可愛いけど最強? 異世界でもふもふ友達と大冒険!

ありぽん

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1巻

1-1

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 プロローグ


「――え? ここぢょこ?」

 今僕、『え? ここどこ?』って言ったと思うんだけど。もう一度言ってみよう。

「ここ、ぢょこ?」

 ……やっぱりちゃんと発音できてない。何で? 色々なことに不安になりながら、僕は周りを見渡しました。ここはどこなんだろう?
 僕、長瀬蓮ながせれんは十四歳の中学生。親とは死別して、施設で暮らしている。
 そしてついさっきまで、施設の僕の部屋にいたはず。いつもみたいに言われたことをやって、それがやっと終わったのが二十二時過ぎ。
 もうこの時間だとちびっ子達が寝ているはずだから、静かに自分の部屋に戻って、それで宿題をやる前に一度ゆっくりしたくて、寝巻きにも着替えずにそのままベッドにダイブして……
 それから何があったんだっけ?
 ……そうだ、ベッドに寝た瞬間、僕の周りを明るい光が包んだんだ。
 明るいっていうか、目を開けていられないくらいの、すごまぶしい光。
 だから僕は目をつむって両腕で隠して、光が消えるのを待ちました。
 どのくらいそうしていたのか、目を瞑っていても眩しいくらいだった光が少し落ち着いてきて、そろそろ大丈夫かなぁって思った僕は、そっと目を開けます。
 最初目を開けた時、目がしょぼしょぼして周りがよく分からなかったから、何度かまばたきをして頭を振って……
 体にちょっと違和感があったんだけど、やっと目が慣れてきて見えたものは、僕の部屋じゃありませんでした。
 周りは木ばっかり、地面も草と花がしげっていて、森? って感じの場所だったよ。
 夜だったはずなのに、空を見上げたら明るくて、ちょっと目を細めて見ていたら、太陽? それが二つ見えたから、思わず二度見しちゃったよね。

「え? ここぢょこ?」

 もう一度そう言いました。相変わらずちゃんと言えてなかったけど。

「にゃんでここにいるにょかにゃ? ……かにゃ?」

 うん、しゃべることに関しては後で考えよう。他にも気になることがあるし。
 僕はそっと自分の手を見てみます。その後は足。
 怪我はしてないみたい……怪我はね。他に問題があるけど。
 次は体かな。
 僕は立ち上ろうとするけど、ふらついて、すぐに尻餅しりもちをついちゃいました。
 もう一回挑戦して、次はなんとか立てたんだけど、体のバランスを取るのがとっても難しいです。

「かりゃだ、ちいちゃい……」

 そう、手も足も体も、僕のものじゃないみたいだったんだ。
 だって僕の体、中学生の体からとっても小さい子供――年齢で言うと二歳か三歳くらいになっていたんだよ。
 まだバランスがうまく取れないので、すぐに僕はゆっくり座ります。
 はぁ、それにしてもここはどこで、僕はどうして小さくなっているの?
 もしかして、夢?
 でも風も感じるし、草の感覚もある。感覚があるってことは夢じゃないよね。
 まぁ、夢でも夢じゃなくても、僕はこれからどうしたらいいんだろう。
 こんな森の中で小さな子供が一人。絶対にまずいよ。
 それにこの森だって、僕の知っている、普通の森と同じとは限らない。
 だって、太陽みたいなものが二つも見えたんだよ。もしかすると、本の中の架空かくうの世界、異世界に来たのかも。
 本当これからどうしよう。
 僕がそう考えている時でした。
 風と、風が揺らす木や草や花の音以外の音が、急に聞こえてきました。

「ぴゅいぃぃぃ~。ぴゅぴぴぃぃぃ~……」

 鳥の声? でも元気な声って感じじゃない、なんかとっても弱々しくて、またすぐに聞こえなくなるんじゃないかってくらい、とっても小さい鳴き声。
 どうしよう。声の聞こえる方に行ってもいいんだけど……近寄って大丈夫なのかな?
 もしこれが僕をおびき寄せるわなで、鳴き声は鳥だけど、全然違う生き物だったら?
 考えている間にも、さらに弱くなっていく鳴き声。

「あ~、もう!! まっちぇ、いまいくかりゃ!」

 こんな弱々しい鳴き声、放っておけないよ!
 僕は立ち上がって、鳴き声が聞こえる方へ歩き始めて……すぐに転んじゃった。
 立つのはさっきよりも上手くいったんだけど、歩いたらふらふらしちゃって転んじゃったんだ。

