21 / 29
ラブコメ短編バージョン(※長編版とは展開が異なります)
舌
ひぅッ!?
口内にヌルリと侵入してきた感触に驚いて、思わず目を見開いてしまった。
すると目の前の近すぎる距離に、瞳を閉じた殿下の長い睫毛。
殿下が、こんなに、そばに!
ドキッと心臓が飛び出そうになり、慌てて目を閉じる。
と、いうことは、これ……
殿下の、舌、ですか……?
どうしてですか、殿下、舌なんて……
「んン!?」
し、舌先、レロレロされてる!?
なんか、背中が、ゾクゾク、するっ
殿下、舌は、味を感じたりして、食べ物を美味しく食べるためにある器官ですっ
使い方、間違ってますっっ
っ!?
や、うそ、絡まってきた!?
「んン……ムぅ……ん……」
や、ダメ、吸っちゃ、ダメ!
美味しくありませんから、私の舌なんて、食べようとしないでください、殿下っ
背中だけじゃなくて、身体中がゾクゾクして、寒くないのに、身体が小さく震えているような。
未知の感覚で不安になり、自分のいる世界を確認したくてゆっくりと目を開ける。
さっきは閉じていた殿下の瞳。
それなのに今は開いていて、殿下と目が合ってしまった。
あ……
瞳しか見えないのに、目が合った瞬間、殿下が嬉しそうに微笑んだのがわかった。
恥ずかしすぎて、反射的に目を閉じる。
でも目を閉じたら、口内を余すところなく這っていく殿下の舌の動きを敏感に感じとってしまって。
再び舌をヌルリと絡められると、舌とは遠いところの下腹部が、なぜかズクリと疼いた。
私の舌を思う存分舐め回してから、ようやく遠ざかっていった殿下の舌。
激しく動いたわけでもないのに、身体が熱くて、呼吸が苦しい。
まるで息の仕方を忘れてしまったかのように、浅い呼吸しかできない。
キスって、こんなに、凄いものなの……?
「ネイブルがするように、こんな感じで強引にされるのが好きなのか、ミーネ?」
ネイブルがするように、も何も……。
「殿下、ネイブルとは、キスなんてしたこと、ありません……」
「ネイブルでは、ない……? では誰だ?」
教えてくれミーネ、と殿下が顔のすぐそばで囁いた。
殿下の吐く息がくすぐったくて、ドキドキしてしまう。
「あの、殿下、そんなに近くで話さないでください……」
「俺は近くで話してはダメなのか? 前にタジェロンとは顔を寄せ合って話していただろう?」
前に、タジェロン様と……?
もしかして、勉強を教えてもらっていた時のことですか、殿下?
確か学園に一冊しかない貴重な文献をタジェロン様とふたりで見ながら勉強していたから、顔を寄せ合って話していたと言われればそう見えたのかもしれない。
将来殿下のお役に立ちたくて、私が通っていた当時学園一の秀才でこの国の宰相のご子息でもあるタジェロン様に勉強を教わったことがある。
学園に通っていた時に、たった一度だけ。
その場を見た殿下に「将来のために俺も学ばなければ。ミーネには俺がタジェロンから学んだことを噛み砕いて教えよう、そうすれば俺も学んだことが身につくから」と言われ、それ以降はタジェロン様から直接勉強を教わったことはない。
勉強熱心な殿下は、学園を卒業する頃にはタジェロン様と政治経済歴史などあらゆる分野で互角に語り合えるようになっていた。
同級生だった殿下とタジェロン様は、今も切磋琢磨しあう仲であり友人でもある。
あなたにおすすめの小説
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました
由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。
ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。
遠い存在になったはずの彼。
けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。
冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。
そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。
相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。
トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。
あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。
ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。
そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが…
追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。
今更ですが、閲覧の際はご注意ください。
婚約者が巨乳好きだと知ったので、お義兄様に胸を大きくしてもらいます。
鯖
恋愛
可憐な見た目とは裏腹に、突っ走りがちな令嬢のパトリシア。婚約者のフィリップが、巨乳じゃないと女として見れない、と話しているのを聞いてしまう。
パトリシアは、小さい頃に両親を亡くし、母の弟である伯爵家で、本当の娘の様に育てられた。お世話になった家族の為にも、幸せな結婚生活を送らねばならないと、兄の様に慕っているアレックスに、あるお願いをしに行く。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!
ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」
それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。
挙げ句の果てに、
「用が済んだなら早く帰れっ!」
と追い返されてしまいました。
そして夜、屋敷に戻って来た夫は───
✻ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。