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19話 訓練開始、突然の知らない声
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「さて今日は、この間の防御魔法、『エリアバリア』の練習をしようと思う」
『うむ、さて今日は、この花について、教えようと思う!』
『はい! ししょう!!』
「まずはタイラーにお願いがあるんだけど。土魔法で土を俺の方に飛ばして欲しいんだ」
『うむ、まずは花を選ぶ!! どれでも良いから、2本花を選ぶ!!』
『はい、ししょう!!』
「……」
『少し離れるか?』
「はぁ。ああ、そうしよう。ミルフィー、トールの言う事をよく聞いて、俺が見えない場所に行く時には、必ず俺に言ってから離れるんだぞ。それから勝手に結界から出るんじゃないぞ」
『うん!!』
『よし! じゃあ花を選ぶ!!』
俺とタイラーは、ミルフィーとトールから離れ、何も物が置いていない場所に来た。
あの扇風機の防御魔法、『エリアバリア』を使ってから3日。その間にも、いろいろ考えてみたかったんだけど。
野菜虫にまた来られちゃたまらない、という事で。先に収穫できそうな野菜を、全て収穫してしまうことになって。忙しくしていたから、『エリアバリア』について、考える暇がなかったんだ。
そうして全ての収穫が終わった今日、ようやく時間ができて、これから実験をする予定だったんだけど。俺の実験や訓練の真似なのか、ミルフィーとトールが勉強を始めて、邪魔をしてきた。
勉強……。実はトール、まだ3歳の小鳥だったんだ。それで俺達がここで生活をするまでは、父さんとタイラーに子供扱いをされていた。いや、子供なんだから当たり前だし、別にそれでトールも、何か嫌な気分をしていたわけじゃなかったんだけど。
ほら、今度から自分よりも小さなミルフィーが来ただろう? それで自分も、ついにお兄ちゃんになったって張り切っちゃって。それでいろいろ教えてあげないと、ってことになったらしい。
そして、教えるのならお兄ちゃんじゃなくて師匠だろうと。2年前、父さんが誰かの訓練をしていた時、その人が父さんのことを師匠と呼んでいたらしく。それを真似して、教える時は師匠と呼ぶようにと、ミルフィーに言ったんだ。
それからミルフィーは普段、普通に過ごしている時は、トールのことをお兄ちゃんと呼ぶけれど。今みたいに何か習う時は、師匠と呼ぶようになった。
今日は、俺がこれからいろいろと実験と訓練をするってことで、自分たちも真似して、花について勉強すると言い、俺たちの隣で勉強会をすることに。
が、俺の話しの間に入って、向こうも話しを進めてくるからさ。こっちの話しが進まなくて。だからミルフィーとトールから離れることにしたんだよ。
『それで、俺は何をすれば良い?』
「さっきもちょっと話したけど、土魔法で俺に向けて、土を飛ばして欲しいんだ。で、その土を、俺は防御魔法を使って、この前の野菜虫みたいに、弾き飛ばす事ができるか、やってみようと思って」
『なるほど、分かった。ではいろいろな土を投げてみるか? 柔らかいものから固いもの、サラサラと細かいものから、泥団子のように、少し大きめな物まで。どんな物でも弾き飛ばす事ができるのか、やったてみた方が良いだろう』
「そうだね。もしかしたら、弾き返せない物もあるかもしれないし。それじゃあ、いざという時に困るからな」
『後はそうだな、センプウキとやらの防御レベルは1だっただろう? もし今、防げない物があったとしても、レベルを上げることによって、他の物も弾き返す事が可能になる可能性がある。お前の場合普通の方の魔法は微妙だが、こちらは固有武器だからな。時間はかかってもレベルは上がるだろうから、頑張るんだぞ』
「ああ!!」
『よし、準備ができたら言ってくれ。まずは柔らかい土に、サラサラした土。この辺からやってみよう。ああ、それと。魔力を溜める訓練を毎日するのも忘れるなよ。前よりは早くなったが、それでも一瞬で魔法を使えるようにならなければ、本当に使えるようになった、とは言えんからな』
「もちろん!! 今日も扇風機の後、練習するつもりだよ」
すぐに準備を始める俺。その間にタイラーが、俺から少しだけ離れる。
「よし、溜まった!!」
『では飛ばすぞ!! フンッ!!』
魔獣は詠唱をしなくても、魔法が使えるから良いよな。この世界には人間以外に獣人やエルフ、ドワーフといった、それはそれはたくさんの種族がいるらしいんだけど。
魔獣と、他の種族よりも、いろいろな能力が秀でているエルフは。魔法を使う時、詠唱をしなくとも魔法を使えるらしいんだ。
だからどうせだったら、俺達の方も詠唱なしで、魔法を使えれば良かったのにって。だってそうすれば、頭の中に魔法の言葉が浮かんでこなくても、考えただけで魔法が使えるかもって事だろう?
