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12 あなたはどこから?
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(はい死んだ!もう死んだ!!)
『ごめんね』と言った彼はどうやら情けをかけて殺すほうに梶を切ったようで彼が僕に向ける魔法の杖の先が見てられないほど輝き出す。
(女神様のご機嫌を損ねちゃうよー!いいんですか!!)
あれをぶつけられて生きていられるわけがないというほど尋常じゃないエネルギーがそこに集まっているのがわかる。
足首をざっくりされて森の奥にポイという素敵な血まみれ計画も嫌だけど、すごいエネルギーに焼かれて蒸発しちゃうのはもっといやだ。
(ムリムリムリムリムリムリ!!)
そんな僕の気持ちもお構いなしに白髪の魔法使いの杖の先から放たれた光が僕に一直線に飛んで来る。威力の塊です!といわんばかりの青白い光。精一杯の防御として頭をお腹につけるように団子虫状に丸まった僕は必死 にうぞうぞと背中を向けた。
(助けて神様仏様。この世界の女神様!!)
次の瞬間かっと背中が一瞬熱くなってぷすんというかぼすんというか空気が抜けたような音がした。
「は?」
「なんだ?」
「一体どうして?」
「あれれれ?」
魔法使いたちが戸惑いのざわめきを立てるなか草を踏み分けて近づいてくる足音。
「あれぇ?君は?え?」
上から聞こえた声に見上げれば不思議そうな様子の白い魔法使いが僕のことを見下ろしてくる。
「魔法使い……なのかな?」
少し屈んでつんつんと僕の手を持っている杖でつつく。
「防御魔法とも違うね。でも君は魔法使いの手を持ってない。むー?」
しっかりと深くしゃがみこんで僕を覗き込む白に縁取られたルビー色の目。切れ長な瞳に通った鼻筋。不満げにへの字に曲げられた口。血管が透ける程薄い皮膚。白く輝く長い髪は一つに束ねて横に流されている。唇と瞳以外が全て純白の魔法使いは僕に吐息がかかる程近づいてきた。
(この人……美人)
僕を殺そうとした魔法使いに持つべき感情は『恐れ』であるはずなのに、彼を間近で見た僕の脳みそが弾き出したのは二文字だけで。
(……儚げ美人)
見つめ続けて少し時間がたっても4文字で。
「でも魔力がある。ん?この辺かな?」
そんな美人がくんくんと鼻をならしながらお臍のあたりに顔を寄せてくるからビックリしちゃった。
「やめて、やめて!セクハラです!」
(そこはとってもプライベートゾーン!!)
「セクハラ……」
「あ、わかんないか。その人の意思に反して体に触るのはダメです」
「いや、わかるよ。セクハラ。そうだよ。知ってる」
「え?」
急ににぱっと満面の笑顔になったその人は僕の身体を抱き起こした。
「そっかそっかそっか!君も異世界転移してきたんだよね?」
「異世界転移?なんのことでしょう」
(異世界で生きてた前世はあるけど、転移ではないよ)
なんだかすごい勢いで距離を縮めて来る白い魔法使いに思わず引いてしまう。ぐいっと来られると逆に心を閉ざしちゃうんだけど僕が陰キャだからだろうか。いきなり仲良し俺たち仲間ムーヴ僕は苦手です。ちょっと強引だけどしらをきらせてもらう。
(さっき殺されかけたの忘れてないし!)
「嘘だ!普通の金髪に薄い青目。マリアのピンク頭と違ってその色合いなら僕の世界にある。普通の色だ。君も同じ世界からきたんだよ。頭とか打ったんじゃない?記憶混濁してない?大丈夫?僕たち今結構面白危ないことになってるよ」
「そういわれても」
(面白あぶないとは?)
