異世界初? のスーパー銭湯もとい『娯楽施設スケルトン』開業です!!

ありぽん

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58話 呪いのアンデッドの迷惑な最後

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「アナベルから連絡がないので、まだ余裕はあるでしょうが。あまりここの近くでは、消したくはないですね」

「全て完璧に、っていうのはな。俺には無理だ」

「私でも完璧に……、とはいけいませんからね」

「何で消える時に、爆発させるんだか。そのまま消えれば良いだけだろうに」

「今まで現れた呪いのアンデッドが、ただそのままで終わる、という事はなかったからのう。おそらく今回もなるじゃろうな」

「しかも相手はただの呪いのアンデッドじゃない。いや普通の? 呪いのアンデッドだって問題は問題だが今回は……」

「もともと持っていた力が違いますからね。その力での呪いの爆発が起こるでしょうから、いつも以上に注意しなければ」

 今までに世界の人々や魔獣達は、何体の呪いのアンデッドに襲われたか。呪いのアンデッドは、呪いが加わる事により、元々のアンデットの力を、さらに強くさせる。
 またその攻撃は、呪いを振り向くだけではなく、呪いと共に普通の攻撃もしてくる。呪いのアンデッドになる前、死ぬ前の元々の力が使ってくるって感じだな。

 例えば俺は、ウッサーの呪いのアンデッドを見たことがあるんだけど。もともとウッサーは弱い部類に入る魔獣なため、呪いのアンデッドになり、少々強くなったと言ってもやはり弱く。そにためすぐに対処をする事ができる。

 しかしブラッドベアーやワイバーンなど、強い魔獣が呪いのアンデッドになった場合は。元々の力が強い事に加え、呪いのアンデッドとしての力も備わるため、対処も難しく、倒すのが大変になる。

 そして振り撒く呪いだが、やはり元々の力が強ければ、呪いも強くなるため。だから強い魔獣が呪いのアンデッドになると、かなり厄介なんだ。

 が、倒すだけなら、俺達には問題はない。力の強い人達が集まっているからな。そう倒すだけなら。

 問題は、呪いのアンデッドを倒した後の、呪いの爆発の対処だ。この呪いのアンデッド、倒した瞬間に、自分の中にある最大限の力を使い、呪いを爆発させて広範囲に呪いをばら撒くんだ。

 だからそれを防ぐのに、周りに呪いが飛び散らないよう結界を張り、その結界の中に呪いを封じ込めたり、聖魔法を使ったりと。いろいろな対策を取らなければならず。

 ウッサー達みたいに弱ければ、呪いも弱いからささっと対処できる。しかしブラッドベアーやワイバーンなど強い魔獣の場合、結界で呪いを包んでも、その結界を破り外へ出てしまう事があったり、聖魔法がなかなか効かなかったりと、簡単にはいかず。

 実は今回の呪いのアンデッド、呪いのアンデッドに変えられてしまった魔獣が大問題だった。ドラゴンの群れが巻き込まれたと言ったろう? そのドラゴンの群れの1匹を、ラダリウスは呪いのアンデッドにしたらしくて。

 ただでさえ他より強いドラゴンだぞ? そのドラゴンが呪いのアンデッドになったなんて。攻撃力も呪いの力も、どれだけ強いのか。そして倒した時の呪いの爆発は、どれほどの物になるか。

 だから今、みんな対処に困っているんだよ。漏れただけでも、普通の漏れと違うだろうから、大変な事になってしまう。

「考えですが。私は本体への攻撃は、1人で良いと思っています。そしてそれは、魔法の細かい調整ができない、この脳筋馬鹿で良いと」

 アマディアスさんの言葉に、みんながジェラルドさんを見る。そしてジェラルドさんは静かに、そうだろうそうだろうと言いながら頷いた。

「後は聖魔法で消していくのはいつも通りですが。呪いを少しずつ出しながら、結界を小さくしていく、というのはどうでしょうか?」

「少しずつ?」

「ええ。最初にまず、数カ所に人員を分けておきます。そうですね、東西南北という感じでしょうか。そして強力な結界を張れる者と、呪いを消す事が得意な者とでさらに別れ、その場で待機します」

「分担するんじゃな」

「はい。そして呪いのアンデッドが姿を現したら、結界班が結界を張り、すぐに体に結界を纏わせた脳筋馬鹿に、呪いのアンデッドを倒してもらいます。問題はその後なのですが。爆発が収まったら、それぞれの場所で結界に小さな穴を開け、そこから出て来た呪いを消していくのはどうでしょう?」

「穴を開けて、出てきた呪いを消す?