『エリアバリア』の時、話しに聞いていた通り、『エリアバリア』のイメージと呪文が、勝手に頭の中に浮かんできたんだよ。それで対処できたんだ。だからそれは良かったと思ったけど。やっぱりイメージだけの方が楽な気がする。
「エリアバリア!!」
俺が叫ぶと、この間のように風が変化し、土を弾いてくれた。だが……。
『半分防げた、というところか。しかも、防いだ方の半分も、弾かれたというより、風にぶつかってその場に落ちただけ、という感じだな』
「う~ん、やっぱりミルフィーの声がないとダメかな?」
『魔法が思い浮かんだ時、それも思い浮かんだのだろう? ならばやはり、ミルフィーも必要な魔法という事だろう。向こうで、勉強という名の、花の好きな部分を話しているだけだから。一旦中止してもらい、一緒にやった方が……』
『あ、それ、僕でもできないかな?』
「ん? どうしたんだよ、急にそんなミルフィー達みたいな声出して」
『俺ではないぞ』
「え?」
『ねぇねぇ、それ、僕でもできないかな?』
突然ミルフィー達のような、知らない可愛い声が聞こえ、俺とタイラーは、声のした方をゆっくりと振り返った。
『うむ、さて今日は、この花について、教えようと思う!』
『はい! ししょう!!』
「まずはタイラーにお願いがあるんだけど。土魔法で土を俺の方に飛ばして欲しいんだ」
『うむ、まずは花を選ぶ!! どれでも良いから、2本花を選ぶ!!』
『はい、ししょう!!』
「……」
『少し離れるか?』
「はぁ。ああ、そうしよう。ミルフィー、トールの言う事をよく聞いて、俺が見えない場所に行く時には、必ず俺に言ってから離れるんだぞ。それから勝手に結界から出るんじゃないぞ」
『うん!!』
『よし! じゃあ花を選ぶ!!』
俺とタイラーは、ミルフィーとトールから離れ、何も物が置いていない場所に来た。
あの扇風機の防御魔法、『エリアバリア』を使ってから3日。その間にも、いろいろ考えてみたかったんだけど。
野菜虫にまた来られちゃたまらない、という事で。先に収穫できそうな野菜を、全て収穫してしまうことになって。忙しくしていたから、『エリアバリア』について、考える暇がなかったんだ。
そうして全ての収穫が終わった今日、ようやく時間ができて、これから実験をする予定だったんだけど。俺の実験や訓練の真似なのか、ミルフィーとトールが勉強を始めて、邪魔をしてきた。
勉強……。実はトール、まだ3歳の小鳥だったんだ。それで俺達がここで生活をするまでは、父さんとタイラーに子供扱いをされていた。いや、子供なんだから当たり前だし、別にそれでトールも、何か嫌な気分をしていたわけじゃなかったんだけど。
ほら、今度から自分よりも小さなミルフィーが来ただろう? それで自分も、ついにお兄ちゃんになったって張り切っちゃって。それでいろいろ教えてあげないと、ってことになったらしい。
そして、教えるのならお兄ちゃんじゃなくて師匠だろうと。2年前、父さんが誰かの訓練をしていた時、その人が父さんのことを師匠と呼んでいたらしく。それを真似して、教える時は師匠と呼ぶようにと、ミルフィーに言ったんだ。
それからミルフィーは普段、普通に過ごしている時は、トールのことをお兄ちゃんと呼ぶけれど。今みたいに何か習う時は、師匠と呼ぶようになった。
今日は、俺がこれからいろいろと実験と訓練をするってことで、自分たちも真似して、花について勉強すると言い、俺たちの隣で勉強会をすることに。
