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第42話.帰ってきた母さん、海を作る?
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『奥様、お帰りなさいませ』
『ケニーシャ!! グレンヴィル!! ママ帰ってきたわよ!!』
次の日の夕方、俺が昼寝から起きて、モコモコ達にお尻ダンスを練習させられていた時。お屋敷の中が少しザワザワし始めたと思ったら、カータレットさんが俺と姉さんを呼びにきた。母さんが調査から帰ってきたと連絡があったらしい。
それで俺と姉さんは母さんの出迎えで玄関ホールへ。少しして外で音が聞こえたら、母さんが勢いよくドアを開けて中へ入ってきた。そしてアトウットさんの言葉を遮る感じで、姉さんと俺をまとめて抱きしめ。
ちょっと痛かったけど、これは嬉しい痛みだから気にしないことにする。そう嬉しい痛みなんだ。……母さん、もう少し緩めてもらえると助かるんだけど。
それはそれとして、良かった、母さんはいつも通りだ。何の調査に行ったか知らないけど、結構母さん慌てていたからな。見た感じ母さんは怪我していないみたいだし、本当に良かった。
と、母さんの肩から玄関の方を見れば、手を伸ばしたままの格好で、何とも言えない表情の、ドアを開けてくれる係の人が。
ああ、開けようと思ったところで、母さんが開けちゃって、その勢いに固まったんだな。そういえば今日は、ここで働き始めたばかりの人達だっけ。母さんの勢いにビックリしたんだろう。大丈夫、そのうち慣れるから。
『ママ、わたしがんばった。それでげんき!! グレンヴィルにくだものもらって、げんき!!』
『あら、そうなのね? 元気なのね』
『まぁ、よぉ!!』
『グレンヴィルも元気そうね。何か問題は?』
『こちらはあの気配以外は何もございません。お嬢様方もしっかりとお食事され、睡眠も問題なく』
『なら良いわ。さぁ、ママはちょっと綺麗にしてくるわね』
母さんがバタバタと階段を上がっていく。姉さんと俺はそのままゆっくりする部屋へ。15分くらいして母さんは着替えをして入ってきた。この短時間でお風呂も入ってきたらしく、母さんの横に座ったら温かかった。
紅茶みたいな飲み物を飲みながら、母さんが調査に行っている最中の、俺達の様子を、更に詳しく聞く母さん。母さんは俺達の様子を1つ聞くたびに、驚いたり喜んだり楽しんだり。全てに喜んでくれた。それが俺もとても嬉しくて。
1番喜んでくれたのは、俺が姉さんに果物を渡して、元気づけた時のことだった。俺がちゃんと成長しているって、それはそれは喜んでくれたよ。そして俺を抱きしめてくれて。これはちょっと恥ずかしかったけど嬉しかった。
ただその後の姉さんの花瓶割りは、流石にちょっと怒られていたけど。でも怒った後、困った顔をして笑っていたのを、俺は見てしまったからな。安心したのと怒っているのと、今回は半々といったところか。
その後は母さんの話しになった。アンディーさんが母さんに、母さんの仕事部屋へ行くか聞いたんだけど。ゆっくりしながら話したいと。俺達の事が心配で、かなり飛ばして帰ってきたみたいだし。
それに母さん的には、俺や姉さんは難しい話は分からないだろうって、考えもあったと思う。俺は分かるけど。ただ、海のことだから、海の詳しい話しをされると、分からないこともまぁまぁある。
『では、何も見つからなかったのですね。あの気配以外は』
『ええ、まったくね。ただ、気配が強い方角は確認できたわ。あの人とは逆の方だったわ。それでも範囲が広いから、きっとあの人も気づいて、対処しているでしょう』
時々母さんは、みんなが口にする、あの気配って何だろう。それが今回の騒ぎの原因なのは、これまでの話しと様子で分かるけど。
『方角は?』
『シーフィールドの方よ』
『それは……、少しずれていますが、ほんの少しずれれば』
『そうなのよね。それにこの気配でしょう。今一応、ブレンデン様の元へは報告を送ったけれど。もう向こうも気づいているでしょうから、何らしらの知らせは来るでしょう。そういえば私がいない間に連絡は』
『いえ、今はまだ』
『そう。でもいつでも動けるようにしておかないと。後はあの人の方だけれど、向こうがどうなっているか、それを確認してから、向こうの魔獣や魚達はどうしているか……』