「ええ。そうして呪いが少なくなったら、少し結界を小さくし。また穴を開け、呪いを出して消すをする。それを繰り返していけば、最後には全ての呪いを消せるかと」

「なるほどのぉ、呪いを出す場所を決めるわけじゃな」

「はい。呪いを出す場所を集中させることで、消しやすくします。その方がどこから漏れるか分からずに、その対応をするよりも、確実に消す事ができるかと」

「量が多いからのぉ。集中させるのは良いかもしれん」

「ただ、それも完璧にできるかと言えば……。ただバラバラに動きよりも、各自自分でやる事をきちんと決め動いた方が、その動きの集中できるので良いと思います」

「確かに、その方が良いかもしれないな」

「それと確実ではないので。どうしても漏れる呪いはあるはずですので。全体を見回り、漏れた呪いを消す者達の班も作った方が良いでしょう。結界班、呪い消去班、見回り班ですね」

 アマディアスさんの案にみんなが頷いた。確かにそれぞれが1番得意な事で。しっかりと動いた方が良いに決まっているからな。

「よし、それで動こうかのう」

「では、班わけについては、私がやりましょう。分けるのは慣れているので」

「ではノーマン頼みます。ああ、聖魔法を使う者がいる班には、アンデッド系の者達のように、正魔法が苦手な者達を入れぬよう、お願いしますね」

「もちろんですよ。それで彼らが消えてしまったら大変ですからね。いろいろ考えて班分けします」

 そう、俺だってアンデッドだ。いくらみんなのおかげで強くなったと言っても、そして聖魔法に少し耐えられるようになったと言っても。他の苦手な人達はな。ススとケケだって消えてしまうかもしれない。それは困るからな。

「それと私とウェンセスラスは、班に入れないでください。あと、そこの脳筋、あなたも呪いのアンデッドを倒したら、すぐに結界から出してもらい、私達と合流してください。私達は。馬鹿の相手をしなければなりませんし、まだ完璧に呪いを受けていない者を助けなければいけませんので。そう、仲間を守るため命をかけて動いている者を」

「あ? 誰のことだ?」

「……あなたはノーマンから、報告を受けたのではないのですか?」

「すみません。伝えたはずなのですが」

「呪いのアンデッドを倒すことしか考えていなかった、という事か。はぁ、今回のドラゴンの呪いのアンデッド。かつての仲間を止めるために、群れのリーダー、ウォットが。攻撃で呪いを受けながらも、他で被害を出さないため。今、必死で呪いのアンデッドを追っています。報告だと、まだ助ける事ができそうなので、私は彼を助けに行くんですよ」

「そうなのか!!」

「……それで」

 アマディアスさんが、ジェラルドさんを無視して話しを続ける。

 そして話し合いの結果。馬鹿な連中と、呪いのアンデッドを迎え撃つのは。俺達の住んでいる森から、3つ目の森。周りに村もまりもなく、また食料となる木の実や果物、草花が少ない事で、住んでいる魔獣も少ない森があるんだけど。そその森で迎え撃つ事になった。

 もちろん住んでいる魔獣もいるから、今からアマディアスさんが行き、皆に話しをして、アマディアスさんの転移の力で、全員避難させるぞ。誰でも敵対する魔獣もいるけれど、そいつらは拒否したら、置いていくと言っていたよ。

「それではみなさん、よろしくお願いします」

「おっし!! やるぞ!!」

 ジェラルドさんが気合を入れた。
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