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婚約者とやってみたいことがたくさんある件
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「レオナルド知ってるか?今、市井でとある本が流行っているらしいぞ。」
それは王太子の執務室で仕事が終わったときのこと。
側近であり幼馴染でもあるフィリップが王太子レオナルドに話しかけた。
なお、本日のレオナルドは珍しく仕事をサッサと済ませ、いつもより執務の終了が早かった。
レオナルドは婚約者でもあるリリアーナのことが大好きすぎて、ストーカーをしたり、悩み事を叫んだり、妄想したり、惚気たりと仕事が手につかないことが多い。
だが、それ以外のレオナルドは見た目も中身も仕事も完璧な王子様なのでなんとかなっている、まぁそれは側近であるフィリップの力も大きいのだが。
「市井で流行っている本?知らないな、どんな本なんだ?」
レオナルドがそう言うと、待ってましたとばかりに笑みを浮かべフィリップが話し始めた。
「どうやらその本は市井の女性を中心に流行っているらしい。内容だが恋愛小説らしい。その本だが今、ここにある。レオナルド、読んでみないか?」
「なぜ私が恋愛小説なんて読まなくちゃいけないんだ。そんなことする時間があるならリリアーナメモリアルを読んだ方がはるかに有意義だ!」
そういうと、レオナルドはリリアーナのことを考え始めたのだろう顔がにやけだした。
なお、【リリアーナメモリアル】とはレオナルドがリリアーナに出会ってからのリリアーナとの思い出を事細かく綴った、非常に重い日記である。今日のリリアーナはどんなドレスを着てただの何を食べていただの、観察日記とも言える。
「今女性に流行っている本だ、リリアーナ嬢も読んでいるかもしれないぞ?」
「リリーは恋愛小説は読まないんだ、趣味じゃないからだと。それにリリーがそんな本を買ってるのは見てないし報告も聞いてない。」
「そうか、でもリリアーナ嬢も女性、読む読まないとは別として、女性としてときめく何かがこの本にはあるんだろう、そういったものを知ればリリアーナ嬢とももっと仲良くできるかもしれないし喜ばせられるヒントがあったりするかもと思ったんだがなぁ、そうか、レオナルドは読まないのか、じゃあこの本はいらないよな、妹にでもあげてみるかな」
「…………フィリップその本貸せ。そうだな、恋愛小説もたまにはいいだろう。リリーを幸せにするべく私も日々努力はしているが、そういった女性がときめくことを知っておくのも役に立つかもしれない!そしてリリーともっとイチャイチャ!!!!」
こうして、まんまとフィリップの誘導に引っかかったレオナルドは今、市井で人気という恋愛小説を読むこととなった。
~そして翌日
「フィリップ、なんなんだこの本は!!!!」
「もう読んだのか、レオナルド。早いな。」
「早いなじゃない!リリーと仲良くなるヒントがあるかもと読んだのに、ヒントどころか…どころか…うぅ…」
なぜか泣きそうになっているレオナルド。
「泣くなよ。悪かったって、それでその本を読んだ感想は?」
「感想も何も、学園に入学してきた平民の娘に王子が恋をして、最終的に婚約者である令嬢を婚約破棄、平民の娘はどこぞの貴族の養子になり王子と結婚するなんて話、バッドエンド以外のなにものでもないじゃないか!!!なぜ王子は幼いころからの婚約者を捨てるんだ、意味が分からない!!!しかもこの王子や婚約者の描写、学園に通っているなどあまりにも私とリリーに似すぎてないか?似すぎてるなんて言葉で済むか?なんなんだこの本は!!!!私はリリーと婚約破棄なんて絶対にしない!リリーと結婚するんだ!!!!」
「レオナルドがリリアーナ嬢と結婚したいのは痛いほど分かってるから。一旦置いとけ、小説の話だ。だがまぁ言う通り、この小説はどうにも似すぎている。きっとレオナルドとリリアーナ嬢がモデルだろう。ただそれだけならそんなに問題視することではない、目をつむればいい話だ。でもこの小説は違う。」
「「内容がよくない」」
レオナルドとフィリップの声が合わさった。
「おっ、落ち着いたかレオナルド。そう、ゆくゆくはこの国の王と王妃になる二人をモデルにしておいて、その二人が婚約破棄する話、ましてや原因が王子の浮気だなんて、これはもはや不敬だ。そしてそれが市井ではシンデレラストーリーとして流行っている。見逃せるわけないだろう?」
「そうだな、ましてや婚約者が平民の娘に嫌がらせをして断罪されるだなんて…私のリリーはそんなことしない!フィリップ、この件さっさと対応するぞ。出版社へ行こう。」
そう言うとレオナルドは出かける準備を始めた。
「は?今からか?今日は俺は今から父に他の仕事を頼まれてしまっているんだ。行くなら明日にしてくれ。」
「明日なんて待ってられない!それにこのくらい私ひとりで問題ない。護衛を連れて行けばいいだろう。」
――出版停止に未販売分の回収、出版社と作者に厳重注意と念書を書かせるくらいが妥当だし、わざわざ着いていかなくても大丈夫か
「まぁ、そうだな。別にレオナルド一人で対処できないことでもない。この件は任せるよ。」
――あっさりやる気になってくれたな、普段の仕事もこれくらい必死にしてくれればいいものを…。まぁこの件に関してはすぐに終わりそうだな。これで仕事がまた一つ片付く!