と、急に母さんが話すのをやめた。そんな母さんに姉さんもおかしいと気づき声をかける。もちろん俺やアトウットさん達もだ。すると。
『忘れていたわ!! アトウット、すぐにお風呂を半分に分けて、半分に海水を!! それからカータレットは……』
次々の指示を出す母さん。それに素早く動くアトウットさん達。何も分からずポカンとする姉さんと俺。
『ママ、どしたの? かいすい、うみつくるの?』
『ええ、そうよ。ちょっと海が必要なの』
『う~?』
『う、み、よ。お風呂を半分海にするのよ』
どういう事だ? そんな話しをしているうちに、アトウットさんが用意ができたと呼びに来て、姉さんと俺も一緒に、母さんと移動することに。
『フルフルを避難させて来たのを忘れていたのよ。みんな避難するって、あの場所にはもう残っていないわ。他にも避難させた子達も、向こうに直接連れて行った子達もいるのだけれど、私はこっちで避難させようと思って。ケニーシャ達のことを見たら、思わず忘れちゃったのよ』
『フルフルですか。では浅瀬も作った方がよろしいですね』
『そうね。もしあれだったら、そのままここに居てもらっても良いし。その時のは別に部屋を用意するか考えましょう。これから他にも避難してくる子達が居るでしょうから』
『畏まりました』
誰かがうちに避難して来たらしい。名前はフルフル。名前的には可愛い感じがーするんだけど。
でも、母さんが戻って来た時、母さんが乗って来た馬車以外、他の避難して来た、たぶん魔獣が乗ってたような乗り物はなかったよな? 別の場所で待機してたとか? それでお風呂場の準備ができたから、もうお風呂場で待ってる?
避難って聞いているから、ちょっとあれだけど。俺的にはそのフルフルに会えると思うと、ちょっと嬉しい。もしかしたら庭で遊んでいる時に見たことがあるかもしれないけれど、名前は知らないし、そのフルフルをゆっくり見れるってことだから。
お風呂場について俺をカータレットに渡す母さん。フルフル、どんな生き物か。
*********
ご愛読ありがとうございます。
次回更新、夕方17時、夜20時です。
また明日よりストックの関係で、更新はお昼の12時と夜の20時、
2回の更新に変更します。
よろしくお願いします。
『ケニーシャ!! グレンヴィル!! ママ帰ってきたわよ!!』
次の日の夕方、俺が昼寝から起きて、モコモコ達にお尻ダンスを練習させられていた時。お屋敷の中が少しザワザワし始めたと思ったら、カータレットさんが俺と姉さんを呼びにきた。母さんが調査から帰ってきたと連絡があったらしい。
それで俺と姉さんは母さんの出迎えで玄関ホールへ。少しして外で音が聞こえたら、母さんが勢いよくドアを開けて中へ入ってきた。そしてアトウットさんの言葉を遮る感じで、姉さんと俺をまとめて抱きしめ。
ちょっと痛かったけど、これは嬉しい痛みだから気にしないことにする。そう嬉しい痛みなんだ。……母さん、もう少し緩めてもらえると助かるんだけど。
それはそれとして、良かった、母さんはいつも通りだ。何の調査に行ったか知らないけど、結構母さん慌てていたからな。見た感じ母さんは怪我していないみたいだし、本当に良かった。
と、母さんの肩から玄関の方を見れば、手を伸ばしたままの格好で、何とも言えない表情の、ドアを開けてくれる係の人が。
ああ、開けようと思ったところで、母さんが開けちゃって、その勢いに固まったんだな。そういえば今日は、ここで働き始めたばかりの人達だっけ。母さんの勢いにビックリしたんだろう。大丈夫、そのうち慣れるから。
『ママ、わたしがんばった。それでげんき!! グレンヴィルにくだものもらって、げんき!!』
『あら、そうなのね? 元気なのね』
『まぁ、よぉ!!』
『グレンヴィルも元気そうね。何か問題は?』
『こちらはあの気配以外は何もございません。お嬢様方もしっかりとお食事され、睡眠も問題なく』
『なら良いわ。さぁ、ママはちょっと綺麗にしてくるわね』
母さんがバタバタと階段を上がっていく。姉さんと俺はそのままゆっくりする部屋へ。15分くらいして母さんは着替えをして入ってきた。この短時間でお風呂も入ってきたらしく、母さんの横に座ったら温かかった。