「ぴゅいぃぃぃ~……」
「まっちぇ!!」

 よし、もう一回!
 立ち上がってそっとそっと一歩ずつ確実に。
 うん、ゆっくりならなんとか行けそう! 待っていてね、ゆっくりだけどすぐに行くからね。
 なんとか歩いて、どんどん鳴き声のする場所に近づいて行きます。
 どのくらい歩いたのか、背の高い草むらの向こう、その向こうから鳴き声は聞こえていました。
 あと少し、転ばないように、っと。
 そして草むらの前で止まると、今まで鳴いていた声が止まりました。
 もしかして僕に気がついた? そっちに行ってもいいってこと?
 あ、でも小さな小鳥だといいんだけど、全然違う知らない生き物だったら嫌だな。
 僕は小さく深呼吸をします。そして草むらの中に突撃しました。
 僕の背よりも高い草に押し戻されそうになりながら、なんとか草むらを抜けて。その先は、そんなに広くはない花畑でした。
 僕は花畑を見渡します。とりあえずは変な生き物はいないみたい。
 と、その花畑の中心のところに、何かあるのに気がつきました。
 僕は今までよりもそっと歩いて、それを確認しに行きます。

「こちょり!!」

 そこには、とってもとっても小さい鳥が横たわっていました。
 この出会いが、僕の新しい世界での生活の始まりだったんだ。




 第1章 ここはどこ?


 僕はそっとそっと、まぁ元々いつもみたいに歩けていないから、何もしなくてもそっとになるけど。それプラスよちよち歩きで、小鳥に近寄ります。
 そしてある程度小鳥に近づいた時、小鳥が一瞬ビクッとしたのが分かって、僕は止まりました。
 小鳥が首を上げるけど、無理しているのかプルプル震え、とっても苦しそうです。
 言葉が通じるわけないけど、怖がらせないように、僕は小鳥に静かに話しかけました。

「だいじょぶ、こわくにゃい。しょっとちかぢゅく」

 僕の言葉を理解したのかしていないのか、小鳥が首を下ろして、見つけた時みたいに、ぐったり横たわりました。
 よし、今のうちに。そっと驚かさないように。
 またよちよちと、ここまで近づけば大丈夫かな? と思うところまで近づいたら、そっと座ります。
 ふう、まずはどうしよう。病気で具合が悪いのか、それとも怪我をしているのか。怪我をしているなら確認しないといけないけど。でもその後は? 今の僕にできることがあればいいんだけどな。

「こんにちゃ、どうちたにょ?」
「ぴゅいぃぃぃ~、ぴゅい……」

 う~ん、分からない。触っても大丈夫かな?

「しゃわってもい?」
「ぴゅい? ぴゅいぃぃぃ……」

 今のはどっち? というか僕が話すとちゃんと返事してる? もしかして言葉が分かってる?
 ……まさかね。でももしかしたら人に飼われている小鳥で、案外言葉を理解している? ここに人がいるかは分かんないけど。
 そんなことを考えていたら小鳥がぷるぷる震えたまま、ゆっくりと起き上がって座ってくれて、左の羽を持ち上げました。
 見ると左の羽が全体的に黒くなっていて。もしかしてこの羽のせいで具合が悪いの?
 僕はそっと小鳥に手を伸ばしました。また一瞬ビクッとする小鳥。でもすぐに左の羽を、もっとよく見えるように出してくれて。僕はこれ以上、小鳥の具合が悪くならないように、そっと羽を触ってみます。

「あちゅ!」

 左の羽はとっても熱かったです。右の羽も触らせてもらったけど……うん、こっちの羽は熱くない。やっぱり左の黒い羽がおかしいんだ。
 どうしよう。ちょっとした切り傷とかなら、なんとかできたかもしれないけど。
 小鳥が羽を元に戻してまた横たわります。
 うーん、中学生の体ならいざ知らず、今の僕じゃどうしようもない。いや、中学の僕でもダメそうだけど。小鳥をこのままにしといたら、絶対にダメなのだけは分かるよ。
 そうだ、薬草とかないのかな? 葉っぱを食べればよくなるとか、ちょっとすりつぶして飲むとか。それを探してくるくらいなら僕でもなんとかできるかも。
 そんなことを考えていたら、また小鳥に変化が起きました。さっきよりも呼吸が荒くなったんだ。