ご機嫌なフィリップだが回りまわって、仕事が捗らなくなるなんてこの時は思いもしなかったのだった。
そうして、意気揚々と出かけて行ったレオナルドは、想定通りの対応をサッサと終わらせこの件は片付いた。はずだった。
「殿下、知ってますか?今、市井ではとある1冊の本が大人気らしいですよ。」
数か月前に聞いたようなフィリップのセリフである。
ざまぁな展開が流行っている中、その本は発売され、王子と婚約者がイチャイチャする幸せに溢れた物語が新鮮で癒されると評判になったことと、それ以上になにより今までの本にはなかった挿絵がその本にはあるということで話題となり、飛ぶように売れているらしい。
「その挿絵、なんと殿下とリリアーナ嬢にそっくりなんですよね。ところで、なぜその本が殿下の執務室に3冊もあるんですか?」
「あぁ、それは1冊は読む用、1冊は観賞用、1冊は保存用だ!私の部屋にもまだあるぞ!」
笑顔でいうレオナルドにフィリップは側近の仮面を外した。
「レオナルド、出版社はお前がひとりで大丈夫、任せろと言うから任せたが。この本出版させたのお前だろう!なにしてるんだ!」
「婚約破棄の物語が流行ったなら、逆にそんな隙のない物語を流行らせればいいだろう?現に市井でも王子と婚約者のラブラブっぷりが大人気だ!それに見ろ、この挿絵、上手く描けている。あぁ夢にまで見たリリーがあーんしてくれるシーンや膝枕してるシーン…ほかにもたくさん、素敵な1冊じゃないか!」
「はぁ、つまりこれはお前のやりたい夢がつまった妄想本なんだな…お前は本当リリアーナ嬢が関わるとどうしてこうも…。」
「これは私の夢が詰まった本なんだ!リリーに見られたら恥ずかしいから内緒だぞ!」
フィリップはこの馬鹿殿下…と思いつつも、言っても無駄かと、いつものようにツッコミを放棄することにした。
なんにせよ、婚約破棄というよろしくない流行りは見事に上書きされたのである。
今回は、レオナルドのリリアーナ愛が良い方向に向かった結果だった。
----------------------------------------------------------------------------
「あらあら、レオ様ったらこのようなことなさりたいのね。ふふ、本当にかわいらしいお方ね」
リリアーナは自室にて、そう呟き微笑んだ。その手にはとある1冊の本を持っていた。
----------------------------------------------------------------------------
フィリップは頭を抱えていた。理由は言わずもがな、レオナルドである。
ここ数日のレオナルドが全くと言っていいほど使い物にならないのだ。
とある日
「フィリップ!聞いてくれ!昨日リリーとお茶会をしたんだ。昨日のリリーはブルーのドレスでその姿はさながら海の妖精のごとく美しくて…。そ、それでだ、それでだな!!!リリーがお菓子を手に取ったと思ったら『レオ様、あーん』と私の方に差し出してきて………。なんなのだ、あれは?破壊力が凄まじいじゃないか!挿絵など比ではない!あぁ、やはり挿絵などでは本物のリリーの素晴らしさを表現することは出来ないんだ!リリーのあーんが目に焼き付いて夜も眠れない。リリーはどうしてあんなにもかわいいのだろう!?」
またとある日
「昨日、執務が押してリリーの待ち合わせに遅れてしまっただろう?本当にリリーを待たせてしまうなんて私はなんて駄目なやつなんだ、執務なんてほっぽいてリリーの元へ向かうべきだと後悔していたんだ。だがな、そんな私にリリーがなんて言ったと思う?『レオ様、お疲れ様です。いつもお仕事を頑張るレオ様は本当に素敵ですわ。』って微笑んでくれて、あぁ、天使。そして隣に座った私の顔を見て、『あら、レオ様、顔色がすこし悪いですわ。ちゃんと眠れていますか?そうだ、少し横になってくださいまし。私の膝でよろしければお使いください。ゆっくり休んでくださいまし。』って言うんだ。リリーの膝枕だなんてそんなご褒美あっていいものか?リリーの膝枕はとても柔らかくてそれに良い匂いがした、あれは天国だ。ちなみに寝れるどころか目はさえたし、その夜も眠れなかった、だがしかし私は幸せだ。」