「魔法学園に入学して世界を救おう 。トラウム王国物語イケメンパラダイスとらぶっと♪」
突然裏声ですっとんきょうなことを言い出す彼。端的に言って儚麗しい外見が台無しです。
「しってるよね?ゲーム?」
返事は『はい』か『yes』だよね、わくわくって感じに見つめられましても。
「いいえ」
「!!なんでぇ?」
(あ、しょぼんってした。これは背後に浮かぶ言葉は『ふええ 』だな。)
「そう言われましても」
「君は女神の愛し子?だよね」
ずいっとまた顔を近づけて来る。
「いちおう、多分、おそらくは」
「どう考えても主要キャラ。だけど地味。モブと見せかけて本気だしたらカッコいい細目糸目枠でもなさそうだし。ただの地味メン好き向けのキャラなんだろうか」
「しれっと失礼なこといいますね」
本当のことだけど本当のことだから傷つかないって訳じゃないんだぞ!30秒で変えられない外見のこと言っちゃダメだって教わらなかったのかな?そんな僕を変わらず至近距離でじろじろ眺めながら独り言を続ける彼は僕のことを見ているようで心ここにあらずな感じ。
「じゃあ続編の子なのかな?マリアも君のことモブっていってたし。僕も一作目しか知らないから製作予定だった続編の子なら理解できる。でも学園にいるんだからマリアも攻略してないルートにでてくるのかな? いや、そんなことある?」
首をかしげながらふむふむいってる。そんな姿も絵になるんだから美人は得だね。だいぶすっとんきょうな中身だけど。
さっきからゲームだゲームだってなんなんだ?
「良くわかってないならびっくりするかもだけど教えてあげるね。この世界は夢なんだ。ゲームの世界を元にした!ゆめ」
「え?えぇー?」
(なに言ってるの?)
「ほんとのことだよ。信じてよ」
可愛く首をかしげる姿は天使様みたいだけど騙されないぞ。さっき僕を殺そうとしてたんだから。このひとは誇大妄想で人殺しも辞さないヤバめの人だ。そう思って睨み付けるけどにっこり微笑みを返された。
(うぐぅ顔が良い)
「マリアは異世界転生したっていってたけど、僕はどうやってここに来たのかも覚えてる。トラックにぶつかった瞬間にこっちに飛ばされたんだ。けどマリアが言うには僕の身体は病院で僕の魂が戻るのを待ってるんだ。だから魂である僕が戻れれば元の世界で目覚めるはずなんだよ」
(マリアが?あの子も前世があるんだ)
「マリアはどうすれば帰れるのか知ってるんだ。裏ルートも制覇したから。僕はダメ。ゲームは苦手でね。妹に言われて一回クリアしただけだから。君はゲームのことも知らないのになんでここに来ちゃったのかな?でもマリアが言うには急がないと向こうにある僕らの体に戻れなくなるって」
(帰る?帰れる?)
どう考えても嘘臭いのにこの人はそれを信じきっているのが分かってしまって水を差してもいいのか僕はなにも言えなくなってしまう。僕だって前世の続きをしたくないかと言われると一億総中流なんて言われていた階級制度のない日本の便利な暮らしを懐かしく思う。読み終わってない漫画の続きが読めるなら帰りたい気もする。
(けど)
「とりあえずトラウム国には戻らないって約束してくれるなら逃がしてあげる。今ならマリアの魅了の力が弱まってるから」
「魅了?」
「そう。皆に愛されるためのお助けアイテムってやつを彼女が持っている限り周りの皆はマリアのいうことを聞きたくなっちゃうんだ。僕は耐性があるからマリアにあげても平気だと思ったんだけどさ」
「あなたが渡したんですかそれ」
「うん。僕がこの世界に来て混乱してるときに話を聞いてくれたのがマリアでね。僕はてっきり頭がおかしくなってるんだと思ったんだけどマリアがそうじゃないって教えてくれたんだ。だから友情の証として彼女の人生が上手く行くように魅了魔法のペンダントをあげたんだ」
ちょっと気まずげに僕を見て彼はてへぺろって感じに舌を出した。
「そしたら思った以上に効果がでちゃってさ。主人公ってすごいよね。予想以上の効果!僕もイチコロだったぁ」
(あ、ポンコツだ!)
多分にすごい魔法使いであるはずなのに中身はかなり抜けているしマリアに振り回されているこの人は僕並みにちょろいらしい。
(日本で育って平和ボケしてるせいかな……)
そのわりにアグレッシブというかわがまま一杯なマリアを思い出して僕はやっと思い当たった。
「ひょっとしてそれのせいでアーノルト様は僕を忘れた?」
「あ、そうか。君の恋人だったんだ」
「えぇたぶん」
(あの時までは好かれてたし……きっと)
「ごめんね」
(マリアは魔法を使ってまでアーノルト様を手に入れたかったのか。そんなにまで好きだったってこと)
「僕がもとの世界に戻るためにはどうしてもアーノルトを攻略してからハーレムルートに入らないといけないってマリアが言うから」
(ハーレム?じゃあアーノルト様のこと好きじゃない?ってこと)
白い魔法使いの言葉を理解したとたん僕の口が動いていた。
「やです」
(ふざけるな)
「そんなの嫌です」
(ゲームだ?)