紅茶みたいな飲み物を飲みながら、母さんが調査に行っている最中の、俺達の様子を、更に詳しく聞く母さん。母さんは俺達の様子を1つ聞くたびに、驚いたり喜んだり楽しんだり。全てに喜んでくれた。それが俺もとても嬉しくて。
1番喜んでくれたのは、俺が姉さんに果物を渡して、元気づけた時のことだった。俺がちゃんと成長しているって、それはそれは喜んでくれたよ。そして俺を抱きしめてくれて。これはちょっと恥ずかしかったけど嬉しかった。
ただその後の姉さんの花瓶割りは、流石にちょっと怒られていたけど。でも怒った後、困った顔をして笑っていたのを、俺は見てしまったからな。安心したのと怒っているのと、今回は半々といったところか。
その後は母さんの話しになった。アンディーさんが母さんに、母さんの仕事部屋へ行くか聞いたんだけど。ゆっくりしながら話したいと。俺達の事が心配で、かなり飛ばして帰ってきたみたいだし。
それに母さん的には、俺や姉さんは難しい話は分からないだろうって、考えもあったと思う。俺は分かるけど。ただ、海のことだから、海の詳しい話しをされると、分からないこともまぁまぁある。
『では、何も見つからなかったのですね。あの気配以外は』
『ええ、まったくね。ただ、気配が強い方角は確認できたわ。あの人とは逆の方だったわ。それでも範囲が広いから、きっとあの人も気づいて、対処しているでしょう』
時々母さんは、みんなが口にする、あの気配って何だろう。それが今回の騒ぎの原因なのは、これまでの話しと様子で分かるけど。
『方角は?』
『シーフィールドの方よ』
『それは……、少しずれていますが、ほんの少しずれれば』
『そうなのよね。それにこの気配でしょう。今一応、ブレンデン様の元へは報告を送ったけれど。もう向こうも気づいているでしょうから、何らしらの知らせは来るでしょう。そういえば私がいない間に連絡は』
『いえ、今はまだ』
『そう。でもいつでも動けるようにしておかないと。後はあの人の方だけれど、向こうがどうなっているか、それを確認してから、向こうの魔獣や魚達はどうしているか……』
と、急に母さんが話すのをやめた。そんな母さんに姉さんもおかしいと気づき声をかける。もちろん俺やアトウットさん達もだ。すると。
『忘れていたわ!! アトウット、すぐにお風呂を半分に分けて、半分に海水を!! それからカータレットは……』
次々の指示を出す母さん。それに素早く動くアトウットさん達。何も分からずポカンとする姉さんと俺。
『ママ、どしたの? かいすい、うみつくるの?』
『ええ、そうよ。ちょっと海が必要なの』
『う~?』
『う、み、よ。お風呂を半分海にするのよ』
どういう事だ? そんな話しをしているうちに、アトウットさんが用意ができたと呼びに来て、姉さんと俺も一緒に、母さんと移動することに。
『フルフルを避難させて来たのを忘れていたのよ。みんな避難するって、あの場所にはもう残っていないわ。他にも避難させた子達も、向こうに直接連れて行った子達もいるのだけれど、私はこっちで避難させようと思って。ケニーシャ達のことを見たら、思わず忘れちゃったのよ』
『フルフルですか。では浅瀬も作った方がよろしいですね』
『そうね。もしあれだったら、そのままここに居てもらっても良いし。その時のは別に部屋を用意するか考えましょう。これから他にも避難してくる子達が居るでしょうから』
『畏まりました』
誰かがうちに避難して来たらしい。名前はフルフル。名前的には可愛い感じがーするんだけど。
でも、母さんが戻って来た時、母さんが乗って来た馬車以外、他の避難して来た、たぶん魔獣が乗ってたような乗り物はなかったよな? 別の場所で待機してたとか? それでお風呂場の準備ができたから、もうお風呂場で待ってる?
避難って聞いているから、ちょっとあれだけど。俺的にはそのフルフルに会えると思うと、ちょっと嬉しい。もしかしたら庭で遊んでいる時に見たことがあるかもしれないけれど、名前は知らないし、そのフルフルをゆっくり見れるってことだから。
お風呂場について俺をカータレットに渡す母さん。フルフル、どんな生き物か。
*********
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よろしくお願いします。
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