またまたとある日
「リリーに花束を贈ったんだ。リリーの美しさ愛らしさに勝る花はないが、花に囲まれるリリーはそれはもう言葉にならないくらいかわいいからな。そうしたらリリーが『レオ様、いつもありがとうございます。わたくしこんなにもらってばかりでいいのでしょうか?』と言うから、『リリーが喜んでくれれば私はそれで満足なんだ』って言ったんだ。そうしたら『レオ様に愛していただけるわたくしは幸せ者ですね。でもやっぱりいつももらってばかりでは申し訳ないわ…。そうだわ、レオ様ちょっと座っていただけます?』とリリーが言うので椅子に座ったんだ、そしたら…そしたら…あぁ思い出すだけで倒れそうだ。いや、聞いてくれ、聞いてほしいだ!言う、言うぞ。そうしたらだな、リリーが私の頬にキスを!!!!!『たまにはこういうお返しもいかがですか?』って頬を染めて笑うんだ。そこから記憶がない、気が付いたら城の自室にいた。」
といった風に、いつものごとくリリアーナが原因ではあるのだが、使い物にならないレベルが今までとは違う。
そうして、フィリップは気付いたのだ。
リリアーナはレオナルドが出版させたあの本を知っている。そして、その内容をいくつか実行しているのだと。
ちなみに、レオナルドは『まさかリリーとの夢が叶うなんて!この本は私を幸せにする幸運の本なのかもしれない!』と明後日の方向に思考が向かっている。
――リリアーナ嬢、お願いだから、そろそろレオナルドで遊ぶのはやめてください!!!!
「レオ様ったら本当にかわいらしいのだから。そんなレオ様がとても愛しいわ。さて次はどれにしようかしら?」
今日もレオナルドとリリアーナはお似合いのカップルである。
それは王太子の執務室で仕事が終わったときのこと。
側近であり幼馴染でもあるフィリップが王太子レオナルドに話しかけた。
なお、本日のレオナルドは珍しく仕事をサッサと済ませ、いつもより執務の終了が早かった。
レオナルドは婚約者でもあるリリアーナのことが大好きすぎて、ストーカーをしたり、悩み事を叫んだり、妄想したり、惚気たりと仕事が手につかないことが多い。
だが、それ以外のレオナルドは見た目も中身も仕事も完璧な王子様なのでなんとかなっている、まぁそれは側近であるフィリップの力も大きいのだが。
「市井で流行っている本?知らないな、どんな本なんだ?」
レオナルドがそう言うと、待ってましたとばかりに笑みを浮かべフィリップが話し始めた。
「どうやらその本は市井の女性を中心に流行っているらしい。内容だが恋愛小説らしい。その本だが今、ここにある。レオナルド、読んでみないか?」
「なぜ私が恋愛小説なんて読まなくちゃいけないんだ。そんなことする時間があるならリリアーナメモリアルを読んだ方がはるかに有意義だ!」
そういうと、レオナルドはリリアーナのことを考え始めたのだろう顔がにやけだした。
なお、【リリアーナメモリアル】とはレオナルドがリリアーナに出会ってからのリリアーナとの思い出を事細かく綴った、非常に重い日記である。今日のリリアーナはどんなドレスを着てただの何を食べていただの、観察日記とも言える。
「今女性に流行っている本だ、リリアーナ嬢も読んでいるかもしれないぞ?」
「リリーは恋愛小説は読まないんだ、趣味じゃないからだと。それにリリーがそんな本を買ってるのは見てないし報告も聞いてない。」
「そうか、でもリリアーナ嬢も女性、読む読まないとは別として、女性としてときめく何かがこの本にはあるんだろう、そういったものを知ればリリアーナ嬢とももっと仲良くできるかもしれないし喜ばせられるヒントがあったりするかもと思ったんだがなぁ、そうか、レオナルドは読まないのか、じゃあこの本はいらないよな、妹にでもあげてみるかな」
「…………フィリップその本貸せ。そうだな、恋愛小説もたまにはいいだろう。リリーを幸せにするべく私も日々努力はしているが、そういった女性がときめくことを知っておくのも役に立つかもしれない!そしてリリーともっとイチャイチャ!!!!」
こうして、まんまとフィリップの誘導に引っかかったレオナルドは今、市井で人気という恋愛小説を読むこととなった。
~そして翌日
「フィリップ、なんなんだこの本は!!!!」