「僕のことを好きじゃなくなったんだから諦めようと思ったのに」
(初めて大好きになったんだ)
「あきらめられないじゃないですか!僕帰ります!アーノルト様に会って話します!魔法の力で心を曲げられてアーノルト様が幸せになれるわけがない!!ハーレム?ふざけんなですよ。あんな素敵な人をその他大勢扱いするなんて絶対許さない!!」
(モブだからって遠慮してたけどマリアがずるしてアーノルト様の気持ちを曲げたなら許せない!)
「どうしようシナリオと違っちゃうと元の世界に戻れない。ね、お願いいいこだから、アーノルトのところに帰るのはやめよ!ね!!暴れないで、手!血が出てる!!」
「ぜったいぜったいぜったいぜーったい!!いやです!!」
(聖水のこと知られたら嫌われるかも知れないけど、それでも!)
怒りにぶちきれた僕はアドレナリンがでまくっているせいで白い彼の制止も聞かず縄をほどこうと暴れた。がつんと頭から地面に落ちたけど痛みなんて感じない。もがいて自由にならない手と足に苛立って白い魔法使いを睨み付けようと顔を上げるとそこにはさっきまでの仲良しモードが嘘のように冷たい目をした彼が僕を見下ろしていた。
「どうして分かってくれないの?僕は帰りたいんだ。どうしても帰りたいんだ……」
「あ」
(これやばいやつ)
「だめだ、君はあぶない。やっぱりマリアのいうように死んでくれる?そうだ……魔法は効かなかったんだった。じゃあこっちしかないのか」
白いローブの中から取り出されたのは幅広のナイフ。振り上げられた切っ先が陽光でギラリと光った。
『ごめんね』と言った彼はどうやら情けをかけて殺すほうに梶を切ったようで彼が僕に向ける魔法の杖の先が見てられないほど輝き出す。
(女神様のご機嫌を損ねちゃうよー!いいんですか!!)
あれをぶつけられて生きていられるわけがないというほど尋常じゃないエネルギーがそこに集まっているのがわかる。
足首をざっくりされて森の奥にポイという素敵な血まみれ計画も嫌だけど、すごいエネルギーに焼かれて蒸発しちゃうのはもっといやだ。
(ムリムリムリムリムリムリ!!)
そんな僕の気持ちもお構いなしに白髪の魔法使いの杖の先から放たれた光が僕に一直線に飛んで来る。威力の塊です!といわんばかりの青白い光。精一杯の防御として頭をお腹につけるように団子虫状に丸まった僕は必死 にうぞうぞと背中を向けた。
(助けて神様仏様。この世界の女神様!!)
次の瞬間かっと背中が一瞬熱くなってぷすんというかぼすんというか空気が抜けたような音がした。
「は?」
「なんだ?」
「一体どうして?」
「あれれれ?」
魔法使いたちが戸惑いのざわめきを立てるなか草を踏み分けて近づいてくる足音。
「あれぇ?君は?え?」
上から聞こえた声に見上げれば不思議そうな様子の白い魔法使いが僕のことを見下ろしてくる。
「魔法使い……なのかな?」
少し屈んでつんつんと僕の手を持っている杖でつつく。
「防御魔法とも違うね。でも君は魔法使いの手を持ってない。むー?」
しっかりと深くしゃがみこんで僕を覗き込む白に縁取られたルビー色の目。切れ長な瞳に通った鼻筋。不満げにへの字に曲げられた口。血管が透ける程薄い皮膚。白く輝く長い髪は一つに束ねて横に流されている。唇と瞳以外が全て純白の魔法使いは僕に吐息がかかる程近づいてきた。
(この人……美人)
僕を殺そうとした魔法使いに持つべき感情は『恐れ』であるはずなのに、彼を間近で見た僕の脳みそが弾き出したのは二文字だけで。
(……儚げ美人)
見つめ続けて少し時間がたっても4文字で。
「でも魔力がある。ん?この辺かな?」
そんな美人がくんくんと鼻をならしながらお臍のあたりに顔を寄せてくるからビックリしちゃった。
「やめて、やめて!セクハラです!」
(そこはとってもプライベートゾーン!!)
