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41話 不穏な影
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「くそっ!!」
ガシャーンッ!!
「まだ騎士共の体調は戻らないのか!!」
「ラダリウス様、申し訳ございません。ですが、魔王の攻撃による闇の力が抜けず、立てるようになった者はまだ半分ほどで、通常通り動けるようになった者は、更にその半分程度にとどまっておりまして」
「さっさと治癒師に治させんか!! あれからどれだけ経っていると思っている!!」
「国のすべての治癒師で対応しておりますが、やはり魔法の力が強く……」
「煩いっ!! 言い訳はいらんのだ!!」
ガシャーンッ!!
「っ!?」
「よいか。後3日でどうにかせよ。もし3日のうちに全員回復しなければ、お前を処罰する!! 次回の奴らとやり合う時、先頭に立たせてやる!!」
「ひっ!? す、すぐに騎士達は回復させます!!」
バタバタバタバタッ!! バタンッ!!
「まったくどいつもこいつも、わしを馬鹿にしおって。何故回復するだけなのに、これだけの時間がかかる!」
「ラダリウス様、こればかりは仕方のないことです。騎士達をあの状態にしたのは、魔王の魔法によるもの。そに辺の者が使う魔法とは違います。そしてその強力な魔法による体の異常は、やはりそれ相応の治癒師でなければ、簡単に治療することはできません」
「分かっておるわ!! だが、それにしても、国中の治癒師を集めたのだ。それで半分も回復できていないとは。わしはすぐにでも動きたいというのに」
「ですがこれからの事を考えれば」
「それも分かっておる!! だから他の国にもわしを手伝うよう伝えたのだ。だが、この前奴が警告し回ったせいで、最近まで動こうとしてた国の者達も、今はまったく動きを見せなくなってしまった。まったく役に立たない奴らめ。こうなってしまったら、わしだけで動くしかないだろう。せっかくあれを仕掛けたのだから。もうすぐあれが目覚めるのだぞ」
「後1、2週間といったところでしょうか」
「ああ。あれに厄災を振り撒かせ、奴らを弱らせることができれば……。これに成功し、更に奴らをわしが使えるようになれば。わしはこの世界の頂点に、この世界の全てを手に入れる事ができるのだ!! そのためにも騎士どもを回復させなければならん。あれのおかげで、奴隷はほぼ死んでしまったのだから」
「しかし騎士達だけでもつかどうか。新たに奴隷も用意した方が良いのでは?」
「今からではたいして集まらん」
「あの者に頼むのはどうでしょうか?」
「誰だ?」
「シメオンです。奴隷が大人ではなくなるため、どれだけもつかは分かりませんが。いないよりはマシなのでは?」
「シメオンか。そういえば新たに村2つ分の奴隷を手に入れたと、噂になっていたな。しかしそのシメオンの居場所は、奴が信用する特定に者しか分からんのではなかったか?」
「そのシメオンが、2つ隣の街に現れたという情報が」
「何? 本当か!?」
「はい。ですので今から向かえば、余裕で奴隷が手に入るかと」
「よし! すぐに奴と交渉をしろ! 金はいくらかかろうと構わん!!」
「はっ!」
○*○*○*○*○*○*○*○*○*
『皆避難を開始したか
『はい、近くの者達は避難を。少し離れた所に住む者達も、すぐに避難を開始する予定です』
『子供達は?』
『子供達はすでに避難を終えています』
『よし。ではここからは私だけで良い。お前もすぐに避難するのだ』
『ですがウォット様!』
『……我らの仲間の中から、アンデッドが出るなど。こんな悲しいことはない。私達は皆、平和に暮らしていたというのに。これも全てあの忌々しい人間達のせいだ。何とか助けられればと思っていたが……。私もこの有様だ』
『ウォット様……』
『おそらく近々人間達がやって来るだろう。アンデッドになってしまった、我らの同胞を使うために』
『……』
『私にできることは、少しでも周りを傷つけさせないことと、あの問題の人間達をできる限り消すことだ。今の私の力でどれだけのことができるか分からんが。だがそれでも、できる限りのことはやらなければ』
『私もそれに同行することは』
『私はこれから死に行くのだ。お前が付き合う必要はない。ふっ、そういえばまだ言っていなかったな。今回のことが落ち着いたら、後のことはお前に任せる。私の後を継げるのはお前だけだ。皆のことを頼むぞ』
『そんな私など!?』
『お前以外誰がいると言うのだ。お前にはそれだけの力がある。私はお前に全てを教えてきた。そしてお前はその全てを習得した。これ以上私が教えることはないし、きっとお前なら私以上に、皆をしっかりと守ってくれるだろう。だからお前にこの後の全てを任せる』
『っ、ウォット様』
『それにお前、子供が生まれたばかりではないか。そんなお前が死ぬようなことがあれば、私は死んだ後でもロイナに呪われ、死後も苦しむことになりかねん』
『それは……』
『ふっ。まぁ、そういうことだ。……後のこと、頼むぞ』
『はっ!!』
『よし、確認が済み次第、皆の元へ』
『はっ!!』
バサバサバサッ!!
『……どこで何をやらせるつもりなのか。目的が何であれ、命に変えてでも必ず止めなければ』
ガシャーンッ!!
