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step3 勃発!ハムスターDV論争!
深刻な騒音問題
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仕事から帰ると、何やら仁菜の部屋の前からアニメでも見ているかのような音がした。
ノックもせずに開けると、そこにはテレビの前で体育座りをしながらゲームをする仁菜の姿が。
部屋着のままで、髪もボサボサ、そして前髪だけ上に束ねていた。
その様子から察して聞く。
「お前、今日休みだったのか?」
「彰人さん、一応私もレディーのはしくれなんですから、ノック位……っ」
照れる奴をよそに、部屋を見渡す。
そこは服やら、雑貨やらが段ボールから散乱し足の踏み場もない状況になっていた。
布団の上にはマンガ本になぜかお菓子の数々。
「しかし、汚い部屋だな。まだ来て数日でここまで荒らせるとは……」
いやいや、感心している場合ではない。
「俺が今度覗く前に掃除しとけよ、少しでも改善が見れらなかったら容赦なく追い出すからな」
「そんなっ、彰人さんの鬼っ」
「何?なんだって?今すぐ出て行きますって?」
「わぁーっ、嘘です、ごめんなさい」
「たく、ゴキブリなんて発生させた日には、その日に追い出すからな」
「なんだ、そんな虫が怖いんですか?彰人さんも臆病だな~。ちょっと変わったカブトムシだと思ったら……」
……次の瞬間、部屋に奴の悲鳴が響いた。
金曜日のやんちゃが過ぎる幼児に母親が繰り出す必殺技をお見舞いしてやったのだ。
「うわーん、痛いよーっ。虐待反対!」
「お前がされるようなこと言うからだろ。で、今日は何してたんだ?」
「えっとゲームしたり、それからゲームして、えっとそしてまたゲームしたりなんかして」
「それ結局ゲームしかしてねぇんじゃん……」
それを聞いてがくっと項垂れる。
いい大人が1日中家に引きこもってゲームだなんて……。
なんて不健全な。
「てか平日に休みか?てか、お前一体何の仕事してるんだ」
そう聞くと、ぎくっとする仁菜。
なんだそんな言いにくい仕事なのか。
そもそも、こいつに勤まるような仕事なんてあるのか。
まぁ、こいつの仕事なんてこの際どうでもいい。
「……なぁ、仁菜、今日休みだったんだろ?お前やらなきゃいけないこと分かってんだろうな」
「え?あっ、ちゃんとドラマの再放送、録画セットしときましたよっ」
へへんと胸を張る仁菜。
休みだとは知らずに、もしかして俺より先に帰ってるかもと思って職場からメールしていたのだ。
「しかもちゃんと、毎週録画設定にしておきました」
どう?偉い?すごい?と、そう褒めてと言わんばかりの奴に、俺は愕然とした。
「ちげぇよ、不動産屋はどうしたんだっつの、さっさと引っ越し先探せよ」
そう言って仁菜を冷ややかな目で見下ろした。
「あ、彰人さん、その顔すごく怖いです……」
途端にぶるぶる震える仁菜。
さっきの件で学習したのか、両手でこめかみ付近を覆いながら。
「はぁ、俺の怒りが少しでも伝わってくれて嬉しいよ」
しかし、俺の怒りはちゃんと伝わっていなかった。
それに気付くのはこれまた数日後のこと。
最初は風呂場だった。
黄色いひよこの家族とかえるのおもちゃ。
湯船に浮かせると、光りながら歌を歌うらしい。
すると次はリビング。
いつの間にか、ソファーには犬とも猫ともいえない、なんだか不可思議なキャラクターが描かれたクッションが置かれるようになった。
そんな風に、奴の物が俺との共有空間に増えていったのだ。
しかしこの時点では、別に言う程のことではなかった。
元々部屋に物を置くのは好きではないが、これ位でとやかく言う程ではない。