「セクハラ……」
「あ、わかんないか。その人の意思に反して体に触るのはダメです」
「いや、わかるよ。セクハラ。そうだよ。知ってる」
「え?」
急ににぱっと満面の笑顔になったその人は僕の身体を抱き起こした。
「そっかそっかそっか!君も異世界転移してきたんだよね?」
「異世界転移?なんのことでしょう」
(異世界で生きてた前世はあるけど、転移ではないよ)
なんだかすごい勢いで距離を縮めて来る白い魔法使いに思わず引いてしまう。ぐいっと来られると逆に心を閉ざしちゃうんだけど僕が陰キャだからだろうか。いきなり仲良し俺たち仲間ムーヴ僕は苦手です。ちょっと強引だけどしらをきらせてもらう。
(さっき殺されかけたの忘れてないし!)
「嘘だ!普通の金髪に薄い青目。マリアのピンク頭と違ってその色合いなら僕の世界にある。普通の色だ。君も同じ世界からきたんだよ。頭とか打ったんじゃない?記憶混濁してない?大丈夫?僕たち今結構面白危ないことになってるよ」
「そういわれても」
(面白あぶないとは?)
「魔法学園に入学して世界を救おう 。トラウム王国物語イケメンパラダイスとらぶっと♪」
突然裏声ですっとんきょうなことを言い出す彼。端的に言って儚麗しい外見が台無しです。
「しってるよね?ゲーム?」
返事は『はい』か『yes』だよね、わくわくって感じに見つめられましても。
「いいえ」
「!!なんでぇ?」
(あ、しょぼんってした。これは背後に浮かぶ言葉は『ふええ 』だな。)
「そう言われましても」
「君は女神の愛し子?だよね」
ずいっとまた顔を近づけて来る。
「いちおう、多分、おそらくは」
「どう考えても主要キャラ。だけど地味。モブと見せかけて本気だしたらカッコいい細目糸目枠でもなさそうだし。ただの地味メン好き向けのキャラなんだろうか」
「しれっと失礼なこといいますね」
本当のことだけど本当のことだから傷つかないって訳じゃないんだぞ!30秒で変えられない外見のこと言っちゃダメだって教わらなかったのかな?そんな僕を変わらず至近距離でじろじろ眺めながら独り言を続ける彼は僕のことを見ているようで心ここにあらずな感じ。
「じゃあ続編の子なのかな?マリアも君のことモブっていってたし。僕も一作目しか知らないから製作予定だった続編の子なら理解できる。でも学園にいるんだからマリアも攻略してないルートにでてくるのかな? いや、そんなことある?」
首をかしげながらふむふむいってる。そんな姿も絵になるんだから美人は得だね。だいぶすっとんきょうな中身だけど。
さっきからゲームだゲームだってなんなんだ?
「良くわかってないならびっくりするかもだけど教えてあげるね。この世界は夢なんだ。ゲームの世界を元にした!ゆめ」
「え?えぇー?」
(なに言ってるの?)
「ほんとのことだよ。信じてよ」
可愛く首をかしげる姿は天使様みたいだけど騙されないぞ。さっき僕を殺そうとしてたんだから。このひとは誇大妄想で人殺しも辞さないヤバめの人だ。そう思って睨み付けるけどにっこり微笑みを返された。
(うぐぅ顔が良い)
「マリアは異世界転生したっていってたけど、僕はどうやってここに来たのかも覚えてる。トラックにぶつかった瞬間にこっちに飛ばされたんだ。けどマリアが言うには僕の身体は病院で僕の魂が戻るのを待ってるんだ。だから魂である僕が戻れれば元の世界で目覚めるはずなんだよ」
(マリアが?あの子も前世があるんだ)
「マリアはどうすれば帰れるのか知ってるんだ。裏ルートも制覇したから。僕はダメ。ゲームは苦手でね。妹に言われて一回クリアしただけだから。君はゲームのことも知らないのになんでここに来ちゃったのかな?でもマリアが言うには急がないと向こうにある僕らの体に戻れなくなるって」
(帰る?帰れる?)
