異世界初? のスーパー銭湯もとい『娯楽施設スケルトン』開業です!!

ありぽん

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48話 何を狩に行くか、それが問題だ

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『それで、どの魔獣を狩りに行くんだ?』

『やっぱり死体じゃダメだもんな』

『当たり前だろう。新鮮なって言ってるんだから』

『そう、狩ったばかりのやつじゃないとダメだ。大切な贈り物だからな』

『大きくて、強い魔獣が良いんだよな?』

『ああ。ただ、飾れないほど大きいのはちょっとな。俺の所のレストランで飾れるくらいの大きさが良い』

 俺は今、自分の家に友人を呼び、これから狩る魔獣について話している。友人とは勿論スケルトン仲間だ。それとブラックタイガーのスケルトンにも来てもらった。

 友人の名はススとケケ。何故この名前にしたのか、その前に何故スケルトンなのに名が付いているのか。俺は仕事柄、スケ先生やら、スケルンやら呼ばれているが。本来俺達スケルトンに名はないからな。

 このススとケケ。俺の古い友人なんだが。俺が施設経営を初めてから少しして、落ち着いた頃に久しぶりに会いに行った。すると2人は俺が、俺の巻き込まれた争いで消えたと思っていたらしく、俺が生きていてとても喜んでくれて。

 連絡をしなくて申し訳なかった、とまずは謝り。その後に今俺が何をしているか話し、2人を施設に招待することに。

 すると2人は施設も街も、俺みたいに凄く気に入ってくれて。そのまま街で暮らすようになったんだ。時々俺の施設でバイトをしながら。

 それで、俺がスケ先生とか、スケルンと呼ばれているのを聞いて。自分達も名が欲しいと。勝手に自分で考えてススとケケに決定。しかも名が定着したことで、前よりも強いスケルトンに進化。今では俺と同じ、共に森を守ってくれている。

 俺の場合は、どの名前が定着しているか分からないけれど。巻き込まれた争いのおかげで力が強くなった所に、どれかの名前が定着して、さらに強くなっているんじゃないか。と、前にアマディアスさん達が言っていた。

 ちなみに2人も師匠の訓練を受けたぞ。アマディアスさんとジェラルドさんの訓練はやらなかったけど。さすがにそこまでは、2人の力では消えてしまう可能性が高いからと。俺も何回も消えかけたんだが……。

 まぁ、そんなわけで、俺達3人で狩に行くことは問題がないから、今回は2人に手つだってもらうことに。

 そしてブラックタイガーのスケルトン。彼の名はブッガーで、名は俺が付けた。彼はこの森にもともと住んでいて、俺が森で訓練をしていた時に出会った。そしてリル同様、何故か俺に懐いてくれて。以降は普段は森の中に住んでいるけれど、時々遊びに来てくれるように。

 また長距離を移動しないと行けない場合、リルで移動できない時には、ブッガーに頼んでいる。だから今日は、衣装担当になったリルに変わって来てもらった。
 ススとケケのために、ブッガーの友人の、ブラックタイガーのスケルトン2匹にも来てもらったぞ。勿論ただでとは言わない。好きなご飯石を、帰りにあげるつもりだ。

『カッコいい、ほどほどの大きさの魔獣か』

『ワイルドボアとかブラッドベアーとかか?』

『まぁ、普通に考えればな。だけど今回は贈り物だからな。どうせならもう少し珍しい魔獣の方が良くないか?』

『珍しいって言ってもな。この森に強い魔獣は多いけど、珍しいかって言われるとな』

『う~ん、スケ的には、どんな魔獣が良いと思ってるんだ?』

『見栄えのするやつが良いと思ってるんだけど。こう真ん中に置いて、部屋に入った瞬間、それが何の魔獣の骨か分かるような、しっかりとした骨が良いと思うんだよ』

『見栄えか。じゃあやっぱり、ワイルドボアやブラッドベアーみたいに、見慣れてるいつも通りの魔獣の骨じゃな』

『ほら、やっぱり珍しい魔獣の方が良いんだって』

『だからその珍しい魔獣ってどれだよ』
 
『う~ん、それは……』

 決めてから狩に出た方が良いって、話し合いになったけど。どうにもしっくりくる魔獣が浮かばない。ブッガー達なんて俺達の話し合いに飽きたのか、お腹を出してゴロゴロ寝ているし。お腹と言っても骨だけど。

 と、しばらくそれぞれ、どの魔獣が良いか考えていた俺達。考えていたため部屋の中は、ゴロゴロしているブッガー達の骨の音しか聞こえていなかったんだけど。ススが急に声をあげた。

『そうだ!! スケ、別にこの森で狩らなくても良いんだろう?』

『ああ、それは別に』

『隣の森にさ、暴れドラゴンが現れたって、2日前に聞いたんだよ。それで森の魔獣が困ってるって。しかもその暴れドラゴンけっこう強いらしくて。森に住んでいる強い魔獣達も対処に困っているって』

『ドラゴン?』

『ああ。だからさ、そのドラゴンを俺達が狩るのはどうだ? そうすれば俺達は骨を手に入れられるし、向こうの森の魔獣達は、ゆっくり暮らせるようになって。お互いにとって良いことしかないだろう?』

『どんなドラゴンなんだ?』

『アースドラゴンだってさ。大きさ的には普通の大人アースドラゴンよりも小さいらしい。だから大きさもちょうど良いんじゃないか?』

『なるほど……。それは確かに良いかもしれない。そいつは暴れていて、周りが困っているんだな?』

『ああ、そう聞いた。まぁ、間違いだったたら、他の奴を狩れば良いさ。向こうにはジャイアントボアもいるしさ』

『ジャイアントボアも良いな。血も肉も骨も、全てが素材になる。あー、でも骨が少ないな』

『まぁ、とりあえず行ってみよう。それで暴れアースドラゴンがいれば良いし、いなければその時考えよう』

 こうしてとりあえず狩る物は決まり、俺達は行く前にアクアとリルの所へ。隣の森へ行くため、今日の夜は帰らない可能性が高いからな、夜は師匠の所へ行くよう伝えに行ったんだ。何かがあり、俺が帰れない場合は、師匠かアマディアスさんに頼むことになっている。 

 帰れないかもしれないことを伝えた俺。

『分かった』

『行ってらっしゃい』

 まぁ、うん。しっかりと小物をチェックするアクアとリル。俺の方を見向きもしなかった。俺はこれから、一般的には危険と言われるドラゴンを狩に行くんだが? やられる気はぜんぜんないけどさ。

 軽く溜め息うを吐きながら、アクアとリルの後は師匠に会いに行き、アクアとリルのことを頼む。

 そしてそれが終われば次は、グレーさんとシェリさんの気配を探し、2人に会いに行く。明日の朝、ガイドについて話しに行く予定だったけれど、俺は狩に行くからな。だからそれについてはレーノルドさんに任せる事に。最初から分かっている人が話した方が良いだろうし。

 俺は用事ができてしまい伺えないので、レーノルドさんにお願いしましたと言えば。2人共明日がとても楽しみだと言ってくれ、レーノルドさんのことも了解してくれた。

 こうして全ての連絡を済ませると、いよいよ俺達は隣の森へと向かった。
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