筋肉ゴリラな俺が料理上手な幼なじみを食べちゃった話

音無野ウサギ

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筋肉ゴリラと料理男子の後朝(きぬぎぬ)

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 だいたい、そもそも、こんなはずじゃなかったのに!!



 わけも分からず盛ってきたヤマトに流されて官能の夜を過ごした翌朝。



 俺は痛む尻と腰にうんざりしながら隣でだらしなくよだれを垂らしながら眠る男を思い切り小突いた。



(このバカ!!尻と腰がいてぇよ!)



 二人の初めての夜はもっとロマンティックと言うかなんというか、違ったらよかったのに。



 いくらずっと好きだった初恋の相手とはいえ、好きとか気持ちの確認もなくいきなりキスから始まった昨日の夜のことは、初恋こじらせホモだという自覚のある俺としては納得がいかない。気持ち良かったけど。好きって言われてないし。俺の気持ちの確認もしてくれなかったし、状況だけ見れば確実にレイプ案件だ。



 もにゃもにゃいいながらもまだ起きないヤマトの鼻をつまんでキスをして口をふさいでやった。このまま死んだらこいつが他の女を抱くことはないわけだ、なんてやんだ発想が一瞬浮かぶ。そんな事になったら俺のことも抱いてもらえないわけだけど。いや、こいつ別にホモじゃないし、もう一度俺のことを抱く可能性のほうが低いんじゃないか?



 気づいてしまった真実に急激にいらいらが募って舌を口にねじ込んで確実に気道を塞ぐ。



 ヤマトは流石に妙な音を立てながら飛び起きた。



「どんな言い訳があるのか聞いてやるから言ってみろ!」



 状況を飲み込めずにぼんやりと俺を見る筋肉ゴリラを睨めつけた。



 俺の初恋をレイプ紛いの合体で汚しやがって!!

 ---



 息苦しさに飛び起きたらカイトが激怒りしてた。



 なんで?なんで怒ってるんだ?働かない頭をフル回転させる。



「どんな言い訳があるのか聞いてやるから言ってみろ!!」



 氷の女王かくやという冷たい視線で俺をにらみつけるカイト。色白の肌に赤い鬱血痕がやたらとあるのにきづいて、俺はやっと昨日のことを思い出す。



 潤んだ瞳に赤い唇からは『や、だめ。はぁっ、もうだぁめぇ・・・・』とこぼれる言葉はやたら扇情的でセックス覚えたての時みたいに白い肌に吸い付いて腰をふったんだった。



「えっと・・・・」



 少しやりすぎたのは分かっていた。けどこんなに怒るとは思ってなかった。だってすんごいおったててたじゃん。ガチガチだったじゃん。俺のこと好きなのかとおもったんじゃん。



「えっと?」



 助けを求めるように上目遣いにカイトを見ると氷点下の視線withオウム返し攻撃が返ってきた。あーもうこれはガチで納得するまで逃してもらえない。長年の付き合いで分かってる。こうなったカイトは女子が泣いても男子が教室から逃げ出しても追いかけて逃さない。(元陸上部は伊達じゃない)



「その・・・・」



「その?」



 一言一言俺の言うことを繰り返す冷たい声にたらりと汗がたれる。これはあれだ、開き直るしか無いな・・・・



「あー!しょうがないだろ、お前がいつもと違ったから。俺の暴れん坊が暴れん坊なことお前も知ってるだろ」



 性の目覚めってやつが来てから女好きの遊び人として名をはせてきた。噂になった数が実際に付き合った数より多いのは面白がった奴らが100人だの200人だの言いやがったから。なんとなくいいなと思ったら素直に女の子に伝えてただけで遊び人とか言われるのは本意ではないんだけどなぁ。



「どうしても確かめてみたかったんだよ。すっげーいい匂いしてたから」



 すこしだけ視線が動いたけど相変わらずカイトの瞳は氷点下のままだ。



「カイトが嫌だったならあやまるけど。俺はすっごい気持ちよかった。今までで一番良かった。だから止められなかった」



 ピクリとカイトの肩が揺れた。



「男とやるの初めてだったから痛くしたならごめん。カイトがかわいかったからキスマークつけたくていっぱいつけたのもごめん。俺に抱かれてよがるお前の声がいやらしくてもっと聞きたくなっちゃってごめん」



 耳まで赤くなったカイトは下を向いてしまった。



「真っ赤な顔するのが可愛くて出なくなるまでしごいてごめん」



 下を向いて顔を見せてくれないカイトを下から覗き込む。



 真っ赤な顔にうるんだ瞳。やっぱりこいつかわいいな。



「ちゃんと好きだよって言わずに抱いてごめん」



 そういってキスをしたら泣きながらうなずくから、やっと正解を引き当てたみたいだ。



 しっかり抱きしめて耳元で



「もっかいする?」



 って囁いたら



「今日は無理にきまってんだろ!バカ!」



 ってどつかれた。



 今日じゃなきゃいいんだな。と素直な俺は思ったわけで。



 カイトの腰が良くなる頃を見計らって夜這いをかけたのはまた別のお話。
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