「もう読んだのか、レオナルド。早いな。」
「早いなじゃない!リリーと仲良くなるヒントがあるかもと読んだのに、ヒントどころか…どころか…うぅ…」
なぜか泣きそうになっているレオナルド。
「泣くなよ。悪かったって、それでその本を読んだ感想は?」
「感想も何も、学園に入学してきた平民の娘に王子が恋をして、最終的に婚約者である令嬢を婚約破棄、平民の娘はどこぞの貴族の養子になり王子と結婚するなんて話、バッドエンド以外のなにものでもないじゃないか!!!なぜ王子は幼いころからの婚約者を捨てるんだ、意味が分からない!!!しかもこの王子や婚約者の描写、学園に通っているなどあまりにも私とリリーに似すぎてないか?似すぎてるなんて言葉で済むか?なんなんだこの本は!!!!私はリリーと婚約破棄なんて絶対にしない!リリーと結婚するんだ!!!!」
「レオナルドがリリアーナ嬢と結婚したいのは痛いほど分かってるから。一旦置いとけ、小説の話だ。だがまぁ言う通り、この小説はどうにも似すぎている。きっとレオナルドとリリアーナ嬢がモデルだろう。ただそれだけならそんなに問題視することではない、目をつむればいい話だ。でもこの小説は違う。」
「「内容がよくない」」
レオナルドとフィリップの声が合わさった。
「おっ、落ち着いたかレオナルド。そう、ゆくゆくはこの国の王と王妃になる二人をモデルにしておいて、その二人が婚約破棄する話、ましてや原因が王子の浮気だなんて、これはもはや不敬だ。そしてそれが市井ではシンデレラストーリーとして流行っている。見逃せるわけないだろう?」
「そうだな、ましてや婚約者が平民の娘に嫌がらせをして断罪されるだなんて…私のリリーはそんなことしない!フィリップ、この件さっさと対応するぞ。出版社へ行こう。」
そう言うとレオナルドは出かける準備を始めた。
「は?今からか?今日は俺は今から父に他の仕事を頼まれてしまっているんだ。行くなら明日にしてくれ。」
「明日なんて待ってられない!それにこのくらい私ひとりで問題ない。護衛を連れて行けばいいだろう。」
――出版停止に未販売分の回収、出版社と作者に厳重注意と念書を書かせるくらいが妥当だし、わざわざ着いていかなくても大丈夫か
「まぁ、そうだな。別にレオナルド一人で対処できないことでもない。この件は任せるよ。」
――あっさりやる気になってくれたな、普段の仕事もこれくらい必死にしてくれればいいものを…。まぁこの件に関してはすぐに終わりそうだな。これで仕事がまた一つ片付く!
ご機嫌なフィリップだが回りまわって、仕事が捗らなくなるなんてこの時は思いもしなかったのだった。
そうして、意気揚々と出かけて行ったレオナルドは、想定通りの対応をサッサと終わらせこの件は片付いた。はずだった。
「殿下、知ってますか?今、市井ではとある1冊の本が大人気らしいですよ。」
数か月前に聞いたようなフィリップのセリフである。
ざまぁな展開が流行っている中、その本は発売され、王子と婚約者がイチャイチャする幸せに溢れた物語が新鮮で癒されると評判になったことと、それ以上になにより今までの本にはなかった挿絵がその本にはあるということで話題となり、飛ぶように売れているらしい。
「その挿絵、なんと殿下とリリアーナ嬢にそっくりなんですよね。ところで、なぜその本が殿下の執務室に3冊もあるんですか?」
「あぁ、それは1冊は読む用、1冊は観賞用、1冊は保存用だ!私の部屋にもまだあるぞ!」
笑顔でいうレオナルドにフィリップは側近の仮面を外した。
「レオナルド、出版社はお前がひとりで大丈夫、任せろと言うから任せたが。この本出版させたのお前だろう!なにしてるんだ!」
「婚約破棄の物語が流行ったなら、逆にそんな隙のない物語を流行らせればいいだろう?現に市井でも王子と婚約者のラブラブっぷりが大人気だ!それに見ろ、この挿絵、上手く描けている。あぁ夢にまで見たリリーがあーんしてくれるシーンや膝枕してるシーン…ほかにもたくさん、素敵な1冊じゃないか!」
「はぁ、つまりこれはお前のやりたい夢がつまった妄想本なんだな…お前は本当リリアーナ嬢が関わるとどうしてこうも…。」
「これは私の夢が詰まった本なんだ!リリーに見られたら恥ずかしいから内緒だぞ!」
