックしてくれってことなのか?
と思ってたら、
「真崎さん、俺と一緒に住みましょう」
って。
えええ…
「いや、無理です。俺、引っ越す予定ないし、いきなりそんなこと言われても困ります」
当たり前に拒否したよ。
そう言ったら、
「え…」
って言ったままフリーズして…
なんかこの彼、恋心が暴走気味?
半べそでもう一人の人、不動産屋さんだったんだけど、その人に、
「伊藤さん…助けて…」
って泣きついてて。
その伊藤さんと呼ばれた人が、
「だから言ったじゃないですか!同居のサプライズなんて迷惑でしかないんですよ。断られて当然です、キレられないだけマシです」
って説教を始めたんだ。
なんのことはない、あのアンケートはカモフラージュで俺がどんなところに住みたいか、好みを探るためのものだったんだ。
伊藤さんという不動産屋さんに懇々と怒られて、美作さんは必死に言い訳してた。
「ちょっと強引な方が男らしいって思ってくれるかなあと…」
「思うわけないでしょ!?」
「だって伊藤さん、探してくれたじゃない…」
「そりゃあお客様なんだから探しますよ。
アホかってくらい条件てんこ盛りなのを営業所全員で探しましたよ!
確認しましたよね?相手の許可取ってますか?って。美作さん、喜んでますって言ったよね?」
「俺が喜んだ…」
「あんた、バカか?」
とうとう相手が客だということを完全に忘れた伊藤さんがブチ切れた。
二人のやりとりを聞いてておかしくなってきちゃった。
「俺そんなつもりで来てないから全然真剣に見てなかったんです。ちなみにあと何軒残ってますか?」
「あと3軒です。ですが予算内はここまでの2軒で残り3軒は予算オーバー物件となります」
伊藤さんが答える。
美作さんは怒られすぎたのと拒絶されたのとでシュンとしてる。
「それじゃあと3軒見に行きましょうか」
「え?」
「ええ!?」
二人が大きな声を出す。
「行くんですか?」
「行ってくれるの?」
「だって探してくれたんだもの、それに報いないと…」
伊藤さんが俺の手を取り、
「本当に探すの苦労したんです!見るだけでいいので見てもらえると私たちが救われます!」
「はいw」
「真崎さん、一緒に住んでくれるの!?」
「そうは言ってない、見るだけです」
「はい…」
彼がなぜここまで暴走したのか、あとで聞いたんだけど、公私混同するなって言われたから、プライベートを充実させればいいんじゃないかと思ったんだって。
充実感を得るには一緒に住むのが一番だって思ってこうなったらしい。
飛躍しすぎなんだよな。
仕事の件で電話が入って彼が席を外した時に伊藤さんが、
「さっきはあんなこと言いましたが、美作さん、何度もうちに足を運んでどうにかこの条件に合う物件を探してもらえないかと頭下げまして…
今まで行った不動産屋全てに『こんな物件ありません』と断られたと言ってました。
相当厳しいですよとはお話ししたんですが、大切にしたい人が望んでる条件だから一つも譲れないと仰って…
営業所全員、頭抱えました。
でも、あの真剣な美作さんに当てられたのか、俄然やる気になりまして…
死に物狂いで探しましたよ。
我々の血と汗の結晶です。
一緒に住まなくても気に入ってもらえる物件があればそれだけで嬉しいです」
全ての物件を内見し終えて伊藤さんとは別れた。
美作さんはバツが悪そうに、
「ごめんなさい…」
と謝ってた。
「条件を一つ外してください」
「え…」
「俺、独立を考えてます。なので会社の近くじゃなくてもいいです」
「え…待って…え?待って…」
美作さんがあたふたしてる。
「俺は3軒目の物件が好きです。予算内なら2軒目です」
「俺も、俺もです!俺も好きです!
あの、違くて、物件もだけど真崎さんが好きで、すごく好きで…」
ふっ
「順番が違いますが、ルームシェアしてみますか?」
「それは同棲ということでいいの?」
「あくまで同居ですね」
「…あ、そうですよね」
「はい」
「真崎さん、さっき独立考えてるって言ってましたけど、本当ですか?」
「うちの社長、巣立ちを促すタイプなんです。俺も打診されました。来年フリーになる予定です」
「その頃に俺と住んでもらえるんですか?」
「試してみましょうか」
「嬉しい…」
「ダメだなと思ったら出て行きます」
「……」
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