もふもふが溢れる異世界で幸せ加護持ち生活!

ありぽん

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563 終電移動キノコ

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『じゃあ、俺はルドに着いて、移動キノコを確認してくる』

「ああ、頼む」

『我々も手分けして探したいが、見落とす可能性の方が高いからな。前、玄関に移動キノコが生えた時は、少しの異変しか感じなくて、移動キノコだとは思わなかった。特別な匂いがすれば我らでも探せるが、匂いがしないとなると。確実に見落とすだろう』

『私は移動キノコがあればすぐに分かりましから』

『走っていても平気か?』

『はい。あまりにも速いのは無理ですが、普通に走っていただければ』

『分かった。ではいつもお前達が乗る時くらいのスピードで走ろう』

 これからルドお父さんとドラッホパパが、移動キノコを探しに行きます。ルドお父さん……。ルドお父さんはクルドお兄ちゃんのお父さんの名前だよ。

 あのね、ルドお父さんがキノコを探しにいく前に、パパ達は何かをお話ししていて。何のお話しをしていたかは分からないんだけど。僕とお兄ちゃんはちょっとおトイレに、馬車から降りたんだ。森だったけど、浄化してもらえるからね。

 それで馬車を降りた時ちょうど、グッシーがクルドの父って言って、その後ビッキーがクルドの父って。話している途中で、何回もクルドの父って言ったんだよ。
 それを聞きながら、草むらを通って少し離れたところへ。それでトイレを終わらせて戻ってきたら、また何回もクルドの父ってグッシー達が。

 でも、途中でグッシーが話しをやめたんだ。どうしたのかと思ってグッシーを見たら、なんか変な顔をして、じっとクルドお兄ちゃんのお父さんを見ていて。そして数秒後。

『今更だが、俺も人間達との生活で慣れたからそう感じるのかもしれんが。クルドの父、といちいち言うのは面倒だ。おい、クルドの父、名はないのか? クルドに名付けているくらいだから、お前も名前を持っているだろう』

 その言葉に、みんながみんなを見渡します。

『あ~、そうだな。俺達魔獣は基本名前がないから、『おい』やら『お前』やらで、過ごしてきていたが。今は普通に名を呼んでいるからな』

『変な感じがしたのはこれか。クルドの父ということに抵抗はなく、だからと言って『おい』とも『お前』とも、言うのも違う気もしていたし。そうかそうか、名前をきちんと呼ばないことに違和感を感じていたのか。クルドの父、名は?』

『す、すみません。私もクルドの父で慣れてしまっていて、名をお伝えしていませんでした。私の名前はルドと申します』

『ルドか。よしこれからはルドと呼ぶぞ』

 今までいっぱいクルドお兄ちゃんのお父さんには会っていたのに、やっとお名前を聞いたんだよ。これでいちいちクルドの父じゃなくて、ルドだけですむって。

「しまった、私としたことが」

「私も失念していたわ。最初に聞くべきだったのに。そうよね、名がある魔獣と、そう簡単には出会わないけれど、次から関わる魔獣には、きちんと確認しないと。ジョーディの周りは魔獣だらけだものね」

「ああ。それにちょっとどこかへ出かければ、魔獣の方から寄ってくるしな」

 パパとママも聞くの忘れていました。僕達は……。クルドお兄ちゃんのお父さんは、クルドお兄ちゃんのお父さんだよ。でも、うん。ちゃんとお名前聞くのは大切。僕達も気をつけなくちゃ。

『今ここにあるキノコは、次の森へとは続いていませんでしたので、もしかしたら別のキノコがある場合も。それがない場合は、キノコを育てながら進むことに』

 移動キノコにも色々あるみたい。僕ね、今いる森へ来た時に使った移動キノコを使って、次の森へ行くって思っていたの。だってその移動キノコでここに着いたんだから、次はこのキノコから別の場所へ行くはずでしょう?

 でも今僕達の隣にある移動キノコは、終わりのキノコだったんだ。このキノコから先には移動キノコはありませんって、終わりを教えてくれる移動キノコ。今までと違う赤色の移動キノコだったの。うんとね、電車みたいな感じ、ここが終点ですよって。

 それでもしかしたら、別に移動キノコがあるかもしれないから、それを探しに行くんだって。何で移動キノコがここにあるのに探すのかなって思ったんだけど、終電キノコじゃダメだもんね。

『じゃあ、行ってくる』

 ドラッホパパがビュンッ!! と走っていきました。移動キノコあると良いなぁ。そうすれば馬車に乗る時間が短くなるでしょう? お兄ちゃんが作ってくれたおもちゃで遊ぶ時間と、グッシー達と遊ぶ時間だけ、馬車に乗れたらなぁ。

 後は面白い物が見られるなら、そこはゆっくり通っても良いし。僕がまだ見た事がない物があるとか、パパ達にも珍しい物があるとか。そういうのが見られたら、楽しいでしょう?

 その後僕達は、近くにあった池で遊んだり、花畑に行って遊んだりして、ドラッホパパ達を待ちました。
 うん、これはとっても楽しかったよ。だって知らないお魚さんに、知らないお花を見つけたんだ。それから変わった形の石もたくさん見つけて。気づいたらかなりの時間が経っていたみたい。2時間くらい?

 それでそろそろ馬車に戻ろうって言われて馬車に戻ったら、ちょうどドラッホパパ達が帰ってきました。それでね次の森をの移動キノコまでは確認できたって。今いる森の移動キノコは、すぐに見つかったみたいです。
 それで時間があったから、次に進む方角の方にある森へ、移動できるかやってみたんだって。そうしたらちゃんと移動できたの。

「そうか、それは良かった。しかしそうだな、分かっている所まで移動して、次を探すことになれば、また時間がかかるな」

「そうね、ちょっと様子をみて、時間がかかりそうなら、今日は近くの街で泊まりましょうか」

「そうだな、そうしよう」

 馬車に乗って、次の森へ出発!!
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