フィリップはこの馬鹿殿下…と思いつつも、言っても無駄かと、いつものようにツッコミを放棄することにした。
なんにせよ、婚約破棄というよろしくない流行りは見事に上書きされたのである。
今回は、レオナルドのリリアーナ愛が良い方向に向かった結果だった。
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「あらあら、レオ様ったらこのようなことなさりたいのね。ふふ、本当にかわいらしいお方ね」
リリアーナは自室にて、そう呟き微笑んだ。その手にはとある1冊の本を持っていた。
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フィリップは頭を抱えていた。理由は言わずもがな、レオナルドである。
ここ数日のレオナルドが全くと言っていいほど使い物にならないのだ。
とある日
「フィリップ!聞いてくれ!昨日リリーとお茶会をしたんだ。昨日のリリーはブルーのドレスでその姿はさながら海の妖精のごとく美しくて…。そ、それでだ、それでだな!!!リリーがお菓子を手に取ったと思ったら『レオ様、あーん』と私の方に差し出してきて………。なんなのだ、あれは?破壊力が凄まじいじゃないか!挿絵など比ではない!あぁ、やはり挿絵などでは本物のリリーの素晴らしさを表現することは出来ないんだ!リリーのあーんが目に焼き付いて夜も眠れない。リリーはどうしてあんなにもかわいいのだろう!?」
またとある日
「昨日、執務が押してリリーの待ち合わせに遅れてしまっただろう?本当にリリーを待たせてしまうなんて私はなんて駄目なやつなんだ、執務なんてほっぽいてリリーの元へ向かうべきだと後悔していたんだ。だがな、そんな私にリリーがなんて言ったと思う?『レオ様、お疲れ様です。いつもお仕事を頑張るレオ様は本当に素敵ですわ。』って微笑んでくれて、あぁ、天使。そして隣に座った私の顔を見て、『あら、レオ様、顔色がすこし悪いですわ。ちゃんと眠れていますか?そうだ、少し横になってくださいまし。私の膝でよろしければお使いください。ゆっくり休んでくださいまし。』って言うんだ。リリーの膝枕だなんてそんなご褒美あっていいものか?リリーの膝枕はとても柔らかくてそれに良い匂いがした、あれは天国だ。ちなみに寝れるどころか目はさえたし、その夜も眠れなかった、だがしかし私は幸せだ。」
またまたとある日
「リリーに花束を贈ったんだ。リリーの美しさ愛らしさに勝る花はないが、花に囲まれるリリーはそれはもう言葉にならないくらいかわいいからな。そうしたらリリーが『レオ様、いつもありがとうございます。わたくしこんなにもらってばかりでいいのでしょうか?』と言うから、『リリーが喜んでくれれば私はそれで満足なんだ』って言ったんだ。そうしたら『レオ様に愛していただけるわたくしは幸せ者ですね。でもやっぱりいつももらってばかりでは申し訳ないわ…。そうだわ、レオ様ちょっと座っていただけます?』とリリーが言うので椅子に座ったんだ、そしたら…そしたら…あぁ思い出すだけで倒れそうだ。いや、聞いてくれ、聞いてほしいだ!言う、言うぞ。そうしたらだな、リリーが私の頬にキスを!!!!!『たまにはこういうお返しもいかがですか?』って頬を染めて笑うんだ。そこから記憶がない、気が付いたら城の自室にいた。」
といった風に、いつものごとくリリアーナが原因ではあるのだが、使い物にならないレベルが今までとは違う。
そうして、フィリップは気付いたのだ。
リリアーナはレオナルドが出版させたあの本を知っている。そして、その内容をいくつか実行しているのだと。
ちなみに、レオナルドは『まさかリリーとの夢が叶うなんて!この本は私を幸せにする幸運の本なのかもしれない!』と明後日の方向に思考が向かっている。
――リリアーナ嬢、お願いだから、そろそろレオナルドで遊ぶのはやめてください!!!!
「レオ様ったら本当にかわいらしいのだから。そんなレオ様がとても愛しいわ。さて次はどれにしようかしら?」
今日もレオナルドとリリアーナはお似合いのカップルである。
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