異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~

ありぽん

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57話 まさかのアワコンに無理難題をふっかけるピィ君とミッケ

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 ボルトレーンさんの言葉に、気合を入れて、だけどそっとそっと、アワコンを洗い出す私たち。すると、泡はどんどん溜まり、すぐにタライいっぱいになったんだ。
 そして、それに喜んだピィ君とミッケは、さらにテンションが上がり、『もっと泡!』と言いながら、もっと泡を溜めようと、素早く手を動かし始めたの。でも……。

 何故か2人が、素早く手を動かし始めた途端、泡が出にくくなって。それどころか、他の泡まで消え始めちゃったんだよ。

『ぴぃ?』

『あ、なんだじょ?』

 ピィ君とミッケの目つきが……。なに勝手に消えてんだよ、と言わんばかりの、何とも言えない目つきになる。

 なんとも言えない目つきをするのは良いけど、もしかして、というか、変わったことと言えば、あれくらいだからね。2人が素早く手を動かしたから、泡が消えたんじゃないの?

「ハハハッ、やっぱり最初はこうなるな」

『ぴぴぴ、ぴぴぴぴ』

『そうだじょ。せっかく洗ってるのに、何で消えるんだじょ』

「ぴぃくんが、『きえていいって、いってないってい』って。しょれからみっけが、『しぇっかくあらってるのに、なんできえるの』って」

「アワコンの泡は、そっと洗わないと出てこないんだ。それに、泡ができたばかりで、その周りで激しい動きをすると、できた泡も消えてしまう。ただ時間が経つと、泡はしっかりして、簡単に消えなくなるからな。だから最初はそっとそっと洗って、泡を増やさないとダメなんだ」