「ぴゅいぃぃぃ……ぴゅい……」

 ど、どうしよう。早くしないと!! だれかいない!?
 僕はキョロキョロ周りを見るけど、やっぱり誰もいません。

「ぴゅい……」

 わわ!? 今度は首がもっとガクンって。
 もう! どうして僕はいつも何もできないんだろう。お父さんやお母さんが死んじゃった時だってそう。僕はあの時、ただただ見ていることしかできなかったんだ。
 また今度もそれと同じなの? 何もできないで、小鳥がいなくなるのを見ないといけないの? 誰でもいいよ、僕に力を貸して。お願い!!
 そう思った瞬間でした。
 ――ブワンッ!!
 いきなり僕の目の前に透明とうめいの板が現れて、その透明の板には、文字や記号みたいなものが書いてありました。
 不思議なんだ。見たことがない文字なのに読めるの。


[名前]***   [種族]人間
[性別]男     [年齢]二歳か三歳?
[称号]***
[レベル]1
[体力]1
[魔力]***
[能力]回復魔法初級ヒール その他色々 まぁ大体使えるようになる予定、みたいな?
[スキル]***
[加護]***


 何だろう、これ。本当に本の中の異世界みたい。
 でも色々と……変だな。名前は記号だし、他もほとんど記号。
 これたぶん、僕のことが書いてあるんだよね? だとしたら僕が考えていた通りに、やっぱり年齢は二歳か三歳?
 というか、年齢のところについている『?』って何? しかもレベル1、体力1って。
 僕、何かあったら一瞬で死んじゃうんじゃない?
 それに能力のところ。『まぁ大体使えるようになる予定、みたいな?』って……はぁ、もうツッコミはいいや。
 それよりも回復魔法のヒールって、あの漫画まんがとかで見るヒールかな? ちょっとした怪我だったら治っちゃうやつ。
 僕、それができるの? もしかして、手をかざしてヒールって言えば、小鳥が元気になる?
 でもただ言えばいいだけじゃなくて、何か道具がいるとか、つえとか魔法陣を書くとか必要なのかな? ああ、もう!! 分かんないことばっかりだよ!!
 僕がわたわたしていたら、小鳥が今までで一番小さい声を出しました。慌てて小鳥を見たら、目を閉じるところでした。
 わわ!? ダメだよ、待って!! もう、こうなったらやってみるしかないよね。
 僕がハイハイで動き出したら、今まで僕の前に出ていた透明な画面がフッて消えたよ。
 それでそのまま小鳥に近づいてからしっかり座って、気合を入れてさけびました。

「ヒール!!」

 その瞬間でした。
 かざした手のひらのところがポワッと光って、それが勢いよく光り始めると、すぐにその光が小鳥と僕を包みました。

「にゅうぅぅぅ!!」

 突然眩しくなったせいで、僕は思わず変な声を出しながら、慌てて目を閉じます。
 あの時みたいな光。そう、僕がこの場所にいることに気がつく前の、あの強い光に似ています。
 ただ、違うところもありました。
 あの時は白色……ううん、眩しすぎてそう見えただけかもしれないけど、今度はちょっと違って、ほんの少しだけ緑に見えたような気がしました。綺麗きれいあわい緑色。
 これってヒールが発動したってことかな? 使ったことがないから、これが魔法、というかヒールなのか分かりません。
 でも本当に僕がヒールを使えていて、あの小鳥に効いてくれれば……
 僕は手を引っ込めないで、その姿勢のまま、光が消えるのを待ちました。
 どのくらい経ったか分からないけど、しばらくして、僕の体にちょっとした変化が起きました。
 なんか体の中から、温かいものが抜けていく感覚がしたんだ。
 それと同時に、目を瞑っていても眩しい光が、少しずつおさまってきて――
 そして光が一気に弱くなって、僕がそっと目を開けると……今光っているのは、小鳥を包んでいる光と、僕の手から少しだけあふれるように出ている光だけになっていました。
 それとここまで弱くなってようやく確信できたけど、やっぱり光は淡い緑色だったよ。
 そしてその光は、最後にフッと全て消えました。
 だけどまだ動かない小鳥。じっと小鳥を見つめる僕。
 羽を確認したら、あれだけ黒かったのに、綺麗な青色になっていました。
 治った? う~ん。小鳥が動かないから分からない。
 僕はそっと小鳥の頭に手を伸ばしたけど、すぐにその手を止めました。
 でてあげようって思ったんだけど、知らない人間に触られたくないかなって思ったから。
 でも心配だから、手を出したり引っ込めたり、何回も繰り返す僕。
 ……やっぱり心配だからちょっとだけ触らせてね、痛いことしないからね。
 そっとそっと小鳥の頭を撫でてあげます。
 うわあぁぁぁ! とってもふわふわ! こんなに気持ちいいふわふわを触ったの、初めてだよ!
 と、いけない。喜んでいる場合じゃなかった。