もうこの時から、俺の部屋は奴という怪物に浸食され、俺の平穏な生活が脅かされ始めていたというのに。
そしてしばらくすると、俺がいない間にテレビのゲーム画面を点けたままリビングのソファーの上で寝転がっていることが増えた。
もちろん、テーブルの上にはジュースと食べ散らかした菓子の数々。
あぁ、俺のラグに食べかすが……っ、なんてことも。
その度にげんこつで頭を挟んでやるのだが、どうも効果が薄い。
そして一番困っていたのが、夜のハムスターの騒音だった。
そうあのカラカラだ。
あのカラカラに俺は頭を悩ませていた。
部屋も離れているし、わりかし小さな音だ。
しかし、気になり始まると止まらない。
元々、寝室の時計には秒針の音さえも許せないタチ。
わずかな音でも気になったら眠れなくなってしまうのだ。
遠くからかすかに、だけど確かに聞こえる、からから……からから……とハムスターが車輪を駆ける音。
あぁ、ハムスターは夜行性なんだからしょうがない。
そう言って自分に言い聞かせようとしたがダメだった。
悪いな、ハムスター。
お前に罪はないんだ。
だけど人間はな、夜眠る生き物なんだよ……っ
てか、明日も仕事だし寝なきゃなんねぇんだっ。
それは0時を回った深夜のこと、俺は奴の部屋を蹴破るような勢いで突入していった。
「彰人さん……っ!?」
「毎晩、毎晩、うるせぇんだよっ」
そう言ってハムスターカゴに触れようとする。
すると、仁菜は血相を変えて俺の腕にすがりついてきた。
「あぁ、やめてっ、その子には手をあげないでっ!」
「うるせぇっ」
「お願いですから、どうかその子には、その子にだけはっ」
そう言って懇願する仁菜に暴言を吐く俺。
容赦なくハムスターのカゴの中に手を突っ込むと、俺はそこから無慈悲に車輪を外して没収する。
すると奴は、いやーっと悲鳴をあげた。
……なんだこれ。
間違いなく、被害者は俺だよな……?
まるで子どもに暴力をふるう夫の図になってないか。
ノックもせずに開けると、そこにはテレビの前で体育座りをしながらゲームをする仁菜の姿が。
部屋着のままで、髪もボサボサ、そして前髪だけ上に束ねていた。
その様子から察して聞く。
「お前、今日休みだったのか?」
「彰人さん、一応私もレディーのはしくれなんですから、ノック位……っ」
照れる奴をよそに、部屋を見渡す。
そこは服やら、雑貨やらが段ボールから散乱し足の踏み場もない状況になっていた。
布団の上にはマンガ本になぜかお菓子の数々。
「しかし、汚い部屋だな。まだ来て数日でここまで荒らせるとは……」
いやいや、感心している場合ではない。
「俺が今度覗く前に掃除しとけよ、少しでも改善が見れらなかったら容赦なく追い出すからな」
「そんなっ、彰人さんの鬼っ」
「何?なんだって?今すぐ出て行きますって?」
「わぁーっ、嘘です、ごめんなさい」
「たく、ゴキブリなんて発生させた日には、その日に追い出すからな」
「なんだ、そんな虫が怖いんですか?彰人さんも臆病だな~。ちょっと変わったカブトムシだと思ったら……」
……次の瞬間、部屋に奴の悲鳴が響いた。
金曜日のやんちゃが過ぎる幼児に母親が繰り出す必殺技をお見舞いしてやったのだ。
「うわーん、痛いよーっ。虐待反対!」
「お前がされるようなこと言うからだろ。で、今日は何してたんだ?」
「えっとゲームしたり、それからゲームして、えっとそしてまたゲームしたりなんかして」
「それ結局ゲームしかしてねぇんじゃん……」
それを聞いてがくっと項垂れる。
いい大人が1日中家に引きこもってゲームだなんて……。
なんて不健全な。
「てか平日に休みか?てか、お前一体何の仕事してるんだ」
そう聞くと、ぎくっとする仁菜。