『ぴぴぴ? ぴぴぴぴぴ』

『そっとなんだじょ? 弱い泡なんだじょ。向こうのお家の泡は強いのに、そんなんじゃダメなんだじょ』

 どんなよ。ピィ君もミッケも、泡に何を求めているのか。ピィ君は今、すぐ消える? 軟弱者めって言ったんだ。

 汚れを落とす力とか、生菌を根こそぎ除去、みたいな力強さなら、地球の製品のキャッチコピーとかで見たことあるけど、泡自体に強さを求める言葉を初めて聞いたわ。

「2人はなんだって?」

「あわに、ちゅよしゃを、もとめてる。ぴぃくん『よわいあわ、なんじゃくものめ』で、ミッケが『よわいあわ、しょんなんじゃだめ』だって」

「……」

「……」

 一瞬静まり返る厨房。だけど次の瞬間、笑いに包まれた。

「ハハハハハッ!!」

「まさか泡に、弱いって言う奴がいるとはな!!」

「確かに消えなくなるまでは軟弱者か!」

「他の子供たちも、いろいろな感想を言うが、軟弱者、だめだって言うのは、初めて聞いたぞ!」

 ほら、みんな初めてだって。

『ぴぴぴ、ぴぴぴぴ』

『そうなんだじょ。これじゃあ、ダメなんだじょ。おいらたちみたいに、訓練した方が良いんだじょ』

「今度はなんて?」

 訓練した方が良いって、どうやるのさ。アワコンはこの後食べるんだよ? 泡は後で何かするみたいだけど。訓練なんてできないでしょう。

「『このままじゃだめ、くんれんひつよう』で、『これじゃあだめ。じぶんたちと、くんれんちたほがいい』だって。……くんれんなんて、できないでちょ」

 そうしてまた、笑いに包まれる厨房。

「ハハハッ、訓練か!!」

「野菜が訓練か!!」

「おう、訓練は大事だな!!」

「子供の発想には驚かされる。さぁ、お前たち、笑っていないでサッサと動け!!」

 サイラスさんの言葉に、料理人さんたちは笑いながらも作業に戻る。

「ろーじぇんべるとしゃん」

「くくくくっ、ちょっと待ってくれ」

 笑いが止まらないローゼンベルトさん。私はじっとピィ君とミッケを見たあと、そっと自分のアワコンを洗い始めたよ。

「ぴぃくん、みっけ、くんれんは、たぶんむり。だからいまは、しょっとあらう。しょれちかない」

『ぴぴぴぴ』

『そうなんだじょ。何かできるはずなんだじょ』

「ぴぃくんが、『なにか、くんれんできるはじゅ』だって。みっけも、『しょう』だって」

「クククククッ」

「ろーじぇんべるとしゃん、わらってないで、ふたりにおはなち」

「クククククッ、ああ、だがな、まさか訓練とは……クククククッ」

「ぴぃくん、みっけ、ちゃんとあらって。あたちたちの、おいちいごはんに、なってくれるんだよ。しょれだけでいいでちょ」

「ぴぴ、ぴぴぴぴぴ……」

『そうなんだじょ。美味しいと強い、一緒になると最強なんだじょ』

 ピィ君は、そうだけど、そこで満足してちゃダメ、って。だからピィ君とミッケは、アワコンに、どれだけのことを求めているのか。ちょっと厳しすぎやしませんか?

 今の言葉もローゼンベルトさんに伝えれば、ローゼンベルトさんは、また大笑い。他の料理人さんたちも、声には出していないけれど、笑っているのが分かる。

 こんな感じで、ローゼンベルトさんの笑いが少しだけど落ち着いたのは、それから10分くらい経ってからだったよ。

 そしてピィ君とミッケに対する、やっとのアドバイスが、

「まぁ、なんだ。俺も、他の奴も、どうやって訓練すれば良いか分からないからな。お前たちが考えるのも、良いんじゃないか? それでもしも良い方法が見つかったら、俺に教えてくれ。ただ、今は方法はこれしかないからな、そっと洗ってくれるか」

 だった。

『ぴぴ、ぴぴぴぴ!! ぴっぴ、ぴぴぴぴぴ!』

『そうなんだじょ!! おいらたちが考えるんだじょ!! ぴぃ、頑張って考えるんだじょ!!』

 ピィくんは、そうだ、自分たちで考えよう!! ミッケ、頑張って考えよう!! だって。まさかアワコンも、訓練しろと、訓練を考えると、言われるとは思っていなかっただろうな。

 ただ、これでなんとか落ち着いてくれた? ピィ君とミッケは、やっと気合を入れ直し、そっとそっとアワコンを洗い始めてくれたよ。はぁ、時間がかかった。

 洗い始めると、すぐにアワコンから泡が溢れ始め、最初に溜まった時と同じくらいの量までは、あっという間に泡が溜まったよ。ただ、今度はそこで気を抜かずに、そっと洗い続けること数分。

 タライには、山みたいにこんもりと泡が溜まり。そして、自分の手元のアワコンが、完璧に見えなくなったんだ。

「おっちょっちょ、あわこん、どっかいっちゃ」

『ぴぴぴぴぴ!』

『どこいったんだじょ? どこだじょ?』

「泡はまだまだ増えるぞ。アワコンで大変なのは、後半になると泡が多くなりすぎて、見えにくくなり、洗いづらくなるってことだ。見失うと、探すのも大変だしな。俺たちみたいに慣れていれば良いが、リアたちには難しいだろう。だから子供が手伝う時は、こうやることが多い」

 ローゼンベルトさんが用意したのは、別の何も入っていない空のタライ。そうしてそのタライを、泡のタライの横に置くと、手でどんどん、泡の山から泡を掬い上げ、空のタライに移していったよ。

「これくらいになれば、泡は強くなっているからな。こうやって動かしても簡単には消えないし、タライに入れても大丈夫なんだ。順番に……」

 1人が泡をタライに移し替えて、その間に2人がアワコンを洗えば良いって。アワコンは洗うのに、なんと20分くらいかかるらしいんだ。しかも、それは大人が洗った時間ね。
 私たちちびっ子が洗うとなれば、さらに時間がかかるからね。だから順番にやれば良いって。

 ということで、泡を移し替える順番を話し合い、最初に私がやることに。泡が少なくなって、アワコンが見えたら、私のアワコンを救ってもらって、敷物の上に置いておいて貰うよ。

 さぁ、どんどん洗って、美味しいアワコン料理を作ってもらおう!!
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