が、俺の話しの間に入って、向こうも話しを進めてくるからさ。こっちの話しが進まなくて。だからミルフィーとトールから離れることにしたんだよ。
『それで、俺は何をすれば良い?』
「さっきもちょっと話したけど、土魔法で俺に向けて、土を飛ばして欲しいんだ。で、その土を、俺は防御魔法を使って、この前の野菜虫みたいに、弾き飛ばす事ができるか、やってみようと思って」
『なるほど、分かった。ではいろいろな土を投げてみるか? 柔らかいものから固いもの、サラサラと細かいものから、泥団子のように、少し大きめな物まで。どんな物でも弾き飛ばす事ができるのか、やったてみた方が良いだろう』
「そうだね。もしかしたら、弾き返せない物もあるかもしれないし。それじゃあ、いざという時に困るからな」
『後はそうだな、センプウキとやらの防御レベルは1だっただろう? もし今、防げない物があったとしても、レベルを上げることによって、他の物も弾き返す事が可能になる可能性がある。お前の場合普通の方の魔法は微妙だが、こちらは固有武器だからな。時間はかかってもレベルは上がるだろうから、頑張るんだぞ』
「ああ!!」
『よし、準備ができたら言ってくれ。まずは柔らかい土に、サラサラした土。この辺からやってみよう。ああ、それと。魔力を溜める訓練を毎日するのも忘れるなよ。前よりは早くなったが、それでも一瞬で魔法を使えるようにならなければ、本当に使えるようになった、とは言えんからな』
「もちろん!! 今日も扇風機の後、練習するつもりだよ」
すぐに準備を始める俺。その間にタイラーが、俺から少しだけ離れる。
「よし、溜まった!!」
『では飛ばすぞ!! フンッ!!』
魔獣は詠唱をしなくても、魔法が使えるから良いよな。この世界には人間以外に獣人やエルフ、ドワーフといった、それはそれはたくさんの種族がいるらしいんだけど。
魔獣と、他の種族よりも、いろいろな能力が秀でているエルフは。魔法を使う時、詠唱をしなくとも魔法を使えるらしいんだ。
だからどうせだったら、俺達の方も詠唱なしで、魔法を使えれば良かったのにって。だってそうすれば、頭の中に魔法の言葉が浮かんでこなくても、考えただけで魔法が使えるかもって事だろう?
『エリアバリア』の時、話しに聞いていた通り、『エリアバリア』のイメージと呪文が、勝手に頭の中に浮かんできたんだよ。それで対処できたんだ。だからそれは良かったと思ったけど。やっぱりイメージだけの方が楽な気がする。
「エリアバリア!!」
俺が叫ぶと、この間のように風が変化し、土を弾いてくれた。だが……。
『半分防げた、というところか。しかも、防いだ方の半分も、弾かれたというより、風にぶつかってその場に落ちただけ、という感じだな』
「う~ん、やっぱりミルフィーの声がないとダメかな?」
『魔法が思い浮かんだ時、それも思い浮かんだのだろう? ならばやはり、ミルフィーも必要な魔法という事だろう。向こうで、勉強という名の、花の好きな部分を話しているだけだから。一旦中止してもらい、一緒にやった方が……』
『あ、それ、僕でもできないかな?』
「ん? どうしたんだよ、急にそんなミルフィー達みたいな声出して」
『俺ではないぞ』
「え?」
『ねぇねぇ、それ、僕でもできないかな?』
突然ミルフィー達のような、知らない可愛い声が聞こえ、俺とタイラーは、声のした方をゆっくりと振り返った。
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