なんだそんな言いにくい仕事なのか。
そもそも、こいつに勤まるような仕事なんてあるのか。
まぁ、こいつの仕事なんてこの際どうでもいい。
「……なぁ、仁菜、今日休みだったんだろ?お前やらなきゃいけないこと分かってんだろうな」
「え?あっ、ちゃんとドラマの再放送、録画セットしときましたよっ」
へへんと胸を張る仁菜。
休みだとは知らずに、もしかして俺より先に帰ってるかもと思って職場からメールしていたのだ。
「しかもちゃんと、毎週録画設定にしておきました」
どう?偉い?すごい?と、そう褒めてと言わんばかりの奴に、俺は愕然とした。
「ちげぇよ、不動産屋はどうしたんだっつの、さっさと引っ越し先探せよ」
そう言って仁菜を冷ややかな目で見下ろした。
「あ、彰人さん、その顔すごく怖いです……」
途端にぶるぶる震える仁菜。
さっきの件で学習したのか、両手でこめかみ付近を覆いながら。
「はぁ、俺の怒りが少しでも伝わってくれて嬉しいよ」
しかし、俺の怒りはちゃんと伝わっていなかった。
それに気付くのはこれまた数日後のこと。
最初は風呂場だった。
黄色いひよこの家族とかえるのおもちゃ。
湯船に浮かせると、光りながら歌を歌うらしい。
すると次はリビング。
いつの間にか、ソファーには犬とも猫ともいえない、なんだか不可思議なキャラクターが描かれたクッションが置かれるようになった。
そんな風に、奴の物が俺との共有空間に増えていったのだ。
しかしこの時点では、別に言う程のことではなかった。
元々部屋に物を置くのは好きではないが、これ位でとやかく言う程ではない。
もうこの時から、俺の部屋は奴という怪物に浸食され、俺の平穏な生活が脅かされ始めていたというのに。
そしてしばらくすると、俺がいない間にテレビのゲーム画面を点けたままリビングのソファーの上で寝転がっていることが増えた。
もちろん、テーブルの上にはジュースと食べ散らかした菓子の数々。
あぁ、俺のラグに食べかすが……っ、なんてことも。
その度にげんこつで頭を挟んでやるのだが、どうも効果が薄い。
そして一番困っていたのが、夜のハムスターの騒音だった。
そうあのカラカラだ。
あのカラカラに俺は頭を悩ませていた。
部屋も離れているし、わりかし小さな音だ。
しかし、気になり始まると止まらない。
元々、寝室の時計には秒針の音さえも許せないタチ。
わずかな音でも気になったら眠れなくなってしまうのだ。
遠くからかすかに、だけど確かに聞こえる、からから……からから……とハムスターが車輪を駆ける音。
あぁ、ハムスターは夜行性なんだからしょうがない。
そう言って自分に言い聞かせようとしたがダメだった。
悪いな、ハムスター。
お前に罪はないんだ。
だけど人間はな、夜眠る生き物なんだよ……っ
てか、明日も仕事だし寝なきゃなんねぇんだっ。
それは0時を回った深夜のこと、俺は奴の部屋を蹴破るような勢いで突入していった。
「彰人さん……っ!?」
「毎晩、毎晩、うるせぇんだよっ」
そう言ってハムスターカゴに触れようとする。
すると、仁菜は血相を変えて俺の腕にすがりついてきた。
「あぁ、やめてっ、その子には手をあげないでっ!」
「うるせぇっ」
「お願いですから、どうかその子には、その子にだけはっ」
そう言って懇願する仁菜に暴言を吐く俺。
容赦なくハムスターのカゴの中に手を突っ込むと、俺はそこから無慈悲に車輪を外して没収する。
すると奴は、いやーっと悲鳴をあげた。
……なんだこれ。
間違いなく、被害者は俺だよな……?
まるで子どもに暴力をふるう夫の図になってないか。
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