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27話 ぬいぐるみの花と優しく降る雨1
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『ああ、前よりも酷くなってしまったな。こっちの糸も解けて、ワタが出てしまっている』
“……”
『心配してくれるのか。そなた達にとっても、元気になるための大切な物だからな』
“……”
『そうだな。いつもだったら、もっと元気にできるのだが。すまないな』
“……”
『ああ、次回は必ず。それまで元気で、皆を楽しませてやってくれ。なんとか修復して、なるべく早く戻ってくる。でわな』
雨の中を走り出す。しかし本当にどうしたものか。修復すると言っても、私が修復をしてこれだからな。また修復したところで。どれだけ保つかどうか。かと言って、何もしないままでは、今よりも皆を元気にさせる事ができなくなってしまう。
あの者との思い出だ、なくすわけにはいかぬし。これからも皆を元気にするためにも、1度完璧に修復したいのだが。どこかに修復できる者はいないかの。
『わぁ、綺麗に直してもらったね』
『でしょう、これでまた一緒に寝られるよ』
『隣り町まで行ってきたんだって?』
『うん! あやかしや動物のぬいぐるみを修復してくれる、優しい人間がいるって聞いて行ってきたんだ』
ん? ぬいぐるみを直してくれる人間だと?
『そうしたら本当に優しい人間で、すぐに直してくれたんだよ。それに直すだけじゃなくて、僕の話しをちゃんと聞いてくれて。僕がリボン付けて欲しいってお願いしたら、このキラキラリボンを付けてくれたんだ!』
『へぇ、そんな人間本当にいるんだ。まぁ、優しいだけの人間ならいるけど、なかなかボク達と話さないからね』
『あやかしと暮らしてるからじゃないかな。みんなもぬいぐるみを直してもらう時は、絶対に頼んだ方が良いよ』
『そこの者達!』
『あっ、初めてのあやかしだ!』
『あれ? なんか雨強くなってない?』
『本当だぁ』
『それは私が近づいたからだ。それよりもすまんが、今の話しを聞かせてくれぬか!?』
『ん?』
◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇
『あ~、イライラする』
『イライラよりジメジメ』
『だから、ジメジメしてるからイライラなんだろう』
『イライラよりもジメジメだよ」
『だから……』
「あー、もう! 同じ話しを何回やれば気が済むんだよ! そんなにダラダラしてるなら、そっちで何か作って遊べば良いだろう」
『ジメジメで遊べない』
『遊べん』
『ジメジメ、ダメ』
『おい、俺の酒だぞ!』
『良いじゃねぇか。この前かなりもらったんだろう?』
『これは晴翔と俺に、奴が持ってきたんだ。お前には渡さん』
『晴翔、もう少しさっぱりできんかのぅ。ジメジメ過ぎて敵わん』
ああ、もう、煩いな。こっちはぬいぐるみの修復してるんだから、手伝わないでゴロゴロしてるだけなら、静かにしててくれよ。
今俺の部屋には、シロタマふくめ、あやかし達と遊びに来た動物達が、全員でぐーたらと寝転がっている。しかもお酒とお菓子を広げっぱなしで。
まったくじいちゃんと神谷さんが、お客さんの家に行っていて居ないから良いけど。この状況でじいちゃん達が部屋に入ってきたら、大変なことになってるところだよ。
数日前から梅雨に入り、雨が続いているんだけど。それに合わせて湿気と気温も高いもんだから、まぁ、ジメジメしててさ。みんなそのジメジメにぐったりしちゃって、お腹を出してダラダラと寝転んでいるんだ。
それでさっきの会話だよ。シロタマたちはジメジメするからイライラする。だけどピヨ太たちは、イライラよりもジメジメする方が気になって、シロタマたちがイライラと言えば、ジメジメだよと言い返し。それを遊びにきてから、ずっと繰り返しているんだ。
「仕方ないだろう。そういう季節なんだから」
『晴翔、クーラー入れてくれ』
『じいちゃんにクーラー入れて良いか、聞くの忘れたんだよ。今日は扇風機で我慢してくれ』
『何で、そんな大事なことを忘れたんだ』
『『『そうだ、そうだ!』』』
始まる何で忘れたんだの大合唱。
「ああ! もう!! 本当に静かのしててくれよ!!」
と言った瞬間、ガッシャンガラガラと、騒いでいたピヨ太たちに倒された道具入れ。
『『『……』』』
「……」
『……晴翔?』
「……邪魔するなら、どこか行っててくれ!!」
思わず叫ぶ俺。ピャーと逃げるピヨ太たち。まったく何なんだよ。はぁ、俺も落ち着かないとな。
「……はぁ、みんな、氷でも食べるか?」
『『『おうっ!!』』』
おうっ!! って。フッ、みんなのめがキラキラと輝いた。
“……”
『心配してくれるのか。そなた達にとっても、元気になるための大切な物だからな』
“……”
『そうだな。いつもだったら、もっと元気にできるのだが。すまないな』
“……”
『ああ、次回は必ず。それまで元気で、皆を楽しませてやってくれ。なんとか修復して、なるべく早く戻ってくる。でわな』
雨の中を走り出す。しかし本当にどうしたものか。修復すると言っても、私が修復をしてこれだからな。また修復したところで。どれだけ保つかどうか。かと言って、何もしないままでは、今よりも皆を元気にさせる事ができなくなってしまう。
あの者との思い出だ、なくすわけにはいかぬし。これからも皆を元気にするためにも、1度完璧に修復したいのだが。どこかに修復できる者はいないかの。
『わぁ、綺麗に直してもらったね』
『でしょう、これでまた一緒に寝られるよ』
『隣り町まで行ってきたんだって?』
『うん! あやかしや動物のぬいぐるみを修復してくれる、優しい人間がいるって聞いて行ってきたんだ』
ん? ぬいぐるみを直してくれる人間だと?