どう考えても嘘臭いのにこの人はそれを信じきっているのが分かってしまって水を差してもいいのか僕はなにも言えなくなってしまう。僕だって前世の続きをしたくないかと言われると一億総中流なんて言われていた階級制度のない日本の便利な暮らしを懐かしく思う。読み終わってない漫画の続きが読めるなら帰りたい気もする。
(けど)
「とりあえずトラウム国には戻らないって約束してくれるなら逃がしてあげる。今ならマリアの魅了の力が弱まってるから」
「魅了?」
「そう。皆に愛されるためのお助けアイテムってやつを彼女が持っている限り周りの皆はマリアのいうことを聞きたくなっちゃうんだ。僕は耐性があるからマリアにあげても平気だと思ったんだけどさ」
「あなたが渡したんですかそれ」
「うん。僕がこの世界に来て混乱してるときに話を聞いてくれたのがマリアでね。僕はてっきり頭がおかしくなってるんだと思ったんだけどマリアがそうじゃないって教えてくれたんだ。だから友情の証として彼女の人生が上手く行くように魅了魔法のペンダントをあげたんだ」
ちょっと気まずげに僕を見て彼はてへぺろって感じに舌を出した。
「そしたら思った以上に効果がでちゃってさ。主人公ってすごいよね。予想以上の効果!僕もイチコロだったぁ」
(あ、ポンコツだ!)
多分にすごい魔法使いであるはずなのに中身はかなり抜けているしマリアに振り回されているこの人は僕並みにちょろいらしい。
(日本で育って平和ボケしてるせいかな……)
そのわりにアグレッシブというかわがまま一杯なマリアを思い出して僕はやっと思い当たった。
「ひょっとしてそれのせいでアーノルト様は僕を忘れた?」
「あ、そうか。君の恋人だったんだ」
「えぇたぶん」
(あの時までは好かれてたし……きっと)
「ごめんね」
(マリアは魔法を使ってまでアーノルト様を手に入れたかったのか。そんなにまで好きだったってこと)
「僕がもとの世界に戻るためにはどうしてもアーノルトを攻略してからハーレムルートに入らないといけないってマリアが言うから」
(ハーレム?じゃあアーノルト様のこと好きじゃない?ってこと)
白い魔法使いの言葉を理解したとたん僕の口が動いていた。
「やです」
(ふざけるな)
「そんなの嫌です」
(ゲームだ?)
「僕のことを好きじゃなくなったんだから諦めようと思ったのに」
(初めて大好きになったんだ)
「あきらめられないじゃないですか!僕帰ります!アーノルト様に会って話します!魔法の力で心を曲げられてアーノルト様が幸せになれるわけがない!!ハーレム?ふざけんなですよ。あんな素敵な人をその他大勢扱いするなんて絶対許さない!!」
(モブだからって遠慮してたけどマリアがずるしてアーノルト様の気持ちを曲げたなら許せない!)
「どうしようシナリオと違っちゃうと元の世界に戻れない。ね、お願いいいこだから、アーノルトのところに帰るのはやめよ!ね!!暴れないで、手!血が出てる!!」
「ぜったいぜったいぜったいぜーったい!!いやです!!」
(聖水のこと知られたら嫌われるかも知れないけど、それでも!)
怒りにぶちきれた僕はアドレナリンがでまくっているせいで白い彼の制止も聞かず縄をほどこうと暴れた。がつんと頭から地面に落ちたけど痛みなんて感じない。もがいて自由にならない手と足に苛立って白い魔法使いを睨み付けようと顔を上げるとそこにはさっきまでの仲良しモードが嘘のように冷たい目をした彼が僕を見下ろしていた。
「どうして分かってくれないの?僕は帰りたいんだ。どうしても帰りたいんだ……」
「あ」
(これやばいやつ)
「だめだ、君はあぶない。やっぱりマリアのいうように死んでくれる?そうだ……魔法は効かなかったんだった。じゃあこっちしかないのか」
白いローブの中から取り出されたのは幅広のナイフ。振り上げられた切っ先が陽光でギラリと光った。
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