「じょぶ?」
「…………」
「じょぶぅ?」
「…………」

 小鳥は呼吸はしているけれど目を開けません。
 もしかしてダメだった? 羽は元に戻ったけど間に合わなかった?
 僕は撫でる手を止めずにそのまま声をかけ続けます。

「こちょりしゃん」
「…………」
「じょぶぅ?」
「…………」
「こちょりしゃん」
「…………ぴゅい」

 鳴いた!? 聞き間違いじゃない?
 僕は大きな声で、さらに言葉をかけます。
 でも次の瞬間、いきなり体全体から力が抜ける感じがして、僕はその場に倒れ込みました。
 小鳥を撫でていた手はそのままで。小鳥の横に寝るような感じに倒れちゃったんだ。
 小さい子供の手でも、小鳥には重いと思って、急いで手をどかそうとします。
 でもそれすらできなくて、どんどん眠くなってきます。
 僕、どうなっちゃうんだろう?
 倒れて地面に触れて、しっかりそれを感じているから、やっぱり今は現実なんだ。
 僕このまま寝て大丈夫かな? 絶対にまずいよね。
 ……でも次に気づいたら、元の僕の部屋のベッドの上だったりして。それならそれで、『夢だったんだ』で終わりなんだけど。
 でもこの小鳥のことは心配だし、どうなるか最後までしっかり確認したかった。小鳥が元気になって、飛び立つところが見たかったな。きっと飛んでいる姿も可愛いんだろうなぁ。
 そんなことを思っている間も、どんどん眠気はおそってきて、もう目を開けていられませんでした。
 最後に小鳥を確認します。
 どうしてこういう状況になったか分からないけど、もし体が元気になったなら、これからは気をつけて暮らすんだよ。家族がいるなら家族と仲良くね。

「やちゅみ、こちょりしゃん」

 僕は小鳥におやすみって言ってから目を閉じました。
 その瞬間、小鳥の目が開いたような気がしたけど……現実だったらいいなぁ。


  ◇ ◇ ◇


 何だ今のは。いきなり力が爆発したような感覚がしたが。
 まったく、ゆっくりしているところだというのに。
 だが、調べないわけにもいかん。確認をして、もしこの森に危害を加えようとしているやからがいるのならば、さっさと消してしまおう。そしてまた昼寝に戻るとしよう。
 われは立ち上がると、力が爆発した場所へと走り出した。
 それにしても……あの力、負の気配はしなかった。それどころかとても温かったな。あのような力で、この森に危害を加えようとするだろうか?
 それに力が爆発する前、ほぼ同じ場所で、何かが生まれたような、急に現れたような気配もあったのが気になる。
 何かをするような動きはなかったため、様子を見ていたが、あの力の爆発と何か関係があるのか。
 よし、ここだな。
 ……ん? あれは?


  ◇ ◇ ◇


『本当にすまんことをしたのう』
『まったく、どうするんですか! 命が危なかったかもしれないんですよ!! 大体あなたのせいで、彼は本来いるべき場所から移動することになったんです。それに対してもきちんと責任を取るべきでしょう!』
『じゃから、たくさん加護を与えたではないか。他のことについても……』
『ですから、それも命があってこそ。一番大事な送る場所を間違えてるじゃないですか!! しかも何ですか、あのステータスボードの表示は!!』
『そ、そんなに怒らんでくれ』
『怒らずにいられますか、あんな書き方をして!! 年齢が二歳か三歳? どう考えても二歳でしょう! それに「みたいな?」などと書かなくても、そういうものは非表示でいいのです!』
『いや、まぁ、その辺はなんとなく?』
『なんとなく? はぁ、彼がいてくれたおかげでなんとかなりましたが……私達があの子にどれだけのことをしてあげられるか。あんなに小さな姿で転移させてしまって。そのうち体も心も、自然と溶け合っていくでしょうけど。私がしっかり見守らないと』