『そうしたら本当に優しい人間で、すぐに直してくれたんだよ。それに直すだけじゃなくて、僕の話しをちゃんと聞いてくれて。僕がリボン付けて欲しいってお願いしたら、このキラキラリボンを付けてくれたんだ!』
『へぇ、そんな人間本当にいるんだ。まぁ、優しいだけの人間ならいるけど、なかなかボク達と話さないからね』
『あやかしと暮らしてるからじゃないかな。みんなもぬいぐるみを直してもらう時は、絶対に頼んだ方が良いよ』
『そこの者達!』
『あっ、初めてのあやかしだ!』
『あれ? なんか雨強くなってない?』
『本当だぁ』
『それは私が近づいたからだ。それよりもすまんが、今の話しを聞かせてくれぬか!?』
『ん?』
◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇
『あ~、イライラする』
『イライラよりジメジメ』
『だから、ジメジメしてるからイライラなんだろう』
『イライラよりもジメジメだよ」
『だから……』
「あー、もう! 同じ話しを何回やれば気が済むんだよ! そんなにダラダラしてるなら、そっちで何か作って遊べば良いだろう」
『ジメジメで遊べない』
『遊べん』
『ジメジメ、ダメ』
『おい、俺の酒だぞ!』
『良いじゃねぇか。この前かなりもらったんだろう?』
『これは晴翔と俺に、奴が持ってきたんだ。お前には渡さん』
『晴翔、もう少しさっぱりできんかのぅ。ジメジメ過ぎて敵わん』
ああ、もう、煩いな。こっちはぬいぐるみの修復してるんだから、手伝わないでゴロゴロしてるだけなら、静かにしててくれよ。
今俺の部屋には、シロタマふくめ、あやかし達と遊びに来た動物達が、全員でぐーたらと寝転がっている。しかもお酒とお菓子を広げっぱなしで。
まったくじいちゃんと神谷さんが、お客さんの家に行っていて居ないから良いけど。この状況でじいちゃん達が部屋に入ってきたら、大変なことになってるところだよ。
数日前から梅雨に入り、雨が続いているんだけど。それに合わせて湿気と気温も高いもんだから、まぁ、ジメジメしててさ。みんなそのジメジメにぐったりしちゃって、お腹を出してダラダラと寝転んでいるんだ。
それでさっきの会話だよ。シロタマたちはジメジメするからイライラする。だけどピヨ太たちは、イライラよりもジメジメする方が気になって、シロタマたちがイライラと言えば、ジメジメだよと言い返し。それを遊びにきてから、ずっと繰り返しているんだ。
「仕方ないだろう。そういう季節なんだから」
『晴翔、クーラー入れてくれ』
『じいちゃんにクーラー入れて良いか、聞くの忘れたんだよ。今日は扇風機で我慢してくれ』
『何で、そんな大事なことを忘れたんだ』
『『『そうだ、そうだ!』』』
始まる何で忘れたんだの大合唱。
「ああ! もう!! 本当に静かのしててくれよ!!」
と言った瞬間、ガッシャンガラガラと、騒いでいたピヨ太たちに倒された道具入れ。
『『『……』』』
「……」
『……晴翔?』
「……邪魔するなら、どこか行っててくれ!!」
思わず叫ぶ俺。ピャーと逃げるピヨ太たち。まったく何なんだよ。はぁ、俺も落ち着かないとな。
「……はぁ、みんな、氷でも食べるか?」
『『『おうっ!!』』』
おうっ!! って。フッ、みんなのめがキラキラと輝いた。
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