「まだ騎士共の体調は戻らないのか!!」
「ラダリウス様、申し訳ございません。ですが、魔王の攻撃による闇の力が抜けず、立てるようになった者はまだ半分ほどで、通常通り動けるようになった者は、更にその半分程度にとどまっておりまして」
「さっさと治癒師に治させんか!! あれからどれだけ経っていると思っている!!」
「国のすべての治癒師で対応しておりますが、やはり魔法の力が強く……」
「煩いっ!! 言い訳はいらんのだ!!」
ガシャーンッ!!
「っ!?」
「よいか。後3日でどうにかせよ。もし3日のうちに全員回復しなければ、お前を処罰する!! 次回の奴らとやり合う時、先頭に立たせてやる!!」
「ひっ!? す、すぐに騎士達は回復させます!!」
バタバタバタバタッ!! バタンッ!!
「まったくどいつもこいつも、わしを馬鹿にしおって。何故回復するだけなのに、これだけの時間がかかる!」
「ラダリウス様、こればかりは仕方のないことです。騎士達をあの状態にしたのは、魔王の魔法によるもの。そに辺の者が使う魔法とは違います。そしてその強力な魔法による体の異常は、やはりそれ相応の治癒師でなければ、簡単に治療することはできません」
「分かっておるわ!! だが、それにしても、国中の治癒師を集めたのだ。それで半分も回復できていないとは。わしはすぐにでも動きたいというのに」
「ですがこれからの事を考えれば」
「それも分かっておる!! だから他の国にもわしを手伝うよう伝えたのだ。だが、この前奴が警告し回ったせいで、最近まで動こうとしてた国の者達も、今はまったく動きを見せなくなってしまった。まったく役に立たない奴らめ。こうなってしまったら、わしだけで動くしかないだろう。せっかくあれを仕掛けたのだから。もうすぐあれが目覚めるのだぞ」
「後1、2週間といったところでしょうか」
「ああ。あれに厄災を振り撒かせ、奴らを弱らせることができれば……。これに成功し、更に奴らをわしが使えるようになれば。わしはこの世界の頂点に、この世界の全てを手に入れる事ができるのだ!! そのためにも騎士どもを回復させなければならん。あれのおかげで、奴隷はほぼ死んでしまったのだから」
「しかし騎士達だけでもつかどうか。新たに奴隷も用意した方が良いのでは?」
「今からではたいして集まらん」
「あの者に頼むのはどうでしょうか?」
「誰だ?」
「シメオンです。奴隷が大人ではなくなるため、どれだけもつかは分かりませんが。いないよりはマシなのでは?」
「シメオンか。そういえば新たに村2つ分の奴隷を手に入れたと、噂になっていたな。しかしそのシメオンの居場所は、奴が信用する特定に者しか分からんのではなかったか?」
「そのシメオンが、2つ隣の街に現れたという情報が」
「何? 本当か!?」
「はい。ですので今から向かえば、余裕で奴隷が手に入るかと」
「よし! すぐに奴と交渉をしろ! 金はいくらかかろうと構わん!!」
「はっ!」
○*○*○*○*○*○*○*○*○*
『皆避難を開始したか
『はい、近くの者達は避難を。少し離れた所に住む者達も、すぐに避難を開始する予定です』
『子供達は?』
『子供達はすでに避難を終えています』
『よし。ではここからは私だけで良い。お前もすぐに避難するのだ』
『ですがウォット様!』
『……我らの仲間の中から、アンデッドが出るなど。こんな悲しいことはない。私達は皆、平和に暮らしていたというのに。これも全てあの忌々しい人間達のせいだ。何とか助けられればと思っていたが……。私もこの有様だ』
『ウォット様……』
『おそらく近々人間達がやって来るだろう。アンデッドになってしまった、我らの同胞を使うために』
『……』
『私にできることは、少しでも周りを傷つけさせないことと、あの問題の人間達をできる限り消すことだ。今の私の力でどれだけのことができるか分からんが。だがそれでも、できる限りのことはやらなければ』
『私もそれに同行することは』
『私はこれから死に行くのだ。お前が付き合う必要はない。ふっ、そういえばまだ言っていなかったな。今回のことが落ち着いたら、後のことはお前に任せる。私の後を継げるのはお前だけだ。皆のことを頼むぞ』
『そんな私など!?』
『お前以外誰がいると言うのだ。お前にはそれだけの力がある。私はお前に全てを教えてきた。そしてお前はその全てを習得した。これ以上私が教えることはないし、きっとお前なら私以上に、皆をしっかりと守ってくれるだろう。だからお前にこの後の全てを任せる』
『っ、ウォット様』
『それにお前、子供が生まれたばかりではないか。そんなお前が死ぬようなことがあれば、私は死んだ後でもロイナに呪われ、死後も苦しむことになりかねん』
『それは……』
『ふっ。まぁ、そういうことだ。……後のこと、頼むぞ』
『はっ!!』
『よし、確認が済み次第、皆の元へ』
『はっ!!』
バサバサバサッ!!
『……どこで何をやらせるつもりなのか。目的が何であれ、命に変えてでも必ず止めなければ』
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