  ◇ ◇ ◇


『――そうか、すまなかった。すぐに気づいてやれなくて』
「ぴゅいぃぃぃ」
『大丈夫だ、我がしっかりと力を注いだ。そのうち起きるだろう』
「ぴゅい! ぴゅいぃぃぃ!」
『お前の気持ちも理解した。しかしそれをこの子供も望むかは分からんぞ。一応聞いてみるが』

 う~ん、何? 僕、寝ているんだから静かにしてよ。
 ……ん? 寝ている? 僕、何をしていたんだっけ?
 確かいつも通り言われた仕事を終わらせて、それからベッドにダイブしたんだよね。
 それでそのまま寝たんだっけ? 何かしていなかった? 何かしていたような気がするんだけど。
 僕はしっかりしてきた頭で、目を開けずにそのまま考え始めました。
 えーっと、確か見覚えのない場所で目が覚めて、小鳥を見つけて、治そうと思って……
 それから?

「こちょりしゃん!!」

 僕は目を開けて、小鳥のことを呼びました。
 そう、急に眠くなって寝ちゃったんだよ。最後に小鳥が動いた気がしたんだけど、どうなった!?

『目が覚めたか?』

 ん? 誰? 頭に声が響いてきたけど……
 そう思いながら目線を横に向けます。
 あの時のままなら、寝ている僕の前には小鳥がいるはずで、でもそこには小鳥はいませんでした。
 代わりにいたのは、大きくて真っ白なトラっぽい生き物。
 僕は急いで起き上がります。
 その時に自分の体を見たけど、小さいままだったよ。残念。
 と、今はそれどころじゃなくて。
 どうして僕の前に小鳥じゃなくて、ツノの生えている白いトラみたいな生き物がいるの? 小鳥は無事!?
 キョロキョロしていると、トラっぽい生き物……もうトラでいいや、そのトラの後ろから、小鳥の声が聞こえました。

「ぴゅいっ!!」
「こちょりしゃん!?」
「ぴゅいぃぃぃっ!!」

 鳴き声と共に、トラの頭の後ろから何かが飛び出して、僕の胸にぶつかってきました。
 それで小鳥はそのまま下に落ちそうになって、右の足が洋服に引っかかって止まっている状態に。
 僕は急いでそれを、落ちないように受け止めます。

「ぴゅいぃ……」
『まったく、慌てて飛び出すからだ』

 僕は受け止めたもの……小鳥を見つめ、小鳥も僕を見上げます。
 その後すぐに、僕は小鳥を抱きしめました。
 よかった! 元気になったんだね! 本当によかった!!

「ぴゅい、ぴゅい、ぴゅいぃぃぃ!」
「よかっちゃ、げんき!!」
「ぴゅいぃぃぃっ!!」
『おい、そろそろ我が話してもいいか? お前の話もしなくてはいけないし。この子供にも話を聞かなければ』

 僕はその頭に響く声に、バッと顔を上げます。
 小鳥に会えて、元気になった姿を見てとってもうれしくて、すっかり忘れていました。僕の前にトラがいたことを。
 小鳥は僕の腕の中から出てきて僕の頭の上に乗り、それでそのまま座ったみたい。

『忘れていた、という顔だな。お前の方も』

 トラが僕の頭の上を見ます。

「ぴゅい……」

 小鳥が小さな声で鳴きました。
 なんだか、そんなことないよって、失敗失敗って言っている感じの鳴き声。可愛い。

『まったく。出会ったばかりだというのに、もう気が合っているというか何というか。それで、お前は何者だ? ここの人間ではないな』

 僕は……名前も覚えているし、ここに来るまでのことは覚えているから、長瀬蓮で合っているとは思うけど。でも明らかに体形が違うんだよなぁ。
 それから、ここの人間じゃないって、それも分かっているつもり。だって、今目の前にいるこのトラさんみたいな動物、地球にはいないもん。
 それに空を見上げれば、やっぱり太陽みたいなものが二つあるし。これが地球だったら大問題になっているよ。
 黙って周りをキョロキョロしていたら、トラがハァってため息をつきました。
 僕だって答えられるならそうしているよ。そんな面倒臭そうな顔しなくてもいいじゃないか。
 小鳥がピュイピュイ鳴きながら、僕の頭の上から下りてきました。それで僕が両方の手のひらをくっ付けて前に出したら、その手の上に乗ってきてお座り。
 うん、やっぱりこの子可愛い。
 と、そんなことをしていたら、またトラさんの質問が。


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