水の中でも何処でももふもふ!! あたらしい世界はもふもふで溢れていました

ありぽん

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第54話.息吹のパルはバッチリ!!

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『さぁ、とりあえず、これで一息ついたわね。あとはどうなるか分からないけれど、あの人が帰ってくれば、計画に変更があるかもしれないし』

『私共はいつも通りに』

『ええ、頼むわね。それとカータレット、あれはどう?』

『全ての物に、しっかりと』

『グレンヴィルはこれが1番大切だものね』

『毎日3か所におつけする予定です』

『そうね、それが良いわね。そしてもしその全てが何かで外れることになっても、あれがあれば、大丈夫なはずよ』

『息吹のパルか?』

『ええ』

 なんだかんだ、色々バタバタしているうちに、夕食の時間はとっくに過ぎていて、俺も姉さんもいつもより遅いご飯を食べた後。寝るまでゆっくりする部屋で、遊んだりゴロゴロしていたら、やっと仕事がひと段落した母さん達が戻ってきた。

 ご飯はどうしたのかと思ったけど、仕事をしながら食べたって。結界のチェックもしてきたみたいで、そっちも問題がないようで良かった。

 今母さん達が話していた俺の息吹のパルだけど。今日から俺は必ず息吹のパルを3つは身につけることになった。もし何かで、切れたり外れたりしたら大変だからな。
 1つ外れても2つ。もう1つ外れても、後1つは身につけているから大丈夫だって。

 それからもう1つ、別に対策が。カータレットさんが母さんに言われて、毎日洋服を着替えるって考えて、7着分の洋服の裏地に、息吹のパルを縫い付けてくれたんだ。

 絶対大丈夫ってことはないけれど。でも直接、首や耳や洋服に付けているよりも、中に付けている方が、もっと大丈夫だろうからって。だからどの洋服を着ても良いように、7着分に付けてくれたんだ。

 息吹のパルはピレンターさんが、海の中かがバタバタし始めた頃に、少し持ってきてくれて。パル達が避難してくると、パルが俺にくれたんだ。俺の事をピレンターさんに聞いて、急いで作ってくれたらしい。

 いつもは少しずつ魔力を使って作るみたいなんだけど、今回は一気に魔力を使ってくれて、2日で5個も作ってくれたんだよ。だから魔力が少し足りなくなっちゃって、急いで回復してもらったんだ。

 もちろん俺は、パル達にお礼を言ったよ。それからパル達が好きだっていう果物を持っていって。
 今俺に出来ることはお礼と、今ある物を渡すことくらいだから、これしかできなかったけど。でももう少し大きくなったら、この時はありがとうって、他にも何かお礼をするつもりだ。

 それで、パル達が一生懸命作ってくれた息吹のパルを、洋服に付けてもらって。残った息吹のパルは、ピレンターさんがネックレスにして、父さんや母さん、アトウットさん達が2個ずつ持つことに。これで俺の息吹のパルな大丈夫なはずだ。

『あなたにもこれを。これからあの子と一緒に居てもらうのに必要だから』

『人も我らと同じ魔法が使えれば問題ないのだが。いや、もし使えたとしても、この歳では。1歳にもなっていない子供には、どの魔法も無理だからな』

 母さんがエルフのユースタスさんに、2個の息吹のパルを渡す。この頃俺の知らないところで、色々な事が決まるけど。ユースタスさんのことも、いつの間にか決まっていた。
 今のドタバタが終わるまで、ユースタスさんが、ずっと俺といてくれる事になったんだ。

 でもこれは父さんと母さんが頼んだ事じゃなかった。ユースタスさんの方から提案してくれたらしい。俺が心配だから側に居るって。父さん達は街を守る仕事があるから、ずっと俺に付いていられないだろうと。

『本当は私の。エルフの里へ避難させようと思ったのだ。だがここまでお前達が家族としての絆が強いならば、なるべく離さない方が良いだろうと。この子もお前達といてとても幸せそうだったからな。ならば避難させずに、ここに残った方が、この子も安心する』

『本当に助かるわ。この子は私達の大切な子。あなたが一緒にいてもらえれば、私たちはとても安心よ』

『しかし、本当に良いのか? 命を助けるにはそれしか方法はないが』

『……ええ。本当にもうダメだと思った時には、グレンヴィルとケニーシャを連れてエルフの里へ。私だって離れたくはないけれど、2人は生きてもらいたいから』

 この国に何かがあって、本当に俺がここには居られないとなったら。最終手段、俺と姉さんを、ユースタスさんがエルフの里へ連れて行くって。

『それに、本当にそれは最終手段よ。私達が力を合わせれば、きっと大丈夫』

『そうだな』

『さぁ、そのことも2人に教えてなくちゃ』

 母さんがしっかりとした顔つきになって。その後はいつも通りの元気で明るい母さんに戻ると。姉さんと俺に絵本を見せながら、今、海で起きていることを教えてくれた。

『良いかしら。この魔獣さんは悪いドラゴンさん? 良いドラゴンさん?』

 母さんが俺達に見せてきた絵本のページには、小説で見たことがある生き物が描かれていて。見た感じは海竜だった。本当にそっくりな姿で、もし同じような生き物なら、かなり大きくて、凶暴だった気がするんだけどな。

『うんと、どっちもいる!!』

『ええ、そうね。良いドラゴンさんも悪いドラゴンさんも居るわね。よく覚えていたわね偉いわ』

『えへへへ』

 そうなのか。この世界には良いやつと悪い奴がいると。

『それでね、今悪い方のドラゴンさんが、ここへ近づいてきているの』

『わるいドラゴン、こっちきてる!』

『そう。それでね、その悪いドラゴンさんをやっつけるために、みんないっぱい準備をしているの。だからみんなとっても忙しいし、周りがバタバタしているのよ』

『パパとママが、わるいドラゴンやっつける?』

『みんなでやっつけるのよ』

『たいへん?』

『どうかしら。でもみんなでやっつけるから、きっとすぐにやっつけちゃうわ!』

『パパ、ママ強い!! ママの方が強い!! だからすぐ、わるいドラゴンやっつけちゃう!』

『そうよ。でもやっつける時、とっても忙しくなるから、ママやみんなの言うことを聞いて、静かにしていられるかしら』

『うん!! あたししずか! しずかにおうたうたう!!』

『たぁ!!』

 とりあえず俺も返事をしておく。

『2人とも良い子ね。ママ頑張